
今回はゴルシ産駒の配合論についてネイチャーシップをベースに解説していきます。
よろしくお願いします。
はじめに
ゴールドシップ産駒のネイチャーシップをご存知でしょうか?

少し前にはなりますが、芝の1勝クラスでもがいていた馬が、ダートに変わると一変し、ブロードアピールばりの末脚で圧勝しました。
減量騎手を載せたダート2400mというニッチ過ぎる条件でしたが、それにしても異常な末脚でした。

奇しくも、このレースの数時間前に私が「メジロアサマを刺激しろ」とポストしており、その予言(?)どおり刺激されまくったネイチャーシップが大圧勝しましたので、さぞ大盛りあがり…

と思ったのですが、全然触れられてない。
「エムイシの言っていたことはこのことだったのか!」
と称賛の嵐が巻き起こるかと思ったんですが、無風・・・😐️
それもそのはず。
アンケートを取ってみました。

全体的には私が言いたいことは伝わっていなかったようです・・・・
ということで、味のしなくなったガムになるくらいまで噛み砕いて、説明したいと思います。
なお、ニックス論での解答であって、ネイチャーシップがダートで覚醒した理由はわかりません。
なんなのあの末脚……知らん………なにそれ………怖…………
そもそものニックス論
というわけでニックス論です。
そもそも、ニックスとは何でしょうか?
簡単に言ってしまえば
「父あるいは母が足りないものを補い合い、より強い馬を出せる組み合わせ」ということです。
解りやすいのはディープインパクト×ストームキャットなどでしょうか。
これは運動神経の高いディープに、早熟性と筋力増強のストームキャットを重ねることで、両者のいいとこ取りをした良い例です。
しかし、ディープとストームキャットや、エピファ×キンカメ×サンデーのようにわかりやすければよいのですが、ほとんどの馬はそんなに簡単には行きません。
そんな中でチェックしやすいのがインブリードです。
一般的には5代血統表に同一の馬がいる場合に使われますが、そこからもう一歩踏み出すことで血統の面白さは無限に広がります。
今回はメジロアサマの牝系に注目して、相似インブリードを深堀しています。
馬と馬の間に=で結んだ場合は、父母同じ全兄弟を示します。
「≒」で結んだ場合は、血統的に両者がかなり近い場合に使われます。
言い換えれば「こっそりインブリード」とでもいいましょうか。
それらの記事はこちらにまとめてあります。
メジロアサマに関してもフェアエールングの記事で触れていますね。
今回はそれらをネイチャーシップを題材にメジロアサマとの親和性を解説していきます。
結論
・バックパサーとニジンスキーはゴルシのニックス(過去記事参照)
・メジロアサマはその2頭と血統的相似点が多い
・逆説的に言えば、メジロアサマ的な馬はニックス
・ネイチャーシップの持つ血統はめっちゃメジロアサマ的
バックパサーとニジンスキー
昨年の記事なので少し古くなっていますが、細かい話はこの記事をご覧ください。
簡単にまとめると
ゴールドシップに足りない機動力や基礎的なスピードを足すには最近の米国血統は相性が悪い。
バックパサーとニジンスキーは、相性のよい古いアメリカの血統が非常に多く含まれている。
なぜ相性が良いかは、ゴルシの持っているザミンストレルとメジロアサマに求められる。
今回のネタの大元になるメジロアサマの解説をしていきます。
メジロアサマ
メジロアサマは、メジロティターン・メジロマックイーンと連なる天皇賞3代連続制覇の初代馬です。
アサマは現役時代に患った病気の治療の影響で受胎率が極端に低く、生涯に残した産駒はわずか19頭。それでもその中からメジロ牧場の執念の結実で、メジロティターンという現代にまで血統表に名が残る馬を出したのは感服の一言です。
アサマの話をしてしまうと長くなるので、詳しくはウィキペディアや各種ブログなどを御覧ください。
メジロアサマ – Wikipediaja.wikipedia.org

まず注目すべきは牝系。
4代母がラトロワンヌという世紀の名牝で、この名前だけでも覚えて欲しいです。
世界中で活躍馬を出しており、日本ではスクリーンヒーローやアルクトス、そしてコントレイルがでていますね。
直系ボトムラインではありませんが、アーモンドアイの3代母 Sex Appeal もラトロワンヌ 4×5を持ち、強い影響を受けています。
ラトロワンヌは「ラトロ肩」と言われる立った肩と強大なパワーを伝えやすく、ゴールドシップの欠点を補うベストな存在です。
そのラトロワンヌをどれだけ刺激できるかが、ゴルシニックス論の結論のひとつであると言ってもいいかもしれません。
ラトロワンヌ
そして、見て頂きたいのがネイチャーシップに含まれるこの馬たち
Busanda≒Striking=Mr. Busher
ラトロワンヌの子供たちで、いずれもウォーアドミラルが配合されたパワーを伝える血統。

Busanda≒Striking 2×3
このBusanda≒Striking=Mr. Busherは、メジロアサマと強く結合します。

Big Event(メジロアサマの4代母)とBusinesslike(ナンバードアカウントの父母母)は全姉妹。両馬にウォーアドミラルが配合され、母全姉妹の同血クロスが発生します。
つまり、ネイチャーシップはBlue Eyed Momo=Busanda≒Striking=Mr. Busherのラトロワンヌ系名牝クロスが多重にかかっています。
更にネイチャーシップは母母母父にマルゼンスキーを持つため、更にもう1本Busandaが追加され、更にニジンスキーの母から「ラトロワンヌ以外の血統の相似クロス」も得ることが出来ます。

結局マルゼンスキーがニックスなのも、ラトロワンヌが良いから
私がニックスによく上げる馬たち
- ニジンスキー
- バックパサー
- マルゼンスキー
- ナンバードアカウント
- ミルリーフ(シャーリーハイツ・ダルシャーン)
これらはどれもラトロワンヌを持っている、または近い血の馬たちです。
これをどれだけ増幅させるかが重要にはなるのですが、結局のところはラトロワンヌをどれだけ効果的に取り入れられるかという話ですね。
また、なによりラトロワンヌはアメリカの名繁殖牝馬なので、その子孫は必然的にアメリカの名血を取り入れていることが多く、特にBusanda≒Striking=Mr. Busherはゴールドシップに欲しい血が全部のせですね。
母父ロージズインメイは確かに優れたニックスですが、このラトロワンヌがしっかり反応しているゴルシ産駒も非常に確度の高いニックスであると言えるでしょう。
血統表の奥深くにいる馬たちですが、ロージズインメイだけでなくラトロワンヌの血統にも注目して探してみてください。(そんなにいないけど…)

M石土井
ゴルシ産駒研究者
一口馬主を京都サラブレッド、YGG、広尾、DMM、ノルマンディーなどで楽しんでいる、ゴルシ産駒研究者。noteにてゴルシ産駒にまつわる投稿を行っている。血統分析に重きを置くスタイルで、代表出資馬はドライスタウトやグランベルナデット。ゴールドシップ産駒ではオルノアやブルーローズシップなどに出資している。
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