どうも、ジェイです。”海外馬主”と聞くと皆さんどのくらいの費用がかかると思いますか?もちろん1頭丸々所有するのはハードルが高いですが、最大40人でシェアを分け合う、”共有馬主”がオーストラリアでは盛んです。
私も先日オーストラリアの日本人調教師、中條さんのところの2歳牝馬シダーレーンの20(父リアルスティール)を共有しました。今回はオーストラリアで共有馬主をしたらどれくらい維持費がかかるのか?また、レースに勝った際の賞金はどれくらいもらえるのかをお伝えします。
初期費用はどれくらい?
海外・国内に限らず、馬を共有する際には、初期費用がかかります。これは口数に応じた馬代や保険料、登録料などです。
今回私が1口共有しているシダーレーンの20(父リアルスティール)の値段を見てみましょう。
40口募集
初期購入費(馬主登録費込)
2.5% $340 約31000円 ←私はコレです。
5% $680 約62500円
10% $1300 約120,000円
20% $2450 約225,000円
初期購入費に含まれているもの
馬費
NSW州ボーナス賞金BOBS&BOBS Extra
死亡•緊急手術保険(2023年4月13日迄)
ヘンドラ病予防接種(2回)
馴致費
虫下し投与費
参考:JAPANOZ共有案内資料 単位は豪ドル
どうですか?2.5%=1/40口で、これが1口約3万円です。
思っていたより安いのではないでしょうか?(実際この馬はかなり安い部類の馬ですが)
馬主登録料込みと表記されていますが、これはシェア割合に関係なく一律で$110のようです。馬主登録料は更新はなく、一度だけ支払うもののようですね。
10%以上のシェアを共有する場合は割引があるようです。オーナーズクラブではないため、入会金や月会費などはありません。
維持費はいくら?
↑豪州馬主入門に必読の一冊です。
月々の維持費は
○調教時
10%=3.8万円 5%=1.6万円 2.5%=8000円
○レース出走期間
10%=4.6万円 5%=2.3万円 2.5%=1.15万円
○休養時
10%=1.3万円 5%=6500円 2.5%=3250円
いかがでしょうか?
サンデーや社台、G1などの日本の40口の一口馬主と比べても、維持費は安いのではないでしょうか?
若干注意が必要なのは、日本の一部のクラブと比べるとオーストラリアは入厩(在厩調教)している期間が長い傾向にあることです。オーストラリアでは、競馬を使いながら馬を仕上げていく形が一般的だからです。入厩後の1・2戦は叩きと割り切って、適性より短い距離を使うこともあります。
日本のキャロットクラブやシルクホースクラブなどのノーザン系クラブのように1、2戦使ってすぐに放牧ということは少なく、滞在で4、5戦するのは当たり前の世界です。入厩している期間は想定より長いかもしれません。
また、デビュー前も違いがあります。日本では育成牧場などでレースを使える状態まで仕上げて、ゲート試験やデビュー直前に入厩するのが一般的だと思います。
一方オーストラリアでは早い段階で、入厩し調教→成長を促す放牧→入厩し調教と交互に繰り返していきデビュー戦を迎えることが多く、デビュー前の在厩期間は長くなることが多いです。
賞金分配は?
賞金授与は
①競馬開催団体から厩舎の口座を経由して各馬主の口座への直接振り込み
②厩舎でプールして維持費に充填
の2パターンがあります。
日本の銀行口座しか持っていなくても、オーストラリアで馬主になる事は問題ありません。私も現地口座は持っておらず、国内の銀行口座を登録しています。
但し賞金の振り込みの際に国際送金に一回約$30 の手数料が引かれます。(2022 年 1 月時点)
共有馬が獲得した賞金の約 83.5%が馬主に分与されます。その中から所有%にもとづいて各
馬主へ分与されるので、私の場合は2.5%が自身の獲得賞金となります。
また重賞またはリステッドレース、カントリー競馬のカップレースを勝利すると賞金に加えてトロフィーが授与されます。トロフィーは、くじ引きでどの馬主が受け取るかが決まるそうです。
また、先の話だと思いますが、引退後に繁殖や乗用馬として売却、又は現役中に妥当な金額で買取りの誘いがあり売却された際は、売却にかかる費用と売却額の 1 0%のコミッション費を差引いた金額を所有%に基づいて分配されるそうです。
参考:JAPANOZ共有案内資料
オーストラリア競馬の賞金は?
おそらく皆さんが一番気になっているであろう話題、オーストラリア競馬の賞金についてです。オーストラリアはG1レースが日本とは比べ物にならないほど多く、高額賞金レースも多いです。
そういった華やかな面がある一方、シビアな一面もあります。日本のように出走手当等の手当ては充実していないため、レースで着を拾えないと出走しても賞金を加算できないことがあるのです。
日本の地方馬主のように「着外でも月2走すれば出走手当で預託料はペイできる」ということはオーストラリアではありません。
オーストラリアは競馬のレベルに合わせて
・カントリー
・プロヴィンシャル
・メトロ
の3つに分かれています。(厳密にはカントリーのさらに下にピクニックがあります)
中條師曰く「カントリーとプロヴィンシャルの差は埋まり始めている」ということで、カントリーの中でもメトロの競馬場が近いエリアなど、レベルの高いエリアがあります。中條師が厩舎を構えるバラナ競馬場はハイレベルなカントリーの競馬場だそうです。
参考に中條厩舎の共有案内の一部を抜粋させていただきます。
当厩舎は QLD 州にも近いので、遠征へ行く事もしばしばあります。QLD 州のレースの種類は大きく分けてメトロポリタン、プロビンシャル、カントリーと分かれております。
○メトロポリタン(※ブリスベン開催)は、水曜日の開催では総賞金$35000(1着賞金$19800 2 着 $6400、3 着 $3200、4 着 $1900、5 着 $1200、6ー10 着 $500)、土曜日開催(主に有力馬の出走レースが組まれます)は総賞金$75000(1着賞金$42700、2 着 $14350、3着 $7350、4 着 $3500、5 着 $2100、6ー10 着 $1000) となります。
○プロビンシャル開催は、総賞金$24000(1着賞金$13400、2 着 $4100、3 着 $2300、4 着$10750、5 着 $775、6ー10 着 $470)
○カントリー開催は総賞金$17000(1 着賞金$9450、2 着$3100、3 着 $1650、4 着 $800、5 着 $500、6ー10 着 $300)です。
その他にシドニーで行われる NSW 州のカントリー地域に属する馬だけが出走出来るレース (総賞金$120,000)や、メトロポリタン開催で勝ったことのない馬が出走出来るレースなど、 様々な形のレース体系となっております。
NSW州カントリーのチャンピオンを決めるレースは毎年4月ロイヤルランドウィック競馬場で行われ、総賞金は$500,000と高額です。当廐舎からも毎年2月の予選に出走馬を送っています。予選の総賞金は$150,000です。
出走手当は NSW 州のレースへ出走し、10 着以内に入れずに賞金が獲得出来ない場合は $200 から$300 まで支給されます。レースによって支給金額が変わります。
今のところ QLD 州のレースで は出走手当はありませんが、最近 QLD 州の賞金が増加されましたので、 近々出走手当も発生する可能性もあります。
抜粋:JAPANOZ共有案内資料
中條師に先日お話を伺ったところ、現在オーストラリアでは競馬の賞金増額が盛んに行われているため、この時の資料よりももう少し、賞金は高くなっているそうです。また今後についても、賞金増額は期待できるということでした。(ただ、残念ながらセリの馬代金も上がっています。)
まとめ
いかがだったでしょうか?着順にはシビアになる必要があるオーストラリア競馬ですが、維持費などの負担を考えると日本の一口馬主より優れている部分もありそうです。
そして何より、”イメージよりお金がかからない”ことをわかっていただければ何よりです。厳しい勝負の世界ですから儲かるかは、また別問題ですが(笑)
日本の40口クラブはあくまでも”一口馬主”です。オーストラリアの場合は同じ2.5%でも”共有馬主”となりますので、馬主席に入ったり、パドックに入ったりと馬主としての行為ができるのは海外馬主の特権かもしれませんね。
短距離が盛んなオーストラリアで中長距離馬を共有すれば、楽勝に活躍できるか?と言われると、そんなに甘いものではありません。
弊サイトに掲載中のRSSさんでの共有体験の記事をお読みいただければ、その難しさがお分かりいただけるかと思います。
今回縁があって共有させていたいだシダーレーンの20(父リアルスティール)には、当時のセントロイドの借りを返すような大活躍で豪州にリアルスティールの名を轟かせることを期待したいと思います。
記事を書いた人 ジェイ
登録者4000人超え&累計再生200万回超えの元一口馬主YouTuber。社会人1年目から一口馬主を始め、キャロット・シルク・ノルマン・ロード・DMMバヌーシーの5クラブに入会。地方個人共有とRSS や中條厩舎の豪州共有に加え北米MRHでマイクロシェアを行う。血統の配合相性を重視していて代表馬はロードヴァレンチ、リレーションハート等。
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