【2022菊花賞】注目馬の牝系解説 byジェンティル

以前はスタミナ自慢を決める一戦だったが近年はスピード、末の持続性能も求められるレースになってきている。

菊花賞馬がその後の古馬中長距離戦線を引っ張っていくことも多いため、活力と適性をしっかり見極めたい。

今年も京都競馬場改修工事に伴って阪神芝3000での開催となる。

阪神芝3000は直線の短さも相まって差し馬は大外を捲って進出できる持続力とスタミナが必要だ。

一方前受けする馬たちには器用さが求められる。

いずれにせよ京都よりも阪神の方が長距離適性を求められるため、スタミナは一つ重要な要素としたい。



1枠1番 ガイアフォース

4代母ノーベンバーノーズから繋がる牝系。

3代母クリスマスローズの全姉エリザベスローズが繁殖として優秀で弥生賞馬フサイチゼノン(父サンデーサイレンス)、スプリングSなど重賞2勝のアグネスゴールド(父サンデーサイレンス)、東京盃連覇を含む重賞8勝のリミットレスビッドを輩出している。

万能型のファミリーで本馬においてはダンスインザダーク、キタサンブラックとクロフネの良いところがそれぞれ出ている印象。

また切れないが長く脚を使えるあたりはこの一族らしい。

近親に活躍馬は多くなく、ここ一番でとりこぼすことも多い。

ダンスインザダークは菊花賞と非常に相性の良い血統の一つとして知られる。

とはいえ本馬の場合クロフネも結構出ていて、折り合いこそ良くて前走セントライト記念の距離延長をこなしたが、菊となると少々適性からは外れるか。

2枠3番 プラダリア

4代母ゲートドクールが日本での牝祖。

このファミリーからは今年のVMと昨年の秋華賞で2着したファインルージュ、全日本2歳優駿勝ち馬のノーヴァレンダなどが出ている。

仕上がりの早さが自慢のファミリーだ。

ディープインパクト×クロフネ×フォーティナイナー×リトルオードリーという組み合わせを考えても早期から活躍できるだけの下地はそろっていたか。

青葉賞のパフォーマンスは非常に高く、それを考えれば賞金を持っている身とはいえ前走の走りは少々物足りなかった。

早熟性の高いファミリーだけに秋初戦で大きな成長を見せられなかった点は割引。

2枠4番 ボルドグフーシュ

母ボルドグザグはレゼルヴォワール賞(G3・芝1600)の勝ち馬。

遡れば3代母Madame Belgaはイクイノックスの4代母ブランシュレインの半妹という血統。

ボルドグザグ自身はLaymanの特徴をよく受け継いでおり、スピードがある。

本馬は父がスクリーンヒーローで折り合いがつく分距離をこなしてきたが、距離延長はあまり歓迎とは思えない。

近親に活躍馬もあまりおらず、活力がどうかという疑問も残る。

ハマっても取りこぼしそう。



6枠12番 ヴェローナシチー

この馬は牝系をしっかり喋ると終わらないな…。

ムードインディゴまで話を展開したいが、割愛。

近いところでは祖母ヒカルアモーレを根幹としてファミリーを広げている。

近親の活躍馬では叔父に日経新春杯3着のシュペルミエール。

成長力豊かなファミリーで本格化を遂げるのは古馬になってからだが、本馬が早期から動けたのはエピファネイアの影響も大きい。

またスタミナも豊富で距離延長も歓迎だろう。

ここまでスタミナを武器にした競馬を見せているだけに、この舞台で友駿久々のG1制覇を期待したくなる。

エピファネイア産駒としては扱いやすいところが牝系とマッチしている。

距離延長が得意なエピファネイアにスタミナ十分なファミリーの組み合わせだけあって面白い。

捲る競馬もできて阪神3000は問題ない。

7枠14番 アスクビクターモア

母カルティカはイギリス産馬。現役時はフィユドレール賞(G3・芝11.5F)で3着などの実績がある。

この馬の2つ下の妹が今年東サラでいたな…。

これも当時書いたがスタミナは豊富な一族。

さっきのヴェローナシチーの牝系と違うのは種牡馬の適性をより引き出してくる。

本馬はディープインパクトをつけられて芝中距離馬に出ているが、組み合わせ次第ではダートでもどうにかなる馬を出せる。

本馬は上手く両親の良いところが出ていて、パワーとスタミナを兼ね備えた万能タイプに出た。

古馬になっても芝中長距離では重賞戦線でやれるだろう。

阪神3000という舞台もおそらく合っていて、人気どころならここから入りたい。

8枠17番 ジャスティンパレス

この馬は今回のメンバーでは一番ステイヤー色の強いファミリーの出身だ。

兄にはベルモントS(G1・ダート2400m)とメトロポリタンH(G1・ダート1600m)を勝利したPalace Malice(父Curlin)と阪神大賞典及びステイヤーズステークスで2着のアイアンバローズ(父オルフェーヴル)がいる。

スタミナ適性の高さは言わずもがなで、急坂も苦にしないパワーと小回りコースへの適性も高い。

大外枠は若干割引だが、菊花賞であることと脚質を考えればそこまでの減点材料ではないだろう。

期待できる一頭。

ライタープロフィール

ライター:ジェンティル(貴シンジ)

牝系研究家・競馬ライター

生物学・遺伝学の観点からサラブレッドの血統を分析。牝系こそがサラブレッドの根幹であると考え、日夜サラブレッドファミリーの研究を行う。「サラブレッドの血統に生物学的アプローチを!」が合言葉。

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