牝系研究家ジェンティルが先週のレースの勝ち馬から気になる一頭をピックアップする恒例のコーナー!
今週はジェンティルがこの馬ならシルクに入りたい!と思って申し込んだもののあえなく落選となったピラミマの20ことバロッサヴァレーをピックアップ!
レース概要
9/25(日)
中京5R 2歳新馬 芝2000m 良馬場
1着 バロッサヴァレー
2着 シルヴァーアーマー
3着 マラマ
勝ち馬プロフィール
牝馬
父 ハーツクライ
母 ピラミマ
母父 Unbridled’s Song
クラブ シルクホースクラブ
ファミリーNo. F1-a
厩舎 高野厩舎(栗東)
レース回顧
「良血馬が堂々デビュー!兄を彷彿とさせる末脚は怪物の足音」
1番人気は池江泰郎元調教師の所有馬で息子の管理馬であるマクフィ産駒のシルヴァーアーマーが1.9倍。
2番人気には当歳セレクトで6000万円近い値がついたダノックスのハーツクライ産駒ダノンクロムで4.3倍。
3番人気にバロッサヴァレーで4.6倍。
4番人気はスピルバーグ産駒のセオが続き9.4倍。
4頭が10倍を切るオッズだったが、シルヴァーアーマーが抜けた人気でそれを2頭が追いかける形のオッズだった。
バロッサヴァレーに関して言えば幼さの残る馬体で、まだまだ成長途上といったところ。
そのあたりが嫌われての3番人気だっただろうか。
ゲートは若干の出負けをしたバロッサヴァレー。
出た直後に挟まれたのも痛かった。
1コーナーの入りは後方3番手あたりで入る。
隊列としては少頭数らしくすんなり決まって、ヴァモスタイテーがハナを叩いた。
向こう正面に入って残り1000の標識を通過。
この時点ですでにヴァモスタイテーは馬群に6馬身から7馬身のリードをとった単騎逃げの形になっていたが1000m通過は62秒4。
バロッサヴァレーあたりでは64秒以上かかっていただろう。
新馬戦らしくスローな展開だ。
鞍上の北村友騎手もさすがに向こう正面中間点から進出を開始。
3コーナーの入りでは馬群の2~3番手につけて単騎のヴァモスタイテーを追いかける形となった。
4コーナー、1番人気のシルヴァーアーマーと併せ馬であがっていくバロッサヴァレー。
直線を向いて先頭を行くヴァモスタイテーとの差は5馬身。
バロッサヴァレーの北村友騎手、シルヴァーアーマーのルメール騎手ともにムチを入れる。
ラスト300あたりで2頭がヴァモスタイテーを捕まえた。
そこから少々たたき合いが続いたが、バロッサヴァレーが地力の違いを見せつけて、終わってみれば1.1/2馬身差で突き抜けた。
勝ち時計は2分1秒9。
特筆すべき時計ではないが、余力十分の勝ち方だった点や、幼すぎる馬体、血統面から感じ取れる成長力などを加味すれば新馬勝ちできたことに価値があり、今後の成長に期待が持てる。
余裕のあるローテーションを早期から組めるようになったのは非常に大きいだろう。
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母ピラミマは現役時2戦して未勝利。
日本での牝祖は祖母のキャリアコレクションだが、この牝系は母のピラミマの方が有名だ。
ピラミマの産駒にはきさらぎ賞(G3・芝9F)で2着しその後OP馬となったバンドワゴン、大阪杯(G1・芝10F)とジャパンカップ(G1・芝12F)を勝ったスワーヴリチャードがいる。
そして本馬はそんなピラミマの11番仔でスワーヴリチャードの全妹という良血馬。
日本での活躍は芝の中距離以上の路線に偏っているが、この牝系は芝ダートの二刀流牝系。
ピラミマの半妹であるトップライセンスも芝ダート両方で勝ち鞍があるように同じファミリーでも配合次第ではダートもしっかりこなしてくる。
これは祖母がダートの2歳重賞を2つ勝っている点からも感じ取れる。
いずれにせよ高い持続性能と成長力が持ち味のファミリーだ。
脚をテンから出すのか終いで伸ばすのかの差といったところだが、本馬の場合は現状中団から持続的な脚を繰り出すのが合っているだろう。
芝ダートの二刀流牝系と言ったが、本馬はスワーヴリチャードと結構似ている。
スラっとした馬体からも芝の中距離馬であることは間違いなく、来年のオークスが大目標となる一頭だろう。
ライタープロフィール
ライター:ジェンティル(貴シンジ)
牝系研究家・競馬ライター
獣医師堀田茂氏に感銘を受け、生物学・遺伝学の観点からサラブレッドの血統を分析。牝系こそがサラブレッドの根幹であると考え、日夜サラブレッドファミリーの研究を行う。個人ブログ『牝系研究者の一口馬主メモ』では月間11万PVを達成。
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