今回はオーストラリアのケアンズで活躍されている安部騎手にお越しいただき、活躍する馬の特徴について伺っていきたいと思います。
現役ジョッキーならではの視点でこれまでの知見を余すことなくお話しいただきました、最後まで必見です!
活躍馬の特徴は?
ジェイ:前回に引き続き安部将之ジョッキーをお招きしお話を伺っていきます。よろしくお願いいたします。今回は一口馬主や馬主に向けて、活躍する馬の特徴について伺っていきたいと思います。まず、騎乗していて成績がいい馬、いわゆる強い馬に共通して感じる特徴はなにかありますか?
安部騎手:特にまだデビュー前の馬とかでこの前思ったんですが、2歳の馬って体力もないしフラフラする馬が多いんですよ。
競馬のこともわかっていなくてびびったり、ふらつく馬が多いんですが、そんな中で”どっしりしている馬”や”バランスが崩れにくく体幹が強い馬”がいいと思います。
特に体感が強いなと思った馬はその後すごく走りましたね。
ラチを蹴ったりする、悪さをする馬ではあったんですが落馬しそうなバランス崩し方とかはしない馬だったんです。
バランスがとてもいい馬で、体幹が強いなと乗っていて感じました。
その馬はその後すごく走りましたね、デルーロ(Derulo)っていう馬なんですけど。
ケアンズでデビューして連戦連勝で、そのあとメトロに行っていくつか勝っていましたね。
「やっぱりすごい馬だったんだ」と思いました。
ジェイ:人間でもスポーツをするときに体幹は大事と言いますが、馬も体幹が大事なんですね?
安部騎手:そうですね。
それから馬に乗る時は体幹を気にするようになりました。
それまで馬の体感を意識したことはなかったですけどね。
若い馬は悪さしたら着地する時にバランス崩して落馬の不安が大概あるものなんですよ。
でもこのデルーロという馬は、落ちる危険性を感じることがなかったんですよね。
色々悪さはするのに背中は安定しているというか、言葉で表すのが難しいですが、馬場が渋ってもバランスがとても良かったのを覚えています。
ジェイ:なるほど、ジョッキーならではの目線で非常に興味深いです。さて、我々一口馬主や馬主は、立ち姿や歩様、血統情報など限られた情報で馬選びをすることが多いです。そういった条件の中で先ほどのような活躍する馬を見極めることはできるとお考えでしょうか?
安倍騎手:見ているだけだと難しいんじゃないかと思いますが…(笑)
騎手になる前、北海道の牧場で働いていた時から”馬を見る目を養おう”と思って歩いている馬とかすれ違う馬をずっと観察してました。
言葉で表現しにくいですが、いい馬は雰囲気が違います。
これは反復練習というか、馬をたくさんみて感覚を養うしかないかなと思いますね。
自分が見ていいなと思ったら、その馬はどんな馬かを聞いて活躍している(未デビューならその後活躍した)馬だったら自分の見る目が正しいんだなと勉強していました。
実際、トレセンとかですれ違った馬でいい馬だなと思って名前を聞くと、大体活躍馬なんですよ。
たまに見た目だけいい馬もいるんですけどね(笑)
そこは見極めがとても難しいです。
見た目が良くてセリで高い値段で購買されても、結局全然走らないみたいなこともよくありますよね。
余談ですがケアンズには結構そう言う馬がきます。
本来ここで走るような価格帯ではないような馬もいるんですよ。
やっぱり見た目だけだとなかなか難しいですよね。
初心者は現役馬セールがおすすめ!
ジェイ:なるほど、僕も一口馬主で初年度はまんまと見た目だけがいい馬に多く出資してしまっていました。日本ではサラブレッドオークション(通称サラオク)。オーストラリアではオンラインセールなどで既走馬を売買することもありますよね。現役馬の場合、1歳馬や2歳馬の未デビュー馬と違うチェックポイントなどはなにかありますでしょうか?
安部騎手:現役馬セールの方が初心者にはおすすめですね。
こっちの方がわかりやすいと思います、これは”その馬に乗っている人に聞くのが1番早い”ですよ。
乗っている人に聞いたら大体どういう馬で、全然ダメか何個か勝てそうか、感覚がわかると思います。
知り合いにこの馬共有で募集しているけどどう?と紹介することがあるのですが、まずは自分が追い切りなど乗ってみて、良さそうなら紹介する形にしています。
乗ったらその馬の能力はある程度わかります。
特に速いタイムでの追い切りをやったら大体ジョッキーはわかるので、最初は現役馬の方がわかりやすいと思いますね。
いきなり1歳馬セールはなかなか難しいかなと思います。
現役馬ならすぐレース使えますし、待ち時間が短いのはいいですよね。
ジェイ:なるほど、確かに速いタイム乗っていない時の育成時は絶賛されていたのに速いタイム乗ったら…というのは一口馬主で良く私も経験しました。実戦や速いタイムで追い切りに乗っている人の意見が1番というのはよくわかりますが、普通の人はなかなかそういった情報を集めるのが難しい気がします(笑)そういったライダーたちの情報を収集できる人脈があるかも、大切ということでしょうか?
安部騎手:本当にそう思います。
こちらはオンラインセールが盛んなので、買う前に情報収集はすごく大事ですよね。
乗っている人に聞ける環境作りはとても大事ですね。
ジェイ:それだけ乗って得られる情報と歩きを見るだけで得られる情報は違うということでしょうか?
安部騎手:これは全然違いますね。情報量は本当に雲泥の差です。
歩いているときは見た目だけいい馬も、実際背中に乗ってみると脚の運び方とか走り方で印象はかなり変わります。
間違いなく乗った時の印象のほうがその後のレース結果には直結していると感じますね。
セリでのおすすめ血統は?
ジェイ:なるほど、大変勉強になります。実は、来月初めてマジックミリオンズのアデレードセールに参加予定です。この血統、馬体の馬を選ぶといいとか、この産駒に注目するといいよ、などなにかアドバイスをいただけないでしょうか?
安部騎手:州によって血統傾向が違うのでなかなか難しいですが、Better Than Readyはクイーンズランドでは走りますね。
More Than Readyの後継種牡馬ですね、これはまだ出てきて3年目くらいだと思うのですがコンスタントに走っていて、クイーンズランドでは1番走るくらいだと思います。
出た当初は安かったんですよ、今ちょっと値上がりしているかもしれないですけどね。
アデレードのセールのカタログを少しみてみましたが、その中ではBlue Pointが気になりましたね。
あとはAll Too HardやDundealの産駒は走っている印象がありますね。
値段は高くなってしまうことが多いと思いますがWritten Tycoonもいい種牡馬だと思います。
ジェイ:ありがとうございます。All Too hard やBlue Pointなどは私もリストアップしていた種牡馬です!全体的にこういう傾向の馬を狙うといいよというものはありますか?
安部騎手:これは考え方次第ですが、私はやっぱりオーストラリアは短距離レースが多いので、スピード血統の馬を選ぶといいと思います。
日本で未勝利だったRSSのマイネルレガシーがこちらで活躍できているのは、豪州の長距離は層が薄いところにあると思います。
意図的に層が薄い長距離を狙いにいくのは戦法としてはありですが、長距離は下級条件レースが少ないデメリットもあります。
長距離の馬を狙う場合は、使えるレースが少ないのは頭に入れておくべきだなと思いますね。
こちらで早く勝つなら短距離〜マイルくらいの適性の馬の方が素直にいい気がします。
コンスタントに数を使いたいなら、マイルくらいまでのスピード血統の馬が、僕は面白いと思いますね。
州によってもレースの傾向が違いますが、圧倒的に短距離〜マイルのレースが多いですからね。
かなり多くなってきていますが、Danehill血統はやっぱりスピードがあっていい馬が多いですね。
ジェイ:ありがとうございます、大変勉強になりました。お忙しいところお時間を作っていただきありがとうございました。
現役地方&海外馬主・競馬ライター
登録者5000人超え&累計再生250万回超えの一口馬主YouTuber。豪州競馬会員制コミュニティJJ Racing Club 共同代表。社会人1年目から一口馬主を始め、キャロット・シルク・ノルマン・ロード・DMMバヌーシーの5クラブに入会。地方個人共有とRSS や中條厩舎の豪州共有に加え北米MRHでマイクロシェアを行う。血統スタッツや馬体・歩様を重視していて代表馬はトゥルーフェアリー、ロードヴァレンチ、ミスティックロア等。
—最近の私––
Bluetoothでスマホと接続可能なスピーカー。重低音がとても強調されるので洋楽やアップテンポな曲が好きな私のお気に入り。防水機能つきなのでお風呂に持ち込んで音楽を聴きながら本を読むのが毎日の楽しみ。
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