今回はオーストラリアで馬主をしていてアメリカでも一口馬主をしている知識や経験を活かしてブリーダーズカップマイル2023予想記事を掲載していきます、よろしくお願いします。
レース概要
持ち回りで開催されているアメリカのブリーダーズカップ。
今年は2023年11月4日〜5日の2日間、サンタアニタパーク競馬場で開催されます。
サンタアニタパーク競馬場は小回りコースで特に芝はダートコースの内側にあり最後の直線300mと短いです。
日本時間11月5日の早朝に行われる2日目の日程は下記の通りです、時間は日本時間です。
発走 | レース名 | 格 | コース | 出走条件 |
4:50 | BCフィリー&メアスプリント ※メイケイエール出走 | G1 | ダ1400m | 3歳上牝 |
8:25 | BCターフスプリント ※ジャスパークローネ出走 | G1 | 芝1000m | 3歳上 |
BCダートマイル | G1 | ダ1600m | 3歳上 | |
4:10 | BCフィリー&メアターフ ※ウインマリリン出走 | G1 | 芝2000m | 3歳上牝 |
BCスプリント | G1 | ダ1200m | 3歳上 | |
5:30 | BCマイル ※ソングライン、ウインカーネリアン出走 | G1 | 芝1600m | 3歳上 |
BCディスタフ | G1 | ダ1800m | 3歳上牝 | |
6:50 | BCターフ ※シャフリヤール出走 | G1 | 芝2400m | 3歳上 |
7:40 | BCクラシック ※ウシュバテソーロ、デルマソトガケ出走 | G1 | ダ2000m | 3歳上 |
※情報は執筆時点 参考:netkeiba
日本国内で馬券発売が行われるのは
・BCフィリー&メアターフ
・BCマイル
・BCターフ
・BCクラシック
の4レース。
グリーンチャンネルでの無料放送が11月5日午前3時30分から9時00分までの間に実施される予定です。
過去傾向
持ち回り開催のため開催競馬場は異なりますが、過去10年で地元アメリカ馬は5勝と最多。
イギリス馬が3勝、アイルランド馬が1勝、フランス馬が1勝となっています。
この傾向から分かるように、BCフィリー&メアターフとは異なりアメリカ馬がマイルになるとやや優勢になってきています。芝レースだからといって地元アメリカ馬を過度に軽視しては痛い目を見ることになるかもしれませんね。
一方、近3年はアイルランド馬1勝とイギリス馬2勝と欧州勢が3勝しており、欧州からの遠征勢も軽視はできません。
しかし、顕著な傾向を見る上ではやはり同じサンタアニタパーク競馬場での開催時を見ることが大事ですので、以下サンタアニタパーク競馬場で開催された近3年の成績を見ていきましょう。
2019年
1着 ユニ(米)
2着 ガットストーミー
3着 ウィズアウトパロール
地元アメリカのユニが外から先行勢をまとめて差し切り勝利。ユニは父ヘイロー系モアザンレディーで母父はダンシリとスピード豊かな血統。先行勢は総崩れとなり後方待機組の外差しが決まった展開だった。
2016年
1着 ツーリスト(米)
2着 テピン
3着 ミッドナイトストーム
2番手追走したミッドナイトストームが粘って2着に入り。中団前目につけて外から末脚を炸裂させたテピンが2着まで。ツーリストは内で粘りこみをはかり勝利した。
前目の馬もしっかり馬券内に残したが中団からの外差しで今回の馬券内に入ってきていて、日本的なレースに近いものを感じる。
2014年
1着 カラコンティ(仏)
2着 アノダン
3着 トレードストーム
道中中団後方で控えて4角あたりで進出し5番手あたりから差し足を伸ばしたカラコンティが勝利、2着のアノダンはもっと後ろからとんでもない末脚で2着に飛び込んできて、3着トレードストームも後ろから。完全に前でトロナードとオヴヴィオスリーがやり合う展開になり前が総崩れになった。
やはりこのレースは後ろからでも決めてがある馬を拾っていくのが吉か?
予想の方向性
過去の傾向からも今回のレースに関しては前目につけられる馬というよりは直線でしっかり上がりを使える馬。やや後方気味からでも決めてがある馬を狙っていきたいと思います。
また、良馬場であればマイルで1分31秒〜1分33秒台あたりの勝ち時計になっているのでこのくらいの持ちタイムがあるかはしっかりみていきたいですね。
スタミナパワー系よりスピード・キレがある馬を狙っていきたいです。
前走ローテ的には過去10年でファーストレディステークス、フォレ賞、クールモアターフマイルがそれぞれ2勝ずつと相性が良いです。これに該当するのはジーナロマンティカ、ケリナ、マスターオブザシーズの3頭ですね。
注目馬分析
◎ソングライン
マジで普通に勝つんちゃうかと思っています。
日本の現役マイラーの中では最強クラスの馬です。
今年の安田記念のパフォーマンスを見たら、この馬の能力の高さは十分分かりますよね。
今年の中東遠征は不発に終わりましたが、その前年の遠征では1351ターフスプリントを制していて洋芝が全くダメだということはないでしょうし、血統的にもタフなキズナ産駒ですので、アメリカのフラットコースの洋芝くらいはへっちゃらだと思います。
前走は余裕を残してこのレースに向けての叩きだったと思いますが、初の1800mでありながら差のない2着に入るなど充実期を迎えているのは明らか。
欧州や北米の強豪馬も名を連ねるレースにはなりますが、期待値は相当高いです。
末脚勝負になるところも日本馬には向くと思いますし、特にソングラインにはもってこいの舞台だと思います。
舞台は違いますが安田記念では芝マイル1分31秒台で走破していますから、サンタアニタパークのスピード勝負にも十分対応できると予想します。
外差しの末脚炸裂で先行勢を飲み込み、歓喜の瞬間を迎える情景を想像することは、決して難しいことではありません。
国内オッズではかなり旨味がないですが、海外オッズで購入できる環境の方はこの馬の単勝勝負でも面白いと思いますよ。
⚪︎マスターオブザシーズ
対抗評価は相性の良いローテ、クールモアターフMで差のない2着だったマスターオブザシーズとします。
クールモアターフMでは内目5番手あたりから直線で抜け出し、最後わずかに交わされてしまったもののほぼ同着レベルに差のない競馬で、もう少し追い出しを我慢していたら勝てていたのではないかと思うほどの強い競馬でした。
また、直線で鋭く反応して先行勢を飲み込んでいった走りは今回の舞台で求められる適性とマッチしているような気がします。
ドバイターフでは着外でしたが、その前のメイダン競馬場で行われたG1ジュベルハッタでは3着に入っていますし、カナダのG1ウッドパインMでは3番手評価としているシャールズスパイトに0.6秒差をつけて勝利しているなど、北米の1分33秒台決着の早い時計にも対応して見せています。
ヨーロッパの馬ですが、アメリカですでに出走していて適性も示しているのは心強いポイントです。
近3走は1着2回僅差の2着1回とハイレベルなレースながら安定していますし、軸には最適な1頭かもしれません。
母父デインヒル系でスピードもありますし、血統的にも懸念は少ないと思います。
▲シャールズスパイト
マスターオブザシーズを評価するならこの馬もセットで評価しないといけない!と名乗りをあげるのがシャールズスパイトです。
去年のBCマイルの2着馬で、今年のドバイターフで対抗評価としたマスターオブザシーズに先着しています。
日本の競馬ファンの皆さんからするとフェブラリーSに出走してきた謎のカナダ馬という印象かもしれませんね。
まぁあれは正直よくわかりませんでした、これダート馬じゃなくね?と思っていましたし…。
過去にも記事にしていますが、評価できるのは去年のBCマイル。
単勝56倍の人気薄ながら、道中中団内目で脚を溜め直線では外に持ち出してしぶとく伸びて、モダンゲームズの3/4馬身差の2着でした。
モダンゲームズは過去にサセックスステークスでバーイードの2着に入った馬ですね。
日本遠征後はドバイターフで4着に入り、この時は直線でセリフォスに競り勝っています。
日本馬に中東の馬場の直線勝負ができる海外馬というのはそこまで多くないと思いますから、この馬のスピード馬場適性はここでも示されたと思います。
ますますなぜフェブラリーSを使ったのか、、、謎です。
フェブラリーSの印象があるからか、執筆時点で単勝50倍の人気薄となっていて、この人気で買えるなら馬券的にはかなり旨味があるのではないかと思います。
△モージ
4番手評価にモージを取り上げます。
現地オッズではこの馬が1番人気なのではないかと思います。
3歳馬で勢いがあるのはわかるのですが、これまでの良績は時計がかかる競馬場で行われていることが多く、早めの時計が出やすいメイダン競馬場のマイルの時計を見ても1分36秒台、その後のニューマーケットの英1000ギニーも1分37秒台決着なので、強い馬であることは間違い無いのですがアメリカの高速馬場が合うのか?と考えるとやや疑問符です。
前走アメリカでの初レースとなったクイーンエリザベス2世チャレンジカップ(1800m)は逃げてそのまま押し切る競馬でしたが最後は2着馬に半馬身差まで迫られていて末脚では劣っていました。
脚質的に今回のレースは逃げて押し切るタイプよりも末脚タイプの馬が活躍傾向に見えるため、人気ほどの信頼感はないのでは無いかと思い4番手評価としました、軸にはせず、3着に残ってもハズレということにはならないように3連複などであれば相手で抑えておく程度で良いのでは無いかと思います。
☆ケリナ
相性が良いローテとなるフォレ賞を制覇したケリナを穴馬として指名します。
フランス馬ですが、父フランケルでスピードに富んだ血統で、血統面での大きな不安はありません。
馬柱を見るとやや見栄えしないというか、大敗していることも多いですが基本的に負けている時は馬場が渋っている時で、硬い馬場を求めて3歳ながらこのサンタアニタパークに向かうということであれば陣営もこの馬は硬いスピード馬場の方があっていると踏んでいるのであろうと推察できます。
特に前走のフォレ賞では稍重ながら時計が高速化していた今年のパリロンシャン競馬場で早めに直線で先頭に抜け出ししぶとく粘って勝利していて、今回のレースに向けてとても頼もしい戦績だと思います。
もう少し弾ける切れ味が欲しいところではありますが、今年6月にはフランスの中でも時計の出やすいシャンティ競馬場の芝マイルレースでも勝利していて、適性はありそうです。
この時の勝ち時計が1分35秒台なので気持ち物足りないんですけどね、ただ執筆時点では単勝50倍台のオッズなのでワンチャン狙いで馬券に入れておいて損はないかと思います。
3歳牝馬の軽い斤量を生かして激走を期待したいです。
注アストロノマー
最後に大穴として、アストロノマーを取り上げます。
絞る人は入れなくてもいいと思いますが広くいきたい人は見ておいてもいいかもしれません。
この馬は今回の出走馬の中でも数少ない(下手したら唯一?)サンタアニタパークの芝マイル出走歴があり、しかもしっかりと好走しているというアドバンテージがあります。
重賞未勝利馬で戦績的には劣りますが、サンタアニタパーク自体が初めての馬が多い中で一度ここで使っているというのは大きな長所になるでしょう。
また、その前走サンタアニタパークのシティオブホープマイルSでは1分33秒台とBCマイルの時計少し遅めの年とほぼ遜色ない時計で差のない2着に入っていて、勝ち鞍は条件戦だけではありますが能力的に全く足りていないということもないと思います。
この馬は基本的に前に行く馬で逃げ馬なのですが、今回前にいきたい馬がモージ、ウインカーネリアンとこの馬くらいしかおらず、この馬よりは皆モージを意識して動くと思いますので、この馬にチャンスが巡ってくるのではないかと思っています。
私はいつも「逃げ馬は人気薄でこそ狙う」と言っています。
これはマークが薄くなり他の有力馬達が削りあっている時に漁夫の利を得られるパターンが結構あるからです。
北米や中東遠征時に勝利したバスラットレオンや、サウジCを勝利した時のパンサラッサもそれに近いものがあったのではないかと思っています。
前の争いも激しくならないレースだと思うので、こういう時の逃げ馬は要注意だと思います。
逃げ有利のレースではないと思いますが、かといって前の馬が全く残らないわけでもないですからね。
母父シャマルダルは偉大なマイラーですから、そのスピードをしっかり受け継いでいれば一発可能性はありそうです。
現役地方&海外馬主・競馬ライター
登録者5000人超え&累計再生250万回超えの一口馬主YouTuber。豪州競馬会員制コミュニティJJ Racing Club 共同代表。社会人1年目から一口馬主を始め、キャロット・シルク・ノルマン・ロード・DMMバヌーシーの5クラブに入会。地方個人共有とRSS や中條厩舎の豪州共有に加え北米MRHでマイクロシェアを行う。血統スタッツや馬体・歩様を重視していて代表馬はトゥルーフェアリー、ロードヴァレンチ、ミスティックロア等。
—最近の私––
Bluetoothでスマホと接続可能なスピーカー。重低音がとても強調されるので洋楽やアップテンポな曲が好きな私のお気に入り。防水機能つきなのでお風呂に持ち込んで音楽を聴きながら本を読むのが毎日の楽しみ。
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