【新種牡馬考察】レイデオロは本当に失敗種牡馬なのか? byジェイ&M石土井

ジェイ
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どうも、ジェイです。今回は巷で早くも”失敗種牡馬”と言われ始めている新種牡馬レイデオロについて考察していきます。
よろしくお願いします。

デビュー済みのレイデオロ産駒の成績

出走済みのレイデオロ産駒(7月5日執筆時点)

・レイデラルース   23年7月2日 福島芝1800m 12着

・ショウナンハウル  23年6月25日 阪神芝1800m  3着

・ピックアンドロール 23年6月24日 東京芝1400m 16着

・スノーライトニング 23年6月18日 阪神芝1600m 10着

・マウリノ      23年6月18日 東京芝1600m 6着

・エトワルポレール  23年6月17日 函館芝1200m 10着

・ロードレイナード  23年6月11日 東京芝1800m 7着

ショウナンハウルが唯一馬券内である3着に来ていますが、他の馬は全て掲示板外の結果となっています。

ご覧の通り、レイデオロ産駒は執筆時点で中央未勝利です。

そのため、巷では早くも「レイデオロは失敗種牡馬ではないか?」という論争が巻き起こっているのです。



ジェイ考察

レイデオロ産駒の気性について

レイデオロ産駒が苦戦している要素の1つとして”気性の悪さ”があると思います。

特にこの時期の新馬戦は、どれだけいい調教をこなしてきたか、そして競馬をしっかりとできる操舵性の高さがあるかどうか、完成度の高い競馬ができるかどうかが重要だと私は思っています。

その中で、レイデオロ産駒は気性的に苦労して、デビューから競馬に適応できる馬が少ないような印象を受けます。

レイデオロ自身は現役時代ものすごく気性がうるさくて苦労していたという印象は受けませんでしたが、レイデオロのファミリーラインを紐解いていくとこの謎が解けていきます。

netkeibaさんから牝系図を引っ張ってきました。

どうでしょう?実はレイデオロのきょうだい馬は、全弟のレイエンダも含めて牡馬はアブソルティスモを除いて全て去勢されてセン馬になっています。

気性の悪さはこのレイデオロのボトムラインから遺伝している可能性はあるのではないかと思います。

ラドラーダの父(レイデオロの母父)はシンボリクリスエスです。

この種牡馬も気性の悪さを直子に伝えてしまう特性があるので、元を辿ればそこから気性の悪さはきているのかもしれませんね。

シンボリクリスエスはそのため、父としてよりも母父として活躍馬を送り出していルコとは数字を見ても明らかですよね。これは間に母が挟まることで気性の悪さが伝わりにくいからだと言われています。

そのため、一口馬主でレイデオロ産駒を検討する際には、母系の気性や、歩様動画の時の落ち着きを見ながら気性の良し悪しを慎重に検討する必要があるのではないかと思います。

今デビューしている産駒たちが数をこなすことで競馬を覚えてきて、順応していくのか、それとも手がつけられなくなっていくのか?

ここは今後も注視していきたいところです。

また、当然他の要素もあるかもしれませんが、ルーラーシップやオルフェーブルなど、気性面で難を抱えがちな種牡馬産駒は往々にして晩成傾向が強い印象を受けます。

これはやはり走り方を覚えてしっかりと調教を積み、レースで力を発揮できるようになるまで時間がかかる産駒が多いためだと私は分析しています。

レイデオロ産駒もこの法則に当てはめれば晩成傾向の種牡馬になる可能性はありそうですね。

レイデオロ自身も2歳10月デビューですから、今の時期は出走していなかったわけですし、まだまだ1ヶ月で見切るのは早計だと私は思います。

ドゥラメンテやモーリス産駒だって最初は失敗種牡馬じゃないか?なんて言われてましたけど、全くそんなことありませんでしたからね。

適性レースはまだ先?

もう1点、レイデオロ産駒がこの1ヶ月活躍できていない理由として、適性がある舞台がここではない可能性を指摘しておきたいと思います。

そもそも、私は去年レイデオロ産駒に1頭も出資していませんし、記事や動画で推奨馬でレイデオロ産駒を取り上げたことは一度もなかったと記憶しています。

これは巷で言われていた、レイデオロ産駒は芝クラシック路線で活躍するだろうという論調に対して疑問を抱いていたからです。

少なくとも私がクラブの募集馬検討で見たレイデオロ産駒の大半は、筋肉量が豊富でがっしりとしていて、可動域は少し狭めで歩きは硬め。すこし重そうな足捌きで、緩めの馬体の馬が多かった記憶があります。

”これ晩成ダート馬じゃね?”と思い、当時の巷の目算と異なっていたため、自分の中でも手を出しづらかった部分があったからです。

また、期待されていたウインドインハーヘアクロスについても、名牝クロスから活躍馬が多く出るというのはSpecialの事例などで示されてはいるのですが、ウインドインハーヘアを強調しすぎるとパワータイプに振れすぎてしまい、日本の芝ではスピード要素が足りないのではないか?とも考えていて、こちらも手を出しづらいなと思っていました。

確か藤沢調教師がウインドインハーヘアクロスはいいと、どこかのインタビュー記事で出ていたのを読んで「やっぱりいいのかな?うーん」と悩んだ記憶があります。

現状ウインドインハーヘアクロスはどちらに出るかわかりませんが、今の産駒たちが走っているスローペースで末脚のスピードが求められる芝のマイル前後のレースはレイデオロ産駒が最も苦手とする舞台の可能性が高いのではないかと考えています。

こもこもさんに以前書いていただいたレイデオロの考察記事の中にも書かれていましたが、レイデオロ産駒の真価が発揮されるのは実はダートの舞台が始まってからではないか?と私は思うのです。

レイデオロの種牡馬としての成否を判断するのは、ある程度ダート番組が揃ってきてからでも遅くないのではないかと思います。

晩成傾向でもあると思うので、できれば1年くらい時間をかけて産駒を観察していきたいですね。

今の段階では活躍馬が出ていないので一口馬主では抽選が楽になり産駒に出資しやすいかもしれません。

この数頭で評価を下すのは流石に難しいですしサンプル不足ではありますが、青田買いを狙う人はせめて気性面についてはしっかり確認すべきかなと思います。

僕の考察が当たっているかわかりませんが、僕の考えが合っていると思う人はダートで潰しのきくサイズのある牡馬を狙うのもいいかもしれませんね。



M石土井考察

産駒成績について

まだ騒ぐ時期ではない。ただ、後述する血統を見る限り、「ダービー馬の息子」「ディープインパクトのような種牡馬」とイメージして走らせるには工夫が必要に思える。

芝王道路線で大物も出るだろうが、芝の切れ味の馬と思って育成したら難しい馬になる可能性はある。

狙い目の配合は?

血統を見る限り「キンカメ!」「ボリクリ!!」「シーキングザゴールド!!!」といった形で筋肉量を増大させる血統ばかり累代されている。また、立ち肩になりやすそうな配合。筋肉豊富で立ち肩といえば、ダートやスプリンターである。

むしろこの血統でダービーを勝ったことが藤沢マジックでは?

33秒台の末脚で勝ったのはダービーと天皇賞であるが、その時は上がり最速ではない。

逆に最速を記録しているのはほとんどが中山で、本質はミエスク的なスピードのあるパワー型であったと思われる。

現在デビューしている産駒は母父ディープなどのサンデー系で、軽さ強化型が多い。

しかし、レイデオロの血統だけを見せられるとダートG1馬のようなので、配合相手もパワー強化型のほうが向く可能性がある。

またディープと同じように母父ゼンノロブロイが多い。

ロブロイはサンデー×アメリカ血統なので、サンデー×パワー的な配合であると思うのだが、結果が出てこないことを見ると、下手にサンデーを挟まないほうが良いのかもしれない。

そうなれば、母父ディープでウインドインハーヘアクロスを狙うよりも、シンプルに母父ミスプロ系など母父アンブライドルズソングあたりのほうが向く可能性はある。

柔らかさとスピードを両立させるならAPインディ系とか…いずれにしてもダートスピード的な肌が良い気はする。

キレを出すにはアルザオを徹底的にいじらないといけないのだが、その場合は、Haloの権化キングヘイロー、クリスエスと相似でキレを生みそうなハビタット持ちなどが良さそうだが、日本競馬には数少ない。難しい。

ただ、日本の芝向きの馬を出そうとしたら、スピードとパワーの源であるラストタイクーン(トライマイベスト≒エルグランセニョール)を刺激するのが一番安定して活躍産駒が出そうである。

また、そのようなスピード&パワー型を配合すると、スプリンター寄りの馬のほうが出そう。

ウインドインハーヘアを刺激しすぎるとスピード不足になりそうで、血統の奥に眠るサンデーサイレンスは期待したほどサンデー的な要素を与えてくれない。

かと言ってキングカメハメハやシンボリクリスエスをそのまま刺激すれば重厚に出てしまう。

なかなかに難しい。

もし、芝向きに軽く出すのであれば、スピード型のステイゴールド肌はどうだろうか?

レイデオロの奥に入るフランス的なスタミナ血統と呼応し、またステゴ譲りの線の細さでレイデオロの重厚感を緩和しつつサンデーサイレンスも足せる。

ただ・・・スピード不足な上に非力になる可能性があるので、抜けた馬も出る一方で、平均点は低くなりそう。

この配合ではココロノアイ産駒のスズノレイラインなどが該当するので、期待して見ていきたい。

後は、同じような視点でハーツクライ×米国血統の牝馬なども良いのでは。

活躍する舞台適性はどこに?

基本的にはキングカメハメハらしく、牝系に応じてダートなど色んなタイプが出そう。

ただ、基本線はパワー型の馬であり、イメージはミエスク。

つまりスピードのあるパワー型マイラーあたり。

レイデオロは失敗種牡馬なのか?

種牡馬の産駒成績の最大の要因は繁殖の質なので、今の配合相手を考えると失敗はしない。

少なくとも、G1馬が1頭も出ないと言うことはないでしょう。

ただ、例えば今のドゥラメンテやキタサンブラックほど出せるかというと、難しいと思う。

これだけ日本向きの血統を集めているのにサンデーフリーというボーナスステージ状態であるので、ニックス配合は絶対にある。そのツボをどれだけ早く見つけられるかが勝負かと思う。

理由の1つは藤沢マジックで適性外と思われるレースを勝ったこと。

その事自体は凄い以外の表現がないものの、生産者がそのイメージに囚われ続けると、しばらくの間はかつてのオルフェーヴルのようにチグハグな子が続く可能性がある。

2つは完成された血統であるということ。

ウインドインハーヘアから日本向きの瞬発力を、シーキングザゴールドからスピードを、シンボリクリスエスとキングカメハメハからパワーと日本の芝適性を受け継いでおり、この先の配合を考えると相手選びが難しい。

それこそ、レイデオロの血統の牝馬にサンデーサイレンスかディープインパクトをつけたらとんでもなく走りそうであるが、現代競馬ではそこまでの超遺伝力を持った馬、更には母父に入ってそれだけの影響を与える馬は少ない。


M石土井

ゴルシ産駒研究者

一口馬主を京都サラブレッド、YGG、広尾、DMM、ノルマンディーなどで楽しんでいる、ゴルシ産駒研究者。noteにてゴルシ産駒にまつわる投稿を行っている。血統分析に重きを置くスタイルで、代表出資馬はドライスタウトやグランベルナデット。ゴールドシップ産駒ではオルノアやブルーローズシップなどに出資している。



ジェイ

現役地方&海外馬主・競馬ライター

登録者4500人超え&累計再生250万回超えの一口馬主YouTuber。豪州競馬会員制コミュニティJJ Racing Club 共同代表。社会人1年目から一口馬主を始め、キャロット・シルク・ノルマン・ロード・DMMバヌーシーの5クラブに入会。地方個人共有とRSS や中條厩舎の豪州共有に加え北米MRHでマイクロシェアを行う。血統スタッツや馬体・歩様を重視していて代表馬はトゥルーフェアリー、ロードヴァレンチ、ミスティックロア等。

—最近の私–

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3 Responses

  1. でも、レイデオロは中山G1 未勝利だから中山が得意だともいえない気がする
    藤沢マジックというより
    府中が得意なキングマンボ系だから勝ったんだと思う

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