【回顧】香港国際競走2023で5年ぶりの日本馬未勝利…苦戦の要因を探る byジェイ

ジェイ
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どうも、ジェイです。
今回は香港カップデー2023で日本馬が苦戦した理由について考察する回顧記事を書いていきます。
よろしくお願いいたします。

香港国際競走で5年ぶりの日本馬勝ち星0

香港カップデーの馬券発売対象となる4レース、香港ヴァーズ、香港スプリント、香港マイル、香港カップ。

上記の4レースで日本馬が未勝利で終わるのは実に2018年以来、5年ぶりの出来事だそうです。

今年は13頭がこの大舞台に挑戦しましたが、確かにG1馬は4頭で、キャリアの浅い馬が挑戦的な位置づけでレースに臨んだ部分も少なからず影響したのかもしれません。

撮影者:Daesoo HAN

また、ゴールデンシックスティやロマンチックウォリアーなど、地元香港のスターホースがしっかりと力を発揮したところも、日本馬にとっては高い壁だったという部分もあるでしょう。

ただ、それにしても今年は日本馬が苦戦を強いられ、逆に地元香港馬の人気薄の馬が馬券に絡んだ印象がありました。

同時視聴のライブ配信を私はYouTubeで行っていましたが、特に今年は荒れていて難しいレースが多かったなという感じながら馬券を外し続けていました。

ちなみに今回の私の予想を振り返ると…

・香港ヴァーズ ◎ウォームハート 3着

・香港スプリント ◎ウェリントン 3着

・香港マイル ◎カリフォルニアスパングル 13着

・香港カップ   ◎ロマンチックウォリアー 1着

とそこそこの馬券内率は誇ったものの、穴馬が抜けるなど、決して褒められた予想ではなかったと考えています。

その反省も込めて、今回のボタンの掛け違えがなぜ起きたのかを分析していきたいと思います。

苦戦の理由は馬場?

私の大きな反省として、馬券発売初戦となった、香港ヴァーズの勝ち時計をしっかり見ていなかったところがあります。

これはもう大反省です、配信のコメント読みと次のレース予想を離すことに夢中になってしまいました。

そもそも、香港ヴァーズで危険な人気馬として勝ち馬のジュンコを上げていました。

これはヨーロッパでも特に馬場の重いドイツでの戦績に良績が偏っており、良馬場のスピード勝負となったときには敗れていたこれまでの戦績を見て、香港の良馬場のスピード馬場には対応できないだろうと考えたためです。

しかし、結果的にはジュンコが1着に。

撮影者:Daesoo HAN

「ジュンコには実はスピード馬場対応能力があったんだ、だから香港遠征を陣営は決めたのかな」とレース終了直後は考えていましたが、今振り返ると「いや待てよ」です。

香港ヴァーズの昨年の勝ち時計、ウインマリリンが制覇した年ですがこれは良馬場で2:27:53。

一昨年のグローリーヴェイズが制覇した年も良馬場で2:27:07。

少し遡ってグローリーヴェイズとラッキーライラックの日本馬ワンツーで日本馬が特に躍進した2019年は良馬場で2:24:77とかなりの高速馬場でした。

対して、今年のジュンコの勝ち時計は2:30:12と例年よりもかなり遅い時計です。

これが何を意味するのか、2023年のシャティン競馬場は例年よりも時計がかかるタフな馬場で、日本馬には不利だったのではないかということです。

その視点で振り返ってみると、ラッキースワイネスが制した香港スプリントの勝ち時計は1:09:25。

撮影者:Daesoo HAN

これは近5年で最も遅いタイムで、昨年以前はすべて1分8秒台決着でした。

香港マイルも同様で、勝ち馬ゴールデンシックスティはこれで3度目の同レース勝利ですが、3年の中で今年の勝ち時計1:34:10は最も遅く、近5年のタイムを見ても今年が一番遅いです。

そして最後の香港カップ。

撮影者:Daesoo HAN

こちらはロマンチックウォリアーが連覇を達成しましたが勝ち時計は2:02:00。去年同レースを制したロマンチックウォリアーは1:59:70で走破していますから、今年の馬場は時計がかかる馬場だったのかということがよくわかります。

つまり、最初の香港ヴァーズで重馬場巧者のジュンコが好走したのはフロックではなく、こういったスタミナ系の馬が好走しやすい馬場がこの日のシャティン競馬場だったのだ、ということなのではないでしょうか?

そうなると、当然軽いスピード馬場でのレースに強い日本馬にとっては適性的には不利になるケースが多いでしょう(もちろん細かく見ていくと重い馬場の方が得意な日本馬もいるでしょうが全体像として)。

これが、今回日本馬が苦戦した大きな要因になっていたのではないかと私は考えています。

しかし、香港カップデー近辺の香港の天気予報は晴れ予報で、当日も馬場コンディションはGOOD。

つまり良馬場でした。

それなのになぜ、時計がかかるスタミナ馬場が出現したのかを次の章で考察していきます。

馬場に関する報道と考察

シャティン競馬場の今年の馬場状態について調べているうちに、気になる報道を見つけました。

Qシャティン競馬場のコンディションについて?
パートン騎手「ここ1か月は天気も良くて、ウインターグラスも良く育ち始めている。とてもいい状態です。」
2023年12月10日東スポ競馬より引用

ウインターグラス(冬芝)がよく育っているというのです。

詳細な品種は示されていませんが、寒冷用の洋芝=重いという印象を筆者は持っているのですが、これは正しい認識なのか?もう少し調べてみました。

すると、こんな興味深い記事を見つけました。

こちらは去年のレース前に配信されたスポーツ報知の記事です。

香港ジョッキークラブの馬場担当のパコ・エグゼクティブマネジャーが、今年の馬場について解説した。
今年、香港は例年より高温で、11月の平均気温が過去3番目に高い気温を記録している。そのため、「11月は1・2度くらい高い。それが影響して、ウインターグラスの生育が悪い。丈の長さは変わらないけど、いつもより密集していない。調教師が硬いと感じているようですが、そのためでしょう」(中略)「3年前も関係者に速いと言われた。明日(11日)も天気がいいので、どんどん速くなっていくと思う」
2022年12月10日スポーツ報知より一部引用

ウインターグラス(冬芝)が育っていないほうが馬場が硬くスピード馬場になりやすい旨のコメントが寄せられています。

ということは、今年はレース前から冬芝が育っているというコメント=「時計がかかりそうだな」という認識を持つことができたのではないか?と思うのです。

ちなみに、冬芝の育成が悪かった3年前とは2019年です。

この年は香港カップをウインブライト、香港ヴァーズをグローリーヴェイズ、香港マイルをアドマイヤマーズが制覇して4戦3勝と日本馬が非常に活躍した年でした。

そして2022年も香港ヴァーズをウインマリリンが制覇しています。

来年以降、この時期のシャティン競馬場の馬場状態を考える1つの指標として、冬芝の育成状況のコメントに注目してみるというのもいいかもしれないなと感じました。

来年、忘れないようにしないといけませんね。

香港馬のレベル

最後に、馬場適性云々を差し引いて、香港馬のレベルが底上げされているのではないかと今年のレースを見ていて感じました。

ゴールデンシックスティやウェリントン、ラッキースワイネスに、ロマンチックウォリアー等、数々の名馬がその能力をいかんなく発揮したのはもちろんですが、それ以外の地元馬たちもかなりレベルが高いなと感じました。

例えば、香港スプリントで2着に入った単勝人気137倍のラッキーウィズユーは重賞未勝利馬で、リステッド勝ちすらなく、勝ち鞍はハンデ戦ばかりという戦績の馬でした。

また、単勝人気125倍で香港マイルで2着に入ったヴォイッジバブルは前哨戦のJCマイルで3着が最高成績。

リステッド勝ちはあるものの、重賞は未勝利だった馬です。

馬券内には来ていませんが香港カップ4着だったストレートアイロンも、G1は2度目の挑戦で最高戦績はG2勝ちという馬です。

地元エース級の有名馬以外にも馬券内や掲示板内に来ることが多かった今年のレースを見ていて、香港競馬のレベルが高くなってきているのではないかと感じました。

今年は時計がかかる馬場だったため、地の利が生きた可能性もあり、ここは継続的に見ていく必要があるとは思いますが、少し香港馬の人気薄馬の取り扱いについて今後考え直さなければいけないかもしれないと、今年のレースを見て感じた次第です。


ジェイ

現役地方&海外馬主・競馬ライター

登録者5000人超え&累計再生250万回超えの一口馬主YouTuber。豪州競馬会員制コミュニティJJ Racing Club 共同代表。社会人1年目から一口馬主を始め、キャロット・シルク・ノルマン・ロード・DMMバヌーシーの5クラブに入会。地方個人共有とRSS や中條厩舎の豪州共有に加え北米MRHでマイクロシェアを行う。血統スタッツや馬体・歩様を重視していて代表馬はトゥルーフェアリー、ロードヴァレンチ、ミスティックロア等。

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