
今回はJRA馬券発売のあるムーランドロンシャン賞について海外馬主であるジェイが予想していきます。
9月7日(日)21時〜はYouTubeで同時視聴配信も行いますので、ぜひ遊びに来てくださいね。
レース概要
ムーランドロンシャン賞(G1)
2025年9月7日 (日) 22:50[現地時間 2025年9月7日 (日) 15:50]
フランス パリロンシャン競馬場
芝右1600m 3歳以上
負担重量:4歳以上=牡・セン馬 58.5kg、牝馬 57kg 3歳=牡・セン馬 56kg、牝馬 54.5㎏
賞金総額:80万ユーロ(約1億3200万円)
1着賞金:45万7120ユーロ(約7542万4800円)
日本でのJRA馬券発売:有
日本での中継視聴方法:グリーンチャンネルWEBで無料放送有 22時〜25時
傾向と分析
過去傾向を見ると地元フランス馬が優勢のレースで直近5年を見るとフランス馬が3勝、イギリス馬が2勝となっています。日本馬の勝利歴はありません。
過去10年ではフランス6勝、イギリス2勝アイルランド1勝。馬券内率はイギリス馬の方が優秀なので、甲乙つけがたいところです。アイルランド馬は頭数が少ないですが馬券内率は一番優秀で要チェックですね。
過去10年の勝ち時計を見ると1分36秒での決着が多く、馬場が渋ると1分38秒前後、年によっては40秒かかる年もありますが基本的にはこの舞台ですし馬場状態が良ければある程度の持ち時計が必要な舞台となりそうです。
日本馬では2003年の挑戦が最後。その際のローエングリンの2着が最高着順です。
枠による極端な有利不利はありませんが、若干内枠有利と言えそうです。
ヨーロッパのレースでは牝馬優勢なG1レースも多いです。このレースの勝率や馬券内率を過去10年で比較すると牝馬の方が勝率や連対率は高いものの馬券内率全体で見るとそこまで大きな差は見られませんでした。
オッズ的には30倍以上の馬が過去10年で馬券内に来たことはなく、大荒れへの期待感は低そうですね。
前走ローテではジャックルマロワ賞組がダントツで、10年で3勝、2着馬は7頭と圧倒的な数字です。
まずはジャックルマロワ賞組から考えるのが良さそうですね。
ついでロートシルト賞、サセックスS組などが優秀と言えそうです。
レースはパリロンシャン競馬場の外回り芝1600m。上り坂の頂上の少し手前の発走となることが特徴で、スタート直後から上り坂となり初動のパワーが求められます。
最初のコーナーまで400mほどで、その後は下り坂となるためペースが速くなりやすいです。
勝負は「偽りの直線」と称されるフォルスストレートと最後の533mの直線で決まる。序盤に大きな高低差があるため、スピード、パワーはもちろんのですが欧州的なスタミナも求められるトリッキーで難しいコースです。舞台適性がある馬は重視したいですね。
一方パリロンシャン競馬場は荒天が続き重馬場となると非常に時計がかかりタフな馬場になりますが、パンパンの良馬場の際にはスピードが求められる舞台になるため、今年はどんな馬場になるか見極めて予想する必要がありそうです。
今年の夏パリロンシャン競馬場は馬場状態が悪化しがちだったフォルスストレート区間の改修工事を行なっており、その影響がどこまで出るのかも個人的には注目ポイントです。
週中に降雨があったようですが、週末にかけての天気予報では執筆時点で確認した限り雨予報はなく、そこまで馬場は悪化しない想定で予想してみようと思います。
過去2年のレース
2024年
縦長の展開から、楽に逃げたトリバリストが後続に差をつけて勝利。
中継の天気はいいですが馬場は重で1分38秒台の決着と時計も遅め。タフな競馬となりました。
1番人気のチャリンも追い上げましたが2着まで。前目が有利な印象を受けるレースでした。
2023年
逃げた1番人気のビッグロックが2着。勝ち馬のソーテルヌは2番手追走から直線で逃げるビッグロックを捉えての勝利と連対したのは1〜2番手の馬。やはり前に行ける馬が強いレースですかね。稍重馬場で1分37秒台決着でした。
予想の方向性
そこまで馬場が悪化しない方向で予想するためパリロンシャン競馬場実績がある馬、基準タイムに届いている馬、ジャックルマロワ賞好走組かつ、ポジションを前目に取れる馬を中心に組み立てていくのがベターかなと思います。
注目は同舞台実績があるアンリマティスでしょうか。馬券内率が最も高いアイルランド馬で前走サセックスS3着馬とロザリオンに迫っている他、パリロンシャン1600mの仏2000ギニー(G1)をコースレコードで勝利している点も心強いです。BCジュヴェナイルターフでの勝利歴もあり、スピード馬場はもってこいの1頭でしょう。
サセックスSやクイーンアンSで2着に入っているロザリオンも注目です。馬券内率の高いイギリス馬で直線競馬での戦績も持っておりスピード勝負にも対応できそうです。
この他、圧倒的な戦績を誇るジャックルマロワ賞組のローテからの上位馬ダンシングジェミナイにも注目です。ザライオンインウィンターも同レースから出走しますが、着順や内容を考えるとダンシングジェミナイを上位に取るのが無難かなと思います。他にも前走クイーンアンSでは7着に沈みましたがその前のロッキンジSでマイルG1を制しているリードアーティストなど、今年はイギリス馬に有力馬が多いような印象を受けますね。
日本馬のゴートゥファーストは日本での実績はもう一歩というところですが、前走のジャックルマロワ賞はいいパフォーマンスを見せて着差の少ない5着に入りました。ルーラーシップ産駒ですし少しタフな海外の芝が合っているのかもしれません、パリロンシャンは前走と違いアップダウンが大きいためここに対応できるかが鍵。楽なレースにはならないと思いますがどこまでできるか注目です。
印
◎アンリマティス
○ダンシングジェミナイ
▲リードアーティスト
△ロザリオン
☆クドワー
注目馬解説
◎アンリマティス
レコードを記録した仏2000ギニー勝ち馬のアンリマティスが人気を集めているがここは逆らいにくいと思います。
レースを見ると、前目の馬たちが粘る中、インベタ中団後方からすごい脚を使って上がってきて、2頭のおい比べを制して勝利しているのがわかります。
これはパリロンシャン競馬場の芝1600mで行われており、オープンストレッチの使用有無という細かい違いはありますがほぼ今回の同じコース設定で、このレースを勝利しているというのは非常に大きなアドバンテージというか、評価すべきポイントだと思います。
さらに、この時の斤量は58kgで良馬場とはいえ1分33秒台という高速度計で勝利しています。
ムーランドロンシャン賞で3歳馬である本馬が背負うのは56kgとこの時より2kg軽い斤量です。
馬場が渋った時どうなるかわからない部分がありますが、良馬場で時計が出るレースになるのであれば、本馬のスピード能力は例年の勝ち時計を凌駕しており、今回のレースでぶっちぎる可能性まであると思います。
去年勝利したBCジュヴェナイルターフでは、道中外外を回りながら最後の直線では大外から先行馬をぶっこ抜く強いレースで勝利。コーナー区間が多いコースでありながら距離ロスをもろともせず勝利する強さを見せつけました。
後ろから行くタイプの馬なので前が開かないなどの不利がある可能性や、そもそも超前有利のトラックバイアスなどがあれば取りこぼす可能性もあるとは思いますが、非常に有力な1頭だと思います。
3歳馬の馬券内率も優秀ですし、楽しみな1頭だと思います。
○ダンシングジェミナイ
このレースで最も馬券内率が高いローテであるジャックルマロワ賞組から、0.1秒差と僅差の3着に入ったダンシングジェミナイを2番手評価とさせていただきます。
本馬は3走前のロッキンジSでも僅差の2着に入っており、時計が早いマイルレースで好走する傾向があり今回の舞台的にも合致しそうです。惨敗しているクイーンアンSはアスコットでのレースで、ここは時計がかかり非常にタフでアップダウンも激しい競馬場ですから求められる適性も違います。
良馬場のマイルで1分41秒台決着ですからね、普通のフラットコースであれば不良馬場のようなタイムです。
また、ジャックルマロワ賞では直線競馬で前に出ることができており、空気抵抗がありながらの3着残しです。これは評価できる内容だと思いますし、先行力があるのはこの舞台でも活きそうだなと思いました。
実績も十分ですし脚質的にも合う。非常に有力な1頭だと思います。
▲リードアーティスト
ロザリオンとどちらを上位にするか迷いましたがおそらく日本プールでそこまで人気にならないと思うので思い切って妙味も考慮しリードアーティストを3番手評価とさせていただきました。
この馬を評価できるのは2走前のロッキンジSです。
このレースは芝1600mの直線レースで、時計も1分35秒台と早めの決着なのですが、このレースを先行し押し切って勝利しています。
この時最後追い比べとなっていて、2着に抑え込んだのが対抗評価としているダンシングジェミナイ。
ダンシングジェミナイがその後ジャックルマロワ賞で3着に構想していることを考えれば、単純計算ではありますがこの馬もジャックルマロワ賞の馬券内級と考えることができるのではないでしょうか?
そう考えて、10倍以上のオッズがつくのであればぜひ狙ってみたいと私は思いました。
前走クイーンアンSでの敗戦が馬柱上気になるかもしれませんが、これはアスコット競馬場でのレースで求められる適性も違いますし、そこまで気にしなくていいのではないかと思います。
本馬はバーレーンでも好走歴があり、タフな馬場より時計勝負の方が得意なタイプなのではないかと思います。そのため当日馬場が渋っていたら評価をロザリオンと入れ替えようと思いますが良馬場であれば勝負してみようと思います。
△ロザリオン
時計が速い競馬場でも、時計がかかるアスコットでも好走できる万能型で総合能力が高いタイプの馬ですね。
近5走で勝利したのは1回のみですが着差を勝ち馬から0.5秒以上離されたことがなく、勝ちきれないものの相手なりにしっかり走ってくるタイプという印象です。
ハイレベルメンバーが揃うサセックスSでも4番手追走から僅差の2着に入っておりその能力の高さを示しています。
なによりこれまでの馬圏内への安定感は魅力的ですし、前走のシティオブヨークSでは馬柱的には4着なので悪く見えますが着差は0.1秒と超僅差なので大きく負けていません。このレースは良馬場の1400mのレースでここで好走できたことでスピード能力も示していています。
少し馬場が渋ったとしてもこの馬は対応できると思いますし、あらゆるケースでも3着以内への期待感の高いタイプだと思います。
☆クドワー
穴馬があまり来ないレースではあるのですが、穴馬で現状面白そうかなと思うのはこのクドワーです。
近2走の勝利歴が重馬場なので良馬場のスピード勝負はどうかな?と思いつつ、パリロンシャン芝1600mの勝利がある他(リステッドレース・重馬場でタイムは平凡)惨敗しているのは毎回アスコット競馬場でフランスの競馬場ではちゃんと走れているところを評価しました。
また、この馬は逃げ脚質の馬で前に行く先行力があります。この前のジャックルマロワ賞もそうですが、逃げ馬が気持ちよく逃げた時にそのまま残ってしまうケースがあり、このレースがそもそもここ2年前残り傾向が強いためトラックバイアスと楽逃げが相まって残ってしまうパターンがあるのではないかと予想しました。
また、去年のジャックルマロワ賞ではチャリンの0.5秒差の5着に入っており、実力は一定ある馬だと思います。会心の逃げに期待したいです。

現役地方&海外馬主・競馬ライター
登録者5000人超え&累計再生250万回超えの一口馬主YouTuber。豪州競馬会員制コミュニティJJ Racing Club 共同代表。社会人1年目から一口馬主を始め、キャロット・シルク・ノルマン・ロード・DMMバヌーシーの5クラブに入会。地方個人共有とRSS や中條厩舎の豪州共有に加え北米MRHでマイクロシェアを行う。血統スタッツや馬体・歩様を重視していて代表馬はトゥルーフェアリー、ロードヴァレンチ、ミスティックロア等。
—最近の私––
Bluetoothでスマホと接続可能なスピーカー。重低音がとても強調されるので洋楽やアップテンポな曲が好きな私のお気に入り。防水機能つきなのでお風呂に持ち込んで音楽を聴きながら本を読むのが毎日の楽しみ。
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