レース概要
9/18(日)
中京5R 2歳新馬 芝2000m
1着 ハーツコンチェルト
牡馬
父 ハーツクライ
母 ナスノシベリウス
母父 Unbridled’s Song
クラブ グリーンファーム愛馬会
ファミリーNo. F1-o
厩舎 武井厩舎(美浦)
レース回顧
「遂に来たか!?グリーンファームから大物の予感」
1番人気はハーツコンチェルトで1.9倍。
2番人気にはエピファネイア産駒のルクスフロンティアで4.9倍。
3番人気にリアルスティール産駒の牝馬アルナージェインが続き5.1倍。
4番人気はドレフォン産駒のサトノミーティアで9.5倍。
4頭が10倍を切るオッズだったが、ハーツコンチェルトを2~4番人気の3頭が追う形のオッズとなった。
ハーツコンチェルトは調教の動きも良く人気に推されていたが、パドックの気配も抜群。
堂々した落ち着いた周回ができていて完成度の高さがうかがえる。
スタートは五分に出て二の脚もついていたハーツコンチェルトだが、松山騎手がすかさず手綱を引く。
折り合いに専念する形で1コーナーの入りでは中団やや後ろに構えた。
一方逃げたのはアルナージェインとルクスフロンティア。
人気2頭がハーツコンチェルトをマークする形の競馬にはならなかった。
この2頭が前で競馬をしてくれたことはハーツコンチェルトにとってはラッキーだったかもしれない。
向こう正面に入って結局ハナを取り切ったのはアルナージェイン。
1000m通過は1分3秒2。馬場状態を考えてもスローペース。
ハーツコンチェルトはというと残り1000を指し示すハロン棒を通過するあたりで先団にポジションを上げる。
この動きで馬群全体の流れも速くなる。
4コーナーでアルナージェインとの差をさらに詰めて、直線向いた時には3番手のハーツコンチェルト。
松山騎手の手ごたえも抜群で400mあたりから追い出してムチ1発。
一瞬にして先頭を奪う。
ラスト200のあたりでは完全に先頭で松山騎手の追う手も緩やかに。
終わってみれば8馬身差の完勝だった。
自分で競馬を動かして勝ち取った勝利だけに、現時点でこのメンバーでは一枚抜けていた印象がある。
しかしまだ未知数な部分もある。
ラスト200は流したとはいえ時計は水準級。
この一戦だけでは次走重賞を勝ち切るだけのパフォーマンスを発揮できる確証はまだない。
次走がこの馬にとっての試金石になると考えられる。
牝系を見る
4代母Hum Alongを根幹としてファミリーは広がっている。
Hum Alongの直仔からはStorm Song(父Summer Squall )が出ている。
Storm Songは現役時BCジュヴェナイルフィリーズ(G1・ダート8.5F)、フリゼットS(G1・ダート8.5F)を勝利した名牝。
やはり牝系としてもこちらが本流となっていて、愛セントレジャー(G1・芝14F)を2勝、アスコットゴールドC(G1・芝約20F)を勝利しG1を3勝のOrder of St. George(父Galileo)、フローラS勝ちのミッドサマーフェア(父タニノギムレット)、秋華賞3着のソフトフルート(父ディープインパクト)が出ている。
本馬はそんな名牝Storm Songの半妹Happy Tuneが3代母。
こちらはやはりファミリー全体から見れば傍流となってしまっている。
日本での牝祖は母ナスノシベリウス。
米国で生まれたナスノシベリウスを那須野牧場が馬主となり日本で走らせた。
現役時代は芝7~9Fで3勝とそこそこの実績を挙げたが、特筆すべきはその繁殖能力。
本馬は5番仔だが、姉4頭はすべて勝ち上がり。
3歳のアレグロモデラートを除けば残りの3頭は複数勝利と非常に仔出しの良い母である。
またここまでナスノシベリウスの産駒はすべて牝馬。
本馬は待望の牡馬ということもあり、より期待感が持てる。
ファミリーとしては傍流だったものの母の繁殖能力は素晴らしく、ここから更に牝系の発展を予感することができるのが魅力だ。
スピードとスタミナを兼ね備えた馬が多いファミリーにハーツクライを迎えた本馬は今後の距離延長にも対応できそう。
ダービーの舞台で再びハーツコンチェルトを見れる日を楽しみにしたい。
ライター:ジェンティル/貴シンジ
牝系研究家・競馬ライター
獣医師堀田茂氏に感銘を受け、生物学・遺伝学の観点からサラブレッドの血統を分析。牝系こそがサラブレッドの根幹であると考え、日夜サラブレッドファミリーの研究を行う。個人ブログ『牝系研究者の一口馬主メモ』では月間11万PVを達成。
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