今回はJJ Racing Clubでオーストラリアの競りに挑戦し、タガロア産駒の素晴らしい牝馬を落札できましたのでその馬についてお話ししたいと思います。
よろしくお願いします。
コミュニティメンバーとともにセリ参加
今回は私が去年、NSW州の中條調教師とともに立ち上げたJJ Racing Clubを代表して、オーストラリアでトップレベルかつ、最も早い時期に開催されるマジックミリオンズゴールドコーストイヤリングセールに、中條調教師とともに参加してきました。
このセリは、コミュニティメンバーの皆さまとカタログチェックの段階から共に検討を重ね、下見の情報なども適宜メンバーの皆様とシェアし、会員の皆様に主体的にセリに参加していただくというもので、おそらく業界初めての試みでした。
セリ参加を決めた際には今回初めての試みなので、会員の皆様に“セリとはこういうものだ”ということをご理解いただく勉強も兼ねて、落札できなくても仕方がないなというテンションだったのですが結果的には、複数の会員さんからカタログチェックの時点から目をつけていただいていて、是非下見してきてほしいというオーダーを受け下見を行い、現地で私や中條調教師、そして下見情報でメンバーの皆さまも満場一致レベルで気に入っていたLot1165タガロア産駒の牝馬を3.5万ドルというお破格の値段でJAPANOZと合同で落札できました。
これだけ安いと「レポに問題があるのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、もともと獣医チェックが厳しい香港で従事していた獣医師にみていただき、多くの候補馬が脱落する中で生き残った、数少ないクリア馬の1頭です。
おそらく新種牡馬であった点と、現地で人気になりにくいステイヤー血統の馬であったことなどが、安価な落札の要因かと分析しています。
とはいえ本馬は馬体や歩様がよく、血統もいい馬だったので「さすがに予算内での落札は厳しいのではないか?」という話をセリ前日夜のリモート懇談会では話していたのですが、縁あってこの馬を落札することができました。
私ももちろん、現場でBitしたのでハンマーが落ちたのはとてもうれしかったですが、何より落札後にコミュニティメンバーの皆さんが喜んでくれているのを見て、このコミュニティを立ち上げてよかったなとしみじみ思いました。
中條調教師も喜んでくれて、毎年こういったことが続けていけたらいいなと早くも思った次第です。
さて、前置きが長くなりましたが今回はせっかくですので我々が落札したLot1165タガロア産駒の牝馬について、どんな馬かをお伝えしていこうと思います。
血統
このカタログページを見ていただければ多くを語る必要はないかもしれません。
そのくらい、誰が見てもいいと思う良血馬だと思います。
父はロードカナロア産駒のオーストラリア2歳戦のG1ブルーダイヤモンドSを制した新種牡馬タガロアです。
今年の2歳戦線で大爆発しているアラバマエクスプレスを擁するYulongが期待を寄せている新種牡馬で、Yulongはタガロア繋養後にダイアトニックの導入を決定。
さらにその後パンサラッサをシャトルでYulongに迎え入れたい考えも示していて、ロードカナロア後継種牡馬への期待の高さを感じます。
また、最初のタガロアがいい子を産んでいなければ、その後次々とロードカナロア後継種牡馬を導入することはないでしょうから、タガロア初年度産駒には期待せずにはいられません。
ちなみに本馬はYulong生産馬なので、自家生産馬になります。
その中でも、オーストラリアでトップクラスのセリである1月のマジックミリオンズゴールドコーストイヤリングセールに上場されているということは、Yulongの中でも評価の高いタガロア産駒だということなのでしょう。
本馬はBOOK2といって、このセールの中ではリーズナブルな馬たちがラインナップされやすい日に上場されていたのですが、この割り振りは牧場側ではなくセリ主催者側が決めているため、牧場側の評価の高さは間違いないと考えています。
母Galivantはヨーロッパの中距離レースで2勝。
リステッドのLingfield Oaks Trialに出走し4着だった実力馬です。
2代母ValdaraからはG1シドニーカップを制すなど160万ドルを稼いだ名馬The Offerを筆頭に、ブラックタイプ馬が多数いて3代母以降はページ内に収まらないほどの活躍ぶりです。
母産駒でレースに出走した5頭は全頭が勝ち上がっていて、トーセンスターダム産駒のNightsunはリステッド4着とブラックタイプ目前。
勝ち上がりについてはカントリー~メトロまで様々なレベルでの勝利が含まれるため、日本の中央勝ち上がりとは少し違うものにはなりますが、子出しが安定していて、ちゃんと子供たちがレースに使えているというのはとても心強いポイントです。
また、本馬の母父はあのヨーロッパの名種牡馬ガリレオ。
日本では重さが出てしまい、スピードが足りずに勝ちあぐねる産駒も多いですが、日本よりもタフなレースが多いオーストラリアでは素晴らしい活躍をおさめています。
本馬は母系を出す傾向にあるロードカナロア後継種牡馬が父になりますので、母父ガリレオが出てこれば、仮想ガリレオ産駒として楽しめるのではないか?という期待感が血統から持つことができます。
日本ではロードカナロアのニックスは母系にSS+Special牝系(ヌレサド)です。
この配合からはアーモンドアイ、サートゥルナーリア、レッドルゼルなどが日本でも活躍していました。
これをすべて5代血統表上に含み、サドラーを母系に入れることでさらに強化するような血統ですから、本馬への期待も膨らみます。
馬体・歩様
マジックミリオンズのHPから歩様動画を確認可能ですので、是非ご確認ください。
どうですか?一見ゴリっとした馬体に見えますが、目論見通りガリレオらしい柔らかさやヨーロッパ母系らしい脚の長さが伝わっていると思いませんか?
EVO代表で獣医師の上手先生はかつて、同じくキンカメ系の種牡馬レイデオロは募集時に脚長な体型で、ロードカナロアなどのキングカメハメハ系産駒は大きなストライドと強い筋力で走ると話していました。
そのため、キンカメ系種牡馬産駒は脚長でストライドが広そうな馬を選ぶと良いそうで、まさに本馬はこれに該当します。
歩かせてみるとキビキビしていて、背中には柔らかさがあり、踏み込みは力強く、重苦しさは感じません。
これだけの馬体を誇ると、重たかったり飛節がゆるゆるだったりするのですがこの馬はそこもしっかりしています。
やや後脚が外弧に見えるかと思いますが、体の軸線からはぶれていないので「問題なし」と現場で実馬を見て中條調教師他、他のプロの方々からもお墨付きをいただき、最終的に落札に動きました。
落札するまでサイズ測定はできないので、目測で「大きくて立派な馬だ」と思って見ていたのですが、落札後にサイズ測定をしてびっくりしました。
馬体重は測定器がセリ会場にないためまだ測定できていませんが、南半球の1歳1月時点で(日本換算すると1歳6月なので40口募集時期くらい?)体高は160cm以上あり、胸囲は188cm、管囲20.5cmと素晴らしいサイズを誇っています。
馬体も肩周り、胸の深さがしっかりとあり、トモも容量が大きく筋肉も発達していて、まだまだ血統的に良くなるとは思いますが、落札後に歩様を見ていただいた富澤騎手からも「これは使おうと思えば早めからでも使えそう」とコメントをいただくほど、現時点でも筋肉量があり完成度の高い馬体を誇っていると思います。
とはいえ、まだトモは幼さも感じますし、ロードカナロアは基本1~2歳時はトモが緩い子が多く、3~4歳から筋肉がガチっと締まってきてよくなる子が多い印象なので、まだまだ伸びしろがあると期待しています。
タガロアは2歳戦で活躍し3歳で引退し種牡馬入りしているので成長力は正直未知数ですが、父ロードカナロア、母父ハーツクライという血統で成長力がなく早熟だ、と結論付ける日本の競馬ファンの方はほぼいないのではないでしょうか?
母系がステイヤー系ですし、脚も長くしなやかな歩様をしているので、3歳牝馬中距離路線、大目標はオークスと据えて丁寧に育ててもらおうと思います。
おわりに
本馬はJJ Racing ClubとJAPANOZの共同落札馬になります。
シェアはまずJJ Racing Clubメンバーの皆さまに何パーセント持たれるか確認した後、残口があればJAPANOZにて共有馬主が募集される可能性があります。
本馬にご興味を持っていただいた方はぜひJAPANOZの募集馬情報をチェックしてください。
また、来年以降も同じマジックミリオンズゴールドコーストイヤリングセールにてJJ Racing ClubはJAPANOZと合同でセリに挑戦していく予定です。
ここから1年間この馬を通して馬の育成について学びながら、セリに関する情報や血統、現地種牡馬や活躍馬などの勉強をしていき、来年はさらにいいセリにメンバーの皆様としていけたらいいなと思っています。
この馬も、元々私や中條調教師が提案した馬ではなく、会員さんから「ぜひ!」とご提案があったことで下見をし、皆でセリ前日にリモート検討会を行い評価して落札に動くことを決めた1頭です。
セリに能動的に参加できる唯一無二のコミュニティを自負しておりますので、来年はぜひ一緒に馬選びに加わりたい、一緒に勉強したいという方は、是非JJ Racing Clubに参加してください。
DMMオンラインサロンでJJ Racing Clubと検索していただければヒットします。
サロンに関するご質問、お問い合わせはジェイのX(@j_keibayoutube2)までよろしくお願いします。
現在20人以上の方に参加いただいておりますが、人数が増えるほど来年の落札予算が増えるのでぜひご検討くださいませ。
現役地方&海外馬主・競馬ライター
登録者5000人超え&累計再生250万回超えの一口馬主YouTuber。豪州競馬会員制コミュニティJJ Racing Club 共同代表。社会人1年目から一口馬主を始め、キャロット・シルク・ノルマン・ロード・DMMバヌーシーの5クラブに入会。地方個人共有とRSS や中條厩舎の豪州共有に加え北米MRHでマイクロシェアを行う。血統スタッツや馬体・歩様を重視していて代表馬はトゥルーフェアリー、ロードヴァレンチ、ミスティックロア等。
—最近の私––
Bluetoothでスマホと接続可能なスピーカー。重低音がとても強調されるので洋楽やアップテンポな曲が好きな私のお気に入り。防水機能つきなのでお風呂に持ち込んで音楽を聴きながら本を読むのが毎日の楽しみ。
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