今回は私がMagic Millions Adelaide Sale2023にRising Sun Syndicateの皆さんと一緒に参加してきましたのでその時の体験記を記していきます。
私は、日本人豪州馬主で結成したTeam Jを代表し、セリに参加してきました。
アラバマエクスプレス産駒の牝馬をなぜ安価に落札できたのか?ぜひ最後までご覧ください!
オーストラリアのセリ会場に
2023年3月15日水曜日、ジェイは日本から遠く離れたオーストラリアの南部に位置する街、アデレードのMagic Millionsセリ会場でオーストラリアや香港のオーナーやシンジケートと肩を並べ、手を挙げていました。
RisingSunSyndicateやTeamJメンバーとともに、人生初めてのセリ会場で落札したのは、2日目の前半に上場されたLot269 新種牡馬のアラバマエクスプレス産駒の牝馬でした。
近親にはケンタッキーオークス3着馬や、北米3冠馬がいる母系が魅力で、自信の1頭です。
今回はこの馬の落札について、セリ当日の流れを振り返りながら記事にしていきたいと思います。
個人チャンネルにも動画を投稿しました、セリ会場にいるかのような臨場感のある動画になっていると思います、ぜひ合わせてチェックしてみてください。
セリ前は大忙し!?
①オンラインで情報確認
セリの前には、血統がまずアップロードされ、そのあと馬体写真や歩様動画がアップロードされます。
写真や動画が最後までアップロードされない馬もいます。
まずは470頭の上場馬から先に情報が公開される血統で絞り込みをセリの2週間前あたりから行いました。
複数回チームとRSSの川上さんでオンラインミーティングをして170頭ほどに絞り、点数付けをします。
さらに血統で高評価した馬は馬体や歩様も点数をつけて優先度を考えていきました。
②下見
こうして作成したリストを手に、セリ会場の下見は丸2日間入ります。
1日目の下見で、歩様がよく見えない馬、馬体に惹かれない馬(あくまでもTeamJ+RSSの主観です)をリストから消していき、逆に魅力的に見えた馬をキープリストに入れていきます。
1日目を終えた時点で、残っていたのは50頭。
さらに2日目はこの50頭の2週目のチェックを実施、新たに懸念点が見つかった馬や、昨日より良く見えない馬(これが意外といました)をリストから外していき、最終的に約20頭がFinalリストに残りました。
このFinalリストが実際に手を挙げる候補馬たちです。
③獣医チェック
そしてこの馬たちについては、獣医チェック(レポジトリチェック)を行います。
レントゲンで脚元に問題がないか、内視鏡で喉に問題がないかをチェックしてもらいます。
セリ1日目の前日の夜に、獣医からフィードバックがあり、なんとFinalに残っていた馬の半分がNG、または懸念点ありでリストから外さざるを得なくなりました。
若干懸念点があっても魅力がリスクを上回る場合、予算を下げてBitするという選択肢もありましたが、せっかくの初めての落札馬がケガのリスクを抱えていて、それを分かった状態で落札するというのは、違うのではないかという考えに至り、懸念が浮上した馬はすべて今回は外しました。
特に1日目に競る予定だった馬に相次いで懸念点が見つかり、1日目は結局1頭しかBitしないことに。
ほぼほぼ、見学になることが決まってしまい本命は2日目になりました。
いくらまで競るか?が難しい
1日目の最重点馬Lot91が直前の獣医チェックで消えてしまったことで、実際に勝負できたのはLot172の全兄妹が活躍していたI Love This City産駒の牝馬、1頭のみとなった1日目のセリ。
この馬は実馬の動きがよく、父産駒はオーストラリアではそこまで人気ではないマイナー種牡馬ですが勝率や牝馬の平均獲得賞金はよく、ねらい目の1頭ではありました。
しかし、マリッジブルーではないですが初めてのセリ会場で緊張感があり、本当にこの馬がベストなのか?だんだん不安になってきます。
もうセリが終わってしまったので本音を書きますが、より気に入っている、魅力があると思っていたのは2日目の馬たちであったことも不安につながっていた部分はあったと思います。
Lot172がいい馬であったことは間違いないと思いますがね。
となると、この馬にはいくらまで出せるか?がポイントになってきます。
この馬を落札したら、1頭落札を目標にしていた今回のセリは終わります。
その後2日目に狙っていた馬が、もっと安く落札されて「この馬まで待っておけばよかった」となるかもしれません。
ただ、逆にここを逃したら2日目の馬は軒並み高額になり「ここを逃したのが致命的だった」となる可能性も当然あります。
この葛藤は非常に苦しく、募集馬がラインナップ並んで一斉に並び、検討する一口馬主とは大きく違うなと感じました。
様々なケースを想定し、この馬ならここまでは出してもいい、これを超えたら追いかけないとラインを決めていく作業は初めての経験でとても難しいものでした。
セリ1日目“調教師のプレッシャー?”
結局1日目は無理せず、Lot172は3.5万ドルまでBitすることをチームで決定。
実際、3.5万ドルのタイミングでBitしましたが、その馬は空上げで4.5万ドルまで上がっていき、主取りに。
主取り前、4.5万ドルで会場が静まっていた時に、この馬を気に入っていた預託予定厩舎のアーロン調教師が「もっと行けよ、手を上げろ」と横で言ってきました。
「ああ、馬主はこういう判断を迫られるのか」と思いつつ、考えをぐるぐる巡らせます。
ここで考える猶予はほんの数秒しかありません。
一瞬の決断が求められる中、私は明日に控えている候補馬とチームの予算を考えながら「予算オーバーだからダメだ」とこの馬は追いかけない判断をしました。
結局主取り後に牧場の担当者と交渉をし、安く売ってくれるなら再検討しようと思いましたが、リザーブの5万ドル付近でないと売れないといわれてしまいました。
こればかりは仕方ないので、2日目の勝負に気持ちを切りかえることにしました。
アーロン調教師は、5万ドル出す価値のある馬だとその時も言っていましたがね…(笑)
「チームの代表としてきているのでメンバーとの交渉が必要だ」などと決断力のないリーダーの典型のような発言をしてその場を乗り切りました(笑)
時には状況に応じて予定を変更する臨機応変さも求められるんだなと感じました。
セリ2日目“リザーブ価格と急浮上の1頭”
競り2日目の朝、牧場によっては当日ならばリザーブ価格を教えてくれるところもあるため、競る予定の馬のリザーブ価格を各牧場に聞いて回りました。
当然セリの状況を見てリザーブ価格は直前、もしくはセリの最中に変更されることもあるのであくまでも目安ですが、現実的に勝負できそうな馬は2日目でも4頭ほどに絞られることが分かりました。
その中でも特に自分の中で急浮上していた馬が、今回縁があったLot269アラバマエクスプレス産駒の牝馬です。
この馬は、2番子で上の子が2歳で未出走です。
そのため母の繁殖能力が未知数な部分があったほか、遅生まれで馬がまだ幼く、おそらく2歳の早期から活躍するタイプではなさそうでした。
オーストラリアでは完成度が高く2歳早期から短距離路線で使える馬が人気になります。新種牡馬も人気になり高くなる傾向があるのですが、1日目の様子を見ていてもリダウツチョイスの後継で2022年の種付け料2.2万ドルと少し高めながらアラバマエクスプレス産駒は手の届かない種牡馬ではないように感じていました。
特にYulongのアラバマエクスプレス産駒は、自家配合ですしね。
また、この馬のリザーブ価格は2.5万ドルと低めに設定されていて(後ほど判明しましたが同牧場※ユーロンは2万ドル~2.5万ドルでアラバマ産駒のリザーブ価格を設定していました)チームの予算内でも十分勝負ができる馬でした。
幼さは残るものの馬体のシルエットとバランスは素晴らしく、歩様の伸びもしっかりとあり2代母はケンタッキーオークス3着馬を輩出するなど、北米で活力のある母系です。
リストに残っていた馬の中でもブラックタイプはピカイチで、少し気が早いですがしっかりと活躍できれば繁殖牝馬としての価値も十分見込めそうでした。
その前に半兄妹が活躍していて母父も優秀なグラント産駒がLot264で上場されていたので、そこで1度勝負し、予算内で落ちなければLot269で勝負することを決めました。
Final2日目のリストで、預託予定のアーロンパーセル調教師に一番刺さっていた馬は、実はこのLot269の牝馬でした。
実際セリの前にアーロン調教師からは「6~7万ドル出してもいい馬だぞ」というコメントが届いていました。
Lot264のグラントは何度かBitしてみましたが、結局予算を大きく超える9万ドルで他の人が落札。
がっかりする間もなく、セリは進み運命のLot269へと移ります。
初の落札へ
Lot269のファーストBitは1万ドルでした。
その後は2500ドル刻みで上がっていき、私は1.5万ドルで1回目のBit。
その後はしばらく静観し、2000ドルずつ競りあがり始めた2.6万ドルで2回目のBit。
会場内で競りあっているビッターがいて、相手は少し悩んでいるのか、しばらく2.6万ドルで硬直。
ここで落ちれば最高でしたが、もし返してきた場合は「相手にこちらが引き下がらない姿勢を見せて降ろさせるため、すぐに打ち返しましょう」と川上さんからアドバイスをもらっていました。
結局相手は2.8万ドルのBitを入れてきたため、間髪入れずに3万ドルを入れ返しました。
ここから再び硬直。
ハンマーが落ちるまで、動画を見返したらたったの数十秒なのですが、この数十秒がとんでもなく長く感じました。
「早くハンマー落ちろ…」と祈りながら待ち続け、ついに…。
“カチン”
1日目から2日目にかけて、100回は聞いたであろう乾いたハンマーの音。
このセリの中ではなんでもない1回のハンマーですが、Lot269のハンマーは私にとっては一生忘れることはない音色になりました。
「やった、やったぞ!」
隣に座っていたRSSの川上さんと固い握手を交わし、落札を実感。
すぐに日本のメンバーにも落札できたことを連絡しました。
こうして、縁あってLot269をTeamJとRSSと預託先のアーロン調教師の3者で落札することができたのです。
落札者の欄にTeamJと載っているのを見て、しばらくニヤニヤしてしまいましたね。
落札したLot269アラバマエクスプレス産駒の牝馬の魅力
今回落札したLot269のアラバマエクスプレス産駒の牝馬の魅力は、母系の厚さ、父似の美しいシルエット、似た配合が同じ牧場で多く試みられていること、歩様の美しさなど、挙げればきりがありません。
私がこの馬に最も惹かれたのは、歩様と馬体のバランスの良さでした。
前脚後脚ともにしっかりと可動域があり、リズムよく歩けるのは大きな魅力だと思います。
若干親バカになっている部分があるかもしれませんがね(笑)
この馬は掲載されていた写真の写りが悪く、動画も掲載されていなかったので実馬を見に来ていない人からは見逃されていた1頭かなと思います。
それもあって安く落札できた部分はあるでしょう。
また、気性面がとても落ち着いているところも本馬の魅力の1つです。
連日のセリや下見で疲れてしまう馬やカリカリする馬が多い中、この馬は本当におとなしくて利発そうな様子でした。
父のアラバマエクスプレスの気性がいい馬だったようで、その部分をしっかりと受け継いでいるのかもしれません。
「うるさいくらいのほうがいいですよ」という声も耳にすることがありますが、私はどちらかというと真面目で利発であることは大きな長所だと思います。
能力はあるのに気性が悪く、力を出して切れない馬を数多く見てきましたのでね…。
なにはともあれ、しばらく休養したのちに競走馬としてデビューするための馴致がスタートします。
無事是名馬、何とか無事に育成が進むことを願って、またこの馬がターフで走ることにオーストラリアを訪れたいと思った次第です。
募集概要と100$キャンペーン
RSSの持ち分については1口(2.5%)14万円前後で共有馬主の先行募集が行われる予定となっています。
月の維持費はマネジメントフィーと預託料合わせて概ね月1万円前後です。(為替レートによって変動可能性あり)
興味がある、ジェイと同じ馬を持って夢を追いかけたい!という方はぜひRSSにご連絡ください。
また、RSSは今年から友人紹介制度が導入されました。
紹介者有りで入会すると、100ドル分のクレジットが紹介者と入会者双方に付与される仕組みです。
サララボの読者様やジェイのことを知っていて今回共有してみようと思っている方については、直接私との面識がない方でもこちらの紹介者欄でジェイの名前をお使いいただいて全く問題ありません。
川上さんにジェイの紹介で、ジェイの記事を見て、などと連絡していただければと思います。私も渡航費や維持費などは大きな出費になるので、紹介キャンペーンを活用して少しでも僕に楽をさせていただけると嬉しいです。
サララボも一生赤字ですし…。
ありがたいことに、すでに予定していた販売口数を上回るお問い合わせをいただいているようですが、さらに連絡があれば抽選をできるだけ避けるためアーロン調教師の持ち分をRSSに買い戻すことを考えています。
ご興味がある方は、是非お早めに連絡ください!
先行募集で満口になると広告費が不要となるため、通常募集よりお安いお値段で募集ができるようです。(通常募集になった場合は1口15万円前後の募集になりそうとのこと)
ぜひ、どうせ同じ買い物をするのであれば少しでもお安く楽しんでいただきたいので前向きなご検討をよろしくお願いいたします!
適性距離はマイル前後ではないかといわれていますので、ギニーズを目指せたら一番うれしいですが、Vobis(ボーナス賞金)もつけられる馬なので条件戦でコツコツ稼ぐという戦い方もできます。
なんとか個人的には、リステッド3着以内に入りブラックタイプになって、次の世代に繋げていきたいなと考えています。
是非、僕と一緒に夢をみましょう。
5 Responses
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