シルクHC所属馬ダイアトニックがオーストラリアで種牡馬入りするというニュースが飛び込んできました。
今回はダイアトニックの種牡馬としての活躍可能性とスタッドインする予定のYulong Studなどについて記事にしていきます。
よろしくお願いします!
ダイアトニックが豪州で種牡馬に
2022年12月21日、G3阪急杯やG2スワンSなどを勝利したダイアトニックが
次走の阪神カップを最後に引退するとメディア各社が報じました。
報道によると、引退後はオーストラリアのYulong Studで種牡馬入りするということです。
Yulong Studは筆者にとっても縁があるスタッドです。
というのも、デビュー前に放牧地で死んでしまいましたが元共有馬ホーリーシールの20の父グラントはこのYulong Stud所属の種牡馬だからです。
Yulong Stud(ユーロンスタッド)とは?
Yulong Studとはオーストラリアのビクトリア州に位置するスタッドです。
こちらが管理する種牡馬で最も代表的なのはWritten Tycoonでしょう。
Written Tycoonはオーストラリアの今シーズンのリーディングで現在13位の種牡馬。
後継種牡馬として、筆者の共有馬オーヴィエの20の父・Rich Enuffなどがいます。
このほかにも、筆者の元共有馬ホーリーシールの20の父・Gruntや、豪州で活躍したロードカナロア産駒の種牡馬・タガロア(Tagaloa)などもいます。
同じロードカナロア産駒の種牡馬がいながら、ダイアトニックを入れたということは、Yulong Studがロードカナロアの後継種牡馬に豪州でのポテンシャルを感じていることはほぼ間違いないのではないか?と思います。
ダイアトニック産駒はオーストラリアで活躍できる?
さて、ここからが肝心です。
ダイアトニックの豪州での種牡馬入りはオーストラリア馬主としては大変喜ばしいニュースではありますが、種牡馬入りするだけでなく、産駒にぜひ活躍してもらって種牡馬としての価値・名声を高めてもらいたいところですよね?
筆者は、ダイアトニックの種牡馬ポテンシャルとして、血統的価値は現地で一定評価されるものがあるのではないか?と考えています。
日本と違い、サンデーサイレンスの血は豪州では多くありません。
スピード能力を高めるサンデーサイレンスが入っていることは種牡馬としてプラスだと思います。
実際、豪州にシャトルされる日系種牡馬の多くはディープインパクトの後継種牡馬であったりと、サンデーサイレンスを含む種牡馬が多いと思います。
また、父ロードカナロアについてもYulong Studもタガロアの項で触れたように、期待しているところだと思います。
キングマンボ系由来のパワフルさは、豪州の馬場でも活きることでしょう。
ロードカナロアは現役時代に香港スプリントを連覇した馬です。
豪州生産馬の多くが送り込まれる香港のハイレベルなスプリントレースで結果を出しているのは大きなアドバンテージです。
実際最近のシャトル種牡馬の中で最も輝いているといえるモーリスも香港での実績がありました。
モーリスの場合でも、ここが豪州の生産者にも評価された部分はあると思います。
ダイアトニック自身が香港遠征をしたわけではありませんが、その父が香港実績を示しているロードカナロアであるということは評価されるのではないでしょうか?
実際ダイアトニックも、過去に洋芝のG3函館スプリントを制覇し洋芝適正も見せていますしね。(豪州生産者にこれがどこまで浸透しているかは若干疑問ですが)
実際、筆者も豪州の競馬関係者から「現地でのロードカナロアの評価は高い」と聞いたことがあります。
一方戦績面については、オーストラリアでの生産を考えると少し不安があります。
というのも、ダイアトニックは2歳12月デビューで、新馬戦を勝利しているものの、走ったのはこの1戦のみ。
3歳でも勝利を重ねているものの、重賞勝ちは4歳以降です。
オーストラリアでは2歳戦の成績が非常に重要視される傾向にあります。
早熟短距離馬たちによるゴールデンスリッパ―をはじめとする短距離G1の数々が賞金・名誉ともに最高位とされているからです。
セリのカタログには、種牡馬は通算成績に加えて必ず2歳時の成績が記載されます。
これは2歳線を重視するオーストラリア特有の表記です。
そのため、早期短距離馬がセリでも高額になり、晩成傾向のある種牡馬はあまり人気にならず、いい繁殖が集まらないことは残念ながら多くあります。
この晩成傾向というのは、オーストラリアではディスアドバンテージになるのではないでしょうか?
ロードカナロア産駒(キングマンボ系)自体、どちらかというと早熟というより晩成傾向があり成長力に富む馬が多い気がします。
狙いは”香港”?
オーストラリアでの懸念点である晩成傾向についてお伝えしましたが、実はダイアトニックの種牡馬導入を仲介したホースマンのSNSによると、香港・マカオ・シンガポールのオーナーたちは成長力に富む馬を狙っていると発信していました。
例示されていたのは、ビューティージェネレーションやゴールデンシックスティなどといった香港の名馬たち。
この馬たちは4歳から本格化したとされています。
確かに、オーストラリアのセリに訪れるバイヤーには、香港・マカオ・シンガポールといった海外バイヤーも多くいます。
父ロードカナロアの香港での実績も相まって、ダイアトニック産駒が香港などの海外オーナーたちに目を付けられることを見越しての導入だったようです。
オーストラリアでの活躍はもちろんですが、香港国際競走などで近い将来、香港のダイアトニック産駒のスターホースと日本馬たちのマッチレースが見られたら面白いですね!
ダイアトニック産駒、オーストラリア馬主の1人として今後の行く末を注目したいと思います。
シルクホースクラブで出資されている皆さま、この度は種牡馬入り誠におめでとうございます。
現役地方&海外馬主・競馬ライター
登録者5000人超え&累計再生250万回超えの一口馬主YouTuber。豪州競馬会員制コミュニティJJ Racing Club 共同代表。社会人1年目から一口馬主を始め、キャロット・シルク・ノルマン・ロード・DMMバヌーシーの5クラブに入会。地方個人共有とRSS や中條厩舎の豪州共有に加え北米MRHでマイクロシェアを行う。血統スタッツや馬体・歩様を重視していて代表馬はトゥルーフェアリー、ロードヴァレンチ、ミスティックロア等。
—最近の私––
Bluetoothでスマホと接続可能なスピーカー。重低音がとても強調されるので洋楽やアップテンポな曲が好きな私のお気に入り。防水機能つきなのでお風呂に持ち込んで音楽を聴きながら本を読むのが毎日の楽しみ。
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