牝系研究家ジェンティルが先週のレースの勝ち馬から気になる一頭をピックアップする恒例のコーナー!
今週はシルクホースクラブのサンテローズをピックアップ!
レース概要
10/1(土)
中京10R 関ケ原S(3勝クラス) 芝2000m 良馬場
1着 サンテローズ
2着 カレンルシェルブル
3着 ストリクトコード
勝ち馬プロフィール
サンテローズ
牝馬
父 ハーツクライ
母 マンビア
母父 アルデバランⅡ
クラブ シルクホースクラブ
ファミリーNo. F5-h
厩舎 西村厩舎(栗東)
レース回顧
「我慢を重ねた素質馬が秋の大舞台へ飛躍を誓う一勝」
1番人気は3勝クラス上位常連で3歳時にはセントライト記念で4着と重賞実績もあるカレンルシェルブルで5.2倍。
2番人気は1勝クラス2勝クラスと連勝中の社台TCのヘッズオアテールズで6倍ちょうど。
3番人気にここまで新馬戦以外掲示板を外したことがない堅実派リフレーミングで6.2倍。
4番人気に今日の主役サンテローズで6.8倍。
5番人気に現級2着3回の実力派ストリクトコードが続き7.7倍。
ここまでが10倍を切るオッズで上位拮抗。
強いメンバーが揃ってのこのオッズだけにレースは戦前からかなり楽しみな一戦となった。
ゲートを五分に出たサンテローズ。
すかさず先行集団にとりつく。1コーナーの入りでは6番手から7番手。
ハナを叩いたのは人気薄のニホンピロスクーロ。
バックストレッチに入るところでは2馬身から3.馬身後続に差をつけた単騎逃げ。
その後ろにポッドボレットが続く。
馬群はそこからさらに2馬身ほど離れて集団で続いている。
1000m通過は60.3秒。勝ち時計とニホンピロスクーロの単騎逃げであったことを考えればスローな展開といえるだろう。
3~4コーナー中間からニホンピロスクーロが後続を待たずに早めに仕掛ける。
サンテローズは手ごたえ十分で馬群の大外を回す横綱相撲だ。
残り350くらいの地点でサンテローズにムチが一発飛ぶ。
すでに馬群は競り落とし、逃げ粘るニホンピロスクーロを射程に捉える。
ラスト150でサンテローズが先頭に立つと後方待機の1番人気カレンルシェルブルが飛んでくる。
ただここまでムチ2発の八分追いだったサンテローズには余力十分。
影を踏ませなかった。
結果的には3/4馬身差で余力を残しての勝利。
体質難を抱えた馬だけに福永騎手も無駄な力は使わせなかった。
勝ち時計は1分59秒。自己ベストを1秒以上更新してきた。
3勝クラスとしては平均的な時計だがまだ上積みはありそうで、次走さらに期待がかかる。
牝系を見る
母マンビアは現役時カルヴァドス賞(G3・芝7F)を勝利している実績馬。
マンビアがイギリス産馬であるため日本での牝祖は母だ。
4代母Hail Atlantisを根幹とするファミリーが北米、欧州で広がっている。
Hail Atlantis自身も競走馬として優秀でサンタアニタオークス(G1・ダート8.5F)を勝利。
直仔には活躍馬は出せなかったが、孫以降の世代で異なる分岐から活躍馬を多数輩出している。
代表的な活躍馬には一昨年のBCジュヴェナイルターフ(G1・芝8F)を勝利したFire At Will、ブルーグラスS(G1・ダート9F)を勝利したBandini、プリンスオブウェールズS(G1・芝10F)勝ちや一昨年、昨年とドバイターフ(G1・芝9F)を連覇し、今年のドバイターフでもパンサラッサの2着したLord Northなどがいる。
本馬の近いところでは3代母Atlantic Blueの産駒が日本で走っていて、ブルーレッドブルーがダートの中長距離で4勝、ブリストルパリが芝ダートの8~9Fで3勝。
その他、祖母の分岐からサンタラリ賞(G1・芝10F)2着のOlendon、3代母の産駒にモーリスドニュイユ賞(G2・芝14F)勝ちやカドラン賞(G1・芝20F)2着の実績があるIncanto Dreamなどもいる。
元々アメリカで繋がっていた牝系でダートのほうが得意なファミリーだったが、本馬にたどり着くまで欧州も数代経由しているため芝適性を獲得している。
またパワーがあってタフな馬が多いのも特徴の一つ。
種牡馬の適性を引き出すのも上手だ。
ただ本馬にしてもそうだが、気性に難がある馬が多いのもまたこの一族の特徴の一つだろう。
母マンビアは一族の中ではスピードのあるタイプで、産駒にもそのスピードをしっかり伝えている。
本馬はマンビアの2番仔だ。
ここまでJRAで出走した母の産駒は4頭いるが、そのすべてが勝ち上がり。
重賞級こそ出していないが複数勝利馬は本馬以外にも出ていて、仔だしの良い母と言えるだろう。
本馬が母の価値を更に高める一頭になるかもしれない。
今後の展望
サンテローズは今年5歳だ。
シルクHCの規約では基本的に牝馬は6歳3月での引退と決まっている。
従って走れるのはあと2走か多くても3走くらいだろう。
本馬の場合は骨折やら鼻出血やらで順調に使えなかった経緯がある。
まだここまで7走しか走っていないのだ。
しかし、素質の片鱗は早々と見せていて、遅めのデビュー戦となった3歳6月の未勝利戦は信じがたいポジションから楽勝。
これは先々楽しみだと思っていた矢先にまたとん挫と出資者を喜ばせたり悲しませたり、感情を揺さぶってきた馬だ。
次走はどうやらエリザベス女王杯が予定されている模様。
この馬の素質を見せつけるには絶好の舞台だろう。
遅咲きのヒロインが秋の仁川で輝くか。
ライタープロフィール
ライター:ジェンティル(貴シンジ)
牝系研究家・競馬ライター
獣医師堀田茂氏に感銘を受け、生物学・遺伝学の観点からサラブレッドの血統を分析。牝系こそがサラブレッドの根幹であると考え、日夜サラブレッドファミリーの研究を行う。個人ブログ『牝系研究者の一口馬主メモ』では月間11万PVを達成。
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