はじめに
JBBAよりアメリカンファラオがついに日本に降臨することが発表されました。
いや、、、来るのが遅すぎますね。
まずは簡単にアメリカンファラオの来歴を見てみましょう。
アメリカンファラオ
アメリカンファラオは、アメリカの競走馬・種牡馬。2015年に37年ぶり史上12頭目となるアメリカクラシック三冠を達成し、歴史に名を刻んだ。
名前の由来
馬名の「ファラオ」は、父馬の名前(Pioneerof the Nile)と、オーナーがエジプト人であることに由来する。 ただし、正しい綴り「Pharaoh」ではなく「Pharaoah」となっているのは、電子登録の際に書き間違えられたためと言われている。
また「アメリカンフェイロー」「アメリカンフェイロア」表記も散見されるが、ネイティブな発音や綴りからそう表記されることもある。
競走馬としての輝かしい経歴
- デビューと2歳時 (2014年)
- デビュー戦は5着に敗れたが、次走のG1デルマーフューチュリティで初勝利。続くG1フロントランナーステークスも連勝。
- この活躍により、2014年のエクリプス賞最優秀2歳牡馬に選ばれた。
- 歴史的偉業となった3歳時 (2015年)
- 三冠達成: ケンタッキーダービー、プリークネスステークス、ベルモントステークスを圧倒的な強さで制覇。1978年のアファームド以来、37年ぶりのアメリカ三冠馬となった。
- 史上初のグランドスラム: 引退レースとなったブリーダーズカップ・クラシックもコースレコードで圧勝。これにより、「アメリカ三冠」と「ブリーダーズカップ・クラシック」を同一年に制覇する史上初の「グランドスラム」を達成した。
- 生涯成績は11戦9勝。
アメリカンファラオの種牡馬評価
絶大な期待を背負った種牡馬デビュー
2015年11月、歴史的快挙を成し遂げたラストランから間もなく、アメリカンファラオはケンタッキー州の名門アッシュフォードスタッドで種牡馬としてのキャリアをスタートさせた。初年度の種付け料は、新種牡馬として史上最高額タイとなる20万ドル(当時のレートで約2200万円)に設定。37年ぶりの三冠馬に対する競馬界の絶大な期待を物語る価格であった。
その期待通り、初年度から世界中の質の高い繁殖牝馬を集め、2017年の当歳馬セールでは産駒が100万ドル(約1億1000万円)で落札されるなど、市場の注目度は極めて高かった。
(アメリカ以外の)世界中で活躍する産駒たち
2019年に産駒がデビューすると、アイルランドでの初出走初勝利を皮切りに、世界各地で重賞馬が誕生し順調な滑り出しを見せた。
2020年にはハーヴェイズリルゴイルがアメリカで芝G1を制覇し、産駒に初のG1タイトルをもたらす。一方で、自身の現役時代のイメージからダートでの大物産駒の登場が待たれていたが、2021年、日本でカフェファラオがフェブラリーステークス(GI)を制覇。これが産駒にとって待望の国際ダートGI制覇となった。
※日本でのG1級ではダノンファラオのジャパンダートダービー(Jpn1)が初
産駒の活躍は世界中に広がり、特にシャトル種牡馬としぬて供用されるオーストラリアでは芝のクラシックホースを、日本ではダノンファラオ・カフェファラオのようなダートのトップホースに加え、ジューンブレア(スプリンターズS2着)などを多数輩出するなど、現役時代のイメージとは異なる適性も見せているのが特徴である。
評価の変動、そして日本へ
アメリカ本国では、絶対的なダートチャンピオンを送り出せておらず、一言で言えば「期待外れ」であり、種付け料は当初の20万ドルから、2025年には5万ドルとなった。
しかし、産駒の日本適性の高さが改めて評価され、2025年に大きなニュースが発表された。2026年から1年リース契約で、日本で種牡馬として供用されることが決定したのである。
ちなみに日本でデビューした中央のアメリカンファラオ産駒は87頭中45頭が勝ち上がっており、勝ち上がり率は52%と非常に高い。EIも1.24で100頭に満たない産駒の中から、カフェファラオ、ダノンファラオ、ペルアア、ジューンブレアなど活躍馬が多数出現している。
血統考察

父系は日本にもやってきたエンパイアメーカー。
エンパイアメーカーはかなりクロスがうるさく、古き良きアメリカを濃縮したような馬である。
かなり硬質でパワフルであるため日本向きではなく、直子は余り活躍できなかった。
しかし、母父に入り日本向きの父と出会うことでかなりのポテンシャルを見せており、血統派から熱い視線を受け始めている。
そこから2代に渡ってアウトブリード的な配合を重ね、産まれたのがアメリカンファラオであった。
エンパイアメーカー系の特徴は米国的気難しさ。
気持ちよく走れたら強いが、もまれると弱い。
アメリカンファラオ産駒も、ダノンファラオやカフェファラオ、あとはわかりやすいリフレイムのレースを見てもらえばわかるだろう。
配合考察
配合論のベースとなる考え方として、クロスが濃い馬にはアウトブリードな相手を。クロスが薄い馬にはインブリードを。という考え方がある。
クロスの濃いエンパイアメーカーめ薄めたように、薄まったアメファラには濃い血を再び入れるのが吉。
カフェファラオ(の母)

ミスプロ3×4に、バックパサー3本。またバックパサーと近い血を持つプレイメイトやミスプロと近いマジェスティックライトなど、全体的に濃い構成。
ダノンファラオ(の母)

こちらも表面上はそこまで濃くないが、全体的にミスプロとボールドルーラーの多い父と母で似た構成。
また、全体を通して最も濃いエンパイアメーカーの成分(ミスプロ・インリアリティ・バックパサー)を増幅させるのがわかりやすいニックスとして出ている。
ジューンブレアのように芝で活躍馬が出ているのは、この三者が強調されているからであろう。
これらは特に突進力に優れ、芝に耐えうる素軽さを補強したら芝、特に短距離での活躍につながっていると思われる。
ジューンブレア(の母)

ミスプロとバックパサーを強く伝え、牝系はミスプロらしさを持ったミスワキが光っており、エンパイアメーカーに共振する要素の多いレインボウクエストが支えている。
更に地味にニックス感を出しているネヴァーベンドも完備。
エンパイアメーカーを基軸にしつつも欧州的な芝要素を加え、ジューンブレアが完成した。
ダートも走ったが、芝のアメファラと言えばこの馬
リフレイム(の母)

この馬もミスプロ・インリアリティ・バックパサー(の父トムフール)で構成された分かりやすい馬。
芝で走ったジューンブレアとリフレイムはともに牝馬であり、硬質なエンパイアメーカーを牝馬のしなやかさで混ぜるとちょうど芝っぽくなるのだろう。
総評
アメリカ三冠馬としてみると、産駒は芝で走り、アメリカダートが苦手という異質な存在。
しかし、厩舎の後輩の三冠馬ジャスティファイも産駒は主にヨーロッパ、特に重い芝のイギリスで産駒の牡馬三冠を達成してしまっている。
2000ギニー…Ruling Court(2025年)
ダービー…City of Troy(2024年)
セントレジャー…Scandinavia(2025年)
これに関してはむしろ現役時代がボブ・バファート調教師のマジック(意味深)(詳しくはボブ・バファートで検索)によるものであったのではないか?という説も囁かれている。
真相は闇の中だが、種牡馬としてのポテンシャルの高さは間違いない。
配合論
配合の妙味としては、エンパイアメーカーの三銃士(ミスプロ・バックパサー・インリアリティ)を強調させる。
その分かりやすい強調のさせかたがアンブライドルド。または、方向性の近いストームキャットが有用だろう。
一歩踏み込むと、ネヴァーベンドやワイルドリスクと言った欧州の重厚なキレる血統も日本向きになっている。
あとはバックパサーを素軽い方向に刺激できるニジンスキー・ヘイロー・レッドゴッドも良さそう。
日本での配合は、ディープインパクト牝馬にジャストフィットするのではないか?
ただでさえディープインパクト牝馬は母方にストームキャットとアンブライドルドを持っている馬が多いし、相性の良さが逆説で説明できる。
また、最初期世代がそろそろ繁殖しているレイデオロ牝馬につけてみてほしい。
レイデオロ×エンパイアメーカーは爆発的な成功を収めている。

レイデオロのステイヤー要素を薄め、エルグランセニョール=トライマイベストで補強できるのが起因。
レイデオロ牝馬の明らかなウィークポイントである非力さを補い、シーキングザゴールド(母父バックパサー)、シンボリクリスエス(Zetta Jet≒Tri Argo)などを活かせ、スピードを足せるアメファラは第一選択に入るだろう。
日本には活かせる馬が多数おり、「アメリカでダメなら早く日本に来い」と常々ボヤいていた。
リースは1年のみということなのでどこまでの大物を出せるかわからないが、少なくとも母父としての活力を日本競馬に与えてくれる存在にはなるであろう。

M石土井
ゴルシ産駒研究者
一口馬主を京都サラブレッド、YGG、広尾、DMM、ノルマンディーなどで楽しんでいる、ゴルシ産駒研究者。noteにてゴルシ産駒にまつわる投稿を行っている。血統分析に重きを置くスタイルで、代表出資馬はドライスタウトやグランベルナデット。ゴールドシップ産駒ではオルノアやブルーローズシップなどに出資している。
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