秋華賞2022の1~5着馬回顧 by展開予想のふーた

・ 執筆者:ふーた

展開や戦績の分析による予想を得意とするライター。2022年9月11日に行われたセントウルステークスでは人気馬ながら勝利したメイケイエールを本命に。仕上がりの甘さを指摘し評価を下げたソングラインは5着だった。



1着 スタニングローズ

 スタートでの左によれ、他の馬に影響を与えてしまったのは正直いただけなかったが、それ以外はこの馬のパフォーマンスとしては最高の出来だったように思う。

ラブパイローがハナを主張することなく、想定よりは落ち着いたペースの中で、かかり気味のアートハウスを左前に見れる最高の位置取りだった。

最後の直線では、早めに抜け出しを図ったアートハウスをあっさりと交わし、ナミュール・スターズオンアースの強襲を退けたのはお見事だった。

上がり6位の34.3秒としっかり使うことができており、先行からの速い上がりを使った王道の競馬での優勝だった。

これだけの先行力と、鞭を入れて伸びる素晴らしい脚があれば、どの舞台でもそれなりの競馬ができる軸馬向きの馬だと言えるだろう。

しかし、今回はスタート時の幸運や実力馬であるアートハウスを前に見れたことにより、簡単に抜け出しを計ることができた最高の競馬だったが故に、2.3着馬との格付けが済んだわけではない。

確実にマークが厳しくなる次走こそがこの馬の真価が問われるのではないだろうか。

2着 ナミュール

 スタート時に7番スタニングローズとの接触はあったが、あまり影響なくスムーズに中団に付けることができていた。

しかし、あまりペースが流れなかった事もあり、内で脚を溜める競馬ができずに終始大外を回る競馬となってしまった。その分、最後の直線のもう一脚がたまりきらなかった印象を受けた。

また、最終コーナーでは外に大きく膨れてしまい、その分のロスがなければ勝ち負けもあった競馬ではなかっただろうか。

パトロールビデオを見返すと、最終コーナー直前から、横山(武)騎手が促しているようにも見受けられ、スパートのタイミングが少し早かったのではないかとも思える騎乗だった。

 しかし、個人的にはあのロスがあったとしても、最後の切れ味に物足りなさを覚えた。馬体重もプラス体重ながら、太め感なくしっかりと仕上げられていただけに、適性はやはりマイルなのかなぁという思いである。

次走はどこを目指していくかわからないが、個人的にはマイル路線へ集中してほしい思いが強くなったレースだった。

3着 スターズオンアース

 スタートでタイミングが合わず、スタニングローズの影響を受けたナミュールが蓋をする形になり、最後方からのレースとなったのはもったいなかった。

これまで好位差しを基本としていただけに、これには筆者もレース中は大丈夫かなという思いだった。

しかし、その不運を物ともせず、ルメール騎手も腹をくくり、インで脚を溜める事を選択すると、最後の直線では狭い進路をさばき、2着争いまで追い込んできたものだから驚きである。

もちろん、驚異的な末脚がないとできない事ではあるが、それ以上にこの馬の勝負根性には驚かされた。

やはり、桜花賞でも他馬の衝突をものともせずに突っ込んできた馬だけあって、競争馬としての能力が高い事を改めて証明して見せた。

しかし、負けは負けである。不運な面があったとはいえ、歴代の名馬は出遅れ何て関係なく、三冠を達成してきた。

クラシックまでは決めてにかけ、何度も1着を取りこぼしているだけに、これからの課題はそこになってるのではないだろうか。

次走はエリザベス女王杯が予想されるが、そこを勝ってぜひ古馬混合GⅠでみたい一頭である。



4着 メモリーレゾン

 人気薄で展開がすごく向いたというわけでもなく、4着に割り込んだのは素直に評価したい。

前走は先行してうまく脚がたまらず、アートハウスに完敗したが、今回は無理な進路取りをせず、道中はインで脚をため、最後の直線では落ち着いて外に出し、この馬の魅力を最大限生かした古川騎手の好騎乗だったように思う。

目を見張るような末脚は持ち合わせていないが、長く伸びる末脚が魅力的な一頭であり、内回りの2,000m付近が適正のように感じる。

5着 アートハウス

スタートも良く、前目の絶好な位置に付けていたが、終始かかりっぱなしで、直線では早めに先頭に立つも伸びず5着の結果になった。

忘れな草賞で好レースをしているだけにコース適性がないとはいえない。

となると、問題はやはり臨戦過程だろうか?

競馬ファンなら知っている方も多いと思うが、中内田厩舎の管理馬はトライアルレースを強い勝ち方をして人気した馬が、本番で沈むケースが多い。

この馬もローズSのパフォーマンスが圧巻だっただけに、2戦目に気難しさが出てしまったのはもったいなかった。

距離適性は2,000mで問題ないが、テンが速く、かかり気味なことからも、マイル路線に挑戦してみるのも面白いのではないだろうか。



ライター:ふーた

20歳から競馬を始め、学生時代はライタージェイと夜な夜な競馬新聞と睨めっこする日々を送る。ギャンブルよりも競馬予想が好きで、自分が馬券を買わない日でも予想は行う競馬通。コロナ前の日本ダービーでは、徹夜で並んでいる姿が某スポーツ紙に写真付きで掲載された。

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