今回はオーストラリアでびっくりするようなお値段で取引されたジャスティファイ産駒の現役馬がいますので、その馬について取り上げていきたいと思います。
Storm boyとは?
Storm boyは、オーストラリアのジャスティファイ産駒の2歳牡馬です。
ジェイが今年参加したのと同じ、MM Gold Coast Yearling Sale 2023にてLot 226 で上場。
Gai Waterhouse & Adrian Bott Racing/Kestrel Thoroughbredsにより$460,000(約4600万円)で落札されていました。
当時のセリカタログの立ち姿の写真を見ても素晴らしいバランスと筋肉の発達度合いが見てとれます。
引用:マジックミリオンズオンラインカタログより
戦績はこれまで3戦3勝。
去年12月にブリスベンで行われたBJマクラクラン・ステークス(G3)を制すると、その3週間後に行われた高額賞金レースであるマジックミリオンズ2歳クラシックを勝利しました。
そして2024年2月7日、現地メディアでこの将来有望な2歳牡馬に驚愕の金額で売買されたことが報じられました。
最大50億円の現役馬トレード
引用:Racingpostより
日本ではサラブレッドオークションなどがありますが、そこまで現役馬のトレードは盛んとはいえず、どちらかというと1歳~2歳で購入した馬を引退まで1人の馬主が所有するというケースが多いように思います。
しかし、オーストラリアでは現役馬のトレードが非常に盛んです。
つい先日も、種牡馬候補で渡豪した元シルク所属馬ラウダシオンがオンラインセールに上場されていた事が、話題になっていましたね。
結局主取りになりましたがね。
今回Storm boyのトレードには、最終的な買い手となったクールモア以外にも、先日のJJ Racingが落札したモアナの生産牧場であるユーロングループなど合計4牧場が手を挙げていたようです。
そしてそのトレード金額は最大50億円(5000万豪ドル)と報じられているから驚きです。
現地報道では、次のように記されています。
“We wanted a deal that was going to allow the original ownership group to get the benefit of the horse’s performances should he go on and become champion two-year-old, winning the Golden Slipper and/or the Triple Crown and/or any of the major three-year-old races,” he said.
“For the deal to be struck it had to be structured in a way where the ownership group could benefit in any significant increase in the horse’s stud value based on his racing performance.
抜粋:Racing Post 2024年2月7日「Coolmore hold off three challengers for A$50m stake in Golden Slipper favourite」より
簡単に翻訳すると、「元のオーナーグループは、この馬が2歳チャンピオンになり、ゴールデン・スリッパーや3冠競走などの主要レースで勝利した場合、その恩恵を受けられるような契約を望んでいました」「このトレードを成立させるためには、この馬のレース成績によって血統的価値が大幅に上昇した場合、元のオーナーグループがその恩恵を受けられるような仕組みにする必要があったのです」という内容です。
この馬がゴールデン・スリッパーをはじめとする種牡馬価値を引き上げるようなレースで勝利すると、金額が上乗せされるというプロ野球の出来高制のような契約になっているようですね。
落札の背景を考える
50億円と聞くと、イクイノックスのシンジケート金額を彷彿とさせるようなとんでもない金額です。
当然、現役馬として純粋なレース賞金でこれを回収するということではなく、早めに引退して種牡馬入りすることが念頭に置かれ、種牡馬入りを見据えた取引であることは間違いありません。
日本と違いオーストラリアでは2歳戦の戦績がもっと重視され、次いで3歳戦での戦績が重視される傾向があります。
日本馬の2歳で活躍した馬とオーストラリアの2歳で活躍した馬では、種牡馬としての価値を考えるとかなり重みが異なっています。
StormBoyは種牡馬入り後の成功も見据えて、相当な自信があるのでしょう。
報道では、前走のマジックミリオンズの高額賞金レースのパフォーマンスを見てこの馬の能力を確信したとインタビューでマネージャーが答えていました。
オーストラリアでは、4~5歳まで現役を続けてから種牡馬入りというよりは、3歳でサクッと引退しすぐに種牡馬入りするケースが多いように感じますので、Storm boy産駒が見られるのはそこまで先の話ではないかもしれません。
こういった高額トレードのビッグニュースを作り出すことで、クールモアが所有する種牡馬「ジャスティファイ」の価値を向上させるという狙いも、少しあるのかなと感じました。
それにしても2歳牡馬の短距離路線で活躍できる馬は基本的にセリでも高くなる傾向がありますが、一発このような馬を引き当てるととんでもないオファーが来ることもあるんですね。
このような馬を引き当てるのはディープインパクトを引き当てるようなものでしょうが、夢のある話ではありますね。
この馬のマジックミリオンズのレースは競馬場に併設されている会場で下見していたので見られなかったのですが、ニアミスしていたことで多生の縁を感じますし、Storm boyの今後はウォッチしていこうと思います。
参考
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