どうも、ジェイです。モーリスやサトノアラジンをはじめとするシャトル種牡馬や、ネオリアリズムやブレイブスマッシュなど現地で種牡馬生活を送る日本の種牡馬たち。日本血統の馬の現地評価はどうなのか?オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の中條調教師に、伺っていきます。
聞き手:ジェイ(豪州共有馬主)
中條厩舎についてや、日本とオーストラリア競馬の違いを知りたい方はこちらをご覧ください。
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豪州のシャトル種牡馬
Qオーストラリアには毎年、何頭かシャトルでオーストラリアで種付けを行っている種牡馬がいると思います。オーストラリアでの日本血統の評価はどうなのでしょうか?
今の日本競馬はかなりリスペクトされていますね。
昔、デルタブルースがメルボルンカップを勝った時は「すごいね!」くらいだったんですが…。
それからリスグラシューやリアルインパクトなど、日本馬がオーストラリアに来てG1をどんどん勝っていくので「なんだこいつら!」という感じです。
こちらの競馬関係者でディープインパクトを知らない人は正直いません。「この血を豪州に入れたい!」ということで、ディープ産駒のシャトルが多めなんです。
ただ現状、リアルインパクトはそこそこ活躍していますが、ディープ系は総じてちょっと軽い種牡馬が多いです。こっちの競馬はやはりもう少しパワーがいる競馬なので、ディープ産駒で軽い馬はちょっと合わないかな?という感じはします。
Qなるほど、リアルインパクトは日本でもパワーがある産駒が多い気がしますね?
1番リアルインパクトがパワー型でスパッと切れるというよりしっかり突っ込んでくるようなイメージがあります。実際重賞馬もリアルインパクトは出しています。
しかし、全体的に日本血統の馬はオーストラリアの種牡馬に比べて成長がゆっくりです。
オーストラリアの種牡馬の人気は、やはり2歳からガンガン短距離で走れる馬に集まります。3歳〜という馬になると、種牡馬として広告を出すにはちょっとパンチが弱いということになってしまいます。
それを考えて、比較的適性距離の短いリアルインパクトやミッキーアイルをシャトルで入れているんだと思います。
Qなるほどですね。今年や来年に産駒デビューでシャトル種牡馬で、期待の馬はいますか?
おそらく1番活躍するのはサトノアラジンですね。ニュージーランドへのシャトルなのでオーストラリアにはあんまり頭数が入ってきていませんが、すでにかなり活躍しています。(現2歳が初年度)
メトロの2歳短距離でガンガン走っているので、なかなかすごいです。
来年はニュージーランドのセリに行って、サトノアラジン産駒も狙ってみようかなと思っています。
Q来年のカラカのセールでしょうか?
そうです、カラカです。輸送代がだいたい50万円なので、そのプラスを許容できる馬がいれば良いなと思っています。
あとは、来年1歳のアドマイヤマーズ産駒は面白いと思います。アドマイヤマーズの父ダイワメジャーは早熟ですし、パワーもありそうでムキムキ系。
それを受け継いだ産駒はいかにもオーストラリアのセリで好まれそうですよね。アドマイヤマーズも2歳からガンガン走っていた馬ですから、早熟性という点でも評価されると思います。
Qシャトル種牡馬の中では、特にモーリスがヒトツやマズなどのG1馬を輩出し、セカンドリーディングサイアーに輝くなど素晴らしい活躍をしている印象があります。中條先生の豪州のモーリス産駒の評価や、周りの評判はいかがでしょうか?
モーリスは大当たりですね。元々期待されていて初年度から良い繁殖が集まっていました。それにしてもそれ以上の活躍馬を出していますね。
モーリスはもうトップ5種牡馬くらいの勢いです。コンスタントにメトロで活躍しますし、G1馬も出ています。
ジ・エベレストという高額賞金レースがありますが、マズ(父モーリス)が出ますから、さらに盛り上がると思いますよ。
Qこれから、モーリス産駒のこの馬が有名になりそう、大きなところをとりそうだなと現地で囁かれている馬っていたりしますか?
この前3歳でシドニーで強い勝ち方をしたキボウという馬がいます。G3を勝利していて、次はG1にと言われていましたが、今は残念ながら怪我をしてしまい休養しているようです。
豪州で種牡馬生活を送っている日本馬
Qシャトル種牡馬の話をここまでしてきました、しかし実はシャトルではなく、完全にオーストラリアに移籍して現地で種付けをおこなっている種牡馬もいますよね。この馬たちのことを少し教えてもらえますか?
ネオリアリズムとブレイブスマッシュなどがいますね。
ネオリアリズムは僕の厩舎から車で3時間くらいの牧場にいて、直接見に行ったんですが活躍しそうな馬体や雰囲気がありました。
ただ諸事情があり種付け頭数があまり集まらなかったようです。1歳セリ初年度で出ていましたが、繁殖のレベルが低い割には結構良さげな馬が多かったです。もう少しチャンスがあれば成功しそうだと思うのですが…。
ネオリアリズムはクイーンズランド州にいるんですよ。ニューサウスウェールズ州が日本で言う北海道のようなもので、最大の馬産地です。その次がビクトリア州、さらにその次がクイーンズランド州なんです。。良質な繁殖牝馬が少ないのはネックですよね。
もちろんクイーンズランド州産でG1馬も出ますが、やはりニューサウスウェールズ州などには劣るかなと言う印象です。
ブレイブスマッシュはビクトリア州に元々いて、今クイーンズランドに移動してきたんですが、結構1歳馬の頭数は多いです。全体的に良い馬はいるんですけど、サイズの小さい馬が多い印象があります。
小さいと走らないと言うことではありませんが、セリでオーストラリアは大きい馬の方が値上がりするので、細い馬や小さい馬は安い値段で取引されていました。
日本由来の血統馬を豪州で共有するには?
Q記事を読んでオーストラリアの日本由来の血統馬に出資、共有したいなと思った読者もいると思います。それを実現することは可能なのでしょうか?
うちで買ってください。(笑)
しかし、例えばオーストラリアの現地のシンジケート(オーナーズクラブ)にもモーリス産駒はいます。
リアルインパクトも昔は共有募集がありました。アローフィールドがシャトル種牡馬の受け入れ先で、大きな牧場なので基本的に頭数は集まります。
そのおかげで産駒数が多いので当然、シンジケートから共有募集されることも多いです。現地のシンジケート会社から購入も可能ですし、ライジングサンシンジケートさんやうちみたいに日本語対応のところもあります。
Q英語に自信がない人だと日本語対応はありがたいですよね?
そうですね。あと一口の文化とだいぶ違うので、びっくりすることがあると思います。
僕やライジングサンシンジケートさんはその辺は理解していると言うか日本のオーナーさんの文化はよくわかっていますから、そこをうまくミックスして提供できるかなと思います。
現地シンジケートだと、買ったらその後、レースまで連絡がないとか。
急に「馬が売れたので、売っちゃいました」とお金だけ渡されるとか、そういうところもあります。全てではありませんが。
連絡が少なくても当たり前みたいな文化もありますから、少し面食らう可能性があるので注意が必要ですね。
最近は競争が激しくてサービスが向上しているシンジケートも多いようですけどね。
Qシャトル種牡馬については、日本で一口馬主クラブで出資することも可能だと思います。あえてオーストラリアで共有するメリットはどんなものがあるとお考えですか?
やっぱり血統的に「日本でこんな価格じゃ絶対出ないでしょ!」という馬がこちらは結構出ます。シャトル種牡馬の種付け料は日本の種付け料より安いことが多いです。
母親が重賞馬とか兄弟馬が活躍馬とかだと話は別ですが、うちの厩舎所属で共有馬主を募集していたバハムートも母父リダウツチョイスの良血ですが、総額5500ドル(約50万円)くらいで購入した馬でした。
値段に対してクオリティが高い馬が買えるかなという気がします。
Q総額50万円は日本じゃあり得ないですよね?
そうですね、あり得ないと思います(笑)
あとはシンジケートをやる人が多いので、かなり安い馬でも共有馬主が募集されることが多くあります。また、調教師が自分で共有馬主を募ることができるのも日本との違いです。
いかがでしたか?今回の記事で少しでもオーストラリア競馬や海外馬主に興味を持つきっかけになってもらえたら嬉しいです。次回は一口わずか3万円で共有馬主を募集しているリアルスティール産駒についてお話を伺います。ぜひブックマークして次の投稿もチェックしてみてください!
記事を書いた人 ジェイ
登録者4000人超え&累計再生200万回超えの元一口馬主YouTuber。社会人1年目から一口馬主を始め、キャロット・シルク・ノルマン・ロード・DMMバヌーシーの5クラブに入会。地方個人共有とRSS や中條厩舎の豪州共有に加え北米MRHでマイクロシェアを行う。血統の配合相性を重視していて代表馬はロードヴァレンチ、リレーションハート等。
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