今回はキャロットクラブ2022年度追加募集の募集馬検討記事になります。
キャロット会員の私が検討し、最も推奨できると思った馬1頭を今回は紹介させていただきます。
よろしくお願いします。
102 外)ミスベジルの21(牡)
※netkeiba血統表より
基本情報
父 Into Mischief 母父Medaglia d’Oro
総額:7000万円
米国産 栗東:高野厩舎
手術歴無し
馬体重:497kg 体高:160.0cm 胸囲:184.0cm 管囲:20.5cm
育成:NF空港
血統
種牡馬分析
父は北米4年連続リーディングサイアーのInto Mischief(イントゥミスチーフ)。
父はさまざまなタイプの肌馬から活躍馬を出す優秀な種牡馬です。
北米ではAuthentic(オーセンティック)やMandaloun(マンダルーン)などのケンタッキーダービー勝ち馬を出すなど、ダート中距離での活躍馬も目立ちますが、スプリントレースやマイル前後で活躍する産駒もいます。
今年1月には芝1800mのG1ペガサスWCターフで同産駒のAtone(アトーン)が勝利しました。
↑Atoneの血統表、母母父父はミスベジルの21と同じFappiano(ミスプロ系)、母ND持ちも共通
北米の活躍馬達の配合を見ると、さまざまなタイプがいますが、米国系のスピード血統であるAPインディー持ちやボールドルーラー持ち、ファピアノ経由のミスプロ持ちなどが見られ、ミスベジルとの共通点も見られました。
血統表を添付したアトーネや、前述したマンダルーンは母がFappiano持ちになります。
日本でのInto Mischief産駒に目を向けます。
中央馬は執筆時点で出走馬21頭中勝ち上がり馬が19頭と驚異的な打率を誇っています。
また、中央で複数勝利している馬が勝ち上がり馬19頭中10頭。
2勝馬率も高く、重賞馬こそまだ出ていませんが日本馬場への適性も十分示していると思いますし、この馬を推奨できる大きなポイントの1つです。
国内の同産駒で最も賞金を稼いでいるジゲンは、平地のダート短距離レースの勝利だけでなく障害レースでも勝利、現在は3勝クラスのダート短距離で8戦連続馬券内と安定した能力を示し、すでに1億円以上を稼いでいます。
日本では主に、ジゲンのようにダート短距離〜マイル前後での活躍が多いため、本馬に関しても募集馬コメントにはダート中距離馬と書かれていますが、体つきを見てもマイルくらいまでかな?という印象を受けます。
本馬の場合母父サドラー系と、あまり日本でもサンプルが少ない配合にはなりますが、父産駒はさまざまなタイプの母馬から活躍馬を出すタイプなので過度な心配は不要なのではないかと思います。
何より、2年連続で高額な種付け料となるInto Mischiefの種付けをしていることからも、この配合への牧場の自信が伺えます。
母について
母ミスベジルは、北米2勝馬。
G1アラバマSで3着に入るなど、競走能力の高さを示し繁殖入りしました。
半兄弟となるガンイット(Tapit)産駒は北米で3勝していて、G3マインシャフトSで2着に入っており、母の繁殖能力も間違いなさそうです。
全兄弟であるラークスミスチーフ(20産)が最高着順が3着と現時点で未勝利なのは若干気になりますが、逆にこの馬がすでに活躍していたらこの値段では募集されなかったのではないかと思います。
この母のボトムラインはかなり強烈で、母母クワイエットダンスは北米6勝馬でG2デムワーゼルS2着馬。
母母からは米国の年度代表馬であるセイントリアムス、G12着馬で種牡馬入りしているファンタスティック、クワイエットジャイアントというG2勝ち馬の牝馬からは、後に種牡馬入りするガンランナーが産まれています。
母母からはあわせて5頭がブラックタイプが出るという、とんでもない良血です。
二代血統までで種牡馬が2頭出てくるというのは、セリカタログで見つけたら二度見するレベルです。
本馬アメリカで一線級の活躍をしてきたいわばメジャーリーガーファミリーですから、日本に来てダート重賞路線で活躍する未来は十分描けるのではないかと思います。
この馬が活躍した暁には、日本で飽和している血統要素を多く持たないことからも、血統的な理由で種牡馬入りが阻まれるということはないだろうというロマン要素もありますね。
現時点で日本国内にはミスチヴィアスアレックスという後継種牡馬がいますが、他に現時点で後継種牡馬筆頭となりそうな馬はいません。
ダート路線への注目と重要性は昨今の番組編成で高まっていると思いますし、舞台は整っているのではないかと思います。
馬体
まず、サイズは500kg近い馬体重に十分な胸囲や管囲があり、ダート馬としては私は理想的なサイズだと思います。
過去にも記事にしましたが、統計的にみると500kg前後の馬は最も勝ち上がり率が高くなっています。
馬体写真を見てみると十分な胸の深さに加え、前後のバランスの良さ、特にトモの容量が素晴らしく、パワフルさを感じました。
中臀筋など筋肉の立体感もしっかりとしていて、1歳馬ではないので昨夏の募集馬たちと比べるのは酷ですが、非常に完成度は高いのではないかと思います。
歩きを見てみます。
踏み込みが深くダートを念頭に置いている馬だとは思いますが”芝でも走れるのではないか?”と思うほど滑らかでいい歩きをしています。
後ろ脚もしっかりと伸び切り、リズム良くキビキビと歩けているのは好印象です。
また、縦から見た時にも軸のずれや飛節のブレなど、大きなマイナス点はありませんでした。
やや前脚の距離が近いかな?という印象を受けましたが、このくらいなら許容範囲ではないかなと思います。
今回の追加募集馬の歩様動画は全て見ましたが、この馬がダントツでしっかりと歩けているのではないかと思います。
金額は決して安くありませんが、この血統にこの馬体であれば仕方ないかなと合点はいきます。
距離についてはしっかりと筋肉がついていますが、可動域も広く胴伸びもそこそこあるので、マイル前後になるのではないかと私は見ています。
厩舎
厩舎は栗東の高野厩舎に預託予定となっています。
高野厩舎は執筆時点で厩舎勝ち上がり率53%、重賞馬輩出率4.9%(平均1.6%)と非常に優秀な厩舎です。
芝中距離のイメージがありますが、ダート中距離も得意としています。
キャロットクラブからは23頭が預託されていて現時点の勝ち上がり率は57%と相性も悪くなさそうですね。
過去にはレイパパレやクルーガー、センテリュオなどを管理していました。
現在はナミュールを管理していますね。
一口馬主からの評判も悪くない厩舎ですし、個人的にはいい印象を持っている厩舎です。
高野厩舎預託予定というのは、私は加点ポイントだと捉えています。
金額の妥当性
この馬を推奨するか否かで、最も迷ったのはこの部分でした。
総額7000万円募集、1口あたりは17.5万円とかなりの高額馬になります。
さらに、以前記事にも書きましたが、外国産馬は獲得賞金が少なくなることや下級条件のレース選択で混合レースしか出走できず、結果的に不利になることがあります。
維持費込みで回収を考えると、損益分岐点は1.5~2億程度でしょうか?
重賞複数勝利をしないと回収は難しいので、回収の打率を求めたいという人にはあまりお勧めできないかもしれません。
ただ、種牡馬入りの夢を見たい、1発ホームランを狙って高額馬でも構わず出資をしたい、という方であればこの馬はかなり楽しめる1頭なのではないかと思います。
一方、7000万円という募集額は血統や馬体を考えると決して法外な価格ではないと思うのも事実です。
実際、この馬の半弟であるミスベジルの22(父American Pharoah)は2022年のノーザンファームミックスセールで7200万円で落札されています。
父の種牡馬価格を補正すると本馬の募集価格も、一定納得できるのではないでしょうか?
なにはともあれ、父の国内代表産駒を目指して是非頑張ってもらいたいと思います。
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