今回から3回に渡り、生産牧場で働くジョニーさんとの対談記事を掲載していきます。
よろしくお願いいたします。
生産牧場で働くきっかけ
ジェイ:今回は、生産牧場で働く馬産家ジョニーさんにお話を伺っていきます。今回はインタビューにご協力いただきありがとうございます、よろしくお願いします。まず生産牧場で働こうと思ったきっかけはあったんですか?
ジョニーさん:元々競馬が好きで、競馬に関する仕事をしたいと考えていました。
競馬の仕事、何をしようかな?と考えた時に全ての始まりである馬の誕生から、携わりたいと思って、生産牧場を志しました。
元々関西に住んでいたんですが、生産の仕事をするために北海道に移住した形になります。
経歴としては、普通の4年生大学を卒業後、新卒ですぐに生産牧場に飛び込んだ形です。
家族が競馬関係者だったというわけでもなく、乗馬をやっていたわけでもなく、1番最初に競馬にハマったのはテレビの競馬中継がきっかけでした。
今から振り返るとなぜテレビの中継を見ていたのかは覚えていませんが、タップダンスシチーのジャパンカップを見て、衝撃を受けました。
そこから競馬に興味を、調べていくうちに持ち徐々にハマっていった感じです。
生産牧場勤務の1日の生活は?
ジェイ:なるほど、生産牧場での一般的な1日の生活ってどんな感じなんでしょう?朝早いイメージはあるのですが?
ジョニーさん:確かに朝早いですね(笑)
牧場によって差はあると思いますが、朝早いところだと5時起きとかですね。
そのくらいから仕事が始まって、朝行ったら馬を放牧します。
馬が放牧に出ている間に馬房掃除をして、餌を作る作業などをしたのちに、お昼休みに入るという感じです。
ジェイ:お昼休みはどのくらいあるんですか?
ジョニーさん:お昼休みは場所によってまちまちなんですけど、僕のところは11時から13時まではお昼休みですね。
僕はいつもご飯食べてからお昼寝しています。
朝早いのでここで寝ておかないと持たないですね(笑)
ジェイ:なるほど、午後はどんな感じなんでしょう?
ジョニーさん:13時から午後の仕事で、集牧をします。
これは放牧していた馬を馬房に入れる仕事です。
馬房に入れた後は馬のブラッシングや、仔馬の馴致をします。
これは一口馬主の方々がイメージする初期馴致よりさらに手前の、人との関係性を作るためのものです。
触ってあげるとか、ウォーキングの仕方を教えるとか。
こう言った内容の馴致となっていて、1歳馬が行う騎乗運動などではないです。
セレクト当歳セールを見ていると、引き馬がしっかりできている馬ばかりだと思うのですが、私から見ると相当馴致をしっかりされていると思います。
小学生がパリコレランウェイでモデルウォークしてるみたいな、印象でしょうか?
ちなみに、全ての仕事が終わるのは、だいたい17時くらいですね。
ジェイ:なるほど、馬の仕事は危険と隣り合わせな印象がありますが、恐怖を感じる瞬間や危険を感じる瞬間はありますか?
ジョニーさん:午後の集牧は結構危ないですこの仕事で1番危険を感じる時かもしれません。
放牧は行くだけなんで、そんなに危ないと感じたことが僕はありません。
しかし、集牧は「帰ったら馬房に餌がある」と馬たちが認識しているので、ゲートの最前列を取り合う馬同士の闘いが始まります。
いち早く餌を食べたい!となっているので、マジ蹴りが炸裂するんですよね。
これに人が巻き込まれるととんでもないことになってしまうので、いつも注意しています。
生産牧場で大変なこととやりがい
ジェイ:なるほど、すでにそれも大変なことかもしれませんが、この仕事をしていて大変だと感じることや、逆にやりがいに感じる部分はありますか?
ジョニーさん:大変なのは、馬の引き方ですね。
最初は僕は馬の経験がないところから来たので、馬の引き方が分からなくて、それこそ引きずられたり、グイグイ引っ張られたりして大変でした。
書籍とかYouTubeとかでしっかり学んでいくまでは苦労した記憶があります。
でも、接し方がわかってからはやりがいしかないですよ(笑)
僕が1番やりがいを感じる時は、実は仔馬の馴致をしているときです。
自分を引きずり回していたような馬でも、馴致を通して自分の力で馬のスピードをコントロールできるようになってきます。そうなるとやっぱり楽しいですね。
どうすればこの先、この馬が騎乗とか言った時に馬がスムーズに課題をクリアできるかを考えながら馴致をしていくのがとても楽しくて、やりがいを感じながら日々仕事をやっています。
ワークライフバランスと待遇
ジェイ:なるほど、素晴らしいですね。馬業界は休みが少なかったり、キツイ、と言う話も聞きますがその辺りはどうでしょう?休みは取れていますか?待遇面はどうなのでしょうか?
ジョニーさん:生産牧場に関してはお産シーズン、1〜5月はものすごく忙しくて他の人も自分も休みはなかなか取れないですね。
お産シーズンは月に3〜4日休みくらいでしょうか?
無事に命が生まれてくるのが8〜9割ですが、そうじゃないこともあるので。
そういう時は、夜中でも厩舎に行ってお産の手伝いをしたり、クリニックに連れていったりとかもあります。
夜中に呼び出されることもありますし、お昼休みや仕事終わりだと思っていたらお産が始まって戻らなきゃいけないこともあります。
やっぱり大変な時期ではありますね。
お産の時期以外だと、決まった日に休みやすいです。
セリがある時は別ですが、セリがない時なら結構休めますね。
特に10〜11月とかだと、仔馬がいないので週2日休もうと思えば休めますね。
ただそれだけ休んじゃうと体がついていかなくなっちゃうんですけどね。
待遇面に関して、他の牧場はわかりませんが、僕のところはめちゃくちゃいいと思っています。
あまり詳しくは言えませんが、一般的な大卒初任給は上回ってますね、僕は今の待遇には満足しています。
うちは福利厚生で寮もあって、かなり安く生活できますしね。
僕は今、寮を出ましたが、家賃補助もありますので、助かっています。
他の牧場さんも寮があるところは多いので、住むところや生活には困らないんじゃないかなと思いますね。
ジェイ:なんか部活時代を思い出します。2日休んだら確かに、体が動かなくなった覚えがありますね。休日はどんなことをして過ごす方が多いんですか?
ジョニーさん:休みの日は北海道なので釣りにいったりとか、スノボとかスキーとかしたりしますね。
あとはゴルフ場もあるのでゴルフもできますし、アウトドア好きな人はいいかもしれませんね。
逆にアミューズメント的なところは全然ないので娯楽は自然と…というのは増えますね。
ちなみに僕は休みの日は家にこもって一口馬主の募集馬を見たり、競馬を見たりして結局ずっと馬を見ていますね。
どんな人が向いている?
ジェイ:なるほどですね、この仕事ぶっちゃけやって良かったと思いますか?どんな人が生産牧場の仕事に向いていると思いますか?
ジョニーさん:この世界に入ってめっちゃ良かったなと思っています。
多少運動はしていましたが、体力自慢という感じでもなかったので、最初はやっていけるかと不安に思っていましたが、全然大丈夫でした。
牧場は体育会系の感じかな?と思っていましたが、少なくともうちの牧場は全然違って、みんな優しかったですね。
馬に優しい人は、人にも優しいなと思います。
人間関係がすごく良好なので働きやすいですね。
肉体労働で大変というイメージが僕も入る前は強かったんですが実際牧場には結構女性が多かったり、小柄な男性もいたりして、力がなくても全然できると思います。
大変そうだから私には…というイメージは持たなくてもいいと思います。
また何歳からでもできる仕事だと思います。
40代から始めましたみたいな人もいますしね。
動物と仕事しているので決まった時間で出社退勤したい!という感じではないのでそこを求める人はしんどいかなと思いますが、馬は触り放題なので(笑)
馬好きな人はストレスフリーで向いているんじゃないかなと思いますね。
僕が思うに、特に馬好きの中でも血統好きは生産牧場に来て欲しいなと思いますね。
繁殖牝馬の配合を考える機会がありますからね。
ジェイ:なるほど、よくわかりました。配合の話については次の記事で詳しく伺っていきます。ジョニーさんありがとうございました。
現役地方&海外馬主・競馬ライター
登録者5000人超え&累計再生250万回超えの一口馬主YouTuber。豪州競馬会員制コミュニティJJ Racing Club 共同代表。社会人1年目から一口馬主を始め、キャロット・シルク・ノルマン・ロード・DMMバヌーシーの5クラブに入会。地方個人共有とRSS や中條厩舎の豪州共有に加え北米MRHでマイクロシェアを行う。血統スタッツや馬体・歩様を重視していて代表馬はトゥルーフェアリー、ロードヴァレンチ、ミスティックロア等。
—最近の私––
Bluetoothでスマホと接続可能なスピーカー。重低音がとても強調されるので洋楽やアップテンポな曲が好きな私のお気に入り。防水機能つきなのでお風呂に持ち込んで音楽を聴きながら本を読むのが毎日の楽しみ。
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