治郎丸敬之氏に聞く知られざる「ROUNDERS」創刊秘話

名著「馬体は語る-最高に走るサラブレッドの見つけ方-」を執筆され、競馬雑誌「ROUNDERS」編集長でもある治郎丸敬之氏をお迎えして、馬体の見方から競馬ライターとしての変遷、ROUNDERSや血統に至るまで2回にわたってお話をお聞きしたいと思います。

今回は第2回ということで血統に関するお話や競馬雑誌「ROUNDERS」の誕生秘話をお聞きしました。

第1回のインタビュー記事はこちら↓

治郎丸 敬之さん プロフィール

競馬雑誌「ROUNDERS」編集長。一口馬主DBや一口馬主クラブ会報誌、週刊「Gallop」にて記事を連載中。単なる馬券検討ではなく、競馬の持つ様々な魅力を広く伝えることをモットーとしている。

オーストラリアのマジックミリオンズセールにて西谷泰宏調教師と(左が治郎丸敬之氏)

■血統と馬体に通じるバランス

――前回馬体について教えていただきました。その中で細かい箇所だけではなく全体のバランスが重要だというお話があったと思います。血統に関しても細かい箇所でいえば「クロス」であったり「全兄弟クロス」「ニアリークロス」なんかを専門家の方はよく語られると思いますが、こういうテクニカルな箇所だけに固執せず全体を見ることの重要性は共通するところがあるかもしれません。

治郎丸敬之氏(以下敬称略)
そうだね。専門家は細かいことを言わないと認めてもらえないって思うから、そういうところを言わなくちゃいけないんだと思います。この血統、父と母父が良い馬だから良い馬ですって言ったら終わりじゃないですか(笑)

ただテクニカルな細かい箇所だけに固執してしまうと全体の本質からズレていっちゃうこともありますよね。そう言われると馬体と共通する箇所も多いかもしれない。

――僕も普段血統に関する記事を書いていますが、細かい箇所に焦点を当てたテクニカルな記事の方が書きやすいのは間違いないです(笑)

治郎丸 そうじゃないと中々書けないからね(笑)この馬血統が良いです、で終わっちゃうし。それで終わっちゃったら紙面が埋まらない。でもそういう細かい箇所だけを見るとズレちゃうから難しいところだよね。

■ROUNDERS誕生までの道のり

――現在治郎丸さんは競馬雑誌「ROUNDERS」の編集長としてもご活躍されています。先日のvol.5は血統中心の内容で、血統好きが読んでも結構難解な内容でした。既存の媒体でご執筆されるという選択肢もあったと思うんですが、ご自身で雑誌を創刊された経緯について教えてください。

治郎丸 2001年に「ガラスの競馬場」っていうHPを立ち上げてそこからブログに移行して競馬に関する記事を書き続けていたんですけど、読者の中に荒木さんっていう方がいたんです。

荒木さんは雑誌を作るノウハウをお持ちの方で、僕と組んだら面白い競馬雑誌が作れそうだということで声をかけてくれたんです。それが2010年のことですね。
それまでは雑誌を自分で作るなんて思ってもいなかったことなんだけど、ちょうどHPとかブログの限界を感じてた時期でもあったんです。

僕のブログは競馬ブログの走り的な存在ではあって、ブログランキングではトップ10にも入ってたと思います。当時で一日1万アクセス、一か月で30万アクセスくらいかな。
数的にはそれなりに見られているつもりだったんだけど、いざ世間に目を向けると「ガラスの競馬場」を知ってる人ってそんなに多くなかったんだよね。たまに読んでますって言われることもあるんだけど、知らないですって言われることの方が多かった。
それでもう少し大きな船で船出をしなくちゃいけないなと思って彼の話に乗ったんです。

――荒木さんとの出会いが「ROUNDERS」創刊の大きなポイントだったんですね。最初からこういうものを作ろうっていう構想はあったんですか?

治郎丸 荒木さんは最初自費出版のつもりだったから、200部とか300部を好きな人に買ってもらえればという感じで、どちらかといえばいい作品を作りたいという気持ちだったんだと思う。でも本を作るのはお金もかかる話だし、僕は何千とか売らなきゃダメだなと思ってた。だから良いものを作ってしっかり売るっていう両方の作戦でスタートしました。

■求められる実績の壁

――出版に至るまではまた長い道のりだと思うんですが、どんな苦労がありましたか?

治郎丸 実績がないっていうのは大変だったね。第一号を作ろうにも形がない。僕たちがいくら良いモノを作りますって言っても中々信じてもらえない。

「ROUNDERS」のvol.1に橋田満調教師のお父さん、故・橋田俊三元調教師が執筆された「走れドトウ」っていう小説が載ってるんです。この小説を載せる時も3回くらい橋田先生のところにお願いに行って、やっと信用してもらえてOKをもらえたんです。当時はほんとに無名だし、橋田先生も今まで創刊されてない雑誌にお父さんの小説を載せる許可を出すか迷われたと思うんだよね。今となっては橋田先生の気持ちがわかるんだけど、当時はなんで載せてくれないんだよって思った(笑)

あとJRAにフォトサービスっていう写真を貸してくれるサービスがあるんだけど、そういうのも実績がないからダメって断られたね。でも、実績ないからダメって言われたらどうやって実績作るのよって思うじゃん。

――最初の一歩の苦労ですね。確かにまだ一度も世に出たことがないわけですから許可を出す側としては慎重になりますよね。でももらう側からすれば最初の実績を作るためにお願いしてるわけですから難しいです。

治郎丸 そうだよね。実績作るまで何回も競馬場に交渉しに行ったんだよね。競馬って色んな人が入ってこようとするから実績がないからダメって断られるのはわかるんだけど、結構悲しかったね。そういう感じで最初は実績がないっていう壁にぶちあたりました。

――サララボもまだまだ実績がないサイトですし、僕自身もライターとしての実績を積んでいる最中です。治郎丸さんに語っていただいた内容は勉強になる箇所が多くて、とても勉強になりました。2回に渡るインタビューありがとうございました!

治郎丸 頑張ってくださいね。こちらこそありがとうございました。

↑治郎丸さんが編集長を務められている競馬雑誌『ROUNDERS』のVol.5です。


貴 シンジ

牝系研究家・競馬ライター

獣医師堀田茂氏に感銘を受け血統の世界へ。馬体と血統は表裏一体であり牝系こそがサラブレッドの根幹であると考え、日夜サラブレッドファミリーの研究を行う牝系研究家。SPAIA競馬でも記事連載中。

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