今回は動画時代も度々取り上げてきてサララボでも取り上げたことがあるノルマンディーのエピファネイア産駒の出資馬・プロヴィデンシアについて、取り上げていこうと思います。
ノルマンディー2次募集前にぜひ読んで心を落ち着けていただきたいと思います、よろしくお願いします。
プロヴィデンシアとは?
プロヴィデンシアとは、筆者が出資していたノルマンディーOCの3歳牝馬。
エピファネイア産駒で、一口8.8万円とノルマンディーの中では高額馬の部類でした。
当時の1次募集馬の中では最もプッシュされていた馬で、募集価格は最高額。
カタログコメントにはデアリングタクトの名前や、何が何でも落札したかった逸材などと景気の良い言葉が踊っていました。
人気が薄くなりやすい、高額馬にもかかわらずデアリングタクト効果もあってか、抽選対象となり多くの希望者が落選となる中、運良く当選し出資が叶った馬です。
詳細な経緯はこちらに↓
この馬は出資時は「勝ち上がりが目標ではなくクラシックの大舞台で躍動する牝馬になって欲しい」と願っていましたし「流石にクラシックまではうまくいかなくてもオープンは目指せる馬なのではないか?」と期待したものです。
狂った歯車
しかし、現実はそう甘くはありませんでした。
過去記事にも書きましたので端折りながらいきますが、2歳時に熱感で育成中断。
3歳夏の入厩前に杉山厩舎から他厩舎へ転厩。1戦して中央登録抹消。
どうです?もうここまででお腹いっぱいでしょう?
でもまだなんです。
地方(金沢)移籍後初戦で、コーナーで逸走しかけて他の馬に迷惑をかけ再審査に…。
当然着順も…でした。
本当にここまでの成績は散々。
唯一救いだったのは、地方2戦目でメンツに恵まれた感もありましたが、前回より10秒以上タイムを縮めて僅差の2着にきたことでした。
ようやくまともにレースをできるようになってきて、馬券内にも入ることができました。
時間はかかったけどようやくこれから、、、と思っていました。
狂い続ける歯車
しかし、この馬の「持っていない」と思う出来事が最後に待っていました。
ようやくまともにレースができて希望が見え始めた矢先。
2022年12月20日の金沢競馬場の出走予定のレースが雪の影響で延期になってしまったのです。
23日にスライドして延期となりましたが、結局23日も降雪の影響で金沢はレースができず。
実質、2度にわたる出走取り消しとなり、2度目はスライドはなく開催中止となってしまいました。
代替レースは行われないということです。
「・・・いや、こんなことあります?」
年内をめどにファンド解散するか継続するかを判断すると言われていました。
つまり、これがラストチャンスでここで凡走してしまうことになればおそらくファンド解散になってしまう。そんな瀬戸際のレースが雪で開催中止。
もちろん、雪の中レースをやれと言っているわけではありません。安全第一ですから開催延期・中止は賢明な判断であると思うしそこに文句があるわけでは一切ありません。
「つくづく運のない馬だな・・・」これだけです。
そして、12月26日にノルマンディーの臨時更新でプロヴィデンシアの引退の知らせを受け取りました。
レースが開催されなかったことというよりは、26日の運動中に両鼻腔から鼻出血を確認、運動誘発性肺出血と診断されたということが直接の原因でした。
ただ、ひょっとしたらレース後にこれを発症していて、1勝していた後だったら判断は異なったかもしれないですし、同じく引退だったとしても地方で一矢報いてくれれば気持ちの落ち込みはまだマイルドだったなと思います。
大変残念です。ファンド解散後は繁殖ではなく他の地方馬主さんの元に行くみたいですね。
成績と体質は…でしたが、血統的には良血馬なのでひょっとしたら繁殖にと淡い期待を持っていましたがなかなか難しいようです。
新天地でプロヴィデンシアが活躍してくれることを祈ります。
また体質的に弱く状態が上がってこない中、真摯に向き合ってくださった関係者の皆様には感謝ですし、何より頑張って走ってくれたプロヴィデンシアにも労いの言葉を送りたいと思います。
今回の教訓
①うまくいかない時は、うまくいかない
改めてこの結果が確定してから、募集時のカタログ写真、血統、歩様動画を見返しました。
どこかに兆候があったのではないか?どこか見抜ける要素はなかったか?
くまなく見返しましたが。。。
正直に申し上げて、結果が確定してからの答え探しであっても、僕はその要素を見つけることができませんでした。
今募集されている例えばノルマンディーの今年の2次募集馬たちよりも、やはりプロヴィデンシア)当時ペブルガーデンの19)の歩様の方がよく見えてしまいます。
歩様動画が気になる人はぜひYouTubeで検索してみてください。
つまり何が言いたいかと言いますと、また同じような事態に陥るリスク因子について今後も僕は回避できないのではないか?と思うのです。
競走馬には、出資時に検討できる材料以外の要素、例えば…
・虚弱体質
・募集時には現れなかった気性(馬群×、コーナー×等)
・育成中の頓挫や怪我
など本当に多くのリスク因子があります。
これらをなるべく検討できる要素でスクリーニングしてリスクを減らす作業はできるでしょうが、完全にゼロにして百発百中で見抜くのはまず現実的でないしょう。
現場で携わっているホースマンたちやバイヤーでさえ、それはできないわけですから。
現にノルマンディーのマキオさん、プロヴィデンシア激推ししてましたからね?
「馬選びを諦めろ」と言っているわけではありません。
しかし、やはりうまくいかない時は高額期待馬で 人気馬だったとしても結果を出せないんだということをあらかじめ理解をしておくというのは、精神衛生上も大事なことだと思います。
②人気厩舎は要注意?
以前も記事にしましたが、本馬は杉山厩舎に入厩予定でした。
ぶっちゃけ「杉山厩舎が預かってくれる馬だということはやはりいい馬なのだろう」という初心者あるあるの漠然とした理由も出資理由の1つになっていた部分はあります。
このロジックは全く間違っているとは思いませんが、最近の矢作厩舎の入厩渋滞や杉山厩舎の馬房回しを見ていると、人気厩舎の馬に出資するリスクは間違いなくあります。
丁重に扱ってもらえるレベルの馬なら問題ないと思いますが、そうでないことは普通にありますからね。
プロヴィデンシアは別の厩舎であっても体質的な問題があったので結果は同じだったかもしれませんが「この厩舎が見てくれるなら大丈夫だろう」は軽率すぎる考えだったと今回の件で強く学べたのは、収穫だったと思います。
③高額種牡馬・アベレージ型?HR型?
エピファネイアは種付け料が2021年に1000万円、2022年からは1800万円と超高額な種牡馬となっています。
活躍馬はノルマンディーのデアリングタクトや、キャロットのエフフォーリアなど、最高到達点が高いことが魅力です。
しかし、エピファネイア産駒の勝ち上がり率は執筆時点で38%と水準以上ではあるものの、1000万円超えの種付け料から考えると決して高い数値ではありません。
これらを勘案すると、エピファネイアは種牡馬としてはアベレージ型というよりは1発ホームラン型だと言えるでしょう。
そのため、当然高額馬であってもその期待を裏切ってしまう結果になることは多くあるわけです。
種付け料が高額な種牡馬の産駒はやはり高額になりがちです。
しかし、高額だからと言って必ずしも打率が高いわけではありません。
エピファネイア産駒は、特に気性的に難しさがあり力を出しきれない産駒がいるのも事実です。
種牡馬の評価額としてわかりやすいのが種付け料ですが…
・アベレージを評価されてのものなのか?
・最高到達点を評価されてのものなのか?
ここは冷静に見極めていかないと、今回のように期待していた結果とのギャップが大きいということになる可能性はあります。
エピファネイア産駒だけではありませんが、教訓としてHR型種牡馬産駒に出資する時は、HRを打てない可能性については十分考慮して検討するべきでしょう。
④育成はマッチしているか?
プロヴィデンシアの場合、体質が弱かったのでしかたない部分はもちろんあったと思いますが、育成もうまく行っていなかったのではないか?と推察します。
地方初戦では、まともに競馬をできる状態ではなく、周りの馬に迷惑をかけてしまうような状況でした。在厩で手をかけていただいてなんとかレースができる状態にはしていただきましたが、これはこれまでの北海道や小野町での育成によるところもあるのではないか?と思います。
そもそもノルマンディーは早め始動で芝の3冠レースを目指す方針というよりは、若駒の時は負荷をかけすぎずにじっくり育成をして、古馬になってからも長く楽しめる馬を育てようという方針です。
中央勝ち上がりが間に合わなければ地方に一旦出して出戻りしたらいいじゃない?と、こんな感じですよね。
デアリングタクトは例外的な馬なので、それに引っ張られすぎず本来のノルマンディーの育成方針を再度思い出した方がいいと反省しました。
芝中距離路線で最も活躍馬を出しているのはやはり社台系牧場で、その筆頭がノーザンファームです。
逆に短距離路線であったり、ダート路線だと非社台系牧場と社台系牧場の差は小さくなります。
ノルマンディーは特に地方行きも多いので、プロヴィデンシアのように芝適性に振り切れているような馬よりダートでも走れるタイプの馬を狙った方がいいのではないか?と今回の件も経て思いました。
逆に、芝の3冠を目指すような馬は社台系クラブで出資するというようにクラブごとに適しているジャンルの馬に照準を合わせるということも必要なのかなと思い、2歳世代以降は原則そう言った選び方をするようにしています。
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