今回は2023年度のリーディングサイアーランキングを振り返りながら、2024年の出資戦略を考えていきたいと思います。
主に一口馬主の方向けの記事になります。よろしくお願いします。
2023年新種牡馬ランキングTOP5
1位 スワーヴリチャード 40264.5万円 レガレイラ
2位 ブリックスアンドモルタル 22154.1万円 ゴンバデカーブース
3位 ニューイヤーズデイ 19153.1万円 バロンドール
4位 レイデオロ 17070.3万円 トロヴァトーレ
5位 カリフォルニアクローム 10049.4万円 スプリングノヴァ
全体の所感
こうやってみると、国産種牡馬がスワーヴリチャードとレイデオロしかいない、海外種牡馬色が強めなラインナップになりました。
ブリックスアンドモルタルは社台Fが全幅の信頼をおいて繁殖の質を高めていましたし、ニューイヤーズデイもノーザンのいい繁殖がついていたので上位に来るのはある程度、シーズン前から予測できていました。
個人的にびっくりだったのは、スワーヴリチャードです。上述の種牡馬たちよりも繁殖の質は決して高いとはいえない中で、早期デビューから重賞路線で活躍する産駒が多数出てきて旋風を巻き起こしました。
レガレイラやスウィープフィートなどインパクトの強く牡馬・牝馬3冠で活躍した重賞馬が複数出てきたのも驚きました。
レイデオロは繁殖の質の割には少し、物足りない成績でしょうか?ただ晩成っぽい産駒が初年度の募集時期に見た時に多いように感じたので、古馬になってグッと伸びてくる馬がいるかもしれませんし今後も成績は注視したいですね。
最後にもう1頭意外だったのはカリフォルニアクローム。やはり北米系海外種牡馬はあまり外れませんね、欧州系はスピード不足で…パターンがありますが、北米はスピード能力が高いので日本の馬場に合う馬が多い印象を受けます。
繁殖の質や種付け量を考えても大健闘だったのではないでしょうか?
それではTOP5を個別の1頭ずつ、データを振り返っていきたいと思います。
これから募集馬検討の時期ですのでイメージとデータのギャップをこの記事で少しでも埋めて、正しくセカンドシーズンの種牡馬たちを捉えていただければと思います。
スワーヴリチャード
5月31日時点の勝ち上がり率は33%です。(まだ、2ヶ月ちょっと未勝利戦はあるのでもう少し勝ち上がり率は向上すると思います)
クラシック出走率7.1%、重賞馬率が5.7%と非常に高い数字ですね。
産駒の8割は芝馬なので、基本的にはダートではなく芝馬前提で募集馬は見ていきたいですね。
早期デビュー率が非常に高く、2歳夏までに全産駒のうち半分弱がデビューしていて、体質の強さが伺えます。セン馬率も低く、スウィープフィートなどを見ていると気性面で難しい馬が多いのかな?という印象を持つかもしれませんが、意外とそうでもないです。
重賞のビッグネームは牝馬から出ていますが、実は勝ち上がり率を見ると牡馬48%に対し牝馬は21%とかなり差が開いています。
全サンプル70頭程度なので、まだまだ統計的には母数不足と言えるかと思いますが、イメージよりは打率は牡馬の方が高いということは検討時に頭に入れておきたいポイントですね。というか、このサンプル数でリーディングを取ってしまうということが改めて驚きです。本当に優秀な種牡馬ですね。
種付け料は2023年種付けまでは200万円据え置き、2024年から1500万と跳ね上がりました。
しばらくは種付け料は安い世代の馬たちが出てきます、2世代目は初年度より30頭ほど種付け頭数が減って94頭種付けとなっているので物理的に量も少ないですし、初年度より繁殖の質は低下することも多いので、スワーヴリチャード産駒だからと安易に飛び付かず、しっかり母系や馬体は吟味したいところです。
馬体的には、ちょっとバランスが良くないな、成長待ちだな、と思うような1歳馬でもその後活躍しているケースが結構見られました。パドックでも見栄えしないな、と思って血統を見たらスワーヴ産駒でそのあと結局勝利した、というケースが何度かあり、あまり馬体の綺麗さと戦績が直結しないドゥラメンテのような種牡馬なのかなという印象を持っています。
スウィープフィートもセリの時は一声でYGGに落札されたところからも、この種牡馬産駒の馬選びの難しさを感じますよね。
こういった馬を馬体で見抜くのは僕には難しいので血統主導で選ぶことになるのかもしれません。
また、スワーヴリチャード産駒は曲飛の産駒が多く、この馬体的特徴からキレのある末脚が生まれるのかもしれませんね。
ブリックスアンドモルタル
5月31日時点の勝ち上がり率は27%です。(まだ、2ヶ月ちょっと未勝利戦はあるのでもう少し勝ち上がり率は向上すると思います)
クラシック出走率2.1%、重賞馬率が3.2%とスワーヴほどではないものの、高い数字ですね。
北米から導入した種牡馬ですが、自身が芝レースで走っていたことから産駒も芝寄りの馬が結構出るのではないか?と言われていました。僕は5:5か、6:4くらいでちょっとだけ芝の方が多いくらいかな?と思っていたのですが。
実際、蓋を開けてみたら芝で走っている産駒が72%と高い数値になっています。
やや産駒は気性に難がある子が多くピンパー感もあるので、募集時はなるべく気性面に関するコメントに注意したいですね。
性別的には牡馬勝ち上がり率32%、牝馬勝ち上がり率23%とほぼ一般的な種牡馬と同じくらいの差です、概ね10%くらいは牝馬の方が低く出るので、ブリモル産駒は牝馬があまり良くない、とまではいえないと思います。
馬体的には、同じような感じというか父似の産駒で少しコツコツ歩くような産駒が多いですね。流星も同じような産駒が多く遺伝力の強さに驚いていると社台スタリオンの方もおっしゃられていました。
この産駒を狙うのであれば、まずは1番力を入れていてエース繁殖をガンガンつけている社台F生産馬かつ、父似の馬体の馬から狙っていくのが良いかと思いますね。
ただ、父の遺伝力が強いので、ここまでの繁殖成績がそこまで良くないお母さんの産駒であっても、がっつり父似の産駒が生まれている場合は繁殖成績にそこまで引っ張られない可能性もあるのかな?とも感じていて、ここは安価な産駒を狙うには一つ持っておいてもいいポイントかなと思います。
ちなみに活躍馬で私がPOG指名したゴンバデカーブースも父に似た馬体に見えます。
ニューイヤーズデイ
北米ですでに種牡馬をしていたので厳密には新種牡馬ではないのですが日本移籍後の初年度ということで新種牡馬枠です。
現時点での勝ち上がり率は45%と驚異的な数字。9月には50%を超える可能性もありそうで打率の高さが光ります。
クラシック出走馬は出ていませんが、重賞馬率は1.3%、掲示板入着率が46%と高く、安定感は魅力ですね。
産駒の7割はダートで出走とこれはおおむね予想通りの結果。母系でSS系が濃い繁殖とも配合されているため一定芝で走る産駒も出てきていますが基本線はダートでよさそうですね。
歩様の踏み込みが深く、力強く歩く産駒が多かったので去年注目種牡馬に挙げていましたが、やはり結果を出してきましたね。
私が出資したキャロットクラブのニューイヤーズデイ産駒の牝馬、イリディセントもしっかり勝ち上がり、1勝Cでも僅差の2着に入っています。
牡馬勝ち上がり率50%、牝馬勝ち上がり率41%とダート中心の種牡馬でありながら牝馬の成績も良く、牝馬だからと言って過度に嫌う必要はなさそうです。
ニューイヤーズデイはフィリーサイアーの傾向があるといわれるストリートクライを父に持つ種牡馬なのでこの要素が出ているのかもしれません。
今年募集馬にラインナップされる2世代目は種付け料が250万円と初年度より50万円減、種付け数117頭と初年度より40頭減と苦戦傾向。
登録数は73頭となっているので初年度よりはお目にかかる機会が少なくなってしまうかもしれません。
ただ、これだけ安定的な結果を出しつつ、まだ超ビッグネーム産駒がでてきていないので人気と実績のバランスを考えるとこの2世代目はねらい目の種牡馬ではないかと思います。
薬物問題などいろいろありましたが北米での種牡馬時代にはマキシマムセキュリティという大物を輩出しており、飛距離も確認済み。日本にマッチできることも初年度で分かったので今後大物が出てくる可能性は高いと思います。
2024年は種付け料が200万まで下がっていて、大変コスパのいい種牡馬だと思います。
今年も踏み込みの深く力強い募集馬がいたら牡馬牝馬問わず狙っていきたいです。
レイデオロ
現時点での勝ち上がり率は22%とやや低い数値です、まだこれから上がってくる部分はあると思いますが、9月時点で30%前後あたりの着地予想でしょうか?
クラシック出走馬率は0.9%、重賞馬はまだ出ていません。
特筆すべきは牝馬成績の悪さです。
気性面が怪しい母系を持つレイデオロなので初年度産駒の募集時から、気性が大丈夫そうな牡馬の方がいいと思う、母系からダート色が出る可能性もあるから余計牡馬が、と話した記憶がありますが、まさかここまで値が悪くなるとは思いませんでした。
現時点で牡馬勝ち上がり率34%に対し、牝馬勝ち上がり率は5%。
牝馬産駒は44頭のサンプルなので、十分な数だとは言い難いですが、極端にサンプルが少ないわけでもありません。
今後、牝馬成績もさすがに改善してくるとは思いますが、今の時点で今年の募集で牝馬にベットするのは相当なチャレンジになりますね。
母系や、馬体に相当な魅力がない限りは牡馬優先で考えて差し支えないと思います。
初年度と種付け料は2世代目も据え置きの600万円(その後700万に上がるも2024年は500万に減少)種付け頭数も2世代目も170頭と繁殖を集めていますし、登録数も111頭と1年目世代とそん色ない頭数です。
ノーザン系クラブを中心に今年も募集馬ラインナップには頻繁に顔を出す種牡馬だと思いますが、牝馬の取り扱いは非常に難しいですね。
牡馬牝馬ともに、この流れで行くと募集時に人気は落ち着くと思うので、キャロットシルクなどの人気クラブでは裏をかくという狙い方もできますが、私は相当馬体に自信がある産駒でないと手を出しづらいのが正直なところです。
ただ、初年度産駒を見た時、踏み込みがあまりよくなく飛節がゆるいの馬が多かった印象が強くあります。
晩成傾向が強いと思うのでひょっとしたら4~5歳古馬になってから覚醒するタイプが出てくるモーリスタイプの種牡馬かもしれません。
とはいえ、まず1つ日本の中央競馬では勝てることが大事なので、募集時には飛節安定感のあり仕上がりに時間がかからなそうな馬を選ぶのがいいのかな?と私は考えています。
また、レイデオロの母系を考えると気性に難のある産駒は多くなりますし実際に初年度産駒はそうなっていると感じています。
なるべくピリピリしていなさそうな馬を選んでいきたいですね、母やきょうだい馬の気性情報なども要チェックだと思います。
カリフォルニアクローム
あれ?カリフォルニアクローム?と一瞬思いましたが、カリフォルニアクロームもこの世代が日本移籍後の一世代目でニューイヤーズデイと同じパターンですね。
社台グループ系の産駒がわずか3%しかいない中で現時点で勝ち上がり率30%をマークしているのは素晴らしい成績だと思います。
クラシック出走馬率は1.4%、重賞馬はまだ出ていません。
産駒の7割近くがダートで出走しており、基本線はダートですね。
セン馬率が少し高い値になっているので、気性面等は注意が必要かもしれません。
牡馬勝ち上がり率33%に対し牝馬勝ち上がり率27%とダートを中心にしている種牡馬ではありますが牝馬成績も上々で、牡馬牝馬問わず今年の募集馬も検討できそうです。
繁殖の質や社台Gからのサポートがない中でこれだけの戦績を残していることは、種牡馬としての優秀さを示していると思います。
一口馬主の募集馬ではノルマンディーOCのネオヴィクトリアの22を検討した記憶があり、改めて動画を見直しましたが、この子はサイズが小さいので、雄大な馬体を誇るカリフォルニアクロームっぽさはあまり感じませんでした。
初年度産駒から2024年まで一定して400万円の種付けを維持しており、初年度よりも今年募集の2年目世代の方が種付け頭数154頭と10頭ほど増加しており、登録数も110頭と増加しているので今年も日高系クラブを中心に、産駒が募集される機会があるかもしれません。
現役地方&海外馬主・競馬ライター
登録者5000人超え&累計再生250万回超えの一口馬主YouTuber。豪州競馬会員制コミュニティJJ Racing Club 共同代表。社会人1年目から一口馬主を始め、キャロット・シルク・ノルマン・ロード・DMMバヌーシーの5クラブに入会。地方個人共有とRSS や中條厩舎の豪州共有に加え北米MRHでマイクロシェアを行う。血統スタッツや馬体・歩様を重視していて代表馬はトゥルーフェアリー、ロードヴァレンチ、ミスティックロア等。
—最近の私––
Bluetoothでスマホと接続可能なスピーカー。重低音がとても強調されるので洋楽やアップテンポな曲が好きな私のお気に入り。防水機能つきなのでお風呂に持ち込んで音楽を聴きながら本を読むのが毎日の楽しみ。
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