
<昨年の記事はこちら>
ジェイ:まずは2025年に2歳馬がデビューする新種牡馬からお話を伺っていきます。順番に注目種牡馬7頭を紹介していただきます。次回作では今後デビューする新種牡馬の話も伺っていきますので続編も是非ご覧ください!
コントレイル
ジョニー:コントレイルは触れておかないといけない馬ですよね。ただ僕が牧場で働く中で気になっているのはスタミナが意外とないんじゃないか?という点なんです。
ジェイ:というと?
ジョニー:コントレイル自身、種付けシーズンの後半になると種付けにすごく時間がかかるところがあったんですよ。
牝馬が種付け場所に入って、そのあとコントレイルが来るんですが、1回2回くらい上に乗っても種付けができずに、20分くらいコントレイル休憩が入ることがあるんです。
そして休憩後また種付けトライして、また種付けできずに2度目のコントレイル休憩を挟んで再トライみたいなこともありました。
コントレイル以外の種牡馬でこんな休憩が入ることはないので、スタミナがないのかなと思いましたね。
ジェイ:そうなんですか、それは非常に興味深い話ですし牧場で働いているからこそ分かる情報ですね。一般的に新種牡馬種付け下手とか言われますが、コントレイル休憩的なものは他の種牡馬ではほぼないのでしょうか?
ジョニー:僕がいった種付けではそんなことはなかったです。例えばピクシーナイトとかも新種牡馬の時に種付けに行ったことがありますがそんなことはなかったですね。
それこそ今大活躍しているナダルはスタミナに溢れてました。
種付けと種付けの間は5−6時間空けないといけないのですが、ナダルは間隔が3時間〜4時間で行ったことがあったんです。
インターバルが短いので大丈夫かな?と思いましたが、すぐ種付けができて…とんでもない体力だなと思いましたね。
そりゃ産駒も活躍するよね、と納得です。
コントレイルの休憩は去年と一昨年は少し気になりました、慣れてきてもしかしたら今年はもう少し良くなっているかもしれないですがね。
牧場界から期待がされているのは間違いないですが、そのスタミナのなさがどう影響するのかを個人的には注目して見ています。
ジェイ:産駒に影響があるかと?
ジョニー:あるんじゃないかな?と思って注目しています。
逆にいいところもお話ししましょう。
コントレイルは猫のポーズの印象があると思いますが、産駒もあれをやるんです、結構みんな猫のポーズをする。
他の馬も猫のポーズをする馬はするのですが、コントレイル産駒の猫のポーズは”顔が地面につくんじゃないか?”と思うくらいすごく柔らかいんです。
コントレイルの柔らかさはちゃんと産駒も受け継いでいる感じがしますね。その柔軟性を活かして芝中距離でしっかり活躍するような気がします。
ジェイ:そうですか、コントレイルは母系的にはダートに出てもおかしくないなと思って見ていたのですが?
ジョニー:こなすとは思いますがまずは芝に使う馬が多いんじゃないでしょうかね?これは配合相手にもよると思います。欧州系なら芝クラシックを目指すのでは、米国系の母系の馬は筋肉質になるのでダートかもしれませんね。芝で行くなら筋肉の硬さが出るので、1600mくらいまでならいけるかなと思います。
ジェイ:去年1歳馬を見てバネ感がある馬が多いなという印象を受けましたが?
ジョニー:いますね。そういう馬は柔らかさがあって猫のポーズする馬と一致しやすいです。ただ母型によっては歩きが硬くてガッチリしてる産駒もいる、そういうのはダートに行くのかなと思いますね。
ワールドプレミア
ジョニー:ワールドプレミアはスタミナの塊のような馬です。産駒数がそこまで多いわけじゃないのですが、数頭産駒を見た中では長距離で活躍しそうな印象がありました。
お母さんがダンジグとか米国型でもお父さんの特徴が出ているなと感じる産駒が多いです。幅の薄さがあってストライドが大きい馬が多いなという。
脚元はそんなに綺麗ではないなという子も多いのでじっくり時間をかけたほうがいい産駒は多いと思いますが、いかにも距離が伸びて良さそうな産駒が多いので菊花賞親子制覇はあるんじゃないか?と期待しています。
ステイヤー気質の種牡馬という意味でフィエールマン産駒は気性的に前向きな子が多かったです。一方ワールドプレミア産駒は神経質な感じもなくステイヤーっぽい気性。
晩成で3歳秋くらいから活躍してきそうな印象なので長い目で見てあげてほしいですね。
ジェイ:本格化する前に勝てるかが重要でしょうか?
ジョニー:そこはあると思います。フィエールマン産駒も最初色々言われましたが、なんやかんや3歳になってちょこちょこ勝ち上がっていますよね。
年明けの芝中長距離未勝利戦なら勝てるんじゃないかと個人的には思っているところです。
血統だけ見ていて気になるのはロブチェン(ソングライティングの23)。
こういう血統が走るのではないか?とワールドプレミア産駒の中では注目しています。
ディープの成功配合を母系に固めたような配合で面白そうだなと思っていますよ。
ダノンキングリー
ジョニー:社台SSゲキ推しの種牡馬ダノンキングリーです。これはいいですよ。
産駒のフットワークが良くて、放牧地の動きを見ていても目を惹く子が多いです。
当歳の時から産駒がすごく良くて、ただ気になる点もあってサイズが小さかったんです。牧場では”産駒小さいけどいい動きするよね”という評判でした。
小さいけど動きがいいけどなと思っていた馬が、小さめではあることに変わりはないのですが1歳〜2歳になってもいい動きのまま育っていってるのですごく期待しています。
ジェイ:中型サイズくらいだったら一発ありそうですかね?
ジョニー:中型で十分芝クラシックを狙えると思います。440−460くらいでガンガンクラシック路線に乗ってくる子が出てきてもおかしくないんじゃないかと思うくらいの動きの良さです。
ディープ新種牡馬の中では個人的にはコントレイルよりこっちの方がいいんじゃないか?と思うほど、そのくらいいいと思います。
ジェイ:そうなんですか、あんまり去年の1歳馬の一口馬主の募集で見た記憶がないのですが…?
ジョニー:初年度は頭数も少ないですしね。
ただ牧場で当歳馬の出来が良くて、種付け数は増えていっている感じです。
今年2歳でいきなりガンガン活躍するかは繁殖のレベル的にもどうかな?と思いますが、ここから活躍馬が出ても不思議じゃないですよ。
産駒がデビューしてから注目が集まり、一気に出世していく可能性はあると思います。
来年再来年には800万とか1000万クラスの種付け料になっても全く不思議じゃないですよ。
ジェイ:なるほど、初年度産駒がデビューしてから評価が急上昇したスワーヴリチャードタイプですね?
ジョニー:そうそう、走り出してから一気に注目されるタイプだと思います。
今年の1歳馬あたりでは募集されるかもしれないです、サイズはそんなにないと思いますので小さいから嫌われると思いますが、サイズだけで見切らずにちょっとこの馬は動きをちゃんと見て、検討のテーブルに乗せてと思うくらいです。
無条件で一回考えよう、くらいキングリー産駒はいいと僕は思っています。キングリーは成功してほしいし、成功すると思っていますよ。
ミスチヴィアスアレックス
ジョニー:同時期にマテラスカイがいるのはすごくもったいないなと思います、ミスチヴィアスアッレクスです。
ここにフィレンツェファイアも加わって、ナダルがブイブイ行っている中でダート路線を食い合ってしまうのがなかなか難しそうな気もしますが、ミスチヴィアスアレックスとマテラスカイはそれぞれいい産駒が出てきていると思います。
ミスチヴィアスアレックス自身がすごくムキムキで遺伝子CCだろうなという体をしています。産駒もムキムキでガッチリしたCCっぽい馬が多いですね。
父の遺伝力が強いなという印象を受けながら見ています。
北米の大種牡馬イントゥミスチーフ系では唯一の国内種牡馬、ダート短距離でガンガン走るのではないかと思っていますよ。
ジェイ:私実は地方馬主で1頭落札を目指していてミスチヴィアスアレックス産駒には注目しているのですが…?
ジョニー:地方の短距離なら間違いないと思いますね、地方で無双してもおかしくない。今年の1歳馬は2世代目ですが狙い目だと思いますね。
ジェイ:しかも種付け料がやすいですし日本に馴染みもないのでセリ価格も安めな印象を受けますね?
ジョニー:コスパすごくいいと思いますよ、間違いない種牡馬だと思います。
ミスチヴィアスアレックス産駒で注目したいのはヘリテージブルー(オールドパサデナの23)ですね。
血統表を見ると北米のリーディングサイアーを集結させました!みたいな血統。
ミスチヴィアスアレックス産駒の代表産駒になるのでは?と見ています。
ジェイ:母も優秀ですね?
ジョニー:そうなんです、母自身も5勝できょうだいも2頭が3勝してる。
この馬は実は実馬を社台ファームに見に行ったことがあって。
当歳の時だったがその時でもムキムキだったんですよ。すごい馬体だなと思って、これがミスチヴィ産駒かと。
上がしっかりしているからこそ脚元への負担が心配だったがここまで無事に進んでいるようなので、これはPOGでダート短距離枠でぜひ。兵庫CS狙いでどうでしょうか?
ミスチヴィアスアレックス以外イントゥミスチーフ後継が日本に入ってこない感じも、アメリカで囲われている感じがするんですよ。
後継種牡馬もアメリカばかりにいますよね。ミスチヴィアスアレックスが日本にきてくれたことに感謝しています。産駒が走るのを見るのが楽しみです。
マテラスカイ
ジョニー:当歳の時と1歳のいまの時期では全然産駒の馬が違うのがこのマテラスカイの子供だと思います。
当歳の時はムチムチで、それこそ前述のミスチヴィアスアレックスっぽいダート短距離っぽい体をしている産駒が多かった印象なのですが、成長すると体高が結構伸びるんです。
幅があるというより上に伸びてきたなという中距離馬っぽくなってきたなと、そういう印象があって。
「ムチムチじゃなくなっちゃった、どうしよう?」と思うくらい、ガラッと成長して変わるんですよね。
バランスがちょっと見栄えしない、バランスが悪いような馬が多いのが産駒の傾向なんじゃないかなと思っています。
だからセリやPOGでも敬遠されると思うんです。でもそれが産駒傾向だから気にせずに、一旦今の馬体バランスを無視してみてほしいと思います。
ジェイ:ではどうやって選びましょうか?
ジョニー:マテラスカイ産駒は横から見る馬体は無視して、歩きとか動きで判断するのがいいかなと思いますね。
ジェイ:2世代しかいないから、傾向掴む前に終わってしまいそうなのが難しいですね?
ジョニー:それが残念ですね。ただ短距離っぽい気性、前向きな馬が多いので牡馬牝馬問わず前に前にという馬が多いです。
逃げて前で持続して勝ち切る競馬が出来そうな印象ですね。産駒の勝ちパターンはそういう競馬になりそうです。父の競馬を彷彿とさせますよね。
インディチャンプ
ジョニー:インディチャンプは運動神経がいい産駒が多いと思います。
シルクのビタールート(トレジャーステイトの23)に出資しているのですが、調教の動きがすごくいいです。調教の方は素人ですが、更新の動画を見てすごくいい動きをするなと感じています。
インディチャンプ産駒もたくさん触っているわけではないですが、トモのフレームと筋肉がすごくいいですよね。
放牧地にいる仔馬を後ろから見た時に、インディチャンプの子供はトモが四角に見えるんですよ。
中臀筋が盛り上がるんだろうなというか、レモンポップのような大きなお尻になりそうな、そういう良さがありますね。
ジェイ:ステゴ後継種牡馬は、サイズに苦しんだり華奢な感じがあるがインディチャンプだけはちょっと違う気がしますね?
ジョニー:ステイゴールド産駒だけど、インディチャンプはウィルパワー、トキオリアリティのスピード能力を子供に分け与えている感じがあります。
ステイゴールドっぽさが出る小さくて薄くて気性がぶっとんでる印象があるのですが、インディチャンプはいい意味でステイゴールドが消えていると思いますね。
インディチャンプ産駒を触っているとステイゴールドの父系であることを忘れるんです。
たまに気性が悪い子がいてそれを思い出す瞬間もあったりしますが、基本はステイゴールドっぽくないですね。
個人的にはステイゴールド後継種牡馬としては一番成功するんじゃないか?と思うくらい、期待している。
ジェイ:キムテツ厩舎所属のロカの23も40口で人気だったことも記憶に新しいです、楽しみな1頭ですね?
ジョニー:木村厩舎に入るというのはノーザンファーム天栄との連携が取りやすいから、という部分もあるのかなと思います。
ロカの23はPOG的にも注目かもしれないですね。インディチャンプ産駒は割と早くから動けると思っています、ステゴ肌だからといって晩成という印象は持たなくていいですよ。
桜花賞、NHKマイルで産駒の活躍が見られるかもしれないですね。動きを見ていても産駒はスプリントからマイルかな?と思います。
ポエティックフレア
ジョニー:ポエティックフレアは残念ながら受胎率が悪い種牡馬です。繁殖能力に問題があるんだと思いますが、こんなに受胎率悪い種牡馬いるのかと。
ポエティックフレアは実馬を見た時に「サドラー感が強くて重そう、日本競馬あわない、失敗かも?」と思ったのですが、数少ない産駒の出来がいいんですよ。
見栄えするし、動きもポエティックフレアの実馬からは想像できないくらい軽くて柔らかいんです。
競馬にいって日本的スピードが足りるかはわからないですが、非根幹距離や洋芝重馬場など一定条件で活躍する産駒は出てきそうですよ。
牝馬より牡馬の方が良く見えたのでコルトサイアーかな?と思っています。
ジェイ:プライベートになってしまったので今後産駒はかなり減りそうですね?
ジョニー:あまりにも受胎率が悪すぎて、1年目だけじゃなく2年目も悪く…。売り物として流石に…となりおそらくプライベートになったんだと思いますね。
繁殖能力があまり良くなかったなという感じですが、遺伝子はいいものを持っていると思うので残念。子供を見ると魅力を感じます。
POG的には母系サンデーは必要でしょうね。サンデークロスが母系にあってちょっとフニャッとしてるお母さんにつけている産駒が合うんじゃないかと思います。
ジェイ:ここまで楽しみな種牡馬をたくさん紹介していただきありがとうございました。次回作では来年以降にデビューする新種牡馬についてお話を聞いていきます。次回作も是非お楽しみに!
告知
ジェイが運営し今回お話を伺った牧場勤務のジョニーさんも参加している馬の見方についてや 競馬について勉強していく会員制コミュニティ「JJ Racing Club」をDMMオンラインサロンさんにて運営中です。
これまで3度サロンメンバーの皆様とセリに参加しており、モアナとターボ、さらに大狩部牧場さんとコラボでSunCity産駒の牝馬という素晴らしい3頭落札できました。
オーストラリアでは日本のような馬主資格がなくとも正式な馬主になれますので、日本で馬主資格を持っていない方も共有馬主になっていただくことができます。
共有オーナーは1/40口から募集しており月の維持費は放牧中が月4000円程度。
入厩中が月1.2万円程度となっています。
サロンでは中條調教師やサララボライターでもあるエムイシ氏のディープなコラムを毎週配信している他、オーストラリアンで開催されるセリに上場される注目馬ついても配信中です。
さらに、毎月中條調教師やジェイとサロンの皆様との相互交流会をオンラインで行っています。
直接調教師に質問をぶつけられる他、レース回顧で調教師やジョッキーの心理について勉強するなど大変会員の皆様の満足度が高く評判が良い交流会となっています。
オーストラリア 競馬をベースに学んでいきますが日本の 競馬にも活かせる部分はあると思います、ぜひお気軽にご参加ください。
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