今回は度々話題になる永遠のテーマ。
相馬眼はあるのか?という内容について考察記事を書いていきます。よろしくお願いします。
巷の意見
毎年一口馬主の募集真検討の時期になると、必ずと言っていいほどこのテーマでの議論が巻き起こります。
ある方は「こういった見方をすれば活躍馬が見極められる」とおっしゃいます。
ある方は「セリの価格が安い馬でも大活躍する馬はいるので結局プロでも見極められないのだから、活躍馬なんて見極められない」とおっしゃいます。
育成牧場や生産牧場など、現場で働かれている方々からもしばしば「結局どの馬が走るかなんてわからないですよ」という言葉も耳にすることがあります。
では、私たちが日々行っている一口馬主の募集馬検討は無意味なのでしょうか?
0か100かではない
私がこの議論で大切にしたい考えは、活躍馬を見極める能力というのは0か100かではないということです。
つまり、数頭の例外馬によって覆されるものではないということです。
日本国内の最高峰のセールといえば、“セレクトセール”でしょう。
年にもよりますが、セレクトセール上場馬のその後の中央勝ち上がり率は概ね40%後半~50%前半あたりで推移しています。
全体平均の勝ち上がり率が30%前後なので、かなり高い数字です。
もちろん、ノーザンFや社台Fなどハイレベルな育成により成績が上がっている部分もあるとは思いますが、やはりこのレベルのセールに送り込まれる馬は質が高く、その後活躍している確率が高いのも事実です。
いいセールにいい馬を送り出せているということは、生産者としても血統背景や馬体などからある程度活躍しそうな馬を見極められているということの裏返しですよね。
また、キャロットクラブの会報では、クラブ募集馬の価格が高い馬ほど、正の相関関係で勝ち上がり率が高いというデータが紹介されていました。
クラブ側もある程度活躍期待値を見極めて値付けをできていることの裏返しですね。
また、もう1つ具体的な例を挙げると種牡馬産駒の勝ち上がり率があります。
もちろん馬の世界で対照実験はできませんから、繁殖の質や育成環境など様々他の要因があるのも事実ですが…。
勝ち上がり率が50%を超えてくるような種牡馬と勝ち上がり率が20%を割るような種牡馬がいて、これだけの統計的な差が出ていて、血統(父)はまったく関係ないとして血統から走る馬は選べないとするのはいささか強引に思えます。
たしかに、勝ち上がり率が50%を超える種牡馬の産駒でも箸にも棒にも掛からぬような馬は出ますし、逆に勝ち上がり率20%を割るような種牡馬の産駒でも、重賞を勝つような馬も出ます。
キタサンブラックのように、重賞勝ち馬に乏しいブラックタイド産駒でありながらG1を勝ちまくって種牡馬入りするような馬もいます。
ただ、その数頭をもって「血統は関係ない」とするのは、非常にもったいなく思うのです。
「活躍馬を見極めることは不可能だ」とおっしゃる方は、例えば安値で取引されたのちに大活躍したモーリスや、一度主取りになったロードカナロアなどを引き合いに出して論を展開されることが多い印象があります。
1歳や2歳の時にそこまでよく見せない馬でも、その後成長し大活躍をする馬は当然いるでしょう。
強烈な印象を与えてくる重賞馬などに魅せられすぎると“木を見て森を見ず”状態に陥ってしまいます。
大活躍馬から学ぶ“木を見る”ことも大切ですが、全体統計としてどうなのかと“森を見る”ことも非常に大切だと私は思います。
ジェイの持論
ここまで読んでいただいたら、私の考えはもう伝わってしまっていそうですね。
改めて私の考えをお伝えすると「ピンポイントで大活躍馬を選び抜くことはできないが、その確率を高めることはできる」です。
勝ち上がり馬を選べる可能性を30%から40%、50%へと押し上げる。
重賞馬を引ける確率を1%から3%、5%へと押し上げる。
それが私の考える馬を見極める“相馬”ですし私は、それは可能なことだと思っています。
たとえば、私も今年3歳馬で出資しているノルマンディーOCの“ウィズアットダンス”という牝馬がいます。
この馬はほとんど出走時に400㎏に満たない馬体重で出走していて、執筆時点で最高着順は4着。勝ち上がれておりません。
データを見てみると、400㎏を切る馬体重で出走している馬のうち、勝ち上がれているのはわずか3~4%ほど。
マツリダゴッホ産駒の活躍傾向を抑えた血統に魅力を感じましたが、現状かなり厳しい形になっています。
メロディーレーンのように小さくても活躍している馬がいるからと出資をしてしまうと、修羅の道を歩むことになるのです。
もちろんメロディーレーンのような活躍馬は稀に出現しますが、統計的に確率の低いゾーンで勝負をするよりも、馬体重が重くて確率の高いゾーンで勝負する方が、活躍馬を引ける確率は高くなりますよね。
こうした知識があるかないか?だけで活躍馬や勝ち上がり馬に巡り合える確率は高くなると思います。
“相馬眼“を考えるときは、1ポイントで考えるのではなく、大きなグルーピングの中でざっくりとみていき、有意差があるか検証するのがいいのではないかと思います。
その確率を高める要素として血統や馬体、歩様など様々なファクターがあるのだと思います。
1ファクターだけで絶対に活躍馬を見極められる、という魔法の杖はないと思うので、私は血統と馬体、歩様、統計データなどなるべく多くのファクターをまんべんなく使いながら、活躍馬に巡り合えるその日まで鍛錬していきたいと思います。
読者の皆さんに、募集馬検討記事などを通じて少しでも役立つ情報を発信できるようこれからも頑張っていきたいと思います。
現役地方&海外馬主・競馬ライター
登録者5000人超え&累計再生250万回超えの一口馬主YouTuber。豪州競馬会員制コミュニティJJ Racing Club 共同代表。社会人1年目から一口馬主を始め、キャロット・シルク・ノルマン・ロード・DMMバヌーシーの5クラブに入会。地方個人共有とRSS や中條厩舎の豪州共有に加え北米MRHでマイクロシェアを行う。血統スタッツや馬体・歩様を重視していて代表馬はトゥルーフェアリー、ロードヴァレンチ、ミスティックロア等。
—最近の私––
Bluetoothでスマホと接続可能なスピーカー。重低音がとても強調されるので洋楽やアップテンポな曲が好きな私のお気に入り。防水機能つきなのでお風呂に持ち込んで音楽を聴きながら本を読むのが毎日の楽しみ。
One response
【一口馬主】永遠のテーマ!活躍馬を見極めることって本当にできるの? – サラブレッド研究所 / Thoroughbred Lab.
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