今回は新種牡馬のブリックスアンドモルタルについて血統分析する記事を書いていきます。
ぜひ今年の一口馬主の出資検討や馬券検討時にお役立てください。
ブリックスアンドモルタル産駒の傾向
現時点(2023年7月12日)で9頭しか走っておらず、まだ傾向は掴めていません。
ただ、掲示板に入った5頭を見ると、生産者の狙いがはっきりと分かります。
5頭全てにサンデーサイレンスが入っているのは、ブリモル導入の意図を考えれば当然なので一旦除外すると…
トニービン持ち(ナスペリオン強化)
3頭
母ヘイロー的2本持ち(日本芝適性強化)
2頭
重複している馬もいますが、トニービン以外にもナスキロ要素を持った血統が多く、芝で弾けるための配合傾向が見えます。
血統を分解して分析
ストームバード3×3が強烈で目を奪われてしまいますが、分解するとこんな感じ。
結構日本向きの血が固まっており、配合によっては色んな産駒が誕生しそうですね。
・ストームキャット強化は見たまんまなので省略。パワー&スピードですね。
・グロリアスソング=デヴィルズバッグ強化は、ヘイロー的で、ラーイの父父レッドゴッドとも相似血統です。
サンデーを経由しないヘイローはキレより機動力型になります。
・少し変形的ですが、ロベルト×シアトルスルー×プリンスキロも持っている為、シンボリクリスエスを配合することもボリクリ要素の強化であると言えます。
・ナスペリオン強化(ナスルーラ+ハイペリオン)は持続的な末脚の代名詞で、先述のトニービンはナスペリオンの代表格。
ブリモルの母母父のエクセラーがナスペリオン的で、末脚の強化が見込める。
まだ2歳戦が芝ばかりなので、ダートが始まればまた傾向も変わって来るでしょうが、現時点でデビューしている産駒を見ると、ブリモルの血統と呼応させ、日本適性を高めるためにサンデー・トニービン・シンボリクリスエスがよく配合されている印象を持っています。
特に、勝ち上がっている2頭はこのような血統になっています。
ディープインパクトはヘイロー×サーアイヴァーで、ヘイロー要素をキレ方面で強化された血統。
ヌレイエフはナスぺリオンを内包してます。
あとはナシュア≒ナンタラでパワーを大幅強化。
少しパワーが強すぎる気もしましたが、ディープとラーイが良い緩衝材になっている印象で、レースも父のようなフォームでマイルを逃げて押しきる内容は血統の印象通り。
こちらも主場マイルを逃げて突き放す内容。
スキーパラダイス牝系なので、そもそものポテンシャルが高すぎた疑惑もありますが、ブリモルに向いた血統と思われます。
5代前になりますが、グロリアスソングとクードフォリーは父ヘイローで、サンデー×ヘイローのヘイロー要素強化。
更にトニービンでナスぺリオンはエクセラーと呼応。
広い阪神の直線で更に突き放す様子は、こちらも血統の印象通り。
これだけ見ても日本の生産者が何を求めて配合しているのかわかりやすいですね。
馴染みの薄いストームバード3×3ばかり目を取られますが、日本向きの血統が多く含まれるため、交配の目的を捉えやすいですし、馬券や一口の買い方もわかりやすい馬かもしれません。
ブリックスアンドモルタルの馬体
ブリモルの歩き動画です。歩き動画を見てちょっと印象が変わりました。
芝馬とはいえアメリカ馬ということでもっと筋骨隆々かと思ったら、素晴らしいバランスですね。
胸前の肉の付き方はアメリカっぽいですが、全体感や正面から見た感じは好馬体の代名詞ニジンスキー(をコンパクトにして筋肉つけた)と近い感覚も持ちました。
よく考えたらストームバードは自身も欧州芝で活躍し、産駒も欧州でクラシックホースを出すなど、元々芝寄りの馬。
さらにストームバードはニジンスキーと相似な血統で、両者ともEPテイラー氏の生産馬なので、ニジンスキーとサンデーサイレンスを併せ持つスペシャルウィークやダンスインザダークと相性がいいかもしれない。
ブリックスアンドモルタルの現役時代
興味を持ったついでに、ついさっき何戦かブリモル現役時代のレースを見ました。(それくらい見てから記事を書け? 私も思います。)
ダートの内側にある超小回りな芝コースを、無駄のないフォームで、中団から持ったままで先団に取り付き、直線でつき放つ。
これこそヘイローといった感じ。
(ヘイロー的レースはイクイノックスの有馬記念参照)
つまり、レッドゴッド≒ヘイローを強化することこそがブリックスアンドモルタルの最大化パターンであると思いました。
そう考えると先程のブリモル産駒傾向も納得の行くものです。
全頭サンデー持ちで、日本の芝で戦うための末脚強化のトニービンor機動力強化のヘイローを持たせる。
こうなると、ニジンスキーやトムフール持ちも良さそうですし、シンボリクリスエスもニックスになりそう。
今後のブリモル産駒選定の指標になるんじゃないでしょうか?
これから多くのダート馬も出てくると思いますが、ブリックスアンドモルタルのBCターフでは2400mをしっかり折り合っており、長い距離への対応力も見せました。
余り面白みのない配合ですが、母父ディープインパクト(ヘイロー≒サーアイヴァー)やハーツクライ(サンデー+トニービン)は想像以上に芝で能力を発揮するように思います。
M石土井
ゴルシ産駒研究者
一口馬主を京都サラブレッド、YGG、広尾、DMM、ノルマンディーなどで楽しんでいる、ゴルシ産駒研究者。noteにてゴルシ産駒にまつわる投稿を行っている。血統分析に重きを置くスタイルで、代表出資馬はドライスタウトやグランベルナデット。ゴールドシップ産駒ではオルノアやブルーローズシップなどに出資している。
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