
私も会員のDMMバヌーシーで追加募集されたサンライトの23について検討していきます。
見解は全てジェイの私見であり、結果を保証するものではありません。出資は自己責任でお願いいたします。
ジェイの主な共有馬はトゥルーフェアリー(G1ATCオークス・G1ヴァイナリースタッドS出走)リッチシャンパン(豪4勝)ドーンエクスプレス(川崎2勝)リレーションハート(門別・大井各1勝)ハッピーゲート(大井新馬勝ち)出資馬は、ロードヴァレンチ(オープン)ミスティックロア(オープン)ベストミーエヴァー(スイートピーS3着)などです。
サンライトの23について
サンライトの23とは私も参加した今年1月にオーストラリアのゴールドコーストで行われたマジックミリオンズゴールドコーストイヤリングセールに上場されており、320万ドルというレコード(当時の1豪ドル約100円で換算すると3.2億円)で中内田調教師がDMMバヌーシーと共に落札した牝馬です。
今回は繁殖導入も見据えての購入だと予想されます、おそらく繁殖価値分をクラブ側で割引いた1.8億円の3000口募集、1口6万円で追加募集の案内がされました。
個人馬主や豪州でも散見される、リースという形に近いですね。
引退後は繁殖として無償譲渡or安価に譲る代わりに、頭金を安くする(割引する)という方法です。
今回は正式に追加募集案内が出ましたので本馬について改めて考察していきたいと思います。
ちなみにサンライトの23についてはオーストラリアのNSW州で調教師をしている中條師にも以前お話をいただきましたので、そちらの動画もぜひご覧ください。
セリ時点で歩様のバネ感や推進力があり、また手先の軽さがありそうでスピードがありそうな印象を受けますね。
筋肉もしっかりついており、牝馬ながら牡馬のようなたくましい馬体をしているなと感じます。
セリ時点での情報とカタログへのリンクは以下のとおりです。
Lot: 1007
Type: Yearling
Vendor: Coolmore Stud, Jerrys Plains, NSW (As Agent)
Sire: Home Affairs (AUS)
Dam: Sunlight (AUS)
Colour: Bay
Sex: Filly
DOB: 06 September 2023
Bonus Schemes: BOBS Eligible
COB: AUS
Buyer: Mitsu Nakauchida, JAPAN $3,200,000
https://catalogue.magicmillions.com.au/lot/25GPR/1007
血統

父ホームアフェアーズ
クールモアオーストラリアで種牡馬入りしている新種牡馬です。
2024年種付け料は$82,500とまだ実績のない新種牡馬としてはかなり高額で、その期待の高さが伺えます。
現役時代は早期短距離戦線で活躍。2歳でG2シルバースリッパーステークス(1200m)を制覇すると2歳短距離の頂上決戦となるG1ゴールデンスリッパーステークス(1200m)に出走。
残念ながらここでは8着に沈み、3歳シーズンで臨んだ超高額賞金レースのジ・エベレストも9着に沈みました。
しかしその後G1クールモアスタッドS(1200m)とG1ライトニングS(1000m)を連勝。
ライトニングSは1000m直線レースで、映像を見ると勝負根性を見せて粘り強く勝利するホームアフェアーズの様子が見てとれます。
At 2
1st – Iron Jack Silver Slipper Stks (1100) Gr.2
2nd – Canonbury Stakes (1100) Gr.3
3rd – Unsw Todman Stakes (1200) Gr.2
At 3
1st – Coolmore Stud Stks (1200) Gr.1
1st – Black Caviar Lightning (1000) Gr.1
1st – Petaluma Heritage Stks (1100) LR
父アイアムインヴィンシブルは豪州リーディングサイアーランキング上位常連のトップサイアーの1頭。現時点では3位となっていますが、これまで3年連続リーディングサイアーに輝いたこともある名種牡馬です。種付け料も3000万円近くとなっており、日本で言うところのディープインパクト的なスーパー種牡馬で後継種牡馬も多く出ています。
<参考リンク>
https://www.breednet.com.au/sire/premium/home-affairs
https://world.jra-van.jp/db/horse/H1011079
母サンライト
24戦11勝で$6,575,950を稼いだ3歳牝馬のチャンピオン馬。短距離G1を3勝しています。
2歳時にGold CoastMagic Millions 2yo Classicというマジックミリオンズ社のセリ出身馬で行われる高額賞金短距離レース(下記映像参照)を圧勝すると、その後にシルバースリッパーSを勝利。
その後ゴールデンスリッパーSでも3着に入り、G1クールモアスタッドSやG1ニューマケットH、G1ウィリアムリードSなどハイレベルな短距離G1を勝ち進んでいきます。
短距離路線が中心でしたがG1昇格が決まった高額賞金レースゴールデンイーグル(1500m)でも2着に入るなど、マイル程度までなら適応できそうな適性も示していました。
晩年は副管骨手術を行い、休養明けで戦線復帰しましたが、手術前のようなパフォーマンスは発揮できず引退⇨繁殖入りとなりました。
繁殖セールに上場され、クールモアのTom Magnier氏(https://x.com/tommagnier)に$4,200,000で落札されました。
母サンライト産駒では、ジャスティファイ産駒の半兄Dawn Service が6戦2勝でフレミントンのリステッドレースを勝利しブラックタイプとなっています。
この半兄は$1,400,000で2023年に行われたMMGCイヤリングセールで現地トップ厩舎の一つゲイウォーターハウス調教師らが落札しており、短距離を中心にマイルレースまでは使われていることから、やはり母系的にはマイル程度までは対応できるのではないか?と思われます。
また、ウートンバセット産駒の未デビューの半兄は去年のInglis Australian Easter Yearling Sale(日本でいうセレクトセールに相当)でDawn Serviceと同額の$1,400,000で落札されています。
<参考リンク>
https://www.breednet.com.au/horse/sunlight
https://www.breednet.com.au/horse/dawn-service
馬体・歩様
歩様については、DMMの公式歩様動画よりも私はセリ時点の公式映像の方が推進力を感じると言うか、キビキビ歩いているのでよく見えました。飛節も安定してよく見えましたね。セリ公式動画の方を見た印象は、高額だけどこれは相当いい馬だし、大きなところを取れるポテンシャルがあるんじゃないか?と本気で思ったほどです。
ただ、DMMの動画の方は引き手がやや後ろに引きながら歩いているようにも見え、スピードに乗りにくい環境で歩いているようにも見えたので、これは馬の出来が…というよりは歩かせ方の問題な気もしますが、セリの動画よりは迫力に欠けましたね。
しかしこれは歩かせ方の要素が大きい気もするので、私はそこまで気にしなくていいと思います。
トモの筋肉量は牝馬らしからぬものがありしっかりしていますし、筋肉のカットもしっかり浮かび上がっており個人的には好みのタイプではありますね。
やや豪州馬らしいどっしりさもありますので日本のスピード馬場に対応できるかという点はありますが、1200m限定ではなく1400mやマイルなどに母や兄弟馬を考えると伸ばせる可能性もありますし、その辺りで戦えれば十分期待できるのではないかと思いました。デインヒル肌の血統との整合性という意味では、しっかり取れていますよね。
ただ、サイズを見てみると、管囲が19.2cmとやや細めですし体高も150cmと低めですね。
短距離馬なので体高が低いことには目を瞑れるとしても、管囲が思ったよりも細く、上物が450kgと海外輸送で減っている可能性もありますがこれからさらに大きくなるであろうことを考えるとやや心許ない気はしますね。
北半球馬なので現時点で2歳換算になるのですが(実質1.5歳くらい)まだ、シルエット的にもトモが高く見え成長の余地を感じます。
幸い血統的には父も母も早熟性がありましたし、筋肉の感じ的にもゆるゆるというわけではないように僕は見えたので過度に心配していませんが、背が伸びて前後のバランスが崩れるタイミングが来るとすれば一定調教をセーブしなければいけない期間が生じる可能性もあるのではないかと思います。
筋肉はかなり仕上がっているように見えますが、シルエット的には完全に完成しているというわけでもないような気はしました。
ただ、トモの筋肉など見るとやはり良いエンジンを持っているのは間違いないのではないかと思いますね。
あとは懸念点としては
・スプリンター路線での活躍が一般的には難しいとされる牝馬であるということ
・海外産の牝馬であること
・南半球産であるため勝ち上がりへのタイムリミットが短いこと
などがあるかと思います。
この辺りはこの馬体と血統ならば乗り越えられるという判断を下すかというところでしょうか?
適性距離などは違いますが日本の馬の格的なイメージでいうと期待の新種牡馬(ドウデュース?)にチャンピオン牝馬(ラヴズオンリーユー?)との配合という感じでしょうか?さらに上の半兄はしっかりリステッドを勝っているという感じです。
短距離路線の頂を意識しつつ、そこに一枚足りなければ1400mの重賞などがまずは選択肢に入ってくるのかなと思いますね。牝馬なので当然桜花賞も意識したいところではありますが、そこまでに仕上がりと賞金(トライアル権利取り)が間に合うかどうかというところはなかなか難易度が高そうな気もします。
ひとまず条件戦を勝ち上がっていき、古馬になってからスプリンターズSなど大きな舞台への挑戦というのが理想的なモデルケースかと思いますね、ハマれば十分そこまでいけるポテンシャルは秘めている1頭だと思います。
南半球生産馬かつ海外牝馬のデメリット
南半球産馬
南半球は加齢が8月なので、北半球の1月とは異なります。
そのため馬産も8月から10月ごろに集中します、本馬も9月生まれです。
なので南半球で本馬は1歳、今年の8月で2歳になるのですが南半球に移籍する場合は切り上げで1月1日時点で2歳という計算になります。
なので、本馬は南半球にいたときより早く歳をとることになるのです。となると3歳9月ごろで未勝利戦が終わる中央競馬です。
この馬は生まれた時から計算すると、その時点を迎えるのはちょうど3歳になったばかりのころ。その仕上がりで日本の3歳9月時点の未勝利馬には勝っておく必要があるということなのです。
ただ、流石にそれは不利すぎますよね?
なので、南半球産馬には斤量軽減の措置があります。
下記リンクのJRAホームページに南半球生産馬斤量の軽減措置については記載されていますので、詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.jra.go.jp/keiba/rules/weight.html
ちなみに南半球生産馬で日本で活躍した馬としてはキンシャサノキセキ、ロックドゥカンブなどが挙げられます。最近ではオープンまで連戦連勝で駆け上ったインビンシブルパパも南半球産馬で話題になりましたね。
ただ、南半球馬を北半球に移籍させると気候の違いなどから体調を崩すこともしばしば。そういった時間がかかる可能性もあるのでその辺りも頭に入れておくと良いのではないかと思います。
海外牝馬
海外生産馬は内国産奨励賞や内国産牝馬奨励賞もらえないなどの賞金的デメリットがあります。これは意外と知らない方も多いかもしれません、同じレースを勝っても、国産馬と海外産馬では手にできる賞金総額が手当の違いから異なるのです。
しかし、それより海外生産馬の牝馬にとってきついのは下級条件における出走制限です。
未勝利戦や1勝Cなどの牝馬限定レースには出走できませんので、必然的に牡馬混合レースで牡馬相手に戦って勝ち上がっていかなければいけません。
これは、特に南半球生産馬でまず1勝、勝ち上がりをしっかり決められるかという本馬にとって大きなデメリットになると思います。ここはしっかり認識した上で、海外生産馬の牝馬の出資を検討するべきだと思います。
重賞までいけばこの限りではありませんが、条件戦レベルではかなり大きな影響になるので覚えておくと良いと思います。
価格妥当性
本馬は3億円落札という金額を考えると、1.8億円というのはかなりのディスカウントが効いています。
実際、3億円で落札したら3億円払えばいいと思っている方も多いと思いますが、本馬は100%GSTなので実際には消費税で3000万円近く払ってるはずですし、保険料や日本への輸送費などもかかっているので落札価格以上の金額がイニシャルコストでかかっています。
それを考えると1.2億円以上のディスカウントと評価することはできそうです。
この血統の馬で、かつ元々の支払額を考えたら割安に出資ができるとも言えると思います。
ただ、DMMはヴァンビスタ号やマリブオレンジ号の時もそうでしたが、高額牝馬を海外から持ってくるパターンは基本繁殖入りを見据えた導入だと思われます。DMM自体が自家製産でクラブ所属馬を繁殖入りさせ、その産駒を募集するスキームを取っているからです。
本馬も当然繁殖入りを見据えているでしょうから、条件戦レベルの馬で終わった場合でも血統的に考えれば繁殖として1億円以上の価値があると考えているのでしょう。
ただ、1.8億円募集の海外牝馬で回収期待値がどのくらいあるか?と言われるとこれは流石にかなり難しい戦いになるかと思います。前述の通り牝馬にはレース制限もありますし、スプリンターズSの1着賞金が1.7億円ですから、ここを勝てるくらいの馬でないと回収は難しいといえそうです。
当たれば一発、ホームランという感じもしますが、当たらなければ…というような助っ人外国人ホームランバッター系の募集馬だと思いますね。
回収期待値という面で言えば相当厳しい戦いになることが予想されますので、募集馬に回収率を求めるタイプの方はあまり向かない馬なのではないかと思います。
それよりもDMMバヌーシーのコンセプトでもあるドリームを見る、という方針に共感できる方には面白い1頭なのではないかと思いますね。
無事なら繁殖入りもすると思いますので今の所母優先制度はありませんが、自分の出資馬の子供にも出資できるという血をつなぐ楽しみを満喫することはできる可能性が高いのではないかと思います。
私自身は、1万口募集などであれば回収度度外視でオーストラリア馬主もしていますし記念に1口持っておこうかなと思いましたが、3000口募集1口6万円という絶妙な価格設定がされましたので、ひとまずもう少し様子をみようかなと思っています。おそらくすぐに完売することはないと思いますので。
(本音をいえば、この馬自身というよりはこの馬が繁殖入りした後にいい種馬をつけて生まれた産駒に出資してみたいなと思ったりします)
告知
ジェイが馬の見方や競馬勉強する過程で、大変お世話になったオーストラリアのNSW州の中條大輝調教師と、馬の見方についてや 競馬について勉強していく会員制コミュニティ「JJ Racing Club」をDMMオンラインサロンさんにて運営中です。
これまで2度サロンメンバーの皆様とセリに参加しており、モアナとターボという素晴らしい2頭を落札できました。
オーストラリアでは日本のような馬主資格がなくとも正式な馬主になれますので、日本で馬主資格を持っていない方も共有馬主になっていただくことができます。
共有オーナーは1/40口から募集しており月の維持費は放牧中が月4000円程度。
入厩中が月1.2万円程度となっています。
サロンでは中條調教師やサララボライターでもあるエムイシ氏のディープなコラムを毎週配信している他、オーストラリアンで開催されるセリに上場される注目馬ついても配信中です。
さらに、毎月中條調教師やジェイとサロンの皆様との相互交流会をオンラインで行っています。
直接調教師に質問をぶつけられる他、レース回顧で調教師やジョッキーの心理について勉強するなど大変会員の皆様の満足度が高く評判が良い交流会となっています。
オーストラリア 競馬をベースに学んでいきますが日本の 競馬にも活かせる部分はあると思います、ぜひお気軽にご参加ください。
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