今回は日本時間11月3日午前6時41分発走予定のブリーダーズカップクラシック2024予想記事を掲載していきます。
当日は同時視聴配信も行う予定です、よろしくお願いいたします。
レース概要
ブリーダーズカップは毎年、開催場所が変わります。
今年は西海岸の海沿いにあるデルマー競馬場での開催になり、ラヴズオンリーユーがフィリー&メアターフを勝利した2021年以来の開催となります。その前は2017年にデルマー競馬場で開催されていました。
なので過去10年の結果などをまとめているサイトなどもあると思いますが、僕は同じ開催で見比べないと不正確ではないかと思いますので、2021年と2017年開催を見ながら傾向を考えていきたいと思います。
ブリーダーズカップクラシックはダート2000mのレースですが、日本のダートというより中継映像を見ていただければわかるのですが”泥質な土”という感じで、色も黒っぽくて日本のダートとは違います。
日本とは逆で外側にダートコース(メイントラック)、内側に芝コースが配置されています、これはアメリカのダートレースの盛んさを象徴するレイアウトですよね。
ダートコースは1周約1600mで、4角コーナーからゴール板までの直線は約280mとなっています。
1周の長さは京都競馬場のダートコース(1607.6m)とほぼ同じで、直線は福島競馬場(295.7m)に近いですね。
コーナーには曲がりやすいようにバンクが付いていて、高低差はあまりなく、フラットなトラックコースで日本馬も力を出しやすい舞台ではないかと思います。
2007年にはアメリカでAWが流行ったことがあり、メイントラックがダートからAW変更されましたが、2015年から再び現在のダートに戻されています。
2015年以降のデルマーのダートは、日本のダートとは次のような違いがあると一般的に言われています。(※これはアメリカ全般的に言えることですが)
・良馬場だとスピードが速く、時計も早いので日本のダートを走るパワーより、芝も走れそうなくらいのスピードがある馬が日本馬だと実績を残しやすい傾向がある
・粒子細かいためキックバックがきついため後ろの馬は消耗が激しい
・雨が降り馬場が重くなると時計がかかるようになる
このような特徴があるので、これを頭に入れた上で予想を組み立てていくのが良いと思います。
アメリカのダート中距離レースでは全体的に先行有利の傾向が強く逃げ馬が残るケースが多いです。
後述するデルマー競馬場で行われたBCクラシックは2回とも逃げ切り勝ちとなっており、前に行ける馬の評価を高くしたいレースです。
ダートのレベルが高いアメリカの最高峰の馬たちが出てくるレースであり、一筋縄ではいかないのですが日本馬も去年はデルマソトガケが勝利まであと一歩の2着に来ており、日本馬の勝利も目前と思われます。
今回はデルマー競馬場で西海岸でのBCクラシック開催なので、輸送の負担が東海岸より少なく絶好のチャンスと言えます。
去年2着のデルマソトガケや、ケンタッキーダービーであわやの結果だったフォーエバーヤング。そして日本ダート界の帝王ウシュバテソーロと錚々たる馬たちが揃っていますので、アメリカの馬たちも強いですが、日本馬も決して通用しないことはないのではないかと思います。
過去レース傾向
2021年
逃げたニックスゴーがそのまま後続を突き放し逃げ切り勝ち。
2着のメディーナスピリットは4番手あたりから捲り気味に直線ポジションを上げていき2着を確保。前目にいた馬たち優勢の結果となった。3着エッセンシャルクオリティは道中中団インに控え末脚にかけた形。4着ホットロッドチャーリーも先行馬だった。
2017年
逃げたガンランナーが逃げ切り勝ち。
ピッタリと2着馬にマークされていたが振り切って勝ち切ったガンランナーの強さが光ったレースだった。
4角出口の1-4番手がそのまま1-4着になったような典型的な前残り。後ろの馬たちには厳しいレースだった。
日本馬の勝算
ウシュバテソーロ(牡7歳 高木厩舎)
去年のドバイWC勝ち馬で、去年のBCクラシックでは5着でした。
海外遠征に強いオルフェーヴル産駒で、スピード豊かな血統ですからアメリカのダートも合いそうですよね、2021年デルマー競馬場で行われたBCディスタフを制したマルシュロレーヌもオルフェーヴルサンクでした。
ウシュバテソーロ自身も中東やアメリカのスピード馬場で結果をしっかり出しています。
今年のサウジカップでは今回出走予定のセニョールバスカドールのアタマ差2着。
ドバイWCでも2着と勝ち切れなかったものの、セニョールバスカドールには先着し力関係は拮抗していることを示しました。
海外遠征での実績が豊富な1頭で、後ろから行くタイプで北米や中東では好走傾向から外れるのですが、それでもしっかり馬券内に来る、場合によっては勝ち切る馬なので、脚質で軽視することはできない1頭だと思います。
あとは7歳になり、さすがにダート馬とはいえピークではないような気もするので状態面がどこまで上がってきているのかは冷静に見極めていく必要がありそうです、陣営コメントや当日のパドックでの見栄えなどは要チェックですね。
デルマソトガケ(牡4歳 音無厩舎)
去年のサンタアニタで開催されたBCクラシック2着馬です。
それ以降馬券内には来ていませんが、サウジカップは勝ち馬と0.4秒差の5着なので着差は離れておらず、本来の先行ポジションではなく後ろからの競馬空になってしまったことも加味すると着順以上に内容は評価できる1戦だったと思います。
ただ、気になるのはドバイWCでの敗戦と前走調整の意味合いが強いとは思いますが日テレ杯で、勝ち馬で逃げていたウィリアムバローズの後ろをぴったりとマークして2番手追走と絶好のポジションと競馬をしていたにもかかわらず、ずるずると4角から下がっていってしまい大敗しているところです。
蹄の状態など、なかなか使い詰めることができないタイプの馬で調整の難しさもあるのでしょうが、少し心配になるレースでしたね。
ただ鞍上のルメール騎手は久々のレースだったからと敗因をあげ、アメリカのダートだともっといいレースができるとコメント。
サンタアニタからデルマーに競馬場は変わりますが、中東での良績も考えると今回もいい勝負ができるのではないかと期待しています。
この馬は日本国内より海外の泥質のダートの方があってそうな雰囲気で、戦績も向上しそうですね。
フォーエバーヤング(牡3歳 矢作厩舎)
日本馬の中でも初優勝に向け筆頭格となる1頭です。
圧巻だったのは今年のケンタッキーダービー。
勝ち馬ミスティックダンに迫る3着で、日本馬初のケンタッキーダービー制覇の夢を見ましたし、北米の一線級の馬たちに一歩も引けを取らない実力と適性を持っていることをこの1戦で証明しました
前走のJDDで強豪相手に勝利、大井競馬は砂を変えスピード寄りの馬場からタフな馬場に変貌しており、その馬場でも勝利できたのはこの馬の底力を示していると思います。
さらに、本馬はドバイやサウジでの実績もあり、海外遠征経験も豊富であることから今回も海外遠征になることが大きなマイナスになることはないでしょう。
今年のケンタッキーダービーは中東からの直行となっており、疲労も心配される中でのレースで、あのパフォーマンスでした。
今回は日本から向かうことになるためコンディションも前回以上の可能性があります。
何より、父リアルスティールは早熟というよりは晩成傾向の強い血で、成長による上積みも見込めますし日本では芝産駒も多いことから北米のスピードタイプのダート馬場に対応できているのだろうと思います。
ケンタッキーダービーはかなり後ろからの競馬になってしまいましたが、前走のJDDの時のように先行することができればここは勝ち負けではないでしょうか?
勝算は十分あると思いますし、単勝が日本で3倍以上つくのであれば単勝勝負にしようと考えているところです。
有力海外馬
フィアースネス
地元アメリカ馬の筆頭格、フロリダダービーやトラヴァーズSなどハイレベルなG1を複数勝利している馬です。ローテ的にも前走トラヴァーズS組が最も過去10年では成績が優秀です。(※BCは毎年開催地が違いますがそれだけハイレベルなレースだということだと思います)
私は今年のケンタッキーダービーで本命視したもののこのレースでは、うまく逃げられず、あえなく撃沈しました。
しかし2024年シーズンはこの1戦以外はすべて馬券内と安定感があります。
フィアースネスは逃げ~先行馬なので、今回の脚質傾向的にも積極的に狙いたい1頭なのですが、揉まれ弱いという弱点があります。
そのため、出走頭数が少ないレースで、自身がプレッシャーを受けないレース展開になるとフロリダダービーのように突き抜けた強い勝ち方をするのですが、頭数が多く厳しいレースになったケンタッキーダービーでは惨敗していて、今回はレース的にはケンタッキーダービーに近いレースになるので絶対の信頼は置けないのではないかと思っています。
トラヴァーズSでは逃げずに外目3~4番手の好位追走から4角にかけて捲り気味に上がっていく競馬で外から被せられることはありませんでした。
やはりこの馬は外からプレッシャーをかけられるか否かだと思います。
フロリダダービー勝ち馬でケンタッキーダービーで惨敗という戦績は去年の勝ち馬ホワイトアバリオを彷彿とさせるものがあり、展開次第では終わってみればやはりこの馬が強かったというレースになるかもしれません。
ピンパーでどちらのケースにベットするかで馬券の買い方が変わってきそうな1頭です。
10月28日、種牡馬入りが決まった旨ニュースが流れました。BCクラシック後に今後については協議するとされていますので、今回が引退レースになるかもしれません。
シエラレオーネ
ケンタッキーダービー2着馬です。
この馬も北米の実力馬の1頭ですね、ケンタッキーダービー連対以降も勝ち星こそあげていないものの、ベルモントSで3着、トラヴァーズSで3着と安定した着順で相手なりに走っています。
トラヴァーズSは後方6番手から末脚を伸ばす形で、着差もそこまでなく実力があるのは間違いありません。
ケンタッキーダービーもかなり後方から追い込んできた馬で、先行馬が有利な舞台が多い北米ダート中距離において追い込み脚質でこれだけ活躍しているのはこの馬の能力の高さ故だと思うのですが、なかなか善戦するものの勝ち切れないのはポジションが取れないことに由来するのかなという気もします。
今回もおそらく後ろからの競馬になるので、逃げ~先行馬をとらえきれず、というレースになる可能性は大いにあるでしょう。
当日極端な差し馬場になっていなければ、2~3列目に入れておくのがいいタイプの馬かもしれませんね。前の争いが激しくなり、逃げ馬たちがつぶれていく展開を予想するのであれば上位評価したい1頭だと思います。
セニョールバスカドール
去年のBCクラシックは7着に沈みましたが、今年はペガサスWC2着、サウジカップ制覇、ドバイWC3着とハイレベルなレースで安定した結果を出している実績馬です。
サウジカップでは差しの展開になり流れに乗った部分もありましたが、ウシュバテソーロを凌いで勝利。
ドバイWCではローレルリバーの一人旅レースになりましたが、2着の日本馬ウシュバテソーロにはクビ差ですからこの2頭に大きな力の差はないと評価できます。
この時は今回出走するデルマソトガケが6着ですから、本馬が人気薄になるのであれば馬券内にはぜひ組み込んでおきたいですね。
後ろから行くタイプの馬で、デルマー競馬場で行われるBCクラシックとの相性は良くないかもしれませんが、後ろから1頭突っ込んでくるとしたら?という観点や、前がつぶれる展開で差しに向く展開にもしなると予想するなら、この馬も高く評価する必要があると思います。シエラレオーネとセットで考えたいタイプの馬ですね。
ドバイWC後、8月9月と2走していてどちらも1秒以上の着差で負けていてここは気になるところではありますが、6歳馬ですからまだまだ衰えて…という時期ではないと思いますし、ハマれば一発ある馬だと思います。
ハイランドフォールズ
そこを見せていない系のキャリアの浅い4歳馬です。
今年9月に行われたジョッキークラブゴールドカップで強敵かつ今回も出走を予定しているタピットトライス(昨年トラヴァーズS3着・ベルモントS3着)やアーサーズライド(ホイットニーS勝ち馬)を倒しているので、一線級の馬たちとも戦えることを示しています。
このレースでは2番手追走から早めに先頭に立ち、後続に0.7秒差をつけるレースで非常に勝ち方は強かったですし、前に行ける馬なので今回狙いたい脚質にも一致します。
ただ、G1出走は2回だけでそれまでは条件戦やG2~G3でのレースとなっており、今回さらにレースレベルは上がりますし、フィアースネスを筆頭に楽に逃げられる相手関係ではないと思いますので、このレベルと戦ってどうか?をどう評価するかだと思います。
ある程度現地では人気になりそうなので、マークされる展開になると少し厳しいのかな?と思ったりしていますが当日極端な前残り馬場だった場合はとりあえず拾っておきたい1頭ですね。
シティオブトロイ
英インタ―ナショナルS、エクリプスS、英ダービーとG1を3連勝中のシティオブトロイです。
今回で引退し種牡馬入りすると発表されています。
これまでは芝レースを使ってきており、前走は逃げの手をうちカランダガンの追撃を振り切りハイレベルな英インタ―ナショナルSを制しました。
欧州の芝中距離路線では、トップクラスの1頭でしょう。
英インターナショナルSのレベルの高さは、4着馬のブルーストッキングがその後凱旋門賞馬になったことからもうかがえます。
この馬の能力は間違いないので後はダートに対応できるかでしょう。
日本のダートよりアメリカのダートは泥質でスピード要素が強いので、日本のダートよりは良いかと思いますが、初のダートレースでいきなりBCクラシックという最高峰の舞台で活躍できるのかは、正直見通せないところです。
9月20日にサウスウェル競馬場で行った公開調教という名の模擬レースでは米国のダートに近いオールウェザーコースでは他の調教パートナーをぶっちぎるパフォーマンスを示していて、アメリカのダートでも力を発揮できそうな気配があります(黒の勝負服)。
まぁ、後半シティオブトロイに寄りすぎていて後続にどのくらい着差がついているのかわかりませんし、みんな本気で走っているわけではないのでどこまで間に受けるかというところはありますが。
初ダートでどうなるか、初のアメリカ遠征でどうなるかなど不安要素も多いですが、終わってみればこの馬が強すぎたという結果になる可能性もあると思っています。
引退レースなのでおつりなしの究極仕上げでしょうし、どんなパフォーマンスをするか楽しみですね。
個人的には不安要素が多いので人気になるなら軸にしはしたくない1頭だなと思っています。
現役地方&海外馬主・競馬ライター
登録者5000人超え&累計再生250万回超えの一口馬主YouTuber。豪州競馬会員制コミュニティJJ Racing Club 共同代表。社会人1年目から一口馬主を始め、キャロット・シルク・ノルマン・ロード・DMMバヌーシーの5クラブに入会。地方個人共有とRSS や中條厩舎の豪州共有に加え北米MRHでマイクロシェアを行う。血統スタッツや馬体・歩様を重視していて代表馬はトゥルーフェアリー、ロードヴァレンチ、ミスティックロア等。
—最近の私––
Bluetoothでスマホと接続可能なスピーカー。重低音がとても強調されるので洋楽やアップテンポな曲が好きな私のお気に入り。防水機能つきなのでお風呂に持ち込んで音楽を聴きながら本を読むのが毎日の楽しみ。
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