今回はゴルシ産駒中級者以上の方には釈迦に説法かもしれませんが、改めてコガネノソラの配合について深掘りしていこうと思います。
コガネノソラがスイートピーステークスを快勝。
これでゴールドシップ産駒は5年連続オークスに出走(1-0-1-0-3)となります。
特に語ることはない…とツイートしたのですが
ジェイさんから「なるほどわからん」と言われてしまいましたので、簡単に説明します。
コガネノソラ
父ゴールドシップ
母マイネヒメル
母父ロージズインメイ
配合のキモはなんと言っても母父ロージズインメイでしょう。
ゴールドシップ×ロージズインメイは両者の馬名(Gold×Rose)から金薔薇配合と言われています。
このニックスは異常とも言える勝馬率(約70%)で、G1馬(ユーバーレーベン)も出しています。
長くなりすぎるので金薔薇配合については解説しませんが、前向きな気性と先行力と瞬発力が増すと考えてもらったらいいです。
ゴールドシップ産駒にありがちな、闘争心の薄さ、スタートの悪さ、ズブさが全て解消されてしまう最高のニックスとだけ覚えてください。
コガネノソラの特筆すべき点は、ゴールドシップ産駒が全般として苦手としている中山でも勝っており、今回も苦手にする馬が多い東京での差し切りでした。
その答えを、母母コスモチェーロに見ていきたいと思います。
コスモチェーロ
成績 9戦1勝
総帥大好きオーストラリアの血統です。
これだけだとどこにでもいる普通の馬ですが、その繁殖能力はトップクラスのものでした。
コスモチェーロ
┃→マイネヒメル
┃ ↳コガネノソラ(スイートピーS)
┃ ↳ルシェルドール
┃ ↳コラソンビート(京王杯2歳S)
┃→ウインマーレライ(ラジオNIKKEI賞)
┃→ウインマリリン(香港ヴァーズ)
コガネノソラを基準とすると
姪 コラソンビート
叔母ウインマリリン
と言うことになります。
ゴールドシップ産駒…というか、殆どの馬に言える事ですが、母の能力は種牡馬以上に重要です。
ユーバーレーベン
半兄マイネルファンロン(G3)
叔父マイネルグロン(J・G1)
ウインキートス
半兄ウインイクシード(G3 2着)
母 イクスキューズ(G3)
ウインマイティー
母 アオバコリン(G3 3着)
こういった前提の上、実績のある母の中でも相性の良い母ほど爆発しやすいと考えればわかりやすいですね。
コスモチェーロとゴールドシップ
ではゴールドシップとの組み合わせで何が良かったのか見ていきます。
結論から言ってしまえばDanzigです。
ゴールドシップ産駒は坂が苦手で、特に中山や東京はかなり厳しい成績です。キレない上に坂で止まるので多くの産駒が苦手としています。
その弱点を補完するのがDanzigというわけですね。
コスモエスメラルダ
東京で勝利(Danzig 4×5)
シロノクミキョク
東京で勝利(Danzigと近い血統のLyphard持ち)
ピンキープロミス
東京で勝利(Danzig持ち)
ウインピクシス
中山で勝利(Danzig持ち)
ストキャスティーク
中山で勝利(DanzigとLyphard持ち)
マニアトーク
Raise a Cup(ロージズインメイの父母父)はミスタープロスペクターとかなり近い血統構成で、パワーを増強させる効果があります。
3代母はLady Josephine – Mumtaz Mahal – …と続くスピードの名牝クロスをこれでもかと継続しており、コスモチェーロの繁殖としてのポテンシャルの高さがよくわかります。
コガネノソラから見るゴールドシップ産駒の狙い目
① 母が優秀
② ニックス配合(金薔薇、Danzig他)
③ できるだけ牝馬
④ Danzigは万能ではない
① 母が優秀
② ニックス配合
これらは記事内に書いたので割愛。
③ できるだけ牝馬
ゴールドシップはフィリーサイアーです。
牡馬では先日メイショウタバルが毎日杯を勝ちましたが、その他の重賞勝ちは初年度のブラックホールのみ。(障害を含めたらマイネルグロンも。)
一方牝馬では
ユーバーレーベン
ウインマイティー
ウインキートス
ゴールデンハインド
このように2倍も重賞馬を出しています。
勝ち上がり率で言えば性別間で大差はないものの、牡馬の勝ち上がりはローカル(福島小倉札幌)に偏っており、主場で勝つのは牝馬が多い。逆にローカルのタフな競馬は牡馬に劣る。
今回のように東京で勝つような馬となると、やはり牝馬を目指したほうが無難ですね。
④ Danzigは万能ではない
ゴールドシップ産駒の強みであり弱みは、スタミナとタフさ。
Danzigはそこをイジってパワー型にするので、ゴールドシップらしいスタミナやタフさはやや削がれてしまいます。
うまく行けばコガネノソラが出るが、反作用だけしてしまったら主場でもローカルでも勝てない子になってしまう危険もあります。
結論
オークス出走権獲得おめでとう!
ただ、ベストの舞台ではないのでどこまでやれるか見てみたい。
オークスは、ユーバーレーベンが勝ち、ウインマイティーも3着に入った舞台ではありますが、この2頭はかなりナスキロが多く、東京向きでキレを強化する血統になっています。
一方のコガネノソラは、コスモチェーロのスピード成分は多いのですが、キレとはちょっとズレた配合になっています。
そうなると、なかなか適性が合う所がなかったりします。
叔母ウインマリリン
香港ヴァーズ(海外)
日経賞(2500m)
オールカマー(2200m)
姪 コラソンビート
1400m(2-1-0-0)
1600m(0-0-1-1) *2024/04/28現在
叔母も姪も非根幹距離や海外での活躍が目立ちますし、スイートピーSも1800m。
オークスは…微妙なところですね。
3歳牝馬にとって2400mは異常な超長距離戦です。
ある意味、非根幹的なレースでありますので、乱ペースになればなるほどコガネノソラに向いてくると思います。
一方、スローペースでヨーイドンになると、有力馬に置いていかれるでしょう。
どうなるか、楽しみに待ちましょう。
そしてコガネノソラのような馬を一口で見つけるためには、やはり、総合的に見るしかない。
Danzigだけ入っている場合は加点もできるが減点でもあるので、例えば母父ロージズインメイや、ダルシャーン、マルゼンスキーなどニックス血統とセットであるかを見なくてはならない。
ゴルシ産駒は難しく、面白いものである。
今回の記事は、だいぶ(3000文字くらい)端折りましたので、コガネノソラがオークスで好走したら補完記事かライブ配信やります\(^o^)/
M石土井
ゴルシ産駒研究者
一口馬主を京都サラブレッド、YGG、広尾、DMM、ノルマンディーなどで楽しんでいる、ゴルシ産駒研究者。noteにてゴルシ産駒にまつわる投稿を行っている。血統分析に重きを置くスタイルで、代表出資馬はドライスタウトやグランベルナデット。ゴールドシップ産駒ではオルノアやブルーローズシップなどに出資している。
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