今回は日本馬マッドクールとサンライズロナウドが出走し日本でも馬券発売が行われる香港のチェアマンズスプリントプライズ2024の予想をお伝えしていきます。
よろしくお願いします。
コース分析
シャティン競馬場は香港の競馬場です。
芝コースをメインとし、内側には主にローカル戦で使用されるオールウェザーコースも配置されています。
坂はなく平坦であり、日本馬も多数活躍している競馬場です。
ドバイやサウジなど中東や香港、アメリカで日本馬が活躍できるのはこの平坦コースが理由だと私は考えています。
逆に凱旋門賞が行われるパリロンシャンをはじめとして、欧州の高低差が大きい競馬場では日本馬は苦戦傾向にあると思います。
芝は洋芝で、時計的には札幌や函館と近いです。
バミューダグラスにペレニアルライグラスをオーバーシードしたドバイのメイダン競馬場と同じ構造ですね。
洋芝ですが欧州の競馬場などと比べると軽さがあり、日本馬も力を発揮しやすい舞台と言えるでしょう。
直線の入り口からゴールまでは430mあります。
最大幅員は30.5mと山競馬場の32mより少し狭いですが、国際G1はフルゲートが14頭に設定(中山の芝レースは最大18頭)されており大きな影響はないとされています。
チェアマンズSPは過去10年で地元香港馬が9勝と圧倒的な強さを誇っています。
海外馬は近10年で見ると、2016年にオーストラリアのシャトークアが勝利した1勝のみです。
日本馬はダノンスマッシュやナックビーナスなどが挑戦しましたが、優勝歴はありません。
また、このレースは内枠先行勢が圧倒的に有利なので枠順も重要となります。
過去傾向
2023年
着順 | 馬番 | 馬名 | オッズ | 性 | 齢 | 重量 | 騎手 | タイム 着差 | 調教師 | ゲート番 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | ラッキースワイネス | 1.2 | セ | 4 | 57 | Z.パートン | 1:08:38 | K.マン | 6 |
2 | 4 | クーリエワンダー | 48.2 | セ | 5 | 57 | H.ボウマン | 3 1/4 | J.サイズ | 4 |
3 | 2 | ウェリントン | 6.7 | セ | 6 | 57 | A.バデル | 4 1/2 | R.ギブソン | 2 |
4 | 3 | サイトサクセス | 16.0 | セ | 6 | 57 | J.マクドナルド | 5 1/2 | J.サイズ | 1 |
5 | 7 | アグリ | 6.9 | 牡 | 4 | 57 | C.デムーロ | 6 3/4 | 安田隆行 | 8 |
2番手追走した圧倒的人気馬ラッキスワイネスが人気に応えて勝利。3着ウェリントンも前目の競馬だったが、人気薄ながら2着に入ったクーリエワンダーはシンガリ追走からの追い込みを決めた。
基本前有利だが、このレースでは差しも馬券内に届いたレースだった。日本馬アグリは5着。
2022年結果
1 | 2 | ウェリントン | 2.9 | セ | 5 | 57 | A.バデル | 1:08:09 | R.ギブソン | 8 |
2 | 9 | コンピューターパッチ | 20.0 | セ | 5 | 57 | M.チャドウィック | 1 1/4 | K.ティン | 1 |
3 | 1 | スカイフィールド | 5.8 | セ | 5 | 57 | B.シン | 1 1/4 | C.ファウンズ | 6 |
4 | 7 | スーパーウェルシー | 26.0 | セ | 6 | 57 | L.カリー | 1 1/4 | D.ヘイズ | 5 |
5 | 5 | ホットキングプローン | 14.0 | セ | 7 | 57 | J.モレイラ | 2 1/4 | J.サイズ | 3 |
↑良馬場で開催。中団後方に控えて差脚をしぶとく伸ばしたウェリントンが勝利、連覇を達成しました。
3番手追走で4角で早めから押し上げて行って直線では内目を使ったコンピューターパッチが2着と、差しも決まるし前も残せるという競馬でした。
鋭くびゅっと伸びるというよりはジリジリと良い脚を使う馬が最後に残ったというような印象のレースでした。
日本馬の出走はありませんでした。
2021年結果
1 | 6 | ウェリントン | 7.1 | セ | 4 | 57 | A.バデル | 1:08:64 | R.ギブソン | 3 |
2 | 4 | コンピューターパッチ | 19.9 | 牡 | 4 | 57 | M.チャドウィック | 1 1/2 | A.クルーズ | 7 |
3 | 13 | スカイフィールド | 56.0 | セ | 4 | 57 | B.シン | 1 1/2 | C.ファウンズ | 1 |
4 | 11 | ヴォイッジウォリアー | 104.9 | セ | 5 | 57 | R.マイア | 2 1/4 | P.イウ | 6 |
5 | 3 | ウィッシュフルシンカー | 42.2 | セ | 7 | 57 | K.リョン | 2 3/4 | C.イプ | 10 |
↑中団前目追走のウェリントンが鋭い末脚で差し切って勝利。
2着のコンピューターパッチは逃げて内ラチ沿いで粘り2着に残しました。
3着のスカイフィールドはウェリントンより内目を追走していましたが、ポジションはほぼウェリントンと同じくらい、5−6番手あたりでした。
このレースは中団からの差しが決まりましたがしっかりと逃げ馬も残っているので、差しもある程度決まるし逃げも馬券内に絡めるという印象です。
流石に最後方からの追い込み・捲りは厳しそうな雰囲気でした。
日本馬からはダノンスマッシュが挑戦し、6着でした。
予想の方向性
先行力がある馬を基本的には狙っていきたい。また、内枠が有利な舞台なので外枠の馬はマイナス、内枠の馬の評価を上げる形で検討する。
レースまで雨予報続きなので馬場はそこそこ渋る前提で予想を組み立てる。あまりにも内が悪ければ当日再考。
印
◎カリフォルニアスパングル
〇ビクターザウィナー
▲インビシブルセージ
△マッドクール
☆ラッキーウィズユー
☆リトルブローズ
注ビリービング
各馬評価
◎カリフォルニアスパングル
元々マイル路線で活躍していた香港馬だが、去年11月ごろからスランプに。
しかし今年3月のクイーンズシルバージュビリーカップに新コンビとなったアブドゥラ騎手とともに挑み、直線でしぶとく粘る強い競馬で久々のG1勝利。
その後挑んだ直線1200mのメイダンのアルクオーツスプリントも早めから抜け出し着差以上に危なげない勝利をおさめている。
去年10月から長い休養がなく、7戦戦っており直近は国外遠征ということでお釣りがどれだけあるかという不安はあるが、戦える状態にあるのであれば前有利のこの舞台では有力になるだろう。
アルクオーツスプリントで直線短距離レースを制するスピードがあるのであれば、このレースでスピードが足りないことはないと考えられるし、この時倒したメンバーはスターオブミステリーやBCマイル3着のカサクリード、前年覇者ダンヤーなど骨っぽいメンバーであり、決してメンバーレベルが低かったということもないだろう。
いつも通りのレースに持ち込めれば、馬券内に来る可能性は十分高いだろう。
これまで良馬場ばかりの出走で、馬場が渋ったときは正直未知数。
内があまりにも荒れて逃げ馬が全く残らないようなトラックバイアスであれば再考の余地はありそうで、頭固定では買いにくいかもしれない。
〇ビクターザウィナー
内枠に入り好走条件がもう1つプラスされた。
こちらは日本からの遠征帰りではあるが、前走の高松宮記念では正直馬場的にはあまり伸びない外側に直線出してしまったにもかかわらず、3着に粘りこんでおり、その実力は侮れない。
この舞台に相性がいい逃げ・先行脚質でありつつ、すでに重馬場適性を示しているだけに馬券内信頼感は高い。
この時の勝ち馬マッドクールと2着のナムラクレアはインのラチ沿いのグリーンベルトを使っており、能力的な差はそこまで大きくないのではないかと考える。
また、前回は日本への遠征だったが今回は地元香港での開催になることを鑑みると、マッドクールとの力関係はこの舞台ではビクターザウィナーの方が上になる可能性まであるだろう。
今年1月のセンテナリースプリントカップではラッキーウィズユーやウェリントン、ラッキースワイネスなどの強豪馬を撃破して、逃げ切り勝ちをおさめており、ハイレベルな香港スプリント路線でも通用しているのは心強い。
どちらがハナを切るか不明だが、前2頭がそのまま突っ込んできて後ろ届かず馬券がちがちパターンは目に浮かぶため点数は絞り目でいきたい。
馬場が大幅に悪化していればこちらの評価を上げる可能性はある、ここは当日の馬場を見ながら判断か。
▲インビシブルセージ
3番手は重賞未勝利馬ながら、そのポテンシャルは十分評価できると考えるインビンシブルセージを取り上げる。枠もいいところに入った。
直近のレースでは中団~前目につける競馬で(かつては追い込み型)着を安定させており、前走スプリントカップは良馬場開催ながら降雨の影響でややタフな馬場だったらしく、この馬場状態でラッキースワイネスの0.1秒差2着と粘っているのは心強い。
もちろんラッキースワイネスにとってメイチレースではないと思うので、その分は割り引いて考える必要はあると思うが、馬場が渋るのであればいきなりここで通用してもおかしくない。3~5番手当たりで有力馬を前において競馬ができればロスなく立ち回れるのではないか?
△マッドクール
良馬場パンパンのスピード勝負であれば分が悪いと思うし、日本馬なのでオッズ的なうまみは少ないが、前走高松宮記念でビクターザウィナーに勝利したのは評価できる。
もちろん、経済コースを回り内ラチ沿いのグリーンベルトに乗った好騎乗が光った感も否めないが、それでも今回上位人気馬に重馬場への不安がある馬が多い中ですでに重馬場適性を一線級のレースで示しているのは心強い。
とはいえ、お世辞にも今の日本国内スプリント路線は香港と比べてレースレベルが高いとは言い難い状況で、今回のメンバーを倒すためには何らかの後押しが必要だと考える。
そのあと押しが今回は雨であり、有力馬たちが苦戦するのであれば…。
今の日本国内スプリンターでナムラクレアと並び、数少ない香港で通用する可能性がある馬だと思う。
とはいえ、香港のスプリント路線の層の厚さを考えれば中心視はしづらいのも正直なところ。
フルゲートではないとはいえ、大外枠に入ってしまったのはマイナス。
ここから勝てれば相当なもの。
☆ラッキーウィズユー
去年の香港スプリントとセンテナリースプリントカップでは中団から差し脚を伸ばし2着とG1制覇は時間の問題かと思われたが、その後2戦は同じように中団から末脚に賭ける競馬をしながらも連続して9着と苦戦傾向。
特に前走スプリントカップでは仕上げ不足だった部分もあるのかもしれないが、ジョッキーは馬場が重くてきつかった的なコメントをしており、今回のレースの天気予報(雨予報)であれば正直レーティングの割には軽視したい1頭。
実力は足りている馬なので、外差しがある程度決まっているような馬場であればとりあえず抑えておくべきかなと思うが、有力馬の中では評価は低め。外枠に入ったのもマイナスだろう。
☆リトルブローズ
オーストラリアの短距離路線の中でも、黄金ローテを戦ってきた馬。
日本で言う、牡馬クラシック路線を歩んできたようなもので、馬柱的には物足りなく感じるかもしれないが、戦ってきたレースが非常にハイレベルで、オーストラリアの次の種牡馬を決めるようなレースばかり。
香港に移籍になったと言うことは、豪州での種牡馬への道は厳しいと言う判断なのかもしれないが、2歳のときに勝利しているブルーダイヤモンドSはこれだけで種牡馬入りできるほど、価値のあるレース。
その後のゴールデンスリッパーはオーストラリアのスプリンターの頂上決戦のようなレースだし、稍重や重馬場で馬券内に来た経験もあるので、タフな馬場も苦にしにくいだろう。
直近2戦は距離が長かったものだと仮定すれば、度外視できるし、内枠の3番ゲートからの発走も良い。
中団あたりにつけてロスなく競馬できれば馬券内の可能性は十分あるだろう。
レーティングが低くても侮れない1頭。
注ビリービング
唯一のヨーロッパからの参戦。
本来ならレベルの高い香港スプリント路線な馬に欧州スプリンターは通用しないケースが多いような印象はあるが、今年は降雨によりヘビーな馬場になればこの馬の浮上があるかもしれない。
枠も内枠を引けていて不気味。
前にポジションをとる馬ではないが、中団くらいで競馬をしてくれればワンチャンあるかもしれない。
直線レースでの競馬が多いが、過去にはヨーロッパの中では時計の早いシャンティイの重馬場でG3を制覇した経験もあり、今回のシャティン競馬場に馬場的には近い状況で活躍歴があるのはプラス。
2走前の短距離直線G1では内の2頭が抜け出す中、唯一外を通って差のない3着に来ているが、このレースはややメンバーレベルに疑問が残り、勝ち馬リージョナルは重賞未勝利馬のため、ここは冷静に考える必要はあると思う。
良馬場〜稍重なら力がたりないと思うが、重馬場以上で人気薄であれば紐に入れても面白いかもしれない。
印をつけなかった馬
ムゲン
中団あたりから競馬をするタイプなので脚質的にはラッキーウィズユーに近い馬、前が止まらないような馬場だと割引必要だが、ある程度好位差しが決まる、外が伸びる馬場であれば評価を上げておきたい1頭。
注目に値するのは2走前で2着だったClass1の条件戦。
ムゲンは斤量が軽くハンデがあったとはいえ、このレースで着差の無い1着だったレッドライオンはその後クイーンズシルバージュビリーカップで3着。
その後のチェアマンズトロフィーでも3着と重賞でも馬券内に来ており、特にジュビリーカップはメンバーレベルも高いG1だった。
このレッドライオンを物差しとすると、本馬もG1クラスでも十分馬券内に来られるポテンシャルは持っていると考えることができる。
重馬場経験はないため馬場が渋った場合の適性は未知数ではあるが、印をつけなかった馬の中では最も注目に値する1頭だと思う。
サンライズロナウド
レーン騎手を確保できたのは大きいが、今の日本のスプリント路線のレベルを考えたときに国内G3にも手が届いていない馬がこのレースレベルで馬券内に来るのはかなりハードルが高いと思われる。
日本馬補正でオッズも旨みはないと思われるので、ここは馬券的には見。応援はしようと思う。
ハウディープイズユアラブ
前走G2で4着、その前は条件戦でフライングエースと差のない2着と一定の力は示しているが、脚質的に狙いにくい後ろからの馬かつ、ややフライングエースよりも劣る戦績なので狙いにくい。
このグルーピングの馬を狙うなら、フライングエースの方が魅力的に見える。
フライングエース
G1センテナリーカップ5着馬、このレースを見ていると上がりはしっかり使えているし、ポジションが後ろだったから届かず5着だっただけで、もう少し前で競馬ができていれば馬券ないもあり得るくらいの手応えだった。一定の能力はあると思う。
ただ、この馬は毎回こんな感じで、前走G2で3着にきているもののこのレースも後ろから。
今回のレースレベルを考えるといい脚を使ったけど掲示板止まりくらいかな?と予想する。ハウディープイズユアラブと近走成績が近く、脚質も似ているため同じグルーピング。少しこちらの方が優勢か。
現役地方&海外馬主・競馬ライター
登録者5000人超え&累計再生250万回超えの一口馬主YouTuber。豪州競馬会員制コミュニティJJ Racing Club 共同代表。社会人1年目から一口馬主を始め、キャロット・シルク・ノルマン・ロード・DMMバヌーシーの5クラブに入会。地方個人共有とRSS や中條厩舎の豪州共有に加え北米MRHでマイクロシェアを行う。血統スタッツや馬体・歩様を重視していて代表馬はトゥルーフェアリー、ロードヴァレンチ、ミスティックロア等。
—最近の私––
Bluetoothでスマホと接続可能なスピーカー。重低音がとても強調されるので洋楽やアップテンポな曲が好きな私のお気に入り。防水機能つきなのでお風呂に持ち込んで音楽を聴きながら本を読むのが毎日の楽しみ。
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