どうも、ジェイです。今回はご縁がありオーストラリア・ニューサウスウェールズ州で現役調教師として活躍する中條調教師にインタビューさせていただきました。
まずはなぜオーストラリアで開業することになったのか?日本とオーストラリア競馬の違いはあるのか?などを伺っていきます。
聞き手:ジェイ(豪州共有馬主)
中條厩舎とは?
Q現在、オーストラリアのニューサウスウェールズ州のバラナにて、厩舎を開業されているとお聞きします。この場所で開業すると決めた理由はなにがあったんでしょうか?
元々は今のバラナに近いカバリタビーチ開業していました。カバリタビーチの時は競馬場まで馬運車で30分ほどかかり、毎回持っていって追い切っていたが、移動が大変でした。
そのため今はバラナに厩舎を移転しています。ここは競馬場が隣接しているため、すぐ隣で追い切ることができるようになりました。普段の調教も、今は競馬場でやっています。
Q競馬場で調教ですか。日本だと坂路調教が多いですよね。アメリカだと競馬場のコースで調教すると聞きますが、オーストラリアはコース調教が多めですか?
そうですね。バラナは残念ながら、坂路はないです。あったらいいなと思うんですけど(笑)
なのでうちはコース調教主体になります。あとはトレッドミルを導入して、傾斜をつけて負荷をかける厩舎もあります。
うちは残念ながらまだトレッドミルは金銭的な事情で導入できていません。新品だと機械だけで1台1000万円以上しますから…。
そもそもオーストラリアは坂がある競馬場が限られています。(注)バララット競馬場のように自然に坂があった競馬場はあって、坂路調教ができる競馬場もありますが。基本的にオーストラリアは競馬場でのコース調教は多いです。
(注)バララット競馬場:丘を利用した坂路がある。ジェイのRSSの共有馬ホーリーシールの20はバララット競馬場の厩舎に預託されている。
↑RSS川上代表の著書。海外馬主入門に必読の一冊です。
なぜオーストラリアに?
Q16歳から異国の地へ渡ったそうですね。大きな決断だと思いますが、当時はなぜオーストラリアに行こうと決めたのでしょうか?
元々日本にいた時に競馬に興味があって、最初はジョッキーになりたいと思っていました。日本の競馬学校を受けようと思っていましたが、体重制限的に厳しくて…。
悩んでいた時に日本の競馬雑誌に、昔あったオーストラリアの競馬学校の広告があって、それをみて決断しました。
昔は3校ほど日本人向けの競馬学校がオーストラリアにはありました。元騎手の(注2)川上さんとは違う学校でした。笑
(注2)川上氏:現在RSS(ライジングサンシンジケート)というオーナーズクラブの代表
Q当時はジョッキーになろうと思ってきたんですか?
馬に乗る仕事をしたいと思っていたんですが、こっちにきたら競馬だけじゃなくて乗馬や他のスポーツをホームステイ先で知りました。
そこからジョッキーではなく馬術選手を目指す方向に変わりました。
競馬も好きだったので、攻め馬手もバイトでしていました。朝乗って、それが終わってから馬術のトレーニングをするみたいな生活を続けていました。
Q調教師になろうとなったのはどのタイミングだったんですか?
馬術と競馬は違うのですが、馬術の技術を競馬に取り入れたらもっと馬が良くなるんじゃないか?と思っていたんです。
競争馬がもっとフォームよく走れるんじゃないか?と。
馬術選手として一区切りをつけた後に、良いタイミングかと思って調教師の勉強を始めました。元々競馬は好きでしたから、いつかシフトチェンジしようかなと思っていました。
馬術では世界トップにはなれないと、壁も感じていましたしね。そんなこんなあり、2016年3月に厩舎を開業しました。
Q現在調教師として活躍される中條先生、管理馬はどれくらいいるのでしょうか?
25頭前後ですね。オーストラリアは現役馬のトレードが盛んなので活躍しないとすぐ売られてしまったり、転厩が多いです。数は結構激しく入れ替わります。
代表馬は、6勝してくれているジャックスプラットという馬がいます。オーナーから仔馬の時から預かってくれと言われてずっとみてきた馬です。
今年の2月にバラナカップという、地元のカントリー競馬場で一番大きなレースでは惜しくもハナ差で2着でした。
シドニーのビッグダンスという地元のカップレース1、2着馬しか出られないレースがあります。総賞金1億円のレースなのですが、バラナカップの好走により出走権を獲得していますので、今出走を目指しています。
中條厩舎の”強み”は?
Qなるほど、出走が叶い、シドニーで活躍できるといいですね!ズバリ、中條厩舎のストロングポイントはなんでしょう?
オーストラリアにもう20年以上いるので、オーストラリアのホースマンとして培ったスキルと経験は活かせます。また馬術出身なので他の調教師さんとは違った見方ができると思います。
また馬主さんとのコミュニケーションを頻繁に取ることを重視しています。オーナーさんがダイレクトに調教師の僕に直接質問があったら連絡が取れるように、できるだけ話しやすそうにしています(笑)
日本だとそういうことは一口やられている方は直接調教師と話すことはないみたいですからね。
Q確かに、一口馬主の時はクラブの更新を見るだけで、調教師さんは雲の上の存在のように感じますね?
以前日本から馬主さんが遊びに来てくれた時に、日本人ジョッキー2人を連れてご飯に行ったことあります。その方は「こんなの日本ではあり得ない」と驚いていましたよ。
日本とオーストラリアは物理的距離があるので、距離を感じさせないようなコミュニケーションを意識しています。まるで日本で馬を持っているような感覚を作れたらと思って、日々のレポートを作成しています。
Q素晴らしいですね。中條厩舎、今後の目標は何かありますか?
まずはオーストラリアの重賞を勝つことが目標です。
大きな目標はやはり管理馬で日本へ遠征して日本のG1に出走すると言うのが大きな目標ですね。それが最大の夢でありそれを目指して開業しました。
だからうちの厩舎は日本ゆかりの血糖が集まっています。オーストラリアでしっかり走れて日本の競馬でも対応できるには、日本の血統が入っていた方がチャンスがあると思って集めています。
Q日本由来の血統馬はすごく多いなと思っていました、謎が解けました笑
ちゃんとビジネスとして開業している厩舎の多くは大きな調教師の下で助手をやってオーナーと関係を作ってサポートしてもらって開業というのがが多いです。
でもうちは馬術から来てコネクションがないため最初は6歳未出走の馬1頭からスタートでした。貧乏調教師です。(笑)
最初はすごく苦労しました、6ヶ月くらい全く勝てなかったです。その後ディープ産駒としてリアルインパクトがアローフィールドにシャトル種牡馬としてきました。
こういう馬の産駒を厩舎に持ちたいと思っていましたが当時は高嶺の花でした。まさか今こんなに厩舎にリアルインパクト産駒が溢れるとは思わなかったですけどね。笑
番外編・豪州観光でのおすすめは?
Q実は私も大学時代、オーストラリア南部のアデレードで短期留学をしていて、オーストラリアへは個人的にシンパシーを感じています。最後にオーストラリアに行ってみようかなという読者の方に、こっちに来たらぜひここに行ってほしい、これを食べてみてほしいみたいなものがあればオススメいただきたいです!
一番知られていないオーストラリアの名産品は、コーヒーです。コーヒー栽培が盛んで、コーヒー屋さんが多いのでとてもクオリティが高いです。
スターバックスが一時期大量に出店していましたがその多くがオーストラリアから撤退するくらいなんですよ。
僕は地元のチェーン店のZarraffa’s Coffeeというお店がお気に入りです。コーヒーのドライブスルーもあったりして結構人気があります。
いかがでしたか?今回の記事で少しでもオーストラリア競馬や海外馬主に興味を持つきっかけになってもらえたら嬉しいです。次回はオーストラリアで活躍する日本の種牡馬についてお話を伺います。ぜひブックマークして次の投稿もチェックしてみてください!
記事を書いた人 ジェイ
登録者4000人超え&累計再生200万回超えの元一口馬主YouTuber。社会人1年目から一口馬主を始め、キャロット・シルク・ノルマン・ロード・DMMバヌーシーの5クラブに入会。地方個人共有とRSS や中條厩舎の豪州共有に加え北米MRHでマイクロシェアを行う。血統の配合相性を重視していて代表馬はロードヴァレンチ、リレーションハート等。
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