どうも、ジェイです。今回は海外馬主シリーズ、近10戦で3勝複勝圏内5回と絶好調のライジングサンシンジケートさんの話題です。
私も発足時から入会していて現在も共有馬主をしているシンジケートで、新たに3歳牡馬・ニシノクレセント号が日本から豪州に移籍し近い将来共有馬主を募集する旨のアナウンスがありました。
今回は当初欧州からの移籍馬セントロイドを共有していた経験からも、移籍馬のポテンシャルと注意すべきだと感じるポイントについて記事にしていきたいと思います。
ニシノクレセントとは?
ニシノクレセントとは、サトノアラジン産駒の3歳牡馬です。
母ニシノブルームーンは中山牝馬S勝ち馬で、G1のヴィクトリアマイルでも3着に入った実績馬です。
本馬は血統的にはアルザオクロスやサンデーサイレンスとサーアイヴァーと好相性のヘイロークロスでスピード強化をしているところが目をひきます。
日本の中央競馬で出走していて、9戦(0-2-3-4)と勝ち上がりまであと1歩でした。
出走していたのは芝2000~2400mで、重馬場でも2度馬券内に来ていることからスタミナやパワーが必要な馬場への適性もあるのではないか?と推察されます。
豪州はオールウェザーなども一部ありますが基本は芝レースになるので、芝適性があることは大前提になります。
オーストラリアの洋芝での出走を考えると、スタミナやパワーが必要な重馬場でも好走していることは豪州の馬場と直結するわけではありませんが、心強いところだと思います。
また、馬券内に入った競馬場は小倉・中京・阪神とさまざまな舞台で好走していて、もちろん良馬場でも好走歴がありますから、馬自身の能力が高いことが見て取れると思います。
豪州適性は?
豪州の芝は洋芝で、日本よりも欧州的でタフでスタミナが求められるようなレースが多いです。
前述しましたが、重馬場での実績があるということは一定評価できるポイントだと思います。
また、この馬は芝の中距離馬で、一般的に豪州は2歳スプリント路線が最も層が厚くハイレベルで、ステイヤー路線や中距離路線の方が日本や欧州など海外からの移籍馬は成功しやすいと言われています。(とはいえ僕は欧州からの中距離馬の移籍馬で痛い目を見ているのですが…笑)
メルボルンCなどの大レースには、欧州の強豪の中距離・ステイヤーの馬たちが遠征してくることもあり、結局ハイレベルになることもありますが、実際メールドグラースやリスグラシューをはじめとする数々の日本馬が豪州遠征で栄冠を手にしています。
また、サトノアラジン産駒が実はオーストラリアで大活躍をしていて、血統的にも非常に面白いのではないか?と思います。
以前インタビューさせていただいた、豪州の中條調教師も、サトノアラジン産駒はオーストラリアで成功するのではないか?とお話をされていました。
すでに豪州のG3ブルーサファイアS芝1200mでニュージーランド産の3歳牡馬・グランドインパクト(父サトノアラジン)が豪州の重賞初制覇を飾っています。
特筆すべき点は、豪州で最もハイレベルな芝スプリントレースで結果を出している点です。
本馬は芝の中距離タイプの馬なので、グランドインパクトとは活躍の路線は違うと思いますが、豪州で短距離路線で通用するというのは日本で言うところの芝のクラシックディスタンスで結果を出しているのと近いものがあります。
残念ながらその後挑戦したG1クールモアスタッドSは12着に沈んでしまいましたが、まだキャリアも浅く今後も活躍が期待できる1頭だと思います。
豪州で結果を出し始めているサトノアラジン産駒+日本の中央で勝利まであと1歩だった3歳馬というのは非常に魅力的に思えます。
他の移籍馬は?
ライジングサンシンジケートでは、これまでに私が共有していた欧州からの移籍馬セントロイド(引退)とラフィアンの元クラブ馬マイネルレガシー(現役)がいます。
セントロイドは結局豪州で勝利を上げることはできませんでした、詳しくは過去記事をご覧ください。
マイネルレガシーについては、本馬と似たような境遇の未勝利馬で、豪州に移籍となりました。
移籍直後は鳴かず飛ばずなレースもありましたが、その後しっかりアジャストして現在豪州で2勝をあげています。
マイネルレガシーについて川上さんは、
「マイネルレガシーは日本にいた時は馬っけもなく大人しいという話だったので去勢はせずに連れてきたのですが、検疫で放牧している間に本能に目覚めたのか(笑)こちらにきてから馬っけ発動して大変なことになりました。笑
最初の2走が全くだったのは、調教するのも大変、レースでは集中力ゼロの状態だったからです。
ちなみに去勢はある程度即効性の効果もあるのですが、ホルモンが体から抜け切るには時間がかかります。レガシーもやっと本格的に効果が出てきて少しずつレースに集中するようになってきてくれたかなと思います。それでもまだまだ馬が若いですが…笑」
と話していました。
マイネルレガシーの経験もありますから、日本からの移籍ノウハウもありますし、何より日本馬の豪州遠征時のサポートもしてきた川上さんですからその辺りは心配ないのかなと思います。
移籍馬の注意点
元豪州移籍馬セントロイドの共有馬主として移籍馬で注意が必要なのは大きく3点だと考えています。
○レーティング
○輸送費
○北半球⇨南半球の移動
この3つです。
○レーティングについては、本馬の場合未勝利馬なので心配はありません。
セントロイドの場合は欧州で勝利していて、レーティングが高いレースでも好走歴があったのでレートが高い状態での移籍になりました。
そのため、自分の持っているレートより基準値が低いレースに出ると、60kg以上の重いハンデを背負わされ、レートが高いレースにでると相手関係が厳しいと言う状況に陥っていました。
○輸送費については、一定覚悟が必要だと思います。
実際にどの船に乗るか、相乗りさせるかなど、便によって輸送費の変動は大きいようですが、決して安くはないことが一般的です。
日本で例えばサラオクで購入して地方で走らせる場合、輸送費はそこまで高額ではありません。
しかし、海外遠征時の高額な輸送費問題で一口馬主の間で議論が巻き起こるように海外への輸送は国内輸送とは比にならない金額です。
その分が募集額に上乗せされると言う点はよく理解しておく必要があると思います。
○北半球から南半球への移動については、全く問題ない馬もいるそうなのですが、馬によっては体調がしばらくすぐれないような馬もいるようです。
セントロイドもなかなか毛艶や状態が上がってこないと言われていて、その原因として川上さんから南半球にきたことによる季節変化の影響があるかもしれないとお聞きしていました。
改めて川上さんにこの点について伺うと…
「北半球の馬が南半球に来る影響は馬によって個体差があり、ゴールドトリップのようにすぐに成績を出せる馬もいますがセントロイドのようになかなか環境に慣れない馬もいます、本格的に気候に慣れるまではどの馬も半年から1年間かかります。
移籍後すぐに成績を出している馬でも一年位経つと更に成績を上げる馬も多いです。
ちなみにメルボルンカップ二着のエミサリーはセントロイドと同じセリで買われた馬なのですが、オーストラリアに来てからは怪我がないにも関わらず約一年は競馬に使える状態にすらなりませんでした。
調教に乗っていたのでわかりますが、動きが重すぎてもし競馬に使っていても惨敗するのが目に見えていたので高額で落札しただけにオーナーの手前使えなかったのでしょう。
そういう意味ではニシノクレセントも1月の輸送ということもあるので心配はしています。
去勢をしたことで馬っけの心配はありませんが…笑
逆にレガシーはそろそろ本領を発揮してくれると思うので楽しみです!」
と話していました。
もちろん、馬はしゃべりませんから不調の要因は他にあったかもしれませんが、しばしば移籍馬が不調になることはあるようです。概ね半年ほどで解消されるそうですが。
原因については、北半球から南半球で季節が逆転し気候が変わることで体調が悪化してしまうのではないか?と言われているそうです。
関係者の期待
サララボの取材に対し、ライジングサンシンジケートの川上さんは
「サトノアラジン産駒は実際に調教に乗っている中から期待値が高い馬が多く、すでに走っている馬も結果を出しています。オーストラリア競馬に相性抜群なので楽しみです。
クレセント陣営からは、馬っけが強くてかなり苦戦したと聞いています。
未勝利のリミットがなければ全く違う結果になっていたと思われる馬なので、まさにオーストラリアへ持って行きたいタイプの馬でした。
まずは去勢、そしてしっかり休ませてオーストラリアで再スタートを切らせてあげたいと思っています。」
とコメントしています。
どうやらすぐに去勢手術を行うことを想定しているようですね。
日本よりも豪州では去勢は一般的なので、牡馬で馬っけが強かったということであれば、順当な判断であろうと思います。
また、元オーナーの西山氏は自身のTwitterでライジングサンシンジケートの移籍告知を引用RTし、
「(前略)新馬2着から始まって2着2回、3着3回と芝の長距離であと少しで勝てず、母は中山牝馬S(GⅢ)優勝のニシノブルームーン。
大井のダートからやり直すつもりがダートダメ。
そこへ豪州からのオファーが。
格安だけどこの馬のことを考えたら最高の移籍になりました。」
とし、この馬に会いにオーストラリアに行くかもしれないともリプライを送っていました。
現状、日本の中央で未勝利戦のタイムリミットが来てしまうと、現役続行には出走可能な1勝クラスのレースに格上挑戦するか、地方転出かの2択になってしまいます。
地方はほとんどがダートなので、ダート適性のない芝馬は苦労することも多いでしょう。
そんなミスマッチが起きそうなタイミングで、本馬のように未勝利馬の豪州移籍というケースが徐々に出てきました。
マイネルレガシーもこのニシノクレセントも、南半球で大活躍してその名を再び日本にも轟かせてほしいなと思いますし、この馬たちが活躍することで、今後も中央の未勝利タイムリミットを迎えてしまった馬に新たな選択肢が示されることになればいいなと思います。
頑張れ!ニシノクレセント!
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