【ステイヤーズS】Cアナライズからディバインフォースが浮上 ユーキャンスマイルは馬体重がカギ

■JRA屈指のマラソンレース

先週の京阪杯では◎スマートクラージュが4番人気3着と好走してくれたが、○テイエムスパーダは直線急坂で失速し6着だった。テイエムスパーダに関しては小回り平坦コースでの巻き返しに警戒したい。

今週は超長距離重賞であるステイヤーズSを予想。G1チャンピオンズカップに関してはSPAIA競馬さんで火曜日に記事をアップしているのでそちらをご覧になっていただきたい。

今回も例のごとく3つの要素から好走馬を導くコンプレックスアナライズで推奨馬をピックアップする。
なお使用するデータは但し書きがないものは過去10年のデータである。

■好走&消しデータ

☆アルゼンチン共和国杯組が強い

勝ち馬が出ているローテーションはアルゼンチン共和国杯、丹頂S、比叡S(3勝C)、古都S(3勝C)の4つ。意外にも前走G1組からは勝ち馬は出ていないが、これはG1で上位になるような馬はそもそもステイヤーズSに参戦しないという要因が考えられる。最も優秀なのはアルゼンチン共和国杯組で【6-1-4-33】と6勝。着順に関しては二桁着順だった馬からも2頭勝ち馬が出ており、アルゼンチン共和国杯組というだけで加点要素となる。

【アルゼンチン共和国杯組】

・ユーキャンスマイル

☆条件戦組は一定の条件を満たしていればOK

続いて条件戦から臨戦の馬たちについて確認していく。条件戦から勝ち馬を輩出しているのは前述の2レースのみだが、好走馬はそのほかのレースからも出ている。

重賞ではあるが特殊な条件でもあるステイヤーズSということもあってか、必ずしも前走勝ってここに臨んでくる必要はない。昨年の1着馬ディバインフォースは3勝クラス4着からの臨戦であり、好走まで枠を広げれば前走5着以内であればOK。前走時の人気は4番人気までがホットゾーン。

【条件戦組で5着以上、4番人気までに該当する馬】

・12プリュムドール

☆美浦と外国人騎手が優勢! 関西騎手は勝利なし

続いてはジョッキーに関するデータ。関東の重賞ということもあるがステイヤーズSは関西騎手の勝利はなく成績も【0-1-2-15】と奮わない。特筆すべきは外国人騎手で【4-2-2-3】と素晴らしい成績だ。超長距離レースだけに騎手の腕も重要なファクターの一つだろう。ちなみに関西騎手の3着2回はルメール騎手だ。

【関西騎手騎乗の馬】

・1ディアスティマ(北村友騎手)
・6ナムラカミカゼ(酒井騎手)
・13アイアンバローズ(岩田望騎手)
・14エドノフェリーチェ(Mデムーロ騎手)

【外国人騎手騎乗の馬】

・3マンオブスピリット(ドイル騎手)
・7シルヴァーソニック(レーン騎手)
・10ベスビアナイト(マーカンド騎手)

☆上がりの脚がレースの明暗をわける

上がり3Fは重要なファクターで1位の馬は【8-1-1-1】とほぼ完璧な成績だ。2位の馬も【1-1-5-3】と複勝率では悪くないため上がりの脚を使える馬は積極的に狙っていきたい。一方、4位以下の馬たちは【1-4-3-92】と絡んできてはいるが複勝率はかなり悪い。相手に選択する際は慎重に検討する必要があるだろう。

【過去の戦績で上がり3F3位以内率上位の馬】

1位 エドノフェリーチェ 78.3%(18/23)
2位 ディバインフォース 77.8%(21/27)
3位 ベスビアナイト 66.7%(10/15)
4位 プリュムドール 58.8%(10/17)
5位 アイアンバローズ 52.4%(11/21)

☆リピーターが強いレース

ステイヤーズSは芝3600mという特殊な条件ということもあってリピーターが非常に強いレースだ。過去に同レースで3着以内にきたことのある馬の成績は【6-3-2-11】。アルバートが3連覇したこともあるが、この条件以外では好走が目立たない中での成績だけあって、過去に好走歴がある馬は近走の着順に捉われず狙っていくのが良いだろう。

【ステイヤーズSで3着以内に好走したことがある馬】

・シルヴァーソニック(21年3着)
・ディバインフォース(21年1着)
・アイアンバローズ(21年2着)

データ面で1つもマイナス要素がなかったのはユーキャンスマイル、マンオブスピリット、プリュムドールの3頭。

プリュムドールに関しては牝馬が【0-0-1-5】と勝ち馬が出ていないので少し割引は必要かもしれない。ここからは前走不利データを取り上げていく。



■前走不利データ

☆ディアスティマ 京都大賞典5着

ディアスティマの前走は京都大賞典。靭帯炎の休養で中61週でのレースだった。近年は外厩の発達によって休み明けでも力を発揮できる馬が多いが1年以上の長期休養となると話は別。17年以降OP以上のレースで中60週以上で出走した馬の成績は【2-1-1-63】。すべての率において水準以下となっている。そんな中で5着まで残したのはディアスティマの自力の高さで、叩いた今回は条件好転だ。

☆ユーキャンスマイル アルゼンチン共和国杯7着

ユーキャンスマイルの前走はアルゼンチン共和国杯。アルゼンチン共和国杯は前走G3組の成績が奮わず12年~21年の10年間で【0-0-1-14】。新潟記念(G3)からの臨戦だったユーキャンスマイルにとっては不利なデータだった。ローテーションに関しては今回条件好転で、好走データに当てはまっている。



■血統解説

・ユーキャンスマイル

父キングカメハメハは母の適性を引き出すのがとても上手な種牡馬で様々なカテゴリーで活躍馬を輩出している。本馬は全妹に愛知杯勝ち馬のルビーカサブランカ、母は府中牝馬S勝ち馬で秋華賞2着のムードインディゴという血統。日本での牝祖は伊G3オメノーニ賞連覇のリープフォージョイ。父キングカメハメハもどちらかといえば晩成傾向があるが、母系はそれ以上に成長力があって古馬になってからも重賞戦線で活躍している。母父ダンスインザダークの影響も受けていて芝3000超では天皇賞(春)を除けば【2-2-1-1】と適性を見せている。上積みこそ大きくないが末脚の質は健在でここでも存在感は見せてくれるだろう。

・ディバインフォース

父ワークフォースは凱旋門賞馬。産駒には豊富なスタミナとタフさを受け継ぐことが多くて、芝中長距離が主戦場。日本での牝祖は祖母エスユーエフシー。叔父にはアーリントンCや函館記念3着のミッキーブンブン(父ダンスインザダーク)、目黒記念勝ち馬のルックトゥワイス(父ステイゴールド)がいる血統だ。4代母の分岐からはTwice OverやDamascusが出ていてスタミナの下地は元々あったが、ゼンノロブロイ→ワークフォースとつけられた本馬はよりスタミナを強調したタイプに出た。スピード性能は高くないので、3000超の今回のような舞台でこそ輝く1頭だ。



■Cアナライズからはディバインフォースを推奨!

ユーキャンスマイルも好走傾向とかなり当てはまる箇所が多いので、このまま素直にユーキャンスマイルという選択肢もあったが馬体重が気になった。ステイヤーズSでは馬体重500キロ以上の馬は【0-2-1-27】と結果が出ていない。ユーキャンスマイルは前走500キロちょうどで今回400キロ台での出走が叶うかもしれないが、これまでの馬体重の推移を見ていると500キロ台での出走になる可能性が高い。そうなると次点で上がってくるのはディバインフォースだ。前走京都大賞典ということで勝ち馬が出ていないローテーションというマイナスポイントはあるが、それ以外はすべてクリアしていてリピーターという加点要素がある。血統的にもばっちりの一頭で、調教でもダノングリスター相手にやや遅れはしたものの、持ち前の持続力はしっかり見せてくれた。昨年の覇者を改めて狙ってみたい。


貴 シンジ

牝系研究家・競馬ライター

獣医師堀田茂氏に感銘を受け血統の世界へ。馬体と血統は表裏一体であり牝系こそがサラブレッドの根幹であると考え、日夜サラブレッドファミリーの研究を行う牝系研究家。SPAIA競馬でも記事連載中。

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