今回はオーストラリアで馬主をしている私が、コックスプレート2024予想記事を投稿していきます。
今回はプログノーシス出走により日本国内でも馬券発売があります。
レース概要
レースが行われるムーニーバレー競馬場はオーストラリアビクトリア州、メルボルンにあるメトロ(日本でいうところの中央に相当)競馬場です。
上記の航空写真を見たらわかるように長方形のようなコースで、4辺がコーナーで非常にタイトです。
日本にはない特徴的なコースになります。
しかも、最後の直線は170mほどしかなく、日本の競馬場の最後の直線と比べると短い競馬場と比べても半分ほどで、コーナーを回りながら加速する器用さが求められる舞台です。
4角出口では前目のポジションに上げておく必要があり、4角の前の下り坂からスパートが始まるような印象です。
コーナー角が急なので、コーナーには7.5度のバンクがついています。
コースは1周1805mで京都競馬場の内回りコース(1782.8m)に近いと言われています。コックスプレートはゲートから最初のコーナーまで200mほどしかないため、真ん中〜内枠有利と言えそうです。
オーストラリアはこのコース設定に限らず、コーナーが多い小回りコースが多くスタートから最初のコーナーまでの距離が短い舞台が多いため、外枠不利なコースが多いのも特徴です。
豪州馬主だと、不利な外枠に出走馬が入ってしまった場合は陣営がスクラッチ(回避)を判断することも多く、自分の馬の出走予定が日本より流動的になることや、有力視していたライバル馬がスクラッチとなると小さくガッツポーズをしたり、なんてこともあります。
日本と違い、スクラッチが一般的に行われますからね。
ちなみにムーニーバレー競馬場の全体の高低差は約5mとなっており中山競馬場と同じくらいです。
スタンド側(ゴールポスト側)が高くなっており向こう正面が低くなっているので、コックスプレートではコーナーを出てすぐの約1600m地点までは下り。その先はゴールまで上るか平坦となります。
過去10年の勝ち馬を見ると前走ローテではターンブルステークス組が3勝と最多。馬券内率も高く豪州国内馬はまずここを重視して考えるのが良さそうです。
また、牝馬は出走サンプルが少ないものの馬券内率は牡馬より優秀。
この二つの条件を満たすヴィアシスティーナは要チェックですね。
過去レース結果
2023年
香港の遠征馬で先行したロマンチックウォリアーが勝利しました。
4角前に手を動かし、前目で勝負していった馬たちがそのまま馬券内に。イン前の傾向が強く後ろから競馬をする馬には厳しいレースに見えました。
2022年
4番手追走のアナモーが勝利。
ただ、2~3着には後ろからの馬が差し脚を伸ばしてきており、後ろからでも勝負になるレースだったと思います。
2021年
この年は頭数が少ないです、今年も頭数が少ないのでどちらかというとこの年に状況は似ているかもしれません。道中6番手に控えたステートオブレストが4角手前でインをつきあがっていき、4角出口では先頭に。ステートオブレストをぴったりマークし、インをついて上がっていくステートオブレストについていったアナモーが僅差の2着でした。
このレースだけ見ると後ろからでも勝負になる印象になります。
プログノーシスの勝算は?
日本では高低差が大きい競馬場が少なく、スピード勝負になる舞台の方が得意なので、高低差が少ないこの舞台は力を発揮しやすいと言えると思います。
また、相手関係的にも無双状態だったウィンクスや香港の超強豪馬の遠征もないため、現地オッズで1番人気に支持されるなど、高い評価を受けています。
日本馬では2019年に遠征したリスグラシューが勝利をしています。
前回開催の2023年は香港からの遠征馬ロマンチックウォリアーが制した他、2021年はアイルランドのステートオブレストが勝利するなど、海外勢の活躍も目立っています。
やはり豪州は短距離馬が馬産の中心となるので、現地馬の中でも2020年勝ち馬のサードラゴネットのように欧州から豪州に移籍した馬が勝利しているケースもあり、海外の中距離実績馬を高く評価するのは定石だと言えそうです。
また、プログノーシスはQE2世Cで去年の覇者ロマンチックウォリアーのクビ差2着に来ており、洋芝適性を示しただけでなく能力的にもここで足りることを示しています。
こういったことを踏まえるとプログノーシスの勝算は高そうですが懸念点はプログノーシスのコーナーリング適性と、脚質です。
ここまでタイトなコーナーを回ることは日本ではないため、この特殊なコースに対応できるのか?という点がまずあります。
香港のシャティン競馬場とここは大きく異なる点です。
さらにプログノーシスは末脚特化型で後方待機の馬なので、うまく前を捌けるか、そしてなによりギアが上がる前に直線が終わってしまう可能性があります。
リスグラシューが勝利したときは後方待機から4角外ぶん回しで捲り気味に上がっていき、前を行く馬をとらえるとんでもないパフォーマンスを発揮しましたが、あれはやや特殊だったと思っています。
当時の鞍上・Dレーン騎手もコーナーリングは上手くいかなかったけど馬の力だけで勝ち切った的なコメントを残していましたね。
年によって傾向が違い、差しが決まるときもあればインの先行勢が有利な年もあるので何とも言えないところですが、基本的に小回りのオーストラリアでは中団より前目のポジションが有利になることが多いです。
当日前残りの馬場になっていた場合は、リスグラシューのように自力でねじ伏せる競馬をするか、今回は中団より前で競馬する(仕掛けを早くして4角で前目につける)ことがプログノーシス勝利の鍵になると思います。後は最終的に出走頭数がどの程度になるかも重要です。
頭数が少なければ、チャンスですね。
あとはオーストラリアは日本より競馬場の水捌けが良くないので、不良馬場になるとかなりパワーが必要になってしまいます。なるべく降雨がなく軽いスピード馬場になるといいですよね。
注目海外馬評価
プライドオブジェニ
昨年度豪州年度代表馬のプライドオブジェニからまずは取り上げます。
昨シーズンはマイルG1を2勝、2000mの中距離G1を1勝。さらに超高額賞金レースオールスターマイル(今後G1格付になることが内定)を勝利と素晴らしいパフォーマンスを見せています。
特に圧巻だったのは2000mの中距離G1レース、今年4月に行われたクイーンエリザベスSの大逃げ勝利。
ぜひ映像を見ていただきたい1戦で、タイトルにも「Incredible Win」と書かれています(笑)これは豪州競馬界隈でもかなり話題になっていましたね。
この時に大差をつけて勝利したのが、今回のレースでも人気となるであろうヴィアシスティーナや、実力馬ミスターブライトサイドで、中距離においてはこの馬が1枚抜けていると私は考えています。
さらに、最後の直線が短く前有利になる展開があるこのレースにおいて、逃げ馬である本馬は狙いやすい1頭ですし、過去にマイルレースとはいえムーニーバレー競馬場で好走した経験があることからも、きついコーナーへの対応力も一定あるのではないかと思います。
今シーズンでの出走を振り返ると1戦目のメムジーステークス(G1)は1400mと適正距離より短く、叩きの要素も強かったと想像できますし、2戦目のマカイビーディーヴァステークス(G1)はマイルレースで2着と取りこぼしていますがこれは不良馬場に苦しんだと想像できます。
前前走しっかりムーニーバレー競馬場で勝ち切っているのはストロングポイントですが、10/19に出走があり連闘で挑む形に。
状態的に力を発揮できるのか?という不安は残りますので当日パドックを要チェックです。ジャンプアウトも入念に使ってきているのでお釣りはどこまであるのでしょうか?
これまでの好走歴を考えると馬場は、稍重までくらいの方が良さそうです。
馬場があれてインの芝のダメージが大きく外差し馬場になっている、などの状況でなければ積極的に狙っていきたい1頭です。
余談ですがプライドオブドバイ産駒はセリでそこまで高くならない馬が多いのですが、このような活躍馬がしばしば出てくるコスパが優秀な種牡馬ですね。
ヴィアシスティーナ
複数出走予定の名門Cウォラー厩舎の中で、最も有力視されているのが本馬ではないでしょうか?
父Fastnet Rockは短距離系の種牡馬ですが、母父Garileoの影響もあってか、距離は持ちますね。
勝ち馬プライドオブジェニと差をつけられたもののクイーンエリザベスSで2着に入った他、前走も2000mのターンブルステークス(G1)を勝利しており、中距離適性はバッチリです。
本馬は元々、欧州所属馬で去年の英チャンピオンSではキングオブスティールの僅差の2着に来ていて、欧州中距離でも十分トップレベルで戦えていた馬でした。
こういった欧州からの実績馬が移籍してきた場合、馬産が短距離に偏っているオーストラリアの中距離レースで無双するケースがあります。
とはいえ本馬は休み明けでランドウィック1400mのウィンクスステークス(G1)も勝利しており、短めの距離でも戦えているので、中距離適性だけでなく馬の絶対能力が高いのだろうと思います。
最終追い切りで落馬があり、馬場を走り回っていましたが、その後検査をしたところ問題はなかったようです。
最終追い切りが消化不良?走り過ぎ?になった影響がどこまであるのか…というところですが、ひとまず現時点では出走する方向のようです。
牝馬×前走ターンブルステークス勝ち馬とデータ的には買い要素満載です。
ミスターブライトサイド
去年のロマンチックウォリアーが勝利したコックスプレートの2着馬です。
またプライドオブジェニが勝利したクイーンエリザベスSで3着に入ったのも、このミスターブライトサイド。
プライドオブジェニが勝利した高額賞金レース、オールスターマイルでも2馬身差の2着に入っており、力関係的にプライドオブジェニには及ばない気もしますが、相手なりにしっかり走っており着樹を安定して拾えているところは評価できると思いますし、何よりこの舞台で結果をすでに出しているので、コース適性も疑う余地がありません。
去年のロマンチックウォリアーが勝利したレースでの着差は0.1秒差ですから、勝ちに等しい競馬だったと思います。
去年のコックスプレート以降、G1レースやG1級のレースのみを使って10戦し、馬券外は1度だけ。
先行力もあり、安定感がある馬なので軸馬にはぴったりな1頭だと言えそうです。
どのような馬場でも活躍していますが、どちらかというと良馬場のスピード勝負よりは馬場が重い時の方が結果が良いですので、馬場が渋ったら評価を上げたい1頭ですね。
ブロードサイディング
ファーストリーディングサイアーに輝いたトゥーダーンホット産駒です。
今年4月からリステッド〜G1レースを5連勝と一気にスターホースへと突き進んだ1頭。
前走コーフィールドギニー(G1)で久々の4着敗戦も着差は0.2秒差と僅差でした。
まだそこを見せていない若馬で、魅力あふれる1頭ですが、懸念点は中距離レースは初だということですね。
勝ち鞍はすべて1400mか1600mで2000mレースへの出走は初。
距離延長に対応できるのかが鍵になりそうな1頭です。
馬場は不問で、重い馬場でも軽い馬場でも結果を出していますね。
前走は4着に敗れていますが、ペースが遅く前の馬が止まらない展開。逃げ馬が勝ち、後方外差しの本馬には向かないレースだったと思いますし、力負けではないと思います。
ドックランズ
前走英インターナショナルSは7着に沈んだものの、上位勢は軽い斤量の馬が独占しており61kg斤量の中では僅差の3番手となっており、決して評価を必要以上に下げる必要はないと思われるレースぶりでした。スタートで後手を踏んでしまった影響もあり、ここがスムーズなら着順は違ったと思います。
その前にはクイーンアンステークス(アスコット、芝マイル直線)で2着に入っており、直線レースとは言えアスコットのマイルで勝負できるスタミナがあれば、豪州で2000mは持つのではないかと考えました。
戦績的には重賞未勝利馬ですし軽視されると思いますが、紐荒れを狙うならこういった馬を入れてみても面白いかもしれません。
告知
ジェイが馬の見方を勉強する過程で、大変お世話になったオーストラリアのNSW州の中條大輝調教師と、馬の見方についてや 競馬について勉強していく会員制コミュニティ「JJ Racing Club」をDMMオンラインサロンさんにて運営中です。
今年1月にはサロンメンバーの皆様と共にセリに参加し、モアナというニックネームの素晴らしいタガロア産駒の牝馬をわずか350万円ほどで落札できました。
オーストラリアでは日本のような馬主資格がなくとも正式な馬主になれますので、日本で馬主資格を持っていない方も共有馬主になっていただくことができます。
モアナは1/40口が約11万円、月の維持費は放牧中が月4000円程度。
入厩中が月1.2万円程度となっています。
サロンでは中條調教師や獣医師のOz氏、サララボライターでもあるエムイシ氏のディープなコラムを毎週配信している他、オーストラリアンで開催されるセリに上場される注目馬ついても配信中です。
さらに、毎月中條調教師やジェイとサロンの皆様との相互交流会をオンラインで行っています。
直接調教師に質問をぶつけられる他、レース回顧で調教師やジョッキーの心理について勉強するなど大変会員の皆様の満足度が高く評判が良い交流会となっています。
オーストラリア 競馬をベースに学んでいきますが日本の 競馬にも活かせる部分はあると思います、ぜひお気軽にご参加ください。
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