”初めて馬のセリに行く人へ”現役調教師からの注意点とアドバイス!

ジェイ
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どうも、ジェイです。
今回はオーストラリアの現役調教師中條先生をお招きし、初めてのセールに向けてのお勉強企画です。今回は百戦錬磨の中條調教師に、初めてのセリで注意すべき点やアドバイスをいただきました。
大変貴重な内容となっております、ぜひみなさん最後まで読んでくださいね!

<中條調教師過去記事紹介>

”ディズニー気分”に要注意!?

ジェイ:今回の対談企画もラスト、3本目になりました。よろしくお願いします。実は僕は今年3月のMagic Millions アデレードセールに行く予定なのですが、このセールの印象はどんなものでしょうか?

中條師:ヴィクトリア州やアデレードの生産者が持っていく馬が多いセールなので、そのエリア所属の種牡馬の血統馬が多いセールですね。

上場される馬のクオリティとしては、悪くないセールだと思います。なかなか毎年いい馬が揃っていますよ。

ジェイ:僕は実は現地に行くセリは初めての経験です。初セリ前に1つ、先人としてのアドバイスをいただけないでしょうか?

中條師:もちろん来られるということは購入することを検討してこられると思うので、セリの雰囲気に飲まれずに冷静に判断できるメンタルを保つことが結構大事かもしれないですね。

主催者は参加者の気持ちを盛り上げるのが上手いです。

シャンパン用意して美味しいご飯用意して、特に日本人の方でオーストラリアのセリを経験されていない方はうわーってなると思うので魔法にかからないようにしたらいいと思います。

”あ、今ディズニーランドにいるみたい”って状態になったら危ないかもしれないですね。

Time is money.

あとは馬が多いので、限られた時間でできるだけ見るために事前にリストを作って自分の見たい馬を絞っておいてリストアップした馬を効率よく下見するのも大切です。

下見会場の厩舎も、A・B・Cみたいにブロックが分かれているのでどこにいるか把握して、まとめて見て行けばが動線が単純になり無駄が減ります。

下見は他の人も見ていて、中には「この牧場の上場馬全部見る」みたいな人もいてその人を待たないといけなかったり…。

時間をうまく使わないと意外と時間がないです。

丸1日見れるから大丈夫と思っていると意外と時間がないので、効率よく下見で回れるかというのも大事だと思います。

あとは、そろそろオンラインにカタログが上がってくると思うんですけど、ビデオで見る馬と実馬はギャップがある馬が多いので、ビデオで見ておいてランクづけをしても、意外と実馬見ると逆になったりすることがあります。

あまり先入観にとらわれずに「実馬を見てどう感じたのか?」を見た方がいいかもしれないですね。

ジェイ:過去にお話しいただいた馬の見方についての記事でもおっしゃられていましたが、ビデオや写真と実馬はかなり違うものですか?写真と動画だけでも違いを感じることは多くありますが。

中條師:ええ、ちょっと盛ってるんじゃないかと思いますよ(笑)

「カメラの画角の外で誰か追いかけてるんじゃないか?」というくらいしっかり歩いてますからね。

でもビデオの時点で「これは全然だ」と思ったら思い切って候補から外すことも必要です。

時間短縮のために、相当好きな血統以外ならそういう馬は、下見は後回しにしてもいいかもしれません。

勝負は”下見”から始まっている

あとこれは結構重要です。

気に入って実際入札すると決めた馬は、何回も見に行かない方がいいです

何回も見にいくと「こいつ気に入ってるな」と出品者に思われて、リザーブ価格を上げられたりします。

実際競られる時にリザーブ価格は変更できるので、あんまり興味を示すと購買者が不利になることもありますからね。

ジェイ:大変勉強になります。「下見回数はこのくらいまでにしておけ」という回数はありますか?

中條師:2回や3回くらいならいいと思いますが、10回とかだとやばいです…。

相手も商売ですからね。

下見の時に馬を見ると名前を聞かれるんですよ。

それで牧場は統計をとっていてそれを元にリザーブ決めることもあるので、下見から戦いは始まっていますね。

ジェイ:なるほど、そうなると見返すためにも馬を見せてもらった時はなるべく動画撮ったりしたほうがいいでしょうか?

中條師:そうですね。

いいなと思った馬は僕もビデオ撮ってオーナーに送りますし、その方がいいと思います。

あと最近はレントゲンレポートがついていることが多いです。

それを確認して、問題ある場合それは成長待てばよくなるのか手術が必要なのかタッチしちゃいけないのか判断をします。

ただこれは、牧場側から出されているレポートなので鵜呑みにするのは危険です。

本当に気に入った馬は、自分の獣医にレントゲンチェックしてもらった方がいいですね。

それって本当の入札?

ジェイ:なるほど、目から鱗の話ばかりですね。実際にセリが始まったあとはどうでしょう?

中條師:上場されたらリザーブ付近までは空上げがあるのでまず静観します。

その後ちゃんと入札が入っているかを判断しながら、ビットしていきます。

だいたいオークションのハンマーを持っている人の横に、売り手の牧場のマネージャーなどが立っているので、その人たちの表情を見ましょう。

そこでリザーブだったら売らないとかチラチラ喋ったりしているので、本当に入札が入っているのかはここを観察することでわかることがあります。

あとは例えばセリの予算総額で3万ドルできた場合、3万ドルギリギリの馬を購入すると後々大変です。

というのも、消費税上乗せされて保険代、輸送代、馬の登録費、レース登録費用、血液検査する人もいますし、喉検査する人もいます。

諸々積み重なって落札価格より結局5000ドル以上上乗せされることは普通にあります。

セリでかかるのは馬代だけではないということを念頭に入れて、セリに参加した方がいいかもしれないですね。

冷静に冷静に…

ジェイ:なるほど、初心者あるあるでこれは注意!みたいなことはありますか?

中條師:ありますあります(笑)

すごい欲しい馬がいて競り負けた場合、買う気持ちが強くなってとりあえず1頭欲しくなっちゃうんですよね。

ガードが緩くなって、妥協してこの馬でもいいなとなってしまったりするんです。

買った後に熱が冷めて、冷静さを取り戻すと「なんでこれ買ってしまったんだろう?」となるケースには注意です。

本当にこの馬が欲しいか?」というのを自問自答してください。

セリは何回もあります。

最悪オンラインセールもありますし、このセールで絶対買うぞ!というより最悪手ぶらで帰ってもOKという気持ちでセリに来た方が、いいかもしれないですね。

ただ、今お伝えしているのはあくまでもこれは少なめの予算で考えるならということです。

予算が1億円〜2億円あるなら話は違います。

これは安くていい馬を手に入れるには?という観点ですね。

オーストラリアで活躍する馬は、やはり大手のセリ出身馬が多いので大手のセリで買うというのはすごく大事です。

G1馬だったり重賞馬を引き当てる可能性を高くするために、Magic MillionsやInglisのセリで買うというのはアドバンテージになると思いますよ。

頑張ってください、いい馬と巡り会えるといいですね。

ジェイ:ありがとうございます、先生からいただいたアドバイスを胸に刻み込み”ディズニーランド状態”にならないよう、地に足をつけて頑張って来たいと思います。


ジェイ

現役地方&海外馬主・競馬ライター

登録者5000人超え&累計再生250万回超えの一口馬主YouTuber。豪州競馬会員制コミュニティJJ Racing Club 共同代表。社会人1年目から一口馬主を始め、キャロット・シルク・ノルマン・ロード・DMMバヌーシーの5クラブに入会。地方個人共有とRSS や中條厩舎の豪州共有に加え北米MRHでマイクロシェアを行う。血統スタッツや馬体・歩様を重視していて代表馬はトゥルーフェアリー、ロードヴァレンチ、ミスティックロア等。

—最近の私–

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