…が、香港あんまり詳しくないんですよね
欧州は血統的繋がりが強いのでわかりやすいのですが…
と、思ったものの、現在調べているオーストラリアと近しい事もあり、ある程度血統的要素が見えてきました。
香港マイル日本馬の傾向
28開催参戦 延べ51頭
成績 4-2-6-39
日本馬の勝率 14%
単純勝率 8%
馬券内率 23%
高いと思うでしょうか?低いと思うでしょうか?
香港はオーストラリアから馬を買ってくる事が多く、距離が短くなるほど強くなります。
マイルも多分に漏れず、日本馬も抜群の適性を持った馬しか成績を残せていません。
ここ10年で区切り、馬券内に入った日本馬を上げてみましょう
2014年 3着 グランプリボス
2015年 1着 モーリス
2018年 2着 ヴィブロス
2019年 1着 アドマイヤマーズ
2020年 3着 アドマイヤマーズ
2021年 3着 サリオス
この中で共通項を探してみると…
ヴィブロスとアドマイヤマーズから見る香港マイル
この2頭はわかりやすい。
・サンデーサイレンス(Halo)
・リファール(メンデスの父父リファール)
・マキャベリアン(ミスプロ×ヘイロー×リボー)
・ヌレイエフ≒サドラーズウェルズ
サンデーサイレンスは日本的過ぎますのでヘイローとして見ていきます。
ヘイローは運動神経を良くし、無駄のない脚捌きで走れるようになります。
これはオーストラリア・香港で非常に必要な能力であり、捲り力に通じるものです。
捲り力という視点では、香港ではデインヒルやリファールも近いものがあります。
マキャベリアンはその母父ヘイローを受け継ぎ、デインヒルと同じアルマームードのクロスとリボーを持ちます。
つまり、パワーに寄ったのがデインヒル。軽さに寄ったのがマキャベリアンと言え、どちらも香港的な芝に必要な要素でしょう。
(マキャベリアンの方が香港的かな?)
ヌレイエフ≒サドラーズウェルズは日本ではパワーの象徴的な扱いですが、使い方次第では持続的な末脚…(根性と言い換えてもいいでしょう)が増幅します。
香港は3コーナーから下りながら加速し続ける必要があるため、持続力も必要となります。
この視点で見ると
サリオス…リファール・デインヒル・リボー
モーリス…アメリフローラ(デインヒル)・ヘイロー・トムフール・サドラーズウェルズ・リファール
このように、必要な要素を含んでいたことがわかります。
(グランプリボス…?なんで走ったんだ…?傾向が違い過ぎる…………)
過去10年の傾向
日本馬の結果も含め、過去10年の勝馬の傾向を見ていきましょう。
2013年 グロリアスデイズ
豪州産 ミスプロ系×マイナー系
特徴…パワー系ナスルーラクロス・リボー
備考…アルマームード多め
2014年 エイブルフレンド
豪州産 ストームキャット系×ダンジグ系
特徴…ヘイロー×レッドゴッドで機動力強化
備考…マキャベリアン持ち
2015年 モーリス
日本産 ロベルト系×サドラーズウェルズ系
特徴…デインヒル・ヘイロー・トムフーフ・サドラーズウェルズ・リファールの特盛
備考…豪州でも活躍馬を出す香港特効血統
2016年 ビューティーオンリー
愛国産 デインヒル系×ヘイロー系
特徴…デインヒルにヘイローに加えてトムフール(バックパサー)のクロス持ち
備考…欧州産なのに豪州的
2017年 ビューティージェネレーション
2018年 ビューティージェネレーション
新国産 フェアリーキング系×ニジンスキー系
特徴…フェアリーキングはサドラーズウェルズウェルズの全弟なので傾向は近い。父からトムフール・リボーの突進力、母から豪州で流行しているハイペリオン的な持続力要素を多数継続し、ニジンスキーの母がトムフーフとニアリーで機動力強化。
備考…豪州で流行っている機動力×持続力的な馬。
2019年 アドマイヤマーズ
日本産 ヘイロー系×ミスプロ系
特徴…母父父マキャベリアンで、牝系全体がヘイロー(レッドゴッド)を強化した機動力型。サドラーズウェルズ・リファール持ちで父母父からハイペリオンも豊富。
備考…日本産の中では有数の豪州的な血統。
2020年 ゴールデンシックスティ
2021年 ゴールデンシックスティ
豪州産 サドラーズウェルズ系×ミスプロ系
特徴…父がサドラーズウェルズ×トムフーフで、母父がダンジグ+リボー。そこに米国的突進力とプリンスキロ的柔軟性をまぶした豪州仕様。
備考…機動力×柔軟性のイメージ。
2022年 カリフォルニアスパングル
愛国産 デインヒル系×サドラーズウェルズ系
特徴…父はデインヒル系に加え、豪州を裏で支えるランチタイムにスターキングダム持ち。この2頭を持っているだけで豪州適性が上がる。
母父は最近豪州で流行りつつあるハイシャパラル。
備考…ゴールデンシックスティといい、カリフォルニアスパングルと言い、少し傾向が変わってきた印象。
考察
デインヒルとサドラーズウェルズは強いものの、父と母父を見ただけで「これを買っていれば儲かる」という傾向はなさそう。
また、2019年以前は機動力×持続力を買っておけば良さそうだったものの、近年は豪州のトレンドも変わりつつあり、ステイヤー血統や血統の中の隙間が多い馬の方が好走しがちと、少し傾向が変わってきている。
注目血統
傾向はあやふやな部分があるものの、基本線は同じ。
機動力…トムフーフ・デインヒル・リファール・フェアトライアルなど
持続力…サドラーズウェルズ・ヌレイエフ・スターキングダム・ノーザンテースト・トニービンなど
これに加えて、柔軟性が必要になってきている印象で、プリンスキロ(セクレタリアト・ミルリーフ・ストームキャットなど)もチェックしたい。
血統考察
◎ゴールデンシックスティ
8ヶ月明け、8歳、昨年2着と消したい要素は多いものの、香港の英雄を消せるほど勇気はない。
血統面でも戦績でもケチをつけるところがないです。
中断に構えて、直線で差す横綱競馬。
普通に走れば勝ちます。
ただ、これだけ人気が集中しているなら、不安要素が多いのは事実なので、普通に走れなかった場合の馬券を買うのはアリでは。
○ソウルラッシュ
父は香港でG1を制したルーラーシップ。豪州で流行しているハイペリオン系の豊富な持続力の馬でした。
母父マンハッタンカフェ(ヘイロー×リボー)で、母母はストームキャット×トムフーフ。
マイルチャンピオンシップは内から抜け出し先頭に立ったものの、馬場の良い外を通った2頭にさされてしまいまいました。
しかし、抜け出したときの瞬発力、内をついた馬で唯一残った持続力。まさに香港向きだと思いました。
ゴールデンシックスティに勝つビジョンがなかなか湧かないものの、オータムハンデのように先行押しきりができれば逆転も?
▲ナミュール
父ハービンジャーはデインヒル系で、産駒はノームコアが香港カップ勝利、ディアドラが同レース2着。
母父がハイペリオンの強いダイワメジャーですし、薄くともリファールクロスを持っているのはプラス材料。
鞍上も背中を知っているモレイラ騎手ですし、持ち味をいかしてほしい。
ゴールデンシックスティを後ろから差しきれる可能性があるのはこの馬だけでないでしょうか?
△セリフォス
父ダイワメジャー、母にレッドゴッド≒ヘイロー・ヌレイエフ・トムフーフ・フェアトライアルを引く。
ただ、いずれも少し血統の位置が遠く、ゴールデンシックスティを逆転できるほどの魅力があるかと言われると…
☆カリフォルニアスパングル
昨年の覇者。今年もスロー逃げを打ってくるのではとの想定。
しかし、昨年はビューティージョイが向こう正面で大マクリをした結果、乱ペースとなり漁夫の利を得た印象。
実際に4月のチャンピオンマイルではゴールデンシックスティにしっかりと力負けをしていた。
日本馬の扱いを上げるのであれば、軽視してもよいのでは。
注ディヴィーナ
どこまでやれるかは置いておいて、血統ではこの馬を無視することはできません。
父モーリスは香港3戦3勝かつ豪州でG1馬を排出する香港特効馬。
母ヴィルシーナの全妹ヴィブロスは香港マイル2着。
香港マイルにて結果を残した馬同士の子が香港で走れない理屈はありません。
あとは能力が足りるかですが、微妙なところですね・・・
さすがに有力馬を出し抜いて勝てるまでは無さそうに思いますが、日本馬で唯一馬券妙味のあるオッズですし、血統バフは十分すぎるだけあるので、馬券内には仕込みたいですね。
穴ビューティーエターナル
穴ビューティージョイ
香港勢から2頭
印が多すぎるって?私もそう思う。
今回はゴールデンシックスティを除けば日本勢がかなり優勢と思っていました。
しかし、予想オッズが、エターナル46倍、ジョイ132倍と舐められ過ぎています。
両馬の前走ジョッキークラブマイルは5頭立てでしたが、非常にレベルの高い一戦でした。
2ハロン毎タイム(レースラップ)
24.42 – 22.84 – 22.91 – 22.91
1:33.04
入りが24秒前半、道中は22秒台で推移しました。
もちろん開催時期や条件が違いますので一概に言えませんが、息のつかないラップ構成になっています。
そんな中で2頭だけが最後まで叩き合い、ハナ差決着となりました。
他のレースと比較すると
2023年 スチュワーズカップ
勝馬 ゴールデンシックスティ
25.54 – 23.58 – 22.56 – 22.31
1:33:99
2022年 香港マイル
勝馬 カリフォルニアスパングル
25.01 – 22.51 – 22.54 – 23.35
1:33.41
*ビューティージョイ(4着)が得意のハイペースに持ち込もうとして、ゴールデンシックスティ敗北
2021年 香港マイル
勝馬 ゴールデンシックスティ
24.81 – 23.11 – 23.19 – 22.34
1:33.45
このように、ゴールデンシックスティは25→23→22→22と加速していくタイプで、有力馬の後ろにつけ、一瞬の機動力で抜け出し勝利します。
一方ビューティー2頭は高速巡航が得意なタイプのようで、24→22→22→22で走り切ってしまうと昨年の再来が起こってしまうのでは?
そうなれば、ソウルラッシュと一緒にビューティー2頭も突っ込んでくるのでは?
と、穴予想もしたくなります。
穴ダノンザキッド
父ジャスタウェイは持続力を強化した血統。
母父父デインヒルでリファールクロス持ちは素直に評価できる。
母母父父シャーペンアップは豪州で流行りのハイシャパラルにも含まれ、相性の良さを示すように昨年香港カップ2着。
今年はややデキ落ちな感じもあるので評価は下げましたが、相性だけなら相当良さそう。
まとめ
印が多くなりすぎてしまいました。
◎ゴールデンシックスティ
○ソウルラッシュ
▲ナミュール
△セリフォス
☆カリフォルニアスパングル
注ディヴィーナ
穴ビューティーエターナル
穴ビューティージョイ
◎としましたが、ゴールデンシックスティは8ヶ月ぶりなので実馬の様子を見ないことには買えません。
しかし、基本的には逆らうのは難しいでしょう。
あとはオッズとの勝負。
ゴールデンシックスティが大丈夫そうならセリフォスと2頭軸で印に流します。
◎-○-印
おそらく当たってもガミるので、資金配分は重要です。
または、持続力勝負になった時用にBOXも検討します。
・ソウルラッシュ
・ビューティージョイ
・ビューティーエターナル
・カリフォルニアスパングル
この4等に加え、当日の気配で
・ゴールデンシックスティ
・セリフォス
を取捨する感じになるかと思います。
(チキンなので多分ゴールデンシックスティを入れる)
M石土井
ゴルシ産駒研究者
一口馬主を京都サラブレッド、YGG、広尾、DMM、ノルマンディーなどで楽しんでいる、ゴルシ産駒研究者。noteにてゴルシ産駒にまつわる投稿を行っている。血統分析に重きを置くスタイルで、代表出資馬はドライスタウトやグランベルナデット。ゴールドシップ産駒ではオルノアやブルーローズシップなどに出資している。
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