元豪州騎手が語る!”オーストラリア”で馬主になるべき理由とは??

みなさん、こんにちは。ライジングサン・シンジケート社代表で元豪州障害騎手の川上です。今回は日本にお住まいの皆さんに、オーストラリアで馬主になる魅力とメリットはどんなものがあるか?もちろん、いいことばかりではありません、しっかりデメリットについてもお伝えします。ぜひ最後までご覧ください。

オーストラリアで馬主に

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競馬が好きな人なら一度は考えたことがあると思われる夢の一つ、それは「馬主になる」ことではないでしょうか?日本では厳しい所得審査があり、中央競馬はもちろん、地方競馬で馬主になることすら簡単ではありません。

しかしオーストラリアならば誰でも簡単に馬主になれるのです。

これからオーストラリアで馬主になることについて簡単に紹介させて頂きます。

自己紹介

私、川上鉱介は日本で高校を卒業後に18歳でオーストラリアへ渡航し2004年に騎手免許を取得して、障害騎手としてオーストラリアで競馬に騎乗。

その傍らで現地のRMIT大学に通い、通訳と翻訳の国家資格を取得し、騎手業を続けながら、リスグラシューやメールドグラースなどの日本馬の海外遠征のお手伝いや、オーストラリアへ武者修行に来た日本人騎手、オーストラリアで馬を持つ日本人馬主のサポート。

さらには、現地競馬主催者と共に日豪の競馬界の発展のお手伝いや、若手ホースマンの海外研修の相談など様々な形で日豪競馬界の橋渡し役として活動をしていました。

その後、2019年の落馬事故による怪我を機に引退を決断し、共有馬主クラブのライジングサン・シンジケート社を設立。

日本とオーストラリアという二つの競馬大国を母国として持つ身として、オーストラリア競馬の魅力を多くの日本の競馬ファンに知ってもらいたい、そして日本の競馬の素晴らしさ、質の高さをオーストラリア競馬ファンに知ってもらいたい、その一心で日豪競馬界の架け橋となることをライフワークとして様々な活動に従事しています。

また2022年に。競馬道Onlineさんとのご縁で、「南半球で馬主になる」という本を執筆させて頂きました。

オーストラリアでの馬主へのなり方だけではなく、オーストラリア競馬のガイドブック的な内容になっておりますので、純粋に海外競馬に興味がある方にも楽しんで頂ける内容になっていると思います。

ぜひご一読ください!

豪州競馬の魅力

欧州やアメリカに並ぶ競馬大国であるにも関わらず、日本の競馬ファンからはまだまだ馴染みの薄いのがオーストラリア競馬です。

オーストラリア競馬は、イギリス競馬の流れを汲みながらも独自の進化を遂げており、「国家を止めるレース」として有名なメルボルンCを筆頭に、競馬がギャンブルという枠を超えてオーストラリア国民の間に深く文化として根付いています。

このメルボルンカップが開催される毎年11月の第一火曜日はメルボルンがあるビクトリア州では祝日となります。他州では祝日にはならないものの、多くの国民が仕事、勉学の手を止めて老若男女問わずにテレビにかじりつき競馬を観戦することから、国を止めるレースという名を得ました。

G1が行われる競馬場では、多くの観客が皆、男性はスーツ、女性はドレスと帽子で着飾り華やかな雰囲気で埋め尽くされます。そして、カップ開催では必ずファッションショーが行われ、男性、女性、そして子供が自慢のファッションを競い合うのです。ちなみにこういったファッションショーは主要なレース開催だけではなく、田舎にある小さな競馬場のカップ開催でも必ずと言っていいほど行われる、オーストラリア競馬の重要な要素です。

また、メルボルンカップの前日にはメルボルン市内中心部でメルボルンカップ・パレードが行われます。日本で言えば、渋谷のスクランブル交差点を閉鎖して有馬記念のパレードが行われるイメージといえば、その凄さが伝わるでしょうか?

その年のメルボルンカップに出走する騎手、調教師、馬主といった関係者や、歴代の優勝馬などがメルボルンの中心部をパレードし、その年の主役を一目見ようと多くの人々が集まります。その様子を見れば、どれほど競馬が国民に愛され、生活の一部として受け入れられているのかが分かるでしょう。

また、オーストラリア競馬はその賞金の高さでも有名です。

芝世界最高賞金額を誇るジ・エベレストの1500万豪ドル(約14億5500万円)が有名ですが、オーストラリアには総賞金100万豪ドル(約9700万円)を超えるレースの数が86レースもあり、この数は欧米を大きく上回っています。

ギャンブルとしてだけではなく、社交場として競馬を楽しむ文化、そして世界的に見てもかなり優秀な賞金水準はオーストラリア競馬の大きな魅力と言えるでしょう。

共有馬主システム

オーストラリアでは競馬という娯楽が、ギャンブルとしてだけではなくスポーツ、趣味として浸透しています。

そして多くの競馬ファンが観戦という形だけではなく、競走馬を共有するという形で競馬に参加しており、国民の253人に1人が馬主と、世界で最も人口に対する馬主の比率が高いのがオーストラリアなのです。

馬主資格」というものは存在しておらず収入や国籍の審査もなく、競走馬を、たとえ共有でも所有した時点で馬主となります。

オーストラリアでは個人馬主のハードルも日本の中央競馬よりも低く、資格がいらないのはもちろん、競走馬の購入費用や維持費用も様々です。

これは極端な例で個人的にはオススメしませんが、例えば100万円前後で競走馬を購入、管理費用が安い調教師に預けることで年間300万円程度の維持費用で個人馬主になるという予算組みも可能です。

とはいえ、オーストラリアでも年に何百万円ものお金を馬に使える人は多くはありません。オーストラリアで最も盛んなのは、共有馬主です。

共有馬主という形では、まるで日本の一口馬主のような気軽さで本物の馬主になれます。一口2.5%や5%が一般的ですが、それよりも少ない持分で共有馬主になることも可能です。

日本では馬主名の欄は代表馬主のみが記載されますが、オーストラリアでは一頭につき最大20名までの名前が馬主としてレースブックに記載され、レースに勝った場合はその馬主の名前が読み上げられます。

レースブックに記載される20名以外ももちろん馬主として登録されるので、競馬場では馬主としてパドックで調教師や騎手と作戦会議、観戦、そして勝てば口取りと特別室での勝利の乾杯と馬主としての醍醐味を存分に味わえるのです。

ただオーストラリアで馬を持つことは良いことばかりではありません。

オーストラリアを含むほとんどの海外の競馬では、日本と比べても馬主に対する負担が大きいという現実があります。

海外では大レースへの出走登録料は日本よりも高く、競馬開催への輸送料が自己負担であること、さらには怪我した際の見舞金制度もなく、馬主として利益を上げることは簡単ではありません。

勝ち負けが出来ない馬を所有していると大幅な赤字となってしまいます。ちなみに欧州では重賞勝ち馬ですら簡単には黒字にならない、と言った話も聞きます。

そんな厳しい現実がある海外競馬ではありますが、賞金が非常に高いオーストラリアでは、活躍馬を見出すことさえ出来れば大幅な利益を上げることは不可能ではありません。



なぜ日本ではなくオーストラリアなのか?

日本ではなく敢えてオーストラリアで馬主になるメリットは多様な層にそれぞれ違った形であると考えています。

日本では多くの一口馬主クラブが存在するため、簡単に一口馬主になれます。

世界的に見ても素晴らしい血統の馬に出資ができ、またクラブ馬主から多くの活躍馬が出ています。

そんな素晴らしい環境の日本で一口馬主を楽しんでいらっしゃる方達にとって、あえてオーストラリアを選ぶメリットがあるのかを説明させて頂きます。

やはり1番の理由としては“本物の馬主“になれることでしょう。オーストラリアで共有する場合は、“一口馬主”ではなく“共有馬主”なので馬主として様々な権利があります。

愛馬が勝った場合に口取りに参加出来るのはもちろん、馬主としてパドック(マウンティングヤード)へ臨場し騎手や調教師との作戦会議にも参加出来ます。

認可を受けているシンジケートでの共有の場合は、去勢、トレード、引退といった重要な場面での決定権も持分に応じて与えられるなど、一口馬主とは大きく違うことを実感出来るでしょう。

それでは日本で個人馬主として競馬を楽しんでいらっしゃる方たちにとってはどうでしょう?

日本の競馬は、素晴らしい賞金、出走手当や手厚い各種補助金、見舞金そして格安の出走登録料など、世界的にも最も恵まれている国の一つであると思います。

オーストラリアは世界的にみれば賞金面などで恵まれてはいますが、トータルで考えると日本には劣ります。

それでも日本で既に馬主をしていらっしゃる方達があえてオーストラリアで馬を持つメリットは、多くの活躍馬がセリから出ること、そして比較的安価で取引される馬も多いということでしょう。

例えば、2020年にG1を勝利した馬の約8割がセリに上場された馬であるように、オーストラリア競馬の特徴として「ほとんどの競走馬がセリを通して取引される」と言う点があります。

値段を見ても、セリで10万豪ドル未満の価格で取引された馬のG1勝ち馬が毎年10頭以上出ており、2021年は15頭がG1を制覇しています。

その中にはG1を複数勝利した馬をもちろんおり、牧場とのコネクションがなくとも、そして極端な高額馬でなくてもG1が狙えるのは日本にはない魅力だと言えると思います。

セリの価格こそ年々上がっておりますが、その額はオーストラリアの賞金増に比例しています。残念ながら日本では賞金の増額以上のペースでセリの取引価格が上がってしまっています。クラブに多くの有力馬を取られてしまうこと、そしていわゆる「当たり」が一部の牧場の生産馬、一部のセリに偏ってしまっていることが価格高騰の原因ではないかと思います。

簡単に言えば、オーストラリアでは「ノーザンファームや大手クラブと戦わなくて良い」というのが、日本の馬主さんがあえてオーストラリアを選ぶに値する理由ではないでしょうか?

オセアニアの血統トレンド

オーストラリア最大のレースが3200mのメルボルンカップなので意外とも言えるのですが、同国の生産は圧倒的に早熟のスプリンターに偏っています。

とにかく早熟でスピードのある血統の馬が人気で、セリでもそのようなタイプの馬が高額で取引されます。種牡馬としても求められるタイプも当然その通りになるので、長距離馬は競走馬、種牡馬ともに海外からの輸入に頼るのが特徴です。

理由としては、2歳戦としては世界最高賞金額を誇るゴールデンスリッパーを筆頭に、セリ会社主催の高額賞金レースなど、2歳の高額賞金レースが多いことが主な理由です。

また、長く競走馬として安定した活躍が出来るという利点から、多くの牡馬が去勢される事実も重なり、自然と自国産の遅咲きのステイヤーは種牡馬になるチャンスを逃すということも理由の一つとして挙げられます。

そういった背景もあり、オーストラリアではデインヒル(Danehill)系が主流血統となっており、その勢力は全種牡馬の約3分の1を占めるほどになっています。

ただ近年ではオーストラリアでは南半球のメリットを活かしてシャトル種牡馬の導入が盛んに行われており、デインヒル(Danehill)系一辺倒だった種牡馬の勢力図は徐々に塗り替えられています。

例えば、現在のトップサイアーであるアイアムインヴィンシブル(I Am Invincible)の父は、アイルランドからのシャトル種牡馬のインヴィンシブルスピリット(Invincible Spirit)です。

また、主流血統であるデインヒル(Danehill)系と非常に相性が良く活躍馬を多く輩出しているソーユーシンク(So You Think)もその父はシャトル種牡馬であるハイシャパラル(High Chaparral)です。国内の血統の袋小路を避け、活性化させる意味でも、オーストラリアにおけるシャトル種牡馬や輸入種牡馬の重要性は非常に高く、日本からもディープインパクトロードカナロアの血が積極的に取り入れられているように、これからも様々な血統がオーストラリアへ入ってくるでしょう。

ちなみに、オーストラリアの隣国のニュージーランドでは、生粋のステイヤーの生産が広く行われており、ニュージーランドから数多くの名ステイヤーがオーストラリアへ遠征し、勝ち星を挙げています。

ニュージーランドといえばサートリストラム(Sir Tristram)を父に持つザビール(Zabeel)系が主流でザビールの後継のサヴァビールを筆頭に、多くの中長距離種牡馬が繋養されています。

そのため、ニュージーランドは過去には多くのメルボルンカップ勝ち馬を出しており、欧州からの輸入馬が増えた近年でも、3歳のダービー・オークス路線ではニュージーランド産馬が圧倒的な強さを誇っています。

ライジングサン・シンジケート(Rising Sun Syndicate)

私が代表を務めるシンジケート会社(オーナーズクラブ)のライジングサン・シンジケートは、オーストラリアのメルボルンをベースに金融庁と競馬母体のレーシングビクトリア(RVL)から正式な認可を受けて運営している会社です。

私、川上鉱介と森信也、そして市川雄介の3人の、日豪の競馬界で20年以上の経験を持つ日本人ホースマンが運営しており、レース騎乗、調教、そしてマネージメント業務の全てに深く携わった経験と、現地調教師や騎手、生産牧場との強いコネクションを活かして、競走馬の選定、そしてマネージメントを行なっています。

ライジングサン・シンジケートでは一頭の競走馬を一口2.5%に分けて販売、そして「日本人ならでは」のきめ細かいサービスで多くのオーナー様にオーストラリア競馬を楽しんで頂けるように尽力しております。

入厩中は週に一度以上のレポートを動画や画像を交えながら提供し、遠く離れていても愛馬を近く感じられるように、そして皆さんが「一口馬主」ではなく「共有馬主」であることをしっかりと感じられるようなサービスを心掛けております。

ビクトリア州のレースは日本からもRacing.comで生中継が視聴出来ますが、直接オーストラリアへいらした際には、「馬主」として競馬場や厩舎、牧場へも我々が案内させて頂きます。愛馬に会う以外にも「世界一住みやすい街」にも何度も選ばれた美しいメルボルンの街並みを楽しんでいただくことが出来ます。

渡航スケジュールの相談や、ツアーの手配なども喜んでお手伝いさせて頂きますのでお気軽にご相談ください。

募集馬に関しては、「売れる馬」ではなく「走る馬」選びをモットーにしており、妥協しない馬選びを徹底しています。そしてリスクを抑えるために、提携している獣医師と共に厳しい獣医チェックを行い、我々三人のホースマンが本当に自分達自身でも所有したいと思える馬のみを購入し、募集しています。

ライジングサン・シンジケートの所属馬は現在(2022年10月時点)7頭で、ほとんどが若馬です。会社としてはまだ設立2年目で、まだまだこれからの会社ではありますが、日本からの輸入馬のマイネルレガシーが無事に初勝利を挙げるなど、少しずつ結果も出しております。

皆さんにオーストラリア競馬を楽しんで頂けるように日々尽力しておりますので、ご興味がある方はぜひライジングサン・シンジケート社のウェブサイト(risingsunsyndicate.com)や各種SNSのフォローをよろしくお願いします。

※ライジングサン・シンジケートのウェブサイトは日本国旗をクリックして頂くと全ページ日本語でご覧いただけます。

お問い合わせは info@risingsunsyndicate.com かTwitter(@RisingSunSynd)など各種SNSのDMをご利用ください。

ゲストライター:川上鉱介

オーストラリアで障害騎手として活躍。落馬事故の怪我を理由に現役を引退し、現在は森氏・市川氏とともに豪州の共有馬オーナーズクラブ「ライジングサン・シンジケート」を手がける。日本と豪州競馬の架け橋になれたらと意気込む。

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