＜中條調教師（JAPANOZ）過去記事＞

オーストラリアに日本人調教師！？中條師を独自取材！

調整だけじゃない！？現役調教師に聞く、競走馬のプール調教の可能性。

2023 Gold Coast Yearling Sale

ジェイ：中條調教師、今回の対談2本目の記事になります。よろしくお願いします。今回はつい先日まで先生が行かれていた2023 Gold Coast Yearling Saleについて伺っていきたいと思います。このセールはどんなセールなんですか？

中條師：はい、これは1月のMagic Millionsのセールです。

日本で言うと”セレクトセール”に近い位置付けのセリだと思います。

Magic Millionsは本拠地であるゴールドコーストで

○1月

○3月

○5月

これに加えて、

○アデレード

○タスマニア

などと、様々な時期と場所でセールが行われます。

その中でも、今回行ってきた1月のセール(2023 Gold Coast Yearling Sale)は一番の良血馬が集まる最上級のセールです。

やはりシンプルにいい馬が多かったですね。

2023年のトレンドは？

ジェイ：最近はセリがあるたびにどんどん馬代が高騰している印象があります。今年は少し風向きが変わったと言う話も仄聞していますが、実際どうでしたか？

中條師：はい、おっしゃる通りちょっと去年よりは値上がりは落ち着いたかなという感じです。

最高価格は今年も出ていますが、全体的に見るとちょっと去年よりは落ち着いた印象はあります。

去年までコロナの影響でお金を使う場所がなかった人が馬を買うことが多かったみたいで異常なくらいに、値上がりをしていたんですが今年はようやく妥当価格になったかなと思いますね。

ジェイ：セリの日程が1月のセリはとても長いですよね、どんな形で進むのでしょうか？

中條師：そうですね、丸1週間セリが続きます。

厳密にはBook１とBook２に分かれていて、Book１が高い馬が多くBook２が少し安いとなっています。

僕は安い馬が欲しいので、Book２だけ行こうと思っていたのですが、セリの期間中に色々と催しがありまして、それに出席していたら結局ほぼ皆勤賞でしたね（笑）

購入は？

ジェイ：なるほど、素晴らしいですね。中條厩舎では、今回のセリで購入した馬はいたんですか？

中條師：はい、うちのオーナーさんとBook2から1頭だけ購入しました。

元々、そのオーナーが買おうと思っていた馬が予想以上にセリ上がってしまって。

落札はできなかったので、別の主取りの馬の中からご縁があった馬を買いました。

セリで主取りになった馬はすぐオンラインで出るんですよ。

リザーブが表示されるので、そのリザーブ価格を見て気になる馬がいたら確認してオファー（交渉）をします。

実は今回購入できた馬は、主取り後の交渉2頭目です。

1頭目はオファーしたんですけど「それじゃ売れない」ということで諦めて、2頭目が「これで大丈夫」ということで購入できましたね。

ジェイ：なるほど、日本でも主取りの馬を交渉して購入するというのはありますもんね。この馬は共有馬主を募る予定はあるのでしょうか？

中條師：いえ、オーナーの1頭持ちの予定です。

その方は海外に住んでいる方なんですがオーストラリアでたくさん馬を持っている人なんです。

1頭買いたいという話を事前にしていて、こちらもリストを送って「どうですか？」ということで進めていました。

そのオーナーは少し変わった方で、よほどじゃないとセリでは勝負しないんです。

主取りになった馬から狙うという手法を好みます。

いい馬は自分で選ぶのではなく馬側が自分を選んでやってくると、そういう信念があるそうです。

たしかに、主取りは妥当な金額で買えますし絶対セールがあれば主取りの馬は出ますからね。

セリで買う馬は、絶対に落としたいオーナーが複数いると、馬の適性価値より値段が上がってしまいますからね。

過小評価の種牡馬は？

ジェイ：なるほど、勉強になります。今回のセリでこれは良い、意外と評価されてないと感じた種牡馬はいますか？

中條師：やっぱり”2年目3年目の種牡馬で2歳戦で成績を出していない種牡馬”が新種牡馬に負けます。

ウイニングルーペット（Winning Rupert)とかいいなと思いますね。

この馬は新種牡馬からそんなに期待されていなかったかもしれませんがね（笑）

元々馬産地の中心にいたんですが、クイーンズランドに今年から移動してきたんです。

産駒にセリで値段がつかず、目立った活躍馬もいなかったので。

ただシドニー近くのプロヴィンシャルの産駒成績を見ていると3歳で結構いい成績を出していたんですよ。

もしかしたら晩成で、3歳〜4歳になってぐんぐん良くなる馬なんじゃないか？と思っていますね。

血統的にはリトゥンタイクーン系の後継種牡馬です。

リッチイナフ産駒とかもそうですが結構走っていますから、要注目だと思います。

よく見えた新種牡馬は？

ジェイ：リッチイナフ産駒はRSSさんでリッチシャンパンを共有しているので、活躍してもらいたいなと思います。さて、新種牡馬の初年度産駒で出来が良さそうだと感じた馬はいましたか？

中條師：一番産駒でよかったなと思ったのはズースターの後継種牡馬のズーサイン（Zousain）ですね。

全体的に体が柔らかくていい歩きをしていましたね。

でもやっぱりズーサイン産駒は結構競り上がっている馬が多かったです。

ジェイ：オーストラリアは、初年度産駒好きが多いと聞きましたが？

中條師：そうですね、初年度産駒の方が売れやすいです、シェアが。

だから自然とセリでも初年度産駒は人気になるんですよね。

あとは日本馬と同じ名前のコズミックフォース（Comic Force）。

ディープフィールド後継種牡馬ですが身体が大きく脚上がりが良くて、踏み込みも良くてバランスがいい馬が多かったですね。

ただこの2頭は明らかにいいというか、みんなが期待しているという感じでしたね。

マニア向け種牡馬

ジェイ：なるほど、となると穴馬的な種牡馬も教えていただきたくなるのですが？

中條師：それでいうと、デュビオス（Dubious）という馬がいます。

これは日本のみなさん、よほどの通でないと知らないと思います。

クイーンズランドにいて、産駒は全てクイーンズランドのボーナス賞金対象です。

結構馬っぷりもよくて仕上がりも早そうでいいなと思いましたね。

ジェイ：ボーナスが出るのはかなり馬主的には大きいですよね？

中條師：そうですね、ボーナス賞金で牝馬だと特にすごいです。

今度3月に行われるMagic Millionsのセールがクイーンズランドボーナスがついている馬用のセールなので、ボーナス賞金がついている馬ばかりが出てきます。

こちらのセールは価格も落ち着いて、平均２−３万ドルになるのでそこでいい馬を探してもいいかなと思っています。

ジェイ：なるほど、大変勉強になりました。今回も貴重なお話をありがとうございました。次回は百戦錬磨の中條調教師に、再来月初めてセリに行く筆者に向け

たアドバイスをいただく対談をさせていただきます。よろしくお願いいたします。ここまで読んでいただいた読者の皆様、ありがとうございました。

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