
ひとまず血統よくわからん!と言う人向けに、前半は短縮したバージョンを載せています。
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縮小解説!Lot303 Supido×Balqees:血統から見る競走能力の可能性
オーストラリアの競走馬、Lot303スピード産駒の牡馬の血統を分かりやすく解説します。この馬がどんな特徴を持っているのか、一緒に見ていきましょう。
父:Supidoについて
Supidoは、オーストラリアで活躍した短距離馬です。G3レースを勝ち、G1でも3着に入るなど、スピードが持ち味でした。
- どんな馬を出すの?
- Supidoの産駒は、おもにオーストラリアの短距離(1000m~1200m)で特に活躍しています。牡馬のほうが牝馬よりも平均的に多く稼ぐ傾向にあります。
- Supidoの血統は?
- Supidoの父はSebringという馬で、オーストラリアの主要な2歳G1レース「ゴールデンスリッパー」の勝ち馬です。Sebringは、オーストラリアの競馬で成功するための「鉄板配合」と呼ばれる血統を持っています。これは、「ナタルマ(とその母アルマームード)」という、現代のスピード競馬の源流とも言える血を濃く持っていることがポイントです。
- ちょっと寄り道:ナタルマ(アルマームード)刺激配合って何?
- オーストラリアの競馬は、日本の芝に比べて少し重く、短距離レースが重視されます。そのため、スピードだけでなく、力強さも求められます。ナタルマは、世界的なスピード馬であるノーザンダンサーの母であり、デインヒルやサザンヘイローといったオーストラリアで大活躍した種牡馬たちのルーツでもあります。
- 例えるなら、日本でサンデーサイレンスという馬の血が競馬界を大きく変えたように、オーストラリアではナタルマの血が競馬の主流を作り上げてきました。だから、このナタルマやその母アルマームードの血が濃い馬は、オーストラリアの競馬にとてもよく合う、つまり「走る」ことが多いのです。
- Supidoの母:レディサクシードは日本の馬
- Supidoの母であるレディサクシードは、日本の血を引く馬です。この馬もまた、ナタルマ(アルマームード)の血を濃く持っています。レディサクシードは、力強さを伝える血統とスピードを兼ね備えており、日本の芝・ダート両方の平坦なコースで勝利経験があります。
- ちょっと寄り道:ナタルマ(アルマームード)刺激配合って何?
- このように、Supidoは両親ともに「ナタルマ(アルマームード)刺激配合」という、オーストラリアで成功するための要素を強く持っているため、産駒もオーストラリアの短距離に適した馬になる可能性が高いと言えます。
- Supidoの父はSebringという馬で、オーストラリアの主要な2歳G1レース「ゴールデンスリッパー」の勝ち馬です。Sebringは、オーストラリアの競馬で成功するための「鉄板配合」と呼ばれる血統を持っています。これは、「ナタルマ(とその母アルマームード)」という、現代のスピード競馬の源流とも言える血を濃く持っていることがポイントです。
- Supidoの歩き方
- Supidoの歩き方を見ると、血統の特性がよく表れています。ナタルマ(アルマームード)の系統はスピードと柔軟性が特徴ですが、Supidoは同時に力強い血統も持っているため、前脚は力強く、後脚は柔らかさと力強さを兼ね備えた独特な歩き方をします。
母:Balqees(バルキース)について
Balqees自身はまだ競走馬として実績はありませんが、その血筋が非常に素晴らしいです。
- Balqeesの家族はすごい!
- Balqeesの3代母からは、Canny Lad(キャニーラッド)というオーストラリアの超名馬が出ています。さらに、半兄にはゴールデンスリッパーの勝ち馬であるSepoyがいるなど、数々の大レースを勝った馬が近親に多数います。これは、日本で言えばノーザンファームのようなトップレベルの牧場にいてもおかしくないような、非常に優れた牝系と言えます。
- 母父:Artie Schillerについて
- Balqeesの父はアメリカの芝マイラーだったArtie Schillerです。この馬の血統の大きな特徴は、Attica≒Tom Foolという血を濃く持っている点です。この血統は、馬の足さばきを軽くする効果があると言われています。
- オーストラリアの競馬では、この「足さばきの軽さ」が非常に重要視されます。重い芝でも軽やかに走れることは、オーストラリアで活躍するための大きな武器となるのです。Artie Schillerは、力強さとスピードのバランスがとれた血統であり、オーストラリアの競馬で役立つ要素を持っています。
- 母母:Watchful(ウォッチフル)は怪物級
- Balqeesの母の母であるWatchfulは、まさに「怪物級」の存在です。このWatchfulを中心に、息子と伯父がゴールデンスリッパーの勝ち馬です。ゴールデンスリッパーはオーストラリアで最も賞金が高い2歳G1レースで、その重要性は日本のダービーに匹敵するとも言われています。超一流の牝系に、オーストラリアのリーディングサイアーであるMarscayやデインヒルといった名馬の血が配合されており、この馬自身の能力の高さは言うまでもありません。
Lot303 Supido×Balqeesの全体的な血統
Lot303の血統を見ると、父Supidoが持つナタルマ(アルマームード)の血が、母Balqeesの血統によってさらに濃く受け継がれていることが分かります。
現代のオーストラリア競馬では、デインヒルやサザンヘイローといった過去の名馬の血が世代を重ねるごとに薄まってきています。そのため、これらの名馬が持っていた特徴をいかに再び取り戻すかが重要になっています。
Lot303は、ナタルマ、リボー、トムフール、ハイペリオンといった、デインヒルの構成要素となる血を効果的に集めて再構築されています。さらに、母父Artie Schillerのように、血を濃くしすぎずに、ある程度の「余白」を持たせている点も好印象です。これは、特定の血が濃くなりすぎて良くない影響が出ることを避け、バランスの良い能力を引き出すことに繋がります。
父Supidoの産駒で重賞を勝ったBuenos Nochesという馬の血統を見ても、ナタルマ(アルマームード)のクロスが非常に重要であることが示されています。
これらの血統分析から、Lot303はオーストラリアの競馬に適した、特に短距離での活躍が期待される血統構成を持っていると言えるでしょう。あとは、この馬自身の生まれ持った素質と、今後の成長次第で、大きな活躍を見せてくれるかもしれません。
馬体の印象や実際の歩き方については、専門家による解説も参考にしてみてください。血統表から想像できるのは、非常に立ち肩で、柔軟性と力強さ(硬いバネのような感覚)を兼ね備えている馬であるということです。
深堀り解析

父Supido

Supidoの母が日本生産馬で、ロードHCのクラブ馬でした。
その関係で?net競馬に血統表があったので助かりました。
主な成績 18戦7勝
2017 MRCサーJモナッシュS GⅢ 1着
2016 SAJCグッドウッドH GⅠ 3着
2017 ATCチャレンジS GⅡ 3着
MRCサーJモナッシュSは1100mのGⅢで、わかりやすいオーストラリアスプリンターでしょう。
以下はアシスタントに頼んでオーストラリアの種牡馬サイトからデータをぶっこ抜いてきてもらったデータです。
Supido (AUS) の情報
毛色: ブラウン
生年: 2011年
繋養地: Widden Stud
2025年種付け料: $9,900
種牡馬成績の概要
Supidoは2018年にオーストラリアで種牡馬供用を開始しました 。
年度別累計成績 (全世界、暦年)

国別累計成績

産駒の分析 (生産年別)

性別ごとの平均獲得賞金
牡馬 (Colts): $85,895
牝馬 (Fillies): $45,941
距離帯ごとの平均獲得賞金
距離帯/平均獲得賞金
< 1001m $14,623
1001-1200m $45,624
1201-1400m $19,982
1401-1600m $8,341
1601-1800m $3,329
1801-2000m $5,851
2001-2200m $5,483
2201-2400m $2,858
> 2400m $1,875
Supidoの主な特徴
Supidoの産駒は、主にオーストラリアで活躍しており 、特に2019/2020年生産の産駒が最も成功しています 。この生産年の産駒は、2頭のステークス勝馬(うち1頭は重賞勝馬)を輩出し、総獲得賞金は$6,373,636に達しています 。
距離適性を見ると、産駒は1001mから1200mの短距離で最も高い平均獲得賞金を上げており ($45,624) 、スプリンターとしての適性が示唆されます。性別では、牡馬の方が牝馬よりも平均獲得賞金が高く ($85,895 vs $45,941) 、牡馬がより稼ぐ傾向にあると言えます。
全体として、Supidoはオーストラリアにおいて短距離で活躍する産駒を輩出している種牡馬と言えるでしょう。
以上アシスタントが執筆。
ここから私が執筆。
父Supido血統分析

父父Sebring

Supidoの父Sebringはゴールデンストリッパーの勝ち馬。
オーストラリア鉄板配合のナタルマ(アルマームード)刺激配合で、非凡なスピードを伝える。
更にデインヒル・ウッドマンと言う稀代のパワー馬も完備しているため、Theオーストラリアと言って良い一頭だろう。
寄道:ナタルマ(アルマームード)刺激配合
オーストラリアで絶大な活躍を見せるデインヒルとサザンヘイローの血。

ナタルマ3×3(アルマームード4×4)

アルマームード3×4 + ネイティブダンサー
この2頭はナタルマ(とその母アルマームード)の濃いクロスを持っている。そしてナタルマはノーザンダンサーの母。
ノーザンダンサーはケンタッキーダービーで2:00.0のレコードタイムで優勝。2025年現在もセクレタリアト(1:59.4)に次ぐ2位の記録であり、世界にスピード革命を起こした快速馬。
そしてノーザンダンサー以外にもデインヒルやサザンヘイローと言った快速馬の源流となった事から解るように、言わば現代スピード競馬の母である。
オーストラリアは日本より芝が重く、また短距離を重視する。
日本的には重いノーザンダンサー的なパワーと、ナタルマのスピードはまさにオーストラリアにジャストフィットしたと言えばわかりやすいだろう。
雑に言えば、日本がサンデーサイレンスが走るための競馬になったように、オーストラリア競馬はナタルマが走るための競馬になったのである。
であるからして、ナタルマやその母アルマームードのクロス馬が走るのは当然である。
父母レディサクシード

Supidoの母レディサクシードは、わかりやすい日本のパワー馬。
Lot303の血統表を見たときに母父ブライアンズタイムを見ていたはずなのに、Brian’s Timeって書かれると読めないよ…
気づかなかった…
父母がかなり相似しており、ナシュア≒ナンタラ・ヘイルトゥリーズン・リボー・ロマン・ハイペリオンあたりが共通。これらはいずれもパワーや頑強さを強調する血統。
一方で牝系はクドフォリー。
マキャベリアンの母で、直径子孫ではバゴ、ファンディーナ、ナムラクレアなど書ききれないほどいる。
またノーザンダンサー、デインヒル、ヘイロー、オーペン(サトノダイヤモンドの母父)など(その他多数)の近親。
このように、パワーがベースにあるが、その中でもスピード要素を兼ね備えた血統であった。
実際、レディサクシードは、新潟芝と中京ダートの中距離戦を勝利。
当時の中京は改修前なので、両者とも平坦小回りなコース。血統のイメージ通りであった。
そしてお気づきだろうが、レディサクシードの母ハイドロカリドはナタルマ 3 x 3、アルマームード 4 x 4 ・ 4 のクロスを持つ。
ナタルマ3×3はデインヒルと同じで、アルマームードクロスが1本多い分、デインヒルよりも強烈なナタルマポテンシャルを持っている。
つまり、ナタルマ(アルマームード)刺激配合なのである。
両親が強烈なナタルマ(アルマームード)刺激配合であれば、産駒が強烈なオーストラリア適性を持った短距離馬になることは当然であろう。
父Supidoの歩様
まさに血統表通りの歩き。
ナタルマ・アルマームードの系統は、ザテトラークという馬の血を引き、スピードと柔軟性を持つ。
その一方で、Supidoはリボーとラトロワンヌという立ち肩の血統や、その他にも超パワー血統も強く持っている。
歩きを見るとまさに両者の特性を受け継いでいる。
前脚は強烈な立ち肩でコツコツした捌き。
後脚も関節の柔軟性はあるが、筋肉や骨格の関係で硬質な歩きに見える。柔らかく、硬い。
母Balqees血統分析
母としてはまだ走った馬はいないが、ファミリーラインがエグい。

3代母から大種牡馬キャニーラッドが出ており、半兄にゴールデンストリッパー含め大レースを勝ちまくったSepoyがいる牝系。
日本で言えば、ノーザンファームにいてもおかしくないような牝系である。
母父Artie Schiller

米国の芝マイラー。
父のエルプラドは、サドラーズウェルズ系ながら米国で発展した芝ダート兼用の種牡馬。
最大の特徴はAttica≒トムフールのクロス。何度も書いてきた通り、この血統は足さばきの軽さを強調。
鈍重とも言えるサドラーズウェルズ系でありながら、アメリカの小回り芝で軽快に走ることが出来たのはこの要素が大きいからだろう。
また、この軽快さはオーストラリアを底支えしている。
オーストラリアの大種牡馬Lunchtimeもトムフール系だし、シャトル種牡馬として活躍中のモーリスもトムフールを増幅した血統だ。
Artie Schillerはそこに牝系からパワー・スピードをバランスよく配合された形。
オーストラリア的な要素を持っているが、いずれも別ルートを辿っており、ノーザンダンサーも1本のみ。
ストレートなデインヒルなどを持っていない分、血を濃くせずに要素を足せるクッション材になっていそう。
母母Watchful

この母母が化け物。
このWatchfulを中心に据えると、息子と伯父がゴールデンストリッパー勝ち馬。

ゴールデンストリッパーは2歳戦世界最高賞金額を誇るレースで、ある意味オーストラリアを象徴する中心的なレース。
日本で例えれば、ダービーに匹敵するかもしれない馬がごく近い近親に2頭も出ているのだ。
超S級の牝系に、リーディングサイアーのMarscayとデインヒルを配合されているのだから、この馬については特に語る必要はないだろう。
Lot303 Supido× Balqees
血統表の往復横跳びをしながら数えたので正確な本数に自信はないが、
アルマームード 6・9・9・7・7・7×7・7・7 約13.28%
ナタルマ 8・8・6・6×6・6・6 約17.19%
このような血統になっている。
つまり、父デインヒル(ナタルマ 25%)母ナタルマなし(ナタルマ0%)の産駒より、Lot303はナタルマが濃い(12.5%<13.28%)。
現代オーストラリアでは代替わりが進み、デインヒルやサザンヘイローが遠くなっている。
そのため、どれだけデインヒルらしさを再獲得するかが今後の目標になってくる。
全体の血統構成を見返しても、
- ナタルマ
- リボー(ラトロワンヌ)
- トムフール
- ハイペリオン
というデインヒルの構成要素を再構成している。

またその集め方もガチガチに揃えるのではなく、母父Artie Schillerのように、ある程度余白を持たせているのも好感触。
Supido産駒重賞馬のBuenos Nochesの血統表を見ても、非常にナタルマ(アルマームード)クロスが重要であると示している。
BUENOS NOCHES horse profile, breeding, statistics, form guide and news | BreednetBuenos Noches is a 5 year old stallion by Supido out of the Nwww.breednet.com.au

ここまでお膳立ては揃っている。
あとは当馬の素質次第と言えるだろう。
歩きや馬体についてはプロ目線での解説が入ると思うので、そちらを参考にされたし。
なお、歩きを見る前の血統表だけ見た馬体の印象は
・非常に立ち肩
・柔軟性と頑強さ(硬いバネ感)
であったが、実際の馬を見てみると、概ねあっていた。
あとは皆さんの目で確かめてみてください。
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