【一口馬主コラム】300kg台の馬に出資したら…?馬体重と勝ち上がり率の関係を徹底分析 byジェイ

どうも、ジェイです。今回は勝ち上がり率と馬体重の関係性についての分析と 一口馬主で出資をする際に馬体重の軽い馬に出資をしたらどうなったのか? そして募集時に馬体重が軽い馬との向き合い方を考えるコラム記事を書いていこうと思います。



馬体重と勝ち上がり率

キャロットシルクなど抽選が熾烈な一口馬主クラブでも、馬体重が300㎏台の馬は1次募集で満口にならない馬も少なくなかったと思います。

一般的に馬体重が軽い馬は不人気な傾向があると思いますが、データ上勝ち上がり率などの活躍指標と馬体重の相関関係はあるのでしょうか?

まず、出走時の馬体重ベースで考えるとおおよそ460㎏~470㎏が中央値になっています。

平均勝ち上がり率は、基本的に「馬体重が重くなるほど」比例して高くなっていきます。530㎏を超えると傾向が変わり、勝ち上がり率は右肩下がりに転換しますが、おおむね勝ち上がり率が最も高いゾーンは490㎏~530㎏あたりとなっています。

どうですか?想像より重いのではないでしょうか?

ちなみに、この辺りの馬体重の馬に限ると勝ち上がり率は40-45%程度、全体平均の33%よりかなり良い数字です。

ダート馬は特に馬体が大きい馬のほうが有利といわれます。全体の勝ち上がり率だけでデータを出すことになるため、芝のみに限るとまた違った結果になると思いますが、これがデータの現実です。ちなみに生涯獲得賞金データの推移も、ほぼ勝ち上がり率と連動する形になっています。

大型馬は

・仕上がりが遅い

・故障リスクが高い

などといった理由で敬遠される方もいると思います。確かにそのようなリスクが高くなるのは事実だと思います。

しかし勝ち上がり率も獲得賞金も、現状大型馬のほうが有利な結果となっています。

先日、私の出資馬ロードヴァレンチが出走し勝利した2勝クラスのダート1800mのレースでは、460㎏のロードヴァレンチが出走馬16頭中最も軽い馬体重でした。出走馬の半数である8頭は、500㎏越えの馬でした。

ダートレースというのはもちろんありますが、上級レースほど馬体の大きい馬が多い気がしますよね。



なぜ大型馬は有利なのか?

人間のアスリートに関しても、ジョッキーや体操選手などの特殊なスポーツを除けば、基本的には大型の選手が有利だと思います。

バスケットボールやバレーボールなど身長が直結するスポーツは言うまでもありません。他方で陸上競技の短距離走や野球など、身長が直結しないスポーツでも一流選手は平均身長に比べて圧倒的に大きいことが多いと思います。

これは、スポーツ科学的な観点で考えると大型の選手のほうが筋出力が大きくなりやすいことに起因するものです。

筋出力=筋断面積×筋の長さ×速筋・遅筋の割合 

で決まるといわれています。

この計算式を見ると、サイズの大きい人(馬)のほうが筋の長さが長くなりますから、同じ筋断面積でも、出力面で有利なことがわかると思います。

一方、スポーツ選手も競争馬も、ステイヤーも短距離も、両方走れる人(馬)が少ないのは、速筋・遅筋の割合が決まっているためだといわれます。

ステイヤータイプの遅筋の割合が多い人(馬)です。その分速筋の割合が少なくなってしまいます。

これが基本的にはどちらも勝つ人(馬)が出てこない理由です。

一部例外的な人(馬)は

①筋断面積や筋の長さで割合の係数の少なさをカバーするパターン

②神経伝達、実際に生み出した筋出力を最高効率でパフォーマンスできるパターン

この2パターンのどちらかに当てはまるのではないか?といわれています。

速筋・遅筋の割合は遺伝子分析である程度解析が可能といわれていますが、一口馬主の募集時やセリ会場で事前にその情報を入手することは難しいです。

また、神経伝達についても歩き方などで見極めるのですが、これも1歳馬の時点で見極めるのは非常に難しいと思います。しかし、筋の長さは尺を見れば一発で分かります。

見極めが難しい要素の中に1つ、丸裸になっている要素があるのであれば、その要素はせめて有利な馬を選びたいと筆者は考えています。

とはいえ、大型馬は価格が高くなりやすく人気の兼ね合いなどもあり、結局サイズの大きくない馬に出資することもままあるんですけどね。

馬体重が軽い馬に出資した場合の3ケース

さて、ここからは、馬体重が軽くても出資をした私の馬がその後どうなっているのか?レポートしていこうと思います。現時点で全馬現役馬かつ、2歳馬ですから、まだまだこれからの馬たちだということをご承知おきの上で見ていただければと思います。

「募集時に馬体が小さくても、その後成長するから大丈夫だろう」と思っている人は、心して読んでください。(笑)



ウィズアットダンス

ノルマンディーOCのマツリダゴッホ産駒の牝馬。2020年2月23日生まれ。

1歳の21年10月時点で417㎏だった。

血統と歩様の伸びで出資を決断、馬体重が軽いのは懸念ではあったが、440㎏くらいまで成長してくれればと見込んでいた。

しかし、馬体重は増えず、22年3月にノルマンディーファーム小野町に移動した直後は403㎏と、募集時よりも減ってしまっていた。

22年5月の入厩直前には423㎏まで増えたが、

同年6月18日の函館の2歳新馬戦では392㎏で出走。

人気薄ながら4着に入り、続戦するも次戦は10着に沈む。

この時馬体重は398㎏とまたしても馬体重は400㎏を切っていた。

この馬は小柄な牝馬であったために仕上がりが早く、ノルマンディー2歳馬世代の中で最速のデビューを飾ることができたが、やはり馬体サイズには悩まされ続けている。

2戦した後は放牧に出て成長を促しているがなかなかサイズアップできていないのが実情。直近の10月の外厩での更新によると馬体重は395kgとのこと、馬体重を気にして調教のペースをセーブせざるを得ない状況になっており、サイズの弊害は残念ながら出てしまっている。

もう小さいなりに戦うしかないかもしれない。幸い300kg台でも初戦は好走しているため、馬体が増えなくても見込みがないことはないと思う。まずは勝ち上がりを決めてもらいたい。

マリンノート

キャロットクラブのルーラーシップ産駒の牝馬で100口募集の地方馬。

新規入会時に出資した馬。2022年4月18日生まれ。

募集時の馬体重は378kgで管囲は18.3cmとかなりサイズの小さい馬だった。

全体的なサイズの小ささはダートを走る地方馬ではかなり気になったものの、新規入会のため+馬体は語るなどの著者である治郎丸氏も誉めていた『小さいなりに馬体のバランスは良く見えたこと』が決め手となった。

遅生まれの馬でもあったので今後成長して430kgくらいまでになってくれれば、地方でルーラーシップ産駒は上位種牡馬だしある程度戦えるのではないか?と考えていた。

実際この馬に関してはちょうど執筆時点で能力試験を受け、いよいよデビュー戦に向けて準備を進めている。

同期の地方共有馬リレーションハートは既に門別で勝利していて、何戦もしていることを考えるとスロースタートではあるが、この馬なりにノーザンでじっくりと育成されてきて力がついていると信じたい。

22年(2歳)4月までは380kg〜400kgをいったりきたりするような馬体重だったが、早い組ではないものの順調に坂路で乗り込むことができていて、育成進んでいた。

22年(2歳)6月には坂路で15秒台のペースで調教を積みながらついに420kgに到達。その後も乗り込み続け、翌月にはついに427kgと出資時から50kg近くの増量に成功した。

この馬が素晴しかったのは放牧によって増量したことではなく、乗り込みながら馬体を増やしていったこと。

22年(2歳)8月からはノーザン・社台系御用達の認定厩舎、ミッドウェイFに入り調整を続けている。

所属は川崎競馬場、内田勝義厩舎と執筆時点で川崎競馬でリーディング2位の名門厩舎に所属が決まり、期待が高まっている。

この馬は遅生まれだったので、募集時点ではまだ他の馬により成長が遅れていたのかもしれない。

募集時の人気を覆す走りを期待したい。

シラーヴァイン

キャロットクラブのキズナ産駒の牝馬、新規入会時に出資した馬。2022年3月17日生まれ。

21年8月時点で管囲は20㎝あったが、馬体重は370㎏だった。

2歳の22年10月時点現時点で未デビュー、北海道の育成場から移動もかなっておらず、未入厩となっている。

21年11月末の更新で初めて400㎏台に到達するも、成長を促すなどの理由から強い調教は行われていない期間が長く続いている。

22年3月には再び374㎏と370㎏台に戻ってしまい、20~18秒ペースで続けてきた坂路調教も22年5月からはストップした。

その後放牧やトレッドミルなどでの調整を続け、22年8月に再び騎乗運動を再開している。体重が軽いことで調教ペースを上げられなかったり、調教を3か月ほどストップさせたりと、この馬は馬体重の軽さによる弊害が育成段階でかなり出ていると思う。

食も細いタイプらしく、SSクロスがきついためか気性面も難しいところがあるようで、ノーザンファームとしてはかなり遅い組になってしまうと思うが執筆時点でも北海道での育成が続けられている。

スピード調教はまだできておらず、デビュー目途を検討できる段階にはまだないと思う。



馬体重が軽い馬との向き合い方

モデルケースを3例見ていただいただけでも、ひとえに「募集時に小さかった馬」と言ってもその後は様々であることがお分かりいただけたかと思います。

まだ3頭とも現役の2歳馬のため現時点で答えを出すのは早計ではありますが、サイズが小さいので調教を緩める、成長を促すために放牧を挟む、など馬体サイズがしっかりある馬には不必要であっただろうコマンドが局面局面で入ってきてしまいます。

小さい馬の方が仕上がりが早いというメリットがあったり、脚への負担が小さいなどのメリットは確かにあります。一方でデータ的に勝ち上がり率は小さい馬は厳しい数字が出ている現実もありますし、小さいゆえの育成の難しさはやはりあると、肌で感じています。

その上で血統的魅力や厩舎、歩様などから馬体重が軽い、小さい馬に惹かれることはあると思います。そんなときに出チェックするべき項目2点を筆者なりにまとめてみました。

①馬体が小さくても戦える馬か?

⇨父産駒の傾向、母自身の馬体重や兄妹馬の馬体重などを参照

②馬体が小さい理由は?

⇨遅生まれなのか?兄弟馬の成長曲線は?

①に関しては、まだ勝ち上がっていませんがウィズアットダンスがこのパターンです。

大きくならなそうなのは薄々わかっていましたが、ゴッホ産駒で走る馬の特徴の内ヨロがしっかり張っているかが大事で、それがこの馬にはあるから小さくても大丈夫だろうという考えと、おそらくダート馬になることはないから、大丈夫だろうという考えです。

一般的に芝の方がダートよりも馬体重が軽くても活躍できる傾向にあります。その馬はゴリゴリのダート血統の馬なのか?芝血統の馬なのか?で対応は大きく変わってくると思います。

また、メロディーレーンのように馬体重が極端に軽くても活躍する馬はいます。兄妹は皆馬体重が軽くても走っている、など特別な背景がある場合は、必要以上に割引をしなくてもいい場合があると思います。

②に関しては、例えば今DMMバヌーシーで募集されているメジロツボネの21(父ハーツクライ)がいい例です。

募集時の馬体重が小さく、僕は様子見をしていますが半兄のグローリーヴェイズ(父ディープインパクト)も募集時のサイズが小さく、その後大きくなり460kg台で出走するようなサイズになりました。

兄と同じ成長曲線を描くだろう、と自分なりに仮説が立てられて、それにかけるだけのベネフィットがあると考えるのであれば、それは出資するべき案件だと思います。

また、今回のケースで言うと、マリンノートは結果論ですが4月下旬生まれの遅生まれが小さい理由だった可能性が高いと思います。馬体が小さくても遅生まれだとその後成長する見込みは早生まれの馬よりあると思いますから、そこに賭けるのも1つの戦略だと思います。抽選が厳しいクラブでも馬体重が軽い馬は人気しないので。



いかがだったでしょうか?今回は馬体重と勝ち上がり率の関係というテーマで執筆してみました。学生時代に勉強していた運動生理学の知見や自らの出資経験をもとに書いてみましたが、2歳馬は何度も言いますがまだまだ3頭ともこれからですから、終わってみたらみんな活躍した、というオチになって、この文章を加筆訂正することになる日が来ることを望んで、結びとさせていただきます。

また次の記事でお会いしましょう。


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記事を書いた人 ジェイ

登録者4000人超え&累計再生200万回超えの元一口馬主YouTuber。社会人1年目から一口馬主を始め、キャロット・シルク・ノルマン・ロード・DMMバヌーシーの5クラブに入会。地方個人共有とRSS や中條厩舎の豪州共有に加え北米MRHでマイクロシェアを行う。血統の配合相性を重視していて代表馬はロードヴァレンチ、リレーションハート等。

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