オーストラリアのケアンズで活躍されている安部将之ジョッキーになぜオーストラリアで騎手になったのか?日本と豪州競馬の違いはあるのか?など気になる質問を投げかけてみました。
ぜひ最後までご覧ください!
安部将之ジョッキーとは?
ジェイ:本日はオーストラリアでご活躍されている安部将之ジョッキーにお越しいただきました、よろしくお願いいたします。まずは簡単に自己紹介をお願いできますか?
安部騎手:はい、大阪府出身で今年41歳になりました。デビューが2003年でしたから、オーストラリアで騎手をはじめてから20年目くらいになりました。
現在はケアンズを拠点に騎乗しています、クイーンズランド州の北部ですね。
日本から直行便があり、6〜7時間くらいなので日本との距離は近く感じます。
今年の6月ごろから羽田から直行便が出るそうで、さらに日本との交通の便はよくなると思います。
日本人も多く競馬も盛んです。この地区からもしっかりG1馬も出ていますし、ケアンズはとても気に入っていますよ。
ジェイ:ケアンズは海が綺麗なイメージもありますね。ところで、豪州騎手はかなり長距離を陸路移動して騎乗するという話を以前伺ったことがあるのですが、安部騎手は大体どのくらいの圏内で活動をされているのでしょうか?
安部騎手:はい、ケアンズからだいたい4時間範囲内、往復8時間くらいのプロヴィンシャルやカントリーの競馬場には、日帰りでいきますね。
自分で車運転することももちろんありますし、調教師に乗せていってもらうこともあります。調教師に乗せてもらえるとラッキーって感じですね。
特に夜の帰り道など、自分で運転は結構しんどいので(笑)
ちなみに、ジェイさんと親交のあるRSS代表で元ジョッキーの川上さんは直線面識はありません。
川上さんの来られたちょっと後くらいに、僕はこちらに来たんじゃないですかね?
割と日本人騎手の中でも、僕も川上さんも初期の部類だと思います。
今もオーストラリアに残っている人は、残念ながらもうほとんどいないんですけどね。
ジェイ:なんと、それはなぜなのでしょうか?
安部騎手:当時は日本人向けの競馬学校が3〜4校あったので、日本人が多かったんです。これがなくなってしまったので新しい人は今はほぼ来ないですね。
私もこの競馬学校の卒業生です。川上さんとは違う学校ですけどね。
オーストラリアを選んだ理由
ジェイ:なるほど、川上さんも以前お話を伺った時競馬学校があったから渡豪したとおっしゃられていた記憶があります。安部さんは現在オーストラリアでジョッキーとして活動されていますが、日本ではなくオーストラリアを選んだ理由は何かあるのでしょうか?
安部騎手:僕は競馬を知ったのが、一般的なジョッキー志望の人たちより遅くて、高校2年生くらいだったんです。
きっかけは、競馬ゲーム(=ウイニングポスト)にハマって知りました。
これが結構流行っていたんですよ。
身体が小さいし、動物も好きだしなれるかなと考えました。
性格的にサラリーマンにはなれないなと思っていたので、とりあえず地元の乗馬クラブに行き始めて乗馬をやっていましたね。
その後、試験を受けたのですが体重を減らすのがきつくて…。
43kgリミットまで落としましたが、体力がかなり落ちてしまっていて、体力試験で力を発揮できず落ちてしまいました。
ギャロップなどの雑誌で豪州の競馬学校のことが載っていて、高校卒業後にいこうと思っていたのですが、親に反対されて一度は北海道の牧場に就職しました。
生産・育成などに携わっていたのですが、2年ほど経ってもやはり騎手の仕事を諦めきれず、両親を説得し豪州の競馬学校へ行くことを決めました。
ジョッキーの苦悩
ジェイ:なるほど、ジョッキーになりたいという強い思いで海を渡られたんですね。日本から単身・異国の地に渡られて、大変だったことなどはあるのでしょうか?
安部騎手:1番は体重ですね。
実は言葉の面は、そこまで壁を感じませんでした。
というのも、中高の時から英語の成績がよくて、北海道の牧場で働いていた時はオーストラリアやニュージーランド人が多かったんです。
今はインド系の従業員が多いようですが、当時はオーストラリアやニュージーランドでした。
辞書片手にその人たちと仲良く話していたので、オーストラリアに来てもそんなに苦労はしませんでしたね。
それよりやっぱり体重の方がしんどいんですよ、僕は骨太なんだと思います。
だから落馬は何度もしましたが、大きな骨折はないんです。
丈夫な代わりに骨が太いので、減量がしんどいんですよね。
若い時はサウナに入っていたのですが、今は半身浴をしたりして、すぐに3〜4kgくらいは落として規定体重をクリアできるよう調整しています。
日本と豪州競馬の違い
ジェイ:なるほど、言葉の壁より、体重の壁だったワケですね。これは日本で騎手になっていてもぶち当たった壁だったかもしれませんね。オーストラリア競馬に接して、日本競馬との違いをもっとも感じる部分はどんなところですか?
安部騎手:こっちに来た直後はそうでもなかったんですが、この20年で女性ジョッキー、女性厩務員がめちゃくちゃ増えてきていて、これが日本とは全然違いますね。
競馬場のお客さんもオーストラリアは女性が多いし、競馬に関わる女性が本当に多いです。デビューするジョッキーは若手だと7割〜8割が女性って感じですね。
日本に帰ると牧場とかトレセンで乗せてもらったりするんですが、おじさんばっかりですからね(笑)
ジェイ:リーディングに女性騎手もいますもんね?オーストラリアだと。
安部騎手:そうですね、特にカントリーやプロヴィンシャルだと本当に女性が多いです。
レースによっては女性5−6人に男1人で乗るとかもありますからね。
ジョッキーズルームは、昔は女性の部屋が狭くて男性の部屋が広かったんですが、最近改築する時は男女同じくらいの部屋の広さになっています。
馬の文化がこっちには強くあるから、女性が小さい時の乗馬をやってその流れで競馬に入ってくるみたいですね。
すでに女性ジョッキーが多いこともあるのか、抵抗なく入ってきている印象があります。
日本は乗馬をやっていてもそこで終わることが多くて、競馬に入ってくる人は少ない気がしますよね。
ジェイ:徐々に日本も女性騎手が増えてきていますが、今後オーストラリアのようにもっと競馬界で女性が活躍するようになるのでしょうか?
安部騎手:今年も新人で2人女性が増えると聞きましたし、どんどん増える流れになっていくといいと思いますよね、日本も。
藤田騎手など女性騎手が活躍すると、それに憧れて女性でジョッキーを志す人も増えるのではないでしょうか?
今後の目標=日本で勝利!?
ジェイ:そうですよね。話題変わりまして、安部騎手は今後も豪州で活躍されることと思いますが、ジョッキーとして馬に騎乗する中で今後の目標は何かありますか?
安部騎手:やっぱり自己ベストを更新し続けたいというのはありますよね。
大きいところで勝つのは現実的に難しいと思っています。
メトロで乗ることはかれこれ10年以上ありません。
場所が離れているというのもありますが、メトロ地域にいても自分が乗鞍をもらえないと意味がないので、乗れる場所で自己ベストの勝利数を更新していくというのが目標ですね。
一昨年は勝利数自己ベストで、去年は少し減ってしまったのですが、今年も今のところいいペースで勝てています。
”去年より今年”そして”今年より来年”と勝ち鞍を増やしていきたいなと思います。
また、大きな目標といえば日本の地方で短期免許で騎乗できたらと思います。
実は2013年に大井で3ヶ月乗ったんですよ。
その後にルールができて海外で乗っている日本人ジョッキーは通算250勝していないと地方で乗れないということになりました。
頑張って250勝して、また日本の地方で乗りたいなと思いますね。
ジェイ:なるほど、それはぜひ応援に行きたいです。今の勝利数はどのくらいなんですか?
今通算で200手前くらいなんです。
今のペースならあと3年くらいでいけるかなと思っています。
前大井に行った時は残念ながら勝つことはできませんでした。
次は日本で勝利を挙げたいなと思っています。
日本の地方競馬も盛り上がってきているし、そこで勝てたら嬉しいなと思いますね。
あとこれは余談ですが、南関東の競馬場間の移動が、日本はタクシーだったり、勝負服も競馬場のスタッフが洗ってくれたりして至れり尽くせりでいいなーと思いましたね(笑)
なんだこのスタッフたちは!?と思いましたからね。洗濯してもらっていいのか!?と(笑)オーストラリアだと当然、帰ってきて自分で家で洗濯しますからね。
ジェイ:なるほど、日本の騎手たちは色々恵まれているワケですね(笑)とても興味深いお話ばかりでした。本日はお忙しい中お時間を取っていただきありがとうございました。安部騎手には次回、活躍する馬の特徴について伺っていきたいと思います。続編もお楽しみに。
現役地方&海外馬主・競馬ライター
登録者5000人超え&累計再生250万回超えの一口馬主YouTuber。豪州競馬会員制コミュニティJJ Racing Club 共同代表。社会人1年目から一口馬主を始め、キャロット・シルク・ノルマン・ロード・DMMバヌーシーの5クラブに入会。地方個人共有とRSS や中條厩舎の豪州共有に加え北米MRHでマイクロシェアを行う。血統スタッツや馬体・歩様を重視していて代表馬はトゥルーフェアリー、ロードヴァレンチ、ミスティックロア等。
—最近の私––
Bluetoothでスマホと接続可能なスピーカー。重低音がとても強調されるので洋楽やアップテンポな曲が好きな私のお気に入り。防水機能つきなのでお風呂に持ち込んで音楽を聴きながら本を読むのが毎日の楽しみ。
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