矢作厩舎・杉山厩舎で入厩渋滞!?一口馬主と人気厩舎を考える。

どうも、ジェイです。

今回は若干デリケートな話題ではありますが、一口馬主の中で話題になっている、リーディング上位厩舎で未勝利馬や新馬を中心に所属馬が入厩できないという、いわゆる「入厩渋滞」問題について取り上げていこうと思います。

実はこの問題、私も当事者として歯がゆい思いをしておりますので、今回は体験談を交えながらこの話題を取り上げていこうと思います。

騒動の発端は?

最近、SNS上でこの入厩渋滞問題について言及されている方が多いような印象を受けます。

先日、初デビューを迎えた矢作厩舎所属のDMMのヴァンビスタ(牝・2歳)はデビュー前、チャンピオンヒルズで入厩準備が整ったと言われながら厩舎都合でなかなか入厩できない期間が続いたことで不満が一部で噴出していました。

また、杉山厩舎所属だったウインのウインアウォード(牡・3歳)は11月に1勝クラスを勝利したにもかかわらず、厩舎側から「入厩検疫が回って着づらい状況も含めて入厩の目処が立たず、馬のためにも転厩を検討されてはどうか?」という旨の通告を受けて他厩舎に転厩となったそうです。

未勝利馬や新馬で、なかなか状態が上がってこない馬や能力的に足りていない馬が入厩できないというケースは目にしますが、1勝クラスを突破していても転厩を打診されるというのはかなり珍しいケースかなと思います。

入厩渋滞はなぜ起きる?

厩舎所属馬は、全頭が希望すればすぐに入厩できるか?と言われれるとそうではありません。

厩舎ごとに割り当てられた馬房数があり、当然上限があります。

馬房数より当然厩舎の管理馬は多く、その頭数が多くなる人気厩舎になれば当然入厩の順番が回ってくるのは遅くなり「渋滞」が発生します。

また、入厩検疫が回ってこないと、馬房に空きがあってもスムーズに入厩が叶わないということもあるようで、新馬・未勝利馬には特にシビアです。

入厩検疫のスムーズさについては矢作調教師自身も、インタビュー等で過去に苦言を呈していました。

そして、基本的に入厩は重賞など賞金上位のレースに挑戦するオープン馬が優先されます。

目標のレース、ローテーションが明確に定まっており、賞金額も大きいためこれは仕方のないことで、どの厩舎でも行われます。

逆にG1に挑戦するはずの馬が「未勝利馬の入厩を優先させるために入厩できず、出走が叶いませんでした」なんてことが起きたらそれこそ大変なことになってしまいます。

これらの要素をまとめると…

入厩渋滞を引き起こす要因

・馬房数に対する管理馬の多さ

・検疫

・優先される上位馬の存在

となり、管理馬が集まる人気厩舎かつ優先されるような上位馬が多く預託されているリーディング上位厩舎でこの現象が発生しやすいことがわかると思います。




筆者の”入厩渋滞”体験談

筆者がなぜ今回の記事で矢作厩舎と杉山厩舎を名指しで取り上げたかというと、この2厩舎で私は実際に入厩渋滞を経験したからです。

ケース①プロヴィデンシア

ノルマンディーのエピファネイア産駒の3歳牝馬プロヴィデンシア。

この馬については過去にも記事にしましたが、世代No1の募集額でクラブの期待度も非常に高い馬だったと思います。

筆者の出資馬でありましたが、前脚の熱感などで調教が進まない時期が長く続きました。

3歳6月、外厩でようやく出走体制が整い入厩を打診したところ杉山厩舎サイドから「馬房調整がつかない」との返答があったとのこと。

結局、入厩前に転厩が決まり美浦の上原厩舎所属となりました。

プロヴィデンシアについては、順調に調教が進んでいなかったのである程度致し方ないかなと思う部分はありましたが、出資者の一部はデアリングタクトをノルマンディーとのコンビで管理した杉山厩舎も込みで出資をされていたと思います。

入厩前に転厩になってしまうというのは残念な気持ちではありますよね。

僕も、最大の決め手ではなかったものの杉山厩舎であることは出資理由の1つにはなっていました。

プロヴィデンシアは結局未勝利戦を勝ち上がれず、現在ファンド継続で金沢競馬に移籍しています。

執筆時点では、地方でも2戦して未勝利ではありますが、中央復帰を目指して頑張ってくれています。

ケース②ミスティックロア

ミスティックロアはヴァンビスタと同じDMMバヌーシーの2歳馬です。

アロゲート産駒の牡馬で、矢作調教師自身が海外のセリで買い付けてきたいわゆる「矢作セレクト」馬。

杉山厩舎の件がありましたし、上位の人気厩舎に出資する際の入厩渋滞リスクは考慮していましたが、○自身が海外で買い付けてきた高額馬であること

○矢作厩舎縁の血統、近親にコントレイルがいること

などから、この馬は大丈夫ではないか?と楽観的に考えてしまっていた部分がありました。

しかし、この馬も2歳12月現在、未入厩です。

この馬に関してはチャンピオンヒルズでじっくり育成されているという部分もありますが、ヴァンビスタもすぐに入厩できなかった経緯がありましたし、今の時点でゲート試験すら受けていない状態なのでデビューまでまだまだ時間がかかりそうです。

一発回答してくれる力があればいいのですが、気性面などレースに慣れることが必要な馬である可能性も十分あります。

まさにヴァンビスタは最新情報によると骨折が判明してしまったようですが、調教タイムを見れば未勝利は楽に突破できておかしくない時計ですが、気性の幼さが出てしまい初陣は競馬になっていませんでした。

競馬の中で学べることはあると筆者は考えているので、ミスティックロアに関しても正直かなり心配しています。

特に3歳初夏以降、シビアな時期になってくると1度の大敗で外厩にバックさせられてしまうと再入厩までまた時間がかかってしまい、未勝利脱出への望みが厳しくなってしまいます。

価格帯的には、未勝利突破でやきもきするレベルでは本来ないはずなので、なんとかこの心配が杞憂で終わってほしいと願うところです。

”入厩渋滞”を逆算すべし

これは自戒も込めてになりますが、リーディング上位厩舎で預託馬が多い人気厩舎はこの入厩渋滞問題がつきまとうことは覚えておかなければいけないと思います。

また、シビアな話ではありますが渋滞の中で優先される”ファストパス”を持った馬主はいます。

時にそれはサンデーレーシングであったり、キャロットクラブであったりといった上位クラブであることもありますし、関係性の深い個人(法人)馬主であることもあります。

自分の入っているクラブがその厩舎でどのように扱われているか?筆者は去年あたりからこれをとても重視して出資馬選びをしていますが、それにはこんな理由もあります。

厩舎は出資馬選びで重要な要素であることは間違いありません。

ただ、このような入厩渋滞問題に直面するとクラブも転厩という選択をすることがあります。

転厩自体が悪いことだとは思いませんが、厩舎にプライオリティを置いている人からしたら、この厩舎に入ってくれないのか、、、となってしまうと思います。

クラブによって転厩が多いクラブなのか?(例えばノルマンディーやウインはそうだと思います)それとも転厩が少ないクラブなのか?厩舎とクラブのパワーバランスや関係性はどうか?

もろもろ踏まえた上で出資検討をすると、ミスマッチは少なくなるのではないかと思います。

ミスティックロアについては、楽観視していたところもあるのもの、血統的にも馬体の緩さ的にも、遅めの立ち上がりになることは想定していました。

矢作厩舎で立ち上がりが遅いと入厩問題に直面するのではないか?とは頭の片隅では思っていたので、まだショックはマイルドです。

上位厩舎でも、例えば手塚厩舎のようにシステマチックに厩舎を回して入厩渋滞にならないように努力をされていると聞く厩舎もあります。

また、この問題を回避する手段としては若手厩舎や中堅厩舎等を意図的に狙って出資検討を行うということも効果的でしょう。

また、高額馬であったり期待馬はやはり優先されます。高待遇を受けられるような馬を探す目を養うことも大切なことだと思います。これはとても難しいことだと思いますが…。

何はともあれ、リーディングの数字だけではわからないこういった情報も、募集馬検討の際には意識してみるとよりよい一口馬主ライフが送れそうですね。


ジェイ

現役地方&海外馬主・競馬ライター

登録者5000人超え&累計再生250万回超えの一口馬主YouTuber。豪州競馬会員制コミュニティJJ Racing Club 共同代表。社会人1年目から一口馬主を始め、キャロット・シルク・ノルマン・ロード・DMMバヌーシーの5クラブに入会。地方個人共有とRSS や中條厩舎の豪州共有に加え北米MRHでマイクロシェアを行う。血統スタッツや馬体・歩様を重視していて代表馬はトゥルーフェアリー、ロードヴァレンチ、ミスティックロア等。

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5 Responses

  1. 矢作厩舎等は馬が勝ち上がりすぎて渋滞しているので、そこをネガティブに捉えて出資を控えるのもまた矛盾してるし……。
    手塚厩舎も8月デビューでもその後が12月→4月→8月みたいなローテになりがち……というのが厩舎選びの難しいところですね。

    • おっしゃる通りで、渋滞が発生するというのはそれだけ結果を出している裏返しでもあるんですよね
      ただ、出資馬1頭勝ち上がりだけを考えると、競馬は運要素も大きいので渋滞で数使えず、チャンスが減る損失は結構大きいなぁ〜と思ってます。
      手塚厩舎もめちゃ走らせてくれるってほどではないけど、システマチックにやるので全然入れないということもない、と聞いたことがあります!僕はこの厩舎の出資馬は今のところいないんですけどね!

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