今回は京都サラブレッドがセレクトセール2023で落札したブリックスアンドモルタル産駒について検討していきます。ぜひ最後までご覧ください。
マジか!?京サラ
激安でボチボチ走るがコンセプトの京都サラブレッドクラブ。
まさかのセレクトセール参戦し、ブリックスアンドモルタル産駒を3410万円(税込)で落札しました。
他クラブ出資者の方からすると何もオカシイことはないと思われるでしょうが、大事件です。
なにせ、今までで最高募集額は1800万円。
平均募集価格も800~900万円程度で、最安値は0(無料)~400万円程度です。
怪我で引退となってしまいましたが、デアノヴァという牝馬は400万円募集で3000万円以上稼ぎました。
そんな馬を探すクラブ京サラで、まさかの落札価格3000万円超え。
募集価格は4000万円前後になるでしょうから、デアノヴァの10倍…
マジか京サラ
どうした京サラ
会員の動揺が隠せないぞ京サラ
ということで、まだ私も混乱していますが、ブリックスアンドモルタルの記事を書いた流れで早速血統を見ていきましょう。
キープレイヤーの22
この馬の注目点は、何と言っても2頭の祖父でしょう。
ストームキャット×(デヴィルズバッグ=グロリアスソング)の2×2
マイミッシェルはメイショウボーラーの全姉。ボーラーの代わりに使わせてもらいました。
これを見て分かる通り、ジャイアンツコーズウェイとメイショウボーラーは、父と母父の場所を入れ替えただけのほとんど同じ血統になります。
さらに、タイキシャトルの母父カーリアンはストームキャットと相似(ノーザンダンサー・ブルページ・プリンスキロ・ナスルーラ≒ロイヤルチャージャーが共通)している。
さらにさらに、ロベルトの父ヘイルトゥリーズンはヘイローの父だし、母父ナシュアはメイショウボーラーも持っており、その他にもボールドルーラーも重なって……
ということで図解しました。
もっと細かく言えばセクレタリアトの中にボールドルーラーがいたりレッドゴッド≒ヘイローがあったりするんですが、カキコミすぎても分かりづらいのでこれで。
ストームキャット(≒カーリアン)
デヴィルズバッグ=グロリアスソング
ナスルーラ(≒ロイヤルチャージャー)(ナシュア)
これだけ祖父同士が相似であれば、血統の方向性はジャイアンツコーズウェイ≒メイショウボーラー的になるでしょう。
ジャイアンツコーズウェイ
2歳から連戦連勝でイギリスやアイルランドの重い芝でマイル~中距離G1を奪取。
BCクラシックでもあのティズナウの2着に入る芝ダート不問でスピードが武器のパワータイプ。
3歳時の4月~9月の6ヶ月で9戦6勝したタフネスは牝系の欧州指向の高さからでしょう。
メイショウボーラー
2歳から連戦連勝で、フェブラリーステークス勝ち馬であるが、朝日杯FS2着、皐月賞3着、スプリンターズS2着など、芝ダート不問で中央・地方・海外を29戦駆け抜けた。
タフネスでスピードを武器に戦うパワータイプ。
2歳から使い詰めても全く減らない芝ダート不問のオールラウンダー。適正はマイル前後。
と言ったところでしょうか。
2×2を踏まえて考察
正直、ここまで祖父同士が相似だと他の血はアウトブリード的が良いかと思うのですが、そうは問屋がおろしません。
そもそもブリモルがストームバードの3×3で濃い。
さらに、母母父ボリクリの血統構成は
ロベルト×シアトルスルー×プリンスキロ
なんですが
ブリモルの母ビヨンドザウェイブスも、シアトルスルー×プリンスキロに加え、ブリモルの父系にもロベルトが入っています。
悲運の名馬エクセラー(父母母父)が父ハイペリオンクロス×母ナスルーラクロスのTheナスペリオン。
これが唯一のアウトブリード的血統…かと思いきや、
ロイヤルティアラ(母母母)が、父ハイペリオンクロス×母母ナスルーラ≒ロイヤルチャージャークロスのTheナスペリオンでまさかのナスペリオン脈絡。(まあ相似インブリードというほどではないものの、アウトブリード的ではない)
もっと言うと、6代母ロイヤルマッチはヘイローの全兄弟であるため、デビルズバッグ=グロリアスソングの父ヘイローとインブリード。
(というかアルマームード牝系で、ヘイローの全兄弟ってやべえな)
文字で書くと分かりづらいのでまた図解しました。
自分で書いててもわけわかんない…
見逃しとかあるかも…
ここまで来ると1×1は言いすぎだとしても、父母相似ここに極まってますね…
特色を1つずつ見ていきましょう。
ストームキャット的
仕上がりの早さやパワー&スピードが武器。
緩急よりも先行して押し切るタイプ。
グロリアスソング=デヴィルズバッグ的
ヘイロー的な名繁殖だが、そのまま刺激すると(日本基準では)パワー型になりやすく、キレを強化しなければ機動力型のダート向き(ダノンレジーナ・ウィンターフェル)になったりする。
シンボリクリスエス的
雄大な馬体と勇壮な走りで野太く伸びるボルキロ強化型。
牝系で輝きやすい、馬体増&底力増強型。
ナスペリオン的
ナスルーラ×ハイペリオンを持つ馬のこと。
日本での代表的なナスペリオンはトニービン。
東京など広いコースで持続する末脚(野太いキレ)を発揮。
ヘイロー的
日本競馬をひっくり返したサンデーの父。
レッドゴッドとも相似し、今回の場合は機動力を上げそう。
これらを総合すると
パワー&スピードで先行し、しぶとく伸びて押し切るタイプになりそう。
3歳夏以降の芝ではキレ負けしそうだが、早い時期なら持ち前のスピード力だけで押し切れるので、やれる所まで芝でゴリ押ししてほしい。
まとめ
キープレイヤーの22の総評です。
基本線はやはりジャイアンツコーズウェイ≒メイショウボーラー。
スピード&パワーを武器に先行押し切り型でしょう。
ただ一方で、父寄りの馬体をしてることもあるので、芝中距離帯・機動力型になる可能性も高いと思います。
つまりラーイ的(レッドゴッド≒ヘイロー)な要素が出て、エクセラー・ボリクリ・ロイヤルティアラのナスキロ・ナスペリオンな要素が強く出るなら芝の大舞台でも互角にやれそう。
心配点はやはり体質。
これほど父母相似であれば見た目以上にインブリードも濃い。
血統だけならリスク込みで行ってしまいところだが、何より他クラブで考えても高価な3410万落札(募集4000万くらい?)であるため、リスクが大きい。
どのような募集形態になるかわかりませんが、私は価格的に出資しないと思います。
ただ、体質が丈夫そうで、早期始動、ヘイロー感を感じる無駄のないフォームになったら、私の心は傾くでしょう。
M石土井
ゴルシ産駒研究者
一口馬主を京都サラブレッド、YGG、広尾、DMM、ノルマンディーなどで楽しんでいる、ゴルシ産駒研究者。noteにてゴルシ産駒にまつわる投稿を行っている。血統分析に重きを置くスタイルで、代表出資馬はドライスタウトやグランベルナデット。ゴールドシップ産駒ではオルノアやブルーローズシップなどに出資している。
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