牝系研究家ジェンティルが先週のレースの勝ち馬から気になる一頭をピックアップする恒例のコーナー!
今週はシルクホースクラブのサンテローズをピックアップ!
レース概要
10/9(日)
東京11R 毎日王冠(G2) 芝1800m 良馬場
1着 サリオス
2着 ジャスティンカフェ
3着 ダノンザキッド
勝ち馬プロフィール
サリオス
牡馬
父 ハーツクライ
母 サロミナ
母父 Lomitas
クラブ シルクホースクラブ
ファミリーNo. F16-c
厩舎 堀厩舎(美浦)
レース回顧
「2年ぶりのVは飛躍を誓うプロローグ」
1番人気はサリオスで3.0倍。
2番人気には昨年の大阪杯でコントレイルに勝利したキャロットクラブのレイパパレで4.7倍。
3番人気は今年の上がり馬、ジャスティンカフェで4.7倍
4番人気に前走関屋記念3着と復活の兆しを見せるダノンザキッド。
5番人気には前走エプソムカップで重賞初制覇を遂げたノースブリッジで6.8倍。
ここまでが10倍を切るオッズだが、その後ろにも大阪杯勝ち馬のポタジェや共同通信杯でエフフォーリア、シャフリヤールと接戦を繰り広げたキングストンボーイが続き、スーパーG2にふさわしいメンバーが揃った。
ダノンザキッドが発馬前にゲートを出てしまい、戦前から波乱のにおいが漂う。
五分以上の発馬を決めたサリオスだったが、前に行きたい馬をいかして先行勢のインにおさまった。
ハナを叩いたのはレッドベルオーブ。
レッドファンタジアの子供はいづれも気性に難しいところがある馬が多いがこの馬も同様。
レイパパレは手控えたが、キングオブコージに煽られる形となってしまい例の折り合い難が出てしまった。
それでも前走に比べれば幾分マシだっただろうか。
結局レッドベルオーブの単騎逃げの形になったが、1000m通過は57.9。
サリオスは以前に比べて折り合い面に進歩がみられて、自身のリズムでしっかり運ぶことができていた。
とはいえ4コーナー回って進路がない。
外はルメール騎手のキングストンボーイがしっかりガード、前はポタジェがいる。
ラスト350くらいでポタジェの内に進路を切り替えるが、その前にはダノンザキッド。
ポタジェを交わしたところでもう一度減速して外に切り替えなおした、
例年の毎日王冠と違って今年はペースが流れたこともあって差し馬が台頭できる流れだった。
大外からジャスティンカフェが抜群の手ごたえで追い込んできており、完全に彼の勝ちパターンとなっていた。
サリオスはダノンザキッドとジャスティンカフェの間に進路をみつけ、全開に追えたのはラスト150くらいから。
しかし、松山騎手の叱咤激励に応えてサリオスは鋭く伸びた。
結果ジャスティンカフェを1/2馬身押さえての勝利。
直線進路がなく完全に踏み遅れた中で勝ち切ったという点はもちろん強い。
しかし、それ以前の道中の良化も著しい。
折り合いがしっかりついたこともサリオスにとっては大きな進歩で、今後距離延長でも楽しめそうな勝ち方だった。
次走はマイルCSに向かうのか天皇賞にまわるのかはわからないが、天皇賞だとしても十分勝負になると思わせてくれる勝ち方だった。
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母サロミナはドイツオークス馬。
サリオス以外にも府中牝馬S勝ち馬でエリザベス女王杯、有馬記念で2着したサラキアとローズS2着のサリエラを輩出した名繁殖だ。
所謂ドイツのSラインと呼ばれる牝系で日本でもファミリーの活躍は著しい。
ブエナビスタやマンハッタンカフェ、ソウルスターリングやシュネルマイスター、先日二冠牝馬となったスターズオンアースもSラインだ。
Sラインはドイツの牝系の中でもスピードがある牝系であり、日本の馬場への適性は非常に高いのが特徴の一つ。
また成長力もあって今の日本とかなりマッチしている牝系だろう。
サリオスはハーツクライ×Sラインということだから6歳の今本格化を迎えたというのもなんら驚きではない。
もちろん同期のコントレイルはすごかったが、そのコントレイルと3歳時から接戦を演じた本馬が今本格化を迎えたと考えたら今後も楽しみしかないだろう。
二度成長するノーザンテーストという言葉は昔の競馬ファンなら馴染みがあると思うが、Sラインは何度でも成長すると思わせてくれるような走りだった。
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ライタープロフィール
ライター:ジェンティル(貴シンジ)
牝系研究家・競馬ライター
生物学・遺伝学の観点からサラブレッドの血統を分析。牝系こそがサラブレッドの根幹であると考え、日夜サラブレッドファミリーの研究を行う。「サラブレッドの血統に生物学的アプローチを!」が合言葉。
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