【種牡馬分析】ゴールドシップの特徴を血統から読み解く byM石土井

京都サラブレッドなどで一口馬主を楽しんでいる、M石土井です。
私はゴールドシップ産駒が大好きで、日夜研究に明け暮れています。
今回はジェイさんから依頼を受け、ゴールドシップ産駒について分析する記事を投稿していきます。
ぜひ最後までお読みください!

白い悪魔 ゴールドシップ

競馬ファンなら一度は聞いたことがある名馬、ゴールドシップ。
皆さんはどのような印象をお持ちでしょうか?
・ウマ娘?
・120億事件?
・変顔?
色んな顔を持つゴールドシップですが、意外と血統について語られることが少ない馬です。

そこで、今回はゴールドシップの血統について、深い奥深さや面白さを解説していきます。

できるだけ平たい文章になることを目標としますので、血統について初心者の方にも楽しんでいただける内容になるかと思います。

そもそも血統とは?

〜Thoroughbredという言葉〜

日本で競馬に使われるウマの品種名(サラブレッド:Thoroughbred)とは、thorough [ 完璧な、徹底的な ] + bred [ 品種 ]という語源から来ています。

語弊を恐れず簡単に説明すると、1791年に優れた競走馬や繁殖馬を記したジェネラルスタッドブックという血統書(家系図)が作成され、馬の血統を管理するという概念が構築されていきます。

そして「サラブレッドとは、少なくとも8代連続でサラブレッドと掛け合わされたウマ」と定義されました。(語弊がありますが)

(ジャージー規定とかパート1国とかアラブ種やトロッター種とか、競馬の血統の歴史や種類にはもっと色々あるんですが、それぞれ1項目で本が1冊描けてしまうような話なのでここでは触れません。ぜひご自身で調べてみてください。)

そのため、現在世界中でサラブレッドとして走っている馬たちは

すべての馬に血統書があり

■(少なくとも8代前までの)祖先が全て判明している馬

ということになります。

祖先がわかれば能力の方向がわかる

馬の世界はとてもシビアです。
現在、日本では毎年7000頭前後のサラブレッドが生産されています。
その内、牡馬は3500頭とした場合、種牡馬入りできるのは何頭だと思いますか?

正解は 約30~40頭 (約1%) です。


種牡馬入りするような馬はほぼ全てがG1級のレースを制しており、その中でも一部の有力馬に集中するため、種牡馬として生涯を全うできるのは更にごく一部のみです。

逆説的に言えば、血統表に残っている馬は、競走成績か繁殖成績が優秀であり、子孫を大量に残していることを示します。

例えば…
ディープインパクトは芝の中長距離で活躍し、その子供たちも主に芝の中長距離で活躍しています。

このように、後世に名が残るような馬は強い特徴を持っており、「ディープインパクトの子供」という情報だけで「芝の中長距離で活躍しそう」という推測が成り立ちます。

血統表を見ながらこれを繰り返すことで、能力の方向性が見えていきます。

コントレイルの血統を例に上げると

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↑コントレイルの5代血統表

「父がディープインパクトだから芝の中長距離向きだろう」
 ▶芝1800~3000mで11戦8勝

「母父がアンブライドルズソングだから仕上がりが早いだろう」
 ▶2歳で3戦3勝、2歳GⅠを勝利

「母母父にティズナウがおり、ファピアノのインブリードがあるからスピードに優れるだろう」
 ▶東スポ2歳Sを始めとする驚異的なレースパフォーマンス

「一方でタフネススタミナを補強する血統が少ない
 ▶不良馬場の大阪杯で3着、3000mの菊花賞では勝ったもののクビ差の接戦


このように、血統表に出てくるような馬は様々な特徴を持っており、その特徴がどれだけの強度で発現しているかを読み解くことで、全世界のどんな馬でも、ある程度能力の方向性の目星をつけることができるようになるのです。

つまり、血統表とは競馬界の共通言語です。

もちろん、血統表を読み解くには「ディープインパクトの子供は芝適正に優れ、中長距離で強い」という情報を知っていないとわかりません。

これから血統に触れていきたいという方は、英語の単語を覚えるのと同じようにと同じように「ディープインパクト 意味:芝中長距離」という単語とその意味を覚えていきましょう!



ゴールドシップの血統

さて、やっと本題です。

血統を紐解く

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↑ゴールドシップ5代血統表

ゴールドシップの血統を紐解いていきます。

父:ステイゴールド
サンデーサイレンスの直子らしく芝適正を高く受け継ぎ、ディクタスからスタミナと狂気を引き継ぎました。
また、長期休養を挟まず海外を転戦しながら50戦をこなすような頑強さと成長力はノーザンテーストの影響でしょう。

母父:メジロマックイーン
パーソロンを祖とする日本を代表するサイアーライン。
パーソロン自身はスピード型の種牡馬であり、豊富なスピードとメジロの重厚な血統、そして執念により産まれたのが最強ステイヤーのメジロマックイーン。
3000m級の菊花賞と天皇賞春を押し切る最強のスタミナと、2000mの天皇賞秋(1位入線18着降着)や大阪杯(当時GⅡ)を千切って勝つスピードを兼ね備えた「完成されたサラブレッド」でした。

しかし、圧倒的なスタミナを基にした高速巡航というスタイルは、近年でこそタイトルホルダーが活躍しているように再興していますが、当時吹き荒れていた瞬発力&高速化のサンデー旋風と非常に相性が悪く、種牡馬としては結果を残せませんでした。

母母父:プルラリズム
自身は余り活躍馬を出せませんでしたが、父のザミンストレルはイギリスダービー馬。
母父のロベルトもイギリスダービーを勝っており、日本向きのスピードを兼ね備えつつも、本質は重厚でパワフルな血を多く含んでいます。
また2歳からでも走れる早熟性も持っています。

母母母父:トライバルチーフ
日本で大流行していたプリンスリーギフト系。
トウショウボーイ〜サクラバクシンオーのラインを見てわかるように、21世紀にも通用する圧倒的なスピードが代名詞で、トライバルチーフはその中でも早熟性を強く持った馬でした。

これをもとにゴールドシップを紐解くと、

  • 芝適性と狂気を持ち、スタミナを武器に、
  • 頑強さと成長力に富み、長く活躍し、
  • 重厚でパワフルな馬場に強く、
  • 2歳戦でも活躍できる早熟性と芝中距離で通用するスピードを持つ。

このようになります。

概ねゴールドシップのイメージ通りになっているのではないでしょうか?

もちろんこれはゴールドシップの完成形を知った上で書いていますし、全兄弟でも全く違う方向性を示すことはザラによくあります。

しかし、多くの馬たち、”特に活躍馬”は血統構成通りの方向性を示します。

血統を知ることで
「このレースで買える馬はなにか」
「この馬は完成したらどのような馬になるか」
などが見えてきます。

ゴールドシップの血統の注目点


ゴールドシップの血統はかなり特徴的です。

もう少し詳細に見ていきましょう。

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↑ステイゴールドの5代血統表

父ステイゴールド
父系のサンデーサイレンスは日本の大本流ですが、ヘイロー以外はかなりのマイナー血統で構成されています。
牝系は現代ではほぼ廃れたスタミナ血統のファイントップを持ち、ノーザンテーストプリンスリーギフトは日本で大流行したものの、世界的にはこちらもほぼ断絶したマイナー血統になります。

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↑ポイントフラッグの5代血統表

母ポイントフラッグ
メジロマックイーンを含むヘロド系(バイアリーターク系)は崖っぷちに立たされています。
全世界合わせても両手で足りる程度の種牡馬しか残っておらず、商業ベースに乗っている種牡馬は片手で余ります。
マイナーどころか系統全体で断絶の危機です。

プルラリズム・トライバルチーフ・ラークスパー・ライジングフレーム
いずれも過去に日本で流行した系統ではありますが、すでに直径ラインはほぼ途絶えています。現代ではマイナーまたは傍流です。

このように、ゴールドシップはマイナー血統で構成されています。

一時期「ゴールドシップはアウトブリードが良い」という俗説が流行しましたが、そもそも「マイナー血統が多いのでインブリードしにくい」だけであったというオチがありました。



まとめ

マイナー血統ということは血統表を見ただけでわかる要素が少なくなりますし、主流から反するということは繁殖牝馬の選出にも困るということです。

実際、第1世代~第2世代までは非常にバリエーションに富んだ血統を持っている産駒がいました。

しかし、第3世代、第4世代に描けては生産者も特徴をつかんできているようで、特に岡田一族関係の生産馬は狙いすましたような産駒が増えています。

では、次回の記事ではマイナー血統のゴールドシップに合う血統に付いて解説していきます。

ゲストライター:M石土井

Twitter⇨@keiba_mishid01

一口馬主を京都サラブレッド、YGG、広尾、DMM、ノルマンディーなどで楽しんでいる、ゴルシ産駒研究者。noteにてゴルシ産駒に関わる内容を投稿している。血統分析に重きを置くスタイルで、代表出資馬はドライスタウトやグランベルナデット。ゴールドシップ産駒ではオルノアやブルーローズシップなどに出資している。

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