実質的に募集馬診断みたいな形になっていますので、来年振り返りをしてみたいともいます。
ただローカル番長で中山東京阪神に向かない(つまりG1に弱い)産駒が多いため、POGで指名するにはあまり向きません。
ただ、年に1頭はユーバーレーベンやゴールデンハインドなどのクラシックに乗るような馬が出ます。指名なら厳選した1頭にすることをおすすめします。
ワンダフルラッシュの2021(マイネルコモドーア)
ゴルシの成功パターンとして、母が名牝という要素があります。
例えば
ユーバーレーベン…兄が重賞馬
ウインキートス …母が重賞馬
ウインマイティー…母が重賞3着
プリュムドール …母が3勝クラス、兄がOP
ゴールデンハインド…母が重賞馬 など
本馬はと言うと、母実績は2勝クラスで名牝とは言えないものの、伯父にサンレイポケットがおり、アドマイヤラピスから連なる一族には重賞馬が多数います。
そして何より母父バゴが素晴らしい。
欧州系ナスルーラであることはもちろん、Coup de Folieの血を引いているのが非常に好感触。
Coup de Folieはヘイロー直子でナタルマ(ノーザンダンサーの母)の孫。つまり、アルマームードの3×3を持っており、圧倒的なスピードとヘイロー的な機動力を兼ね備えた名牝です。
Coup de Folieの血を持っている主な産駒
タイラーテソーロ 母がCoup de Folieの4×4
2歳新馬を勝利し、ホープフルステークスにも出走。
アインゲーブング 母母父父母にCoup de Folie
2歳8月にデビューし、ダービー週までに7戦。現在は5歳春で27戦と非常にタフ。
ゴールデンハインド 母父母父母にCoup de Folie
2歳7月にデビューし、ダービー週までに8戦(現7戦、オークス出走で8戦)。
2戦目で勝ち上がり、フローラステークス勝利。
マカオンドール 母母母にCoup de Folie。おじがバゴ
2歳6月にデビューし、3戦目で勝ち上がり。ダービー週までに10戦走り、京都2歳Sと京都新聞杯で3着。
このように、もちろんCoup de Folieは昔の馬であるため血統的には遠いのですが、概ね早仕上がりのタフな傾向があります。
期待値
勝ち上がり
★★★☆☆3
・金薔薇ほどではないが、安定感がある。爆発力や成長力はこちらに軍配。
早期始動
★★★☆☆3
・一旦頓挫があったようで夏競馬すぐとは行かないか。
重賞期待値
★★★☆☆3
・母父バゴは素晴らしいが、全体的にはニックスと言い切れない。稀代の名牝を多く持っているので、そこが爆発したらG1でも。
総合
★★★★☆4
もっと増えてほしいゴルシ×バゴ産駒。この子が足がかりになって欲しい(願望)
サマーソングの2021(ウインサマースノー)
母父ロージズインメイの金薔薇配合。
それだけでとりあえず抑えて間違いないが、母母父パレスダンサーはノーザンダンサー×バックパサーのニジンスキー的構成。
その奥ユウビハクは欧州系ナスルーラのカロの流れとプリンスリーギフト系のファバージを配合。
ナスルーラやプリンスリーギフトが濃いというほどではないが、金薔薇の基本は抑えており、ファバージの効果で早期始動も期待。
ただ、牝馬なら柔らかさとキレを持てそうな構成なものの、牡馬なのでもう少し硬めの血統構成のほうが向いているかも。
期待値
勝ち上がり
★★★★★5
・金薔薇は正義
早期始動
★★★☆☆3
・ファバージ次第で早期勝ち上がりも
重賞期待値
★★☆☆☆2
平均点は高くても突き抜けてはいないか
総合
★★★☆☆3
金薔薇は正義。牝馬なら…
マイネルモメンタム(マイネアルデュールの2021)
ダイナサッシュ≒アドマイヤマカディ 4×3のニックス持ち。
この組み合わせはステイゴールド×母父アドマイヤコジーンでウインブライトと同じ。
ダイナサッシュ≒アドマイヤマカディはノーザンダンサー×プリンスリーギフトなので当然パストラリズムとも相似しており、かなりウルサイ血統構成になっています。
2代母のコスモハーティネスもどれだけネアルコを集められるかに挑戦したような血統で、Mizraやナスルーラあたりからムムタズマハルの血を取り入れていますしスピード感で言えば相当な素質を抱えていそうです。
しかし、この馬の一番の注目点は何と言ってもザテトラーク。
体質の柔らかさと圧倒的なスピードを産む血で、コジーンの柔らかさとスピードはザテトラークをインブリードしていることは無関係ではないでしょう。
更に4代母父カリムもザテトラークのインブリードを持っており、ゴルシの柔らかさの基となっているプリンスリーギフトもその血を豊富に持っているのは圧倒的スピードへの期待とともに、柔らかくなりすぎている怖さも抱えています。
その柔らかさをノーザンテーストやヒズマジェスティでどこまで締められるかがポイントだと思います。
また、母父父にCozzeneを持つのは5頭おり、3頭が勝ち上がっています。3頭はいずれも1000万以上稼いでいるため、個人的な期待値は結構高めです。
期待値
勝ち上がり
★★★☆☆3
・非常に面白いけど緩すぎる可能性はある。
早期始動
★★☆☆☆2
・馬体はコロンとしたスプリンター体型。どちらかというと晩成でPOGには向かず?
重賞期待値
★★★★☆4
・ハマりさえすれば上級条件でも。
総合
★★★★☆4
ついに登場するゴルシ産駒のダイナサッシュ≒アドマイヤマカディ。
突き抜ける可能性は一番高いのでは。
マイネルヴォルムス(ゲハイムローゼの2021)
総帥由来のオカノブルー牝系。
こちらは前述の金薔薇配合にコジーンを足したもの。
アドマイヤコジーンからスターオブコジーンになっており、ムムタズマハルを非常に刺激したスピード気質で、ナスルーラを濃縮したタイプ。
ダイナサッシュ≒アドマイヤマカディを除けばマイネルモメンタム(マイネアルデュールの2021)と基本構成は近い。
基本は忠実に抑えているタイプで好感が持てる。
あとは非力すぎないかだけ。
期待値
勝ち上がり
★★★★☆4
・遅生まれと緩さがありそうなポイントは引っかかるけど金薔薇配合には逆らえない。
早期始動
★★☆☆☆2
・おそらくやや晩成よりに加え、6/11生まれでは流石に厳しいか。
重賞期待値
★★★★☆4
・ハマりさえすれば上級条件でも。
総合
★★★☆☆3
さすがに6月生まれは…
金薔薇の力を見てみたい。
番外編
コスモバタフライの2021(コスモブッドレア)
*オーナーズ募集のためクラブ馬ではないものの気になったので
母父ソングオブウインドは驚きましたね。さすがビッグレッドファーム。ただ、面白いだけでは厳しいのが競馬。
母父Kingmambo系はあまり相性が良くなく、主にキングカメハメハ系になるので母が良血になるはずなんですが、その割には勝ち上がり・獲得賞金ともにパッとしません。
ただ、シンプルに分解すると
母父父エルコンドルパサーはスペシャル≒リサデルを濃縮したような超パワー血統。
母母父マルゼンスキーはフレーミングページ≒バックパサーの超機動力で、カーリアンの父もニジンスキーでニックス積み込み。
そこにシャーリーハイツも持つため、ある程度坂にも対応した直線勝負も可能なタイプに思います。
懸念点は、前述のキングマンボ系の相性の悪さと、軽さよりパワーに振っている構成なのでスピード不足にならないかどうか
ゴルシ産駒だけど、ダートを走らせると面白いかも
次点・その他
マイネルズコット(マイネショコラーデの2021)
金薔薇で母母父マイネルラヴはマイネルラウレアと7/8同血。
本来なら推したいところですが、マイネルラヴとの相性が悪い。
母父マイネルラヴは勝ち上がり8頭中1頭。母母父では3頭中1頭。
まあ、いずれも唯一の勝ち上がりがオークス出走のシーグラスと京都新聞杯惜敗のマイネルラウレアなので爆発力があると言えなくもないが…
グランナヴィール(ウッドシップの2021)
ダートで絶対に勝ち上がるゴルシ×ウドシ。
総じてダービーまでに賞金を重ねるタイプではない。とりあえず1勝したい場合には最適。
イクスキューズの2021
全姉ウインキートスなので最優先で上げたいところですが、6月生まれなのでPOGには向かず。
マイネルガンナー(クードヴァンの2021)
マイネプリテンダー牝系で母父ディープは悪くないですが、厩舎とゴルシ産駒があってない印象しかなく…
まとめ
さすがにこの世代となってくると生産者の皆さんも傾向を掴んできているようで、目移りしてしまうような血統ばかりでした。
勝ち上がりを重視するならヘイローや欧州ナスルーラなんですが、重賞級まで突き抜けるなら米国血統であることは間違いありません。そのため米国血統系の馬も探したのですが、あまり見当たりませんでした。
アメリカ血統系は爆発力はあるのですが、安定感ではヘイロー・ナスルーラに数歩劣るので、安定を求めた配合が多く選択されている印象です。
この考察が上方向に大きく外れることを祈って、考察を終了いたします。
M石土井
ゴルシ産駒研究者
一口馬主を京都サラブレッド、YGG、広尾、DMM、ノルマンディーなどで楽しんでいる、ゴルシ産駒研究者。noteにてゴルシ産駒にまつわる投稿を行っている。血統分析に重きを置くスタイルで、代表出資馬はドライスタウトやグランベルナデット。ゴールドシップ産駒ではオルノアやブルーローズシップなどに出資している。
2 Responses
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[…] 【POG2023-24】ゴルシ研究家が厳選!POG指名にオススメなゴールドシップ産駒… […]